2015年発行でしたが、新品同様の全く綺麗な状態で届けていただいて有難うございました。
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小林誠
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モダン (文春文庫) Kindle版
モダン・アートの聖地、ニューヨーク近代美術館――MoMA。ピカソ、マティス、ルソー、ワイエスなど20世紀絵画の巨匠たちの作品が綺羅星のごとく並ぶこの美術館を舞台に、アートを愛するさまざまな人の夢や苦悩、人生の決断を描く。アート小説の名手たる著者の真骨頂にして、もっとも都会的な短編集。
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登録情報
- ASIN : B07BYYTZ3D
- 出版社 : 文藝春秋 (2018/4/10)
- 発売日 : 2018/4/10
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1714 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 145ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 43,689位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 972位文春文庫
- - 977位日本文学研究
- - 1,067位評論・文学研究 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
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イメージ付きのレビュー
4 星
見えないところで、役に立っていて、美しい。
この1冊だけでも楽しめるけれど、『暗幕のゲルニカ』『楽園のカンヴァス』を読んでいるとさらにおもしろさが増す。名画の傍には凄まじいストーリーがあるのだと知ることができた。近い未来、必ずMoMaへいこう。わたしも見えないところで、役に立っていたいなあ。そして美しくありたい!
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
芸術とは何ぞや?
大学院生の時にハイデガーの「芸術作品の起源 Der Ursprunk des Kunstwerks」を原書で読まされました。当時からアホでしたので、作者の意味することも理解できませんでした。まして芸術とは何かについても、答えは得られておりませんでした。
それでもアートとか結構好きで(今思えば、アート好き風な自分が好きなだけのナルシズムですが)、関東に居れば上野へ足を伸ばし、関西に居れば京都市美術館や姫路美術館にまで美術館に出かけて絵を眺めていました。
芸術の意味がわからなくても「惹かれる」ものはありました。なんだろ、これ気になるなあ、という感覚。私にとってはそれはアンリ・ルソーでした。彼のマンガチックなフラットな画風はどうにも私をひきつけました。あれをパリのオランジェリー美術館で見たときは、そう、ちょっと震えました笑。
美しいとか好きとか、上手に言語化できない感性的な話というのは芸術にはつきものかもしれません。
・・・
はい、前置きが長くなりました。
こういうウンチクっぽい話は、語っている方は気持ちいいけど、聞いている方・見ている方は辟易するものですよね。ごめんなさい笑。
でも、本作「モダン」は、そんなウンチクごごろをビンビン刺激してくる、わくわくする作品です!なんといっても舞台は、芸術の最前線たる現代芸術、そのメッカであるニューヨーク近代美術館(以下MoMA)です。MoMA、カッコいいですよね。行ってみたいなあ。
しかし、作品で主題として描かれるのは、MoMAに収蔵される芸術作品ではありません。 むしろ、芸術にかかわる裏方スタッフ。彼らをフィルターにして、人間ドラマや人間模様、そして人々の考えが描かれます。
・・・
MoMAスタッフである日系米国人の杏子と、福島の美術館。MoMAより貸し出されたワイエスの「クリスティーナの世界」とその返却を通じての不思議な交流を描く「中断された展覧会の記録」。
警備員スコットが、名作「アヴィニヨンの娘」の前に佇む幽霊に出会う「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」。
ベアリングなどの工業製品がアートと認知され、アップルに代表されるIndustrial Designをも巻き込み、現代芸術へと合流していくさまをMoMAを通して描く「私の好きなマシン」。
911で同僚を亡くしたローラが、亡くなった友人と共に企画を準備したピカソとマティスのグローバルな展覧会の準備風景とその心象を描く「新しい出口」。
