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精神の生態学へ (上) (岩波文庫 青N604-2) 文庫 – 2023/4/14

4.7 5つ星のうち4.7 31個の評価

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現象に内在する精神とは? 精神のエコロジーとは? 科学と哲学をつなぐ基底的な知の探究を続けたベイトソンの集大成。その生涯にわたる思索の足取りをたどる。上巻はメタローグ・人類学篇。頭をほぐす父娘の対話から、隠喩と類比を信頼する思考の方法、集団間の緊張を高める「分裂生成」の型とそれを回避する「プラトー」の概念まで。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2023/4/14)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2023/4/14
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 364ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4003860292
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4003860298
  • 寸法 ‏ : ‎ 1.5 x 10.5 x 14.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.7 5つ星のうち4.7 31個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2024年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
よかった
2023年10月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は10年も前に、思索社(新思索社)から出されていた、A5判の1冊を読んで以来である。この時の訳者も佐藤良明氏である。新思索社は後に倒産してしまい、長らくは大型の図書館やネットでのプレミア価格でないと手に入らない時期が永かった。今回文庫版で上中下巻の三巻に分かれてしまったが、手ごろに手に入る様になったのは、まあ有難い。

この頃のベイトソンは、欧米ではかなりの異端ではあった。幸いにも、日本では翻訳者の佐藤良明氏の啓蒙、柄谷行人氏による「政治的」なニューアカブームに乗っ取った普及によって知られる様になった。このベイトソンを読了前と後では間違いなく思考プロセスの方法論が変わってしまう影響力のある著書である。

導入部の娘メアリー・キャサリン・ベイトソン(2021年没)との対話が中々秀逸である。娘もこの父グレゴリー・ベイトソンの教育のおかげで人類学者として知られる。こういう対話を繰り広げる親子関係というのも考えてみると怖いものがあるが、ラディカルなベイトソンにとって「曖昧」にすることを許さなかった様で、「本能」という言葉への「逃げ」は許さなかったことからも伺える。

従って、「精神(mind)」というものも徹底して生態学的(自然学(natural history))に追及している思索は現代でも新しい。
最初に言っておくと、ベイトソンの考えている「精神(mind)」は決して脳内で完結していることを指していない。ベイトソンもはっきり書いてないが、あらゆる「関係」を通じて生成されるものと考えている節がある。

「情感(heart)には、理(reason)には感じえない独自の理がある」
「コミュニケーションの本質、その存在理由は、冗長性、意味、パターン、予測可能性、情報を生み出すこと、および/または”拘束”によってランダムネスを減じることにある」
「意識の検索にかからない情報というのは、すでに見た通り、多くの種類に及ぶのである」
「100パーセント意識的なシステムというものが論理的にありえない」(これはトヨタの仕組み化、見える化にも通じるが、無意識を意識化することの難しさは現代のビジネスの世界でも難題である)
「スキルなきところにアートはない」
「精神(マインド)の全体は、(命題の、イメージの、諸過程の、神経病理の、云々)統合されたネットワークである」
「生きた人間の身体もまた、複雑に統合されたサイバネティック・システム」
「スタイルはその人自身である」

「分裂生成」という造語はベイトソンによるものであるが、相補型と対照型があり、相補型であれば、矛盾や無意識的なストレスや鬱屈を昇華するプロセスが生まれるが、対照型は対抗型になり、最終的には破滅に至ったり、戦争の様な事態にまで発展するものもある。ジョルジュ・バタイユの考え方なら「過剰」を生み出し、最終的には「蕩尽」することでリセットされるまで続く事態を指す。

日本においては相補型社会だったものに、欧米文化の対照型が食い込み、覇権闘争が増えるに至った。ある文化に異文化が入り込むと対照型、相補型の文化体系の中で揺れ動くことになる。日本は比較的上手に相補型を文化に残してはいるが対照型が食い込んだ「経済」には多くの病理が広がる事態になっている。この辺はベイトソンが鋭い反面、造語故なのか、この「問題」の難しさ故なのか、文化生成の問題、精神病理の問題として深く考えた人が少ないことが残念である。

