講談社の大型企画「日本の歴史」の冒頭第00巻であり、網野史学の集大成とも言える書き下ろし。2000年に原本刊行、学術文庫版初版は2008年。
明治以来唱えられていた「日本人は単一民族」「日本は瑞穂の国」といった臆断史の虚構を実証的に曝き尽くす。1)日本列島をアジア大陸との関連で不均一複合体として捉え、2)東国・西国の異なる構成原理を明らかにし、3)「百姓」を非農民を含む多様な民衆ととらえ実像を明らかにする。
これまで網野氏が網野史学として繰り返してきた言説と同一ではあるが、集大成・決定版としての意義が大きい。日本を多文化・多職能集団によって構成される多様構成体と見る視点は素晴らしい。が、なおかつ、言語的には、東国・西国両方にも「日本語」が保持されており、米食・発酵食品に代表される食文化を特徴とする統一性についてもアイヌ、琉球、朝鮮文化などの対比において解析する必要があるのでないだろうか。
文庫版巻末の大津透氏の解説において、網野氏自身の個人史が記されており、興味深い。なんと網野氏は戦後東大共産党員として、石母田正氏が主導した、「国民的歴史学」運動に参加し、かつ山村工作隊だったという。この運動は、戦後共産党主流派(徳田派・所感派)が主導したが故に、その経験、反省は六全協以降封印されたという。
網野氏の複線的・複合的日本史視座は、正統派マルクス主義歴史学が陥っていた、単線的発展段階説への痛烈な自己批判を経て獲得されたようだ。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,441¥1,441 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥1,441¥1,441 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥492¥492 税込
無料配送 6月5日-7日にお届け
発送元: 片伸書房 販売者: 片伸書房
¥492¥492 税込
無料配送 6月5日-7日にお届け
発送元: 片伸書房
販売者: 片伸書房
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫) 文庫 – 2008/11/6
網野 善彦
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,441","priceAmount":1441.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,441","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"nfpOkaeVaotJNfORjxvm6I7skL9GoZTBEmMo%2Ffzc66Qor5XRRr%2Bi%2FfdeMq3fMXpil7VBNJOteRKP%2FR6KuB6wGX7L7if740tFdOkzC1pkPXhC0lW44KTrm3QNLkwbIIgR","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥492","priceAmount":492.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"492","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"nfpOkaeVaotJNfORjxvm6I7skL9GoZTBjmf36VHNOGTbxb69lwVPzEQkQ8tU3N%2FkPWt90HsPF7QvsQMDjKeeS70hB4X1DoklVgqiD2j8MdQGVi2TYvBIA1uDh9NjTn4RHOYedwRu2HJzbBcSEMkyzujH4fdLN9v1uPLuMhuiYIO91m2YzPbNIA%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
講談社版日本の歴史シリーズ待望の文庫化。 2000年月より刊行されたシリーズ26巻を学術文庫に収録。初巻は網野善彦氏が取り組んだ課題の集大成。この国のカタチを描ききり読書会に反響を呼んだ力作。
- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2008/11/6
- 寸法10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- ISBN-104062919001
- ISBN-13978-4062919005
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)
¥1,441¥1,441
最短で6月3日 月曜日のお届け予定です
残り17点(入荷予定あり)
¥1,320¥1,320
最短で6月3日 月曜日のお届け予定です
在庫あり。
¥968¥968
最短で6月3日 月曜日のお届け予定です
