2巻の終わり近くなったところで、突然、1巻の最初から読み直したいという奇妙な衝動に駆られた。読み落とした、わからないところがあったから読み返したいというのではなく、この展開をもう先に進めてほしくない、まだ始まる前の段階に戻したい、こうならない話が読みたい、という衝動。こういう展開、物理法則と確率論に従って奈落の底に落ち込み、冷厳なまでに逃れる可能性のない展開は自分には辛い。
2巻の終わりまで読んで、これで普通は話を終わりにするのではとも思えた。3巻目は蛇足になるのではないか?1ヶ月後の発売を予約したが、今すぐ読みたいというより、一息つきたい、ちょっとこの展開は忘れたいとも思う。
血湧き肉躍る？山場もあるが、軌道力学を理解しないと状況を思い描きにくい。同様に人間関係の力学も複雑。こっちは頭を使って読んでいるのに爽快な救いもない。
この評価を書くとき、星の数に迷った。5つ目の星の位置にマウスカーソルが来たときに「とても気に入った」の表示がポップアップ。そうかこういうお話は気に入ったのか気に入らなかったのかの違いしかないのかもしれない。それなら「とても気に入った。」5つ星にしておく。値段に見合う綺麗な装丁ときちんとした翻訳。さすがのハヤカワクオリティ。
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