ベイトソンの著書は50年以上前の著書であることを念頭にいれつつ読んでもらいたいが、未だに尚考えさせらえる内容を多く含んでいる。AIの問題もそうであるが、ベイトソンの思索を読むだけで、AIを突き詰めれば人間の思考を超えることが無理の理由がわかるのだ。

「「ハート」の、いわゆる「無意識」のアルゴリズムは、言語のアルゴリズムとはまったく別の方法でコード化され組織されている。しかもわれわれの意識は、大部分が言語の論理によって組み立てられている。そのために、無意識のアルゴリズムを意識で捉えることは二重の困難さを伴う。意識に支配されている限り精神はこうした対象をつかむことができないばかりでなく、仮に夢、芸術、詩、宗教、酩酊などによって運よく把握できたとしても、それを翻訳して伝えるのがまた途方もなく難しいのだ」

無意識のアルゴリズムをAIに組み込むことは出来るし、SNS広告や、検索アルゴリズムによってもう実践されている。構造が単純だからだ。現代における人間の思考の問題とは「文化」や「物語」の意識の問題なのだ。だから先進国での自殺者が増えているのも、その得体のしれない「閉塞感」が生み出されるのも「文化」や「物語」生み出さない「社会」の問題ともいえる。ベイトソンの述べる「精神(mind)」は明確に「社会」や「生命」システムまで包摂されるものを指している。しかし、当時でそのことを述べるには理論的なエビデンスなどが不足していたし、遺伝学、免疫理論、認知心理学、アフォーダンス説、複雑系理論、微生物学、土壌学など総合科学的に追及されなければ、「精神」の正体は掴めないだろうと私は考えているし、ベイトソンもそう考えていたに違いない。なぜならこれほど広範な大著を書くだけでそれも分かろうというものだ。
19人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ずっと何の本か気になるまま書棚に入っていたが、二束三文で売っぱらわれた本が岩波書店で文庫化された。ついでに、電子化されないものか。
原題は "STEPS TO AN ECOLOGY OF MIND: Collected Essays in Anthropology, Psychology, Evolution, and Epistemology"。Stepsだから〈歩み〉なんだろうけど、そのニュアンスは「ベイトソンの歩み」という訳者の解説が三巻にわたって述べられている。だから大文字の部分は「精神の生態学へ」に加えて、「精神の生態学への歩み」ということになるのかな。最近の流行りだと「マインドのエコロジーへの歩み」かな。
副題のほうがまたすごい。人類学・心理学・進化論・認識論にに関する小論文集となるのかな。ベイトソンはすごいな。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年1月24日に日本でレビュー済み
50年以上前に発表された内容ですが、全く色あせないどころか、ベイトソン氏の危惧が地球温暖化など最悪の形で顕在化している今、広く読まれて欲しい本です。特に最後の二つの章。
今や常識となっている、
・人間社会は生態系の一部であって、生態系のバランスを大きく乱すと人類の生存は困難になること、
・産業革命以来の(生態系のバランスを無視した)価値観/世界観を変える教育が喫緊の課題であること、
等々納得の内容でした。他の章もそれぞれ興味深かったです。--- 統合失調症とダブルバインドの関係とか、環境変化に対する体細胞の適応と遺伝子変異の関係とか。
なお、英語で読んだので、訳文の是非についてはコメントできないです。すみません。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年9月6日に日本でレビュー済み
哲学書だと思って身構えていたら、冒頭は娘との対話形式で微笑ましい内容。ただし、単なる会話ではなくて、科学のいくつかの問題を対話という隠喩にのせて説いていく。子どもの言葉を借りることで、つまり率直な疑問をもつ子どもから言葉を投げかけることで、問題に切り込み、頭の堅い大人にも脳味噌をやわらかくして読めるように工夫を凝らしているようだ。
対話部分は全体の350ページのうち100ページほどあり、科学哲学の間口はとても広い。
本書最後の訳者による解説も生き生きしていて、読み応えがある。