残り17点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2008/11/6)
- 発売日 : 2008/11/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 384ページ
- ISBN-10 : 4062919001
- ISBN-13 : 978-4062919005
- 寸法 : 10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 116,018位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 268位日本史ノンフィクション
- - 321位東洋史
- - 338位地方別日本史の本
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年10月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
参考になる。
2014年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本の歴史が、なぜこの国を日本と呼び、どのように進化してきたのかがわかりやすく記載されており、入門書として暇なときに読むのに大変とっつきやすい本です。
私を含め、日本人はあまりにも自国のことを知らないように思います。
私を含め、日本人はあまりにも自国のことを知らないように思います。
2010年6月11日に日本でレビュー済み
全体としては、本書は「日本」が均質なもので、はるか昔から存在していたとする考えに異を唱えている。それは正しい。また、百姓=農民という図式が間違っているという主張は、説得力がある。
著者は東日本と西日本の差異を強調しつつ、日本と朝鮮半島との同質な部分を提示している。海が文化交流の障害とならなかったという指摘は、確かに正しいのだろうが、海以上に陸地もまた、障害には、ならなかったはずだろうし、違和感が残る。
また、日本は地名ではなく、国号であり、海に国名を冠した名前を付けるのは僭称ではないかと指摘している。しかし、日本は日本列島というように、地名としてつかわれているのではないか。本書の次巻である『シリーズ日本の歴史01』は、日本という国号のなかった、縄文時代から始まっているのは、日本を地名として使っていることの証左ではないだろうか。
歴史学的に興味深い書ではあるのだが、実証の上に網野氏個人のイデオロギーをかぶせてしまっている。著者の他の書と比べると、質は相当落ちる。
本書は通史の00巻であり、日本史の知識の少ない人や、網野善彦のことを知らない人も読むだろう。そのことを考えると、とても残念な出来であると言わざるをえない。
本書をよりも、網野氏の『日本の歴史をよみなおす(全)』をすすめたい。
著者は東日本と西日本の差異を強調しつつ、日本と朝鮮半島との同質な部分を提示している。海が文化交流の障害とならなかったという指摘は、確かに正しいのだろうが、海以上に陸地もまた、障害には、ならなかったはずだろうし、違和感が残る。
また、日本は地名ではなく、国号であり、海に国名を冠した名前を付けるのは僭称ではないかと指摘している。しかし、日本は日本列島というように、地名としてつかわれているのではないか。本書の次巻である『シリーズ日本の歴史01』は、日本という国号のなかった、縄文時代から始まっているのは、日本を地名として使っていることの証左ではないだろうか。
歴史学的に興味深い書ではあるのだが、実証の上に網野氏個人のイデオロギーをかぶせてしまっている。著者の他の書と比べると、質は相当落ちる。
本書は通史の00巻であり、日本史の知識の少ない人や、網野善彦のことを知らない人も読むだろう。そのことを考えると、とても残念な出来であると言わざるをえない。
本書をよりも、網野氏の『日本の歴史をよみなおす(全)』をすすめたい。
2021年5月4日に日本でレビュー済み
網野氏の著作は今回初めて読みました
網野氏の著作を読みたいと言うよりは文庫版での日本の歴史全集で比較的新しい全集ということで購入したものですが
評価はばらつきがありますが、網野氏の明確な主張によるものだと考えます
高校で日本史を学んだだけで後は大河ドラマを等のドラマや歴史上の英雄物語しか読んでない人には驚く視点での記載満載です
本書は物事の見方の切り口を変えると見え方が変わるということが本書の意味合いだと考えています
本書を読んで納得する方反論する方がおられて良いと考えます
本書をきっかけに考え始めることができれば本書を読んだ意味があったと言えます
網野氏の著作を読みたいと言うよりは文庫版での日本の歴史全集で比較的新しい全集ということで購入したものですが
評価はばらつきがありますが、網野氏の明確な主張によるものだと考えます
高校で日本史を学んだだけで後は大河ドラマを等のドラマや歴史上の英雄物語しか読んでない人には驚く視点での記載満載です
本書は物事の見方の切り口を変えると見え方が変わるということが本書の意味合いだと考えています
本書を読んで納得する方反論する方がおられて良いと考えます