『精神の生態学へ』(原題Further Steps to Ecology of Mind)だが、精神のことは言及がないので、精神医学のような内容を期待していたら肩透かしを食らう。Mindは思考というような意味で捉えて読書した方がしっくりくるかも知れない。帯の言葉は本書上巻の内容に合っている。つまり「思考の手順」に徹底的にこだわって手法を披露している。巻末の解説によると冒頭の対話篇「メタローグ」はベイトソンが学者として脂が乗った頃に書かれたもので、結実した知性から編まれた含蓄を感じる。

思考のコマにはルールが組み込まれていて、うまく載せていけば組み上がると言うが、他方で娘に論理的なばかりでは新しいものは生まれないと言わせる。積木のコマを接着剤でくっつけるのはルール違反で使っていいのは論理だけ。しかし当の対話ではお決まりの言い回しに頼ってばかりでは駄目で、一度バラしてごちゃ混ぜにしないと新しいものは出来ないという。この対話自体が矛盾に直面して対話者の一人の父は頭がごちゃごちゃになってしまう。対話が行き詰まって、まるで読者にもそのごちゃ混ぜの状態を体験させるかのようだ。
ルールがあるようでないこの対話の状態は、二人を混乱に陥れるが問答(ゲーム)としては楽しいと言う。娘も父も。ゲームはごちゃ混ぜになっても秩序はないといけない。でもこれはチェスやトランプのルールとは違う。チェスのような決まったルールがいつまでも支配するのではなく、混乱してごちゃ混ぜになって別の出口から出る。そこに面白さが生まれる。予定調和に何でも進んでいくのではなく、変化していくものを捉え、また逃して、いつかはその秩序を見出すのである。ルールはあるようでないし、誰も説明してくれない。

ベイトソンの思考にはこのような混乱と秩序があり、ごちゃ混ぜに掻き混ぜた後に何かの秩序を見出そうとするようである。本書後半に収録された「プリミティブな芸術のスタイルと優美と情報」では、隠喩について関係を同じ様態に保ちながら二つのものの関係を例示すると論じる。二つの物は突拍子がないものでも関係性が同じであれば隠喩のようなつながりにより新たな知性を生むとでも云うようだ。芸術はこのような隠喩の仕組みによって新しいものとなり、芸術を芸術たらしめる。

人間の行動パターンを「相補的 complementary」と「対称的 symmetrical」に分類し、前者は一方の行動に対して他方は異なる行動をとってフィットし(支配と服従)、後者は一方の行動に対して他方が同じような行動をとる(競争)。アメリカ人やイギリス人は相補的な行動は好まずそのような振る舞いは周りからの非難さえ受けるという。一方ドイツの男子は服従することが名誉として育てられる。ここからさらに論は展開し、ドイツのナチスに話が及びナチ党員が顕示的な振る舞いをとり民衆は服従することを示す。訳者によると解説によると、ちょうどこの論考は第二次世界大戦期アメリカで各国の民族の思考、性格などを分析したものらしい。「支配・服従」という視点に「見る・見せる」という視点を加えて考察。親と子の関係についてドイツでは服従するが萎縮するような服従ではなく元気よく踵を鳴らすような服従を見せる。アメリカでは独り立ちできたことを誇示することを親から期待される。イギリスでは自分の職務上、支配と見せることは自然な行為だが、アメリカ人にとっては尊大に見えてしまうという。逆にアメリカ人が自分の自律を示そうとする行動は自然な振る舞いだが、イギリス人にとっては支配と優越の意味を読み取ってしまう。
ベイトソンはこの考察の終わりに戦争後の講和条約の交渉の方法にまで言及していて面白い。英米とも敗戦国を過酷な条約で縛り付ける心理的な性状を持っていない。つまり支配と服従の構造がゆるい「対称的」であり、一方ドイツは服従すべき相手にはしっかり服従するという「相補的」な性質がある。第一次世界大戦後のゆるいヴェルサイユ条約がドイツにはうまく働かなかったことを指摘。