本書をきっかけに考え始めることができれば本書を読んだ意味があったと言えます
2008年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
網野氏渾身の作であるのは間違いない。取材量とそれに要した著者の人生に占める時間を思うと敬意を表する。特に「百姓とは農民ばかりではなく海民等様々な職種を包括する呼称だ」や「戦後歴史研究に対する反省」などは傾聴に値する。
ただカカシ男様もご指摘の通り、著者のあまりに偏った政治的視点には正直私も違和感を感じずにいられなかった。晩年の作だけあって「焦り」があったのでしょうか。
「何をそんな必死になってある意味感情的・激情的に書かなければいけないのだろう。もう少し力を抜いたら?」と言いたくなるのも事実。
やはり自らの戦後教育の「誤り」に対してのこういう形で「正当化」する道しか選べないのも人間の愚かしさなのかもしれない。それにしても昭和時代、こんな人が教壇に立っていたんだなあと戦後日本を振り返るにはいいのかもしれません。
上のような点を除けば、日本の歴史の素人でも内容はとても楽しく読めました。
蛇足ですが井沢元彦氏著「怨霊と鎮魂の日本芸能史」で私が書いたレビューで一部「アマゾン」により【意図的に削除】された箇所があります。
ただカカシ男様もご指摘の通り、著者のあまりに偏った政治的視点には正直私も違和感を感じずにいられなかった。晩年の作だけあって「焦り」があったのでしょうか。
「何をそんな必死になってある意味感情的・激情的に書かなければいけないのだろう。もう少し力を抜いたら?」と言いたくなるのも事実。
やはり自らの戦後教育の「誤り」に対してのこういう形で「正当化」する道しか選べないのも人間の愚かしさなのかもしれない。それにしても昭和時代、こんな人が教壇に立っていたんだなあと戦後日本を振り返るにはいいのかもしれません。
上のような点を除けば、日本の歴史の素人でも内容はとても楽しく読めました。
蛇足ですが井沢元彦氏著「怨霊と鎮魂の日本芸能史」で私が書いたレビューで一部「アマゾン」により【意図的に削除】された箇所があります。
2012年1月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
各社の通史シリーズは大体目を通してきた。
約10年間隔でいろいろ出版されてきたが、今回の編集委員(網野氏が責任者か?)の思惑がよく理解できない。
歴史的研究は日々発展し成果が上昇している。学説は十人十色で当然であろう。
自分の学説が一番正しいと思うのは理解できるが、氏は他の研究者を名指しして批判している(本書においても)。
当然批判する事から研究は出発するが、研究論文ならそれでも良い。しかし一般読者向け通史としての出版であるから、
少し配慮をしてほしかった。
各巻については1冊の読み物としては個性があり良かった。しかしシリーズ物としては各巻とも各論過ぎて通史性は無い。
なお00巻、08巻、14巻、19巻、25巻は必要なのか?(巻数増しの措置の様な気がするのだが・・・)
約10年間隔でいろいろ出版されてきたが、今回の編集委員(網野氏が責任者か?)の思惑がよく理解できない。
歴史的研究は日々発展し成果が上昇している。学説は十人十色で当然であろう。
自分の学説が一番正しいと思うのは理解できるが、氏は他の研究者を名指しして批判している(本書においても)。
当然批判する事から研究は出発するが、研究論文ならそれでも良い。しかし一般読者向け通史としての出版であるから、
少し配慮をしてほしかった。
各巻については1冊の読み物としては個性があり良かった。しかしシリーズ物としては各巻とも各論過ぎて通史性は無い。
なお00巻、08巻、14巻、19巻、25巻は必要なのか?(巻数増しの措置の様な気がするのだが・・・)
2020年7月10日に日本でレビュー済み
講談社の日本の歴史シリーズ。
今回のシリーズのユニークな試みは、時代の切れ目ごとに特定のテーマを絞った1巻を設けていること。
冒頭の第0巻は、日本史の捉え方に大きな衝撃を与え続けた網野善彦の日本論。
網野は、アジア大陸との関係でみた日本、日本国と日本列島という地理単位との対比、日本は農業社会であるということは常識か、などの刺激的なテーマで、読者に真正面から問題意識を提示している。
このシリーズの著者の中には、網野史観に批判的な人物もいる。この冒頭0巻の網野の問題意識を持ちながら、このシリーズを読み進めていくと、日本の歴史がこれまで以上に面白くなるに違いない。
今回のシリーズのユニークな試みは、時代の切れ目ごとに特定のテーマを絞った1巻を設けていること。
冒頭の第0巻は、日本史の捉え方に大きな衝撃を与え続けた網野善彦の日本論。
網野は、アジア大陸との関係でみた日本、日本国と日本列島という地理単位との対比、日本は農業社会であるということは常識か、などの刺激的なテーマで、読者に真正面から問題意識を提示している。
このシリーズの著者の中には、網野史観に批判的な人物もいる。この冒頭0巻の網野の問題意識を持ちながら、このシリーズを読み進めていくと、日本の歴史がこれまで以上に面白くなるに違いない。