また長いレビューになってしまい悩ましいが最後に対話篇の本能について。よくわからないことを本能のためだとしてブラックボックス(説明原理)にして、それ以上の説明は求めない。本能のせいにして説明を単純にするのは果たしていいのか、という娘との対話である。どの行動も本能のためだとするのに対して、娘は本能は考えずにそれぞれの行動を見ていくのはどうかと。よく観察して客観的に見たとしても、それは人間の経験であって経験なら主観だよねというわけだ。娘の高度な切り替えしに驚く。超高校級ではないか。研究は客観を求めるから、客観的になりにくいものは研究されないと指摘する。「遊び」「探求」「愛」「憎しみ」「ユーモア」は客観的に見にくいため本能だとして単純化されてしまうという。
果たして現代でこの問題はどうか。統合失調症の研究では自我、自己の弱まり(自我障害)から主観の知見が深められてきた。『当事者としての治療者』(富樫)『主観的感覚と生きづらさに寄り添う』(岩根)『統合失調症の理解』(倉知)など他者の主観に迫ろうとする試みは今増えてきているように思う。ブレイクの『ヨーロッパ−予言』を取り上げ思考が客観を獲得して客観的に見れないものを邪魔者にして切り捨て、分裂を生むという弊害に警鐘を鳴らしている。説明原理は増えブラックボックスとなり見えるものだけ見るのは果たして良いのか。

本書は複数の論考が独立して並んでいて、全体のつながりを見出すのは容易ではないが、訳者の解説にはベイトソンの研究歴が時代背景と共に説明されるので、各論考を生み出した理由が分かりつながりも見えてくるようになっている。射程範囲が広くあっちこっち行く研究に共通項を見つける読書は面白いかもしれない。そういうものは「単純化」だとして別々バラバラのものとして、ありのままを読む(観察する)ことこそベイトソン的だと言えなくもないが。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年5月21日に日本でレビュー済み
「縁起」=コンテクスト、関係性が主であり、その関係性に紐付けられる個体=コンテンツは副次的なものという発見が、デカルト的な世界をデフォルトにした現代科学の根底を覆す。石を普遍的なものと勘違いし、万物を炎や川のように捉えることをなんとか言葉にしようとして、言葉にした瞬間に歪み伝わらなくなるジレンマは、鎌田茂雄の「華厳の思想」にも再三出てくる。
「いわゆる無意識のアルゴリズムは、言語のアルゴリズムとはまったく別の方法でコード化され組織されている。(中略)それを翻訳して伝えるのがまた途方もなく難しいのだ」
GPTブームでAIの知性が芽生えるといったシンギュラリティ論が跋扈する時代、それが言語のエンコーディング・デコーディングをベースにしたごく限られた知性にしかすぎず、精神にはその前処理である関係性のメタ化がある、ということを、1930年代に気づいてしまった天才の孤独。それが、90年もの時を経て、現代の実用書になっているのが、奇妙に運命的だ。
GPTが天文学的な言語空間の語・文・文章の推計から自らの解釈のために作り出すメタは、あくまでも言語・意識を数理的にまとめた二次処理にしかすぎず、コンテクストにおける抽象化とは次元が違う。コンテクスト=notがない関係双出を起点に理論構築をするベイトソンの執拗な構造化欲を目の当たりにするにつけて、ノイマン級のものすごい人が、我々に重大な遺産を残してくれているのだと心が揺さぶられる。凡人は何度も読み直し、少しづつでも体得しなければと思った。
36人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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