MoMAへ派遣された日本の私立美術館の学芸員。お客様兼見習いスタッフ的な居心地の悪いポジションでのふとした日常と同僚のコミットメントを表現した「あえてよかった」
どれも芸術好きにはたまらないと思います。自分の知っている絵、好きな画家を通じて物語が展開してゆきます。巨匠の芸術作品から、人と人との物語が紡ぎだされる様子が実に素晴らしいのです。さらに、節々に埋め込まれる芸術礼賛的な科白!例えばこんなの。
「ここにあるものはね、ジュリア。僕たちが知らないところで、僕たちの生活の役に立っているものなんだ。それでいて、美しい。それって、すごいことだとおもわないかい?」
「すごい」とジュリアは、素直に答えた。アルフレッドは、少女を見つめて、言った。
「僕は、そういうものを『アート』と呼んでいるよ」
見えないところで、役に立っていて、美しい。(位置NO.1129)
くー、「アート」ってそういう時使うんですって。芸術って、やっぱり素敵です。
・・・
私にとっては原田氏の作品は読んだことがありませんでした。書評ブログで取り上げられているのを見て気になっていたところ、AmazonでKindle版が半額であるということで、今回飛びつきました。
私が好きな芸術がモチーフになっている点、芸術作品の背景や端緒が絶妙に織り込まれている点、芸術を肯定する人たちが醸し出すハイソ感、芸術作品にかかわる人たちの気持ちを豊かに描いている点、こうしたところがとても面白かったと思います。芸術好き、ウンチク好きにはたまらない一冊かと思います。
大学院生の時にハイデガーの「芸術作品の起源 Der Ursprunk des Kunstwerks」を原書で読まされました。当時からアホでしたので、作者の意味することも理解できませんでした。まして芸術とは何かについても、答えは得られておりませんでした。
それでもアートとか結構好きで(今思えば、アート好き風な自分が好きなだけのナルシズムですが)、関東に居れば上野へ足を伸ばし、関西に居れば京都市美術館や姫路美術館にまで美術館に出かけて絵を眺めていました。
芸術の意味がわからなくても「惹かれる」ものはありました。なんだろ、これ気になるなあ、という感覚。私にとってはそれはアンリ・ルソーでした。彼のマンガチックなフラットな画風はどうにも私をひきつけました。あれをパリのオランジェリー美術館で見たときは、そう、ちょっと震えました笑。
美しいとか好きとか、上手に言語化できない感性的な話というのは芸術にはつきものかもしれません。
・・・
はい、前置きが長くなりました。
こういうウンチクっぽい話は、語っている方は気持ちいいけど、聞いている方・見ている方は辟易するものですよね。ごめんなさい笑。
でも、本作「モダン」は、そんなウンチクごごろをビンビン刺激してくる、わくわくする作品です!なんといっても舞台は、芸術の最前線たる現代芸術、そのメッカであるニューヨーク近代美術館(以下MoMA)です。MoMA、カッコいいですよね。行ってみたいなあ。
しかし、作品で主題として描かれるのは、MoMAに収蔵される芸術作品ではありません。 むしろ、芸術にかかわる裏方スタッフ。彼らをフィルターにして、人間ドラマや人間模様、そして人々の考えが描かれます。
・・・
MoMAスタッフである日系米国人の杏子と、福島の美術館。MoMAより貸し出されたワイエスの「クリスティーナの世界」とその返却を通じての不思議な交流を描く「中断された展覧会の記録」。
警備員スコットが、名作「アヴィニヨンの娘」の前に佇む幽霊に出会う「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」。
ベアリングなどの工業製品がアートと認知され、アップルに代表されるIndustrial Designをも巻き込み、現代芸術へと合流していくさまをMoMAを通して描く「私の好きなマシン」。
911で同僚を亡くしたローラが、亡くなった友人と共に企画を準備したピカソとマティスのグローバルな展覧会の準備風景とその心象を描く「新しい出口」。
MoMAへ派遣された日本の私立美術館の学芸員。お客様兼見習いスタッフ的な居心地の悪いポジションでのふとした日常と同僚のコミットメントを表現した「あえてよかった」
どれも芸術好きにはたまらないと思います。自分の知っている絵、好きな画家を通じて物語が展開してゆきます。巨匠の芸術作品から、人と人との物語が紡ぎだされる様子が実に素晴らしいのです。さらに、節々に埋め込まれる芸術礼賛的な科白!例えばこんなの。
「ここにあるものはね、ジュリア。僕たちが知らないところで、僕たちの生活の役に立っているものなんだ。それでいて、美しい。それって、すごいことだとおもわないかい?」
「すごい」とジュリアは、素直に答えた。アルフレッドは、少女を見つめて、言った。
「僕は、そういうものを『アート』と呼んでいるよ」
見えないところで、役に立っていて、美しい。(位置NO.1129)
くー、「アート」ってそういう時使うんですって。芸術って、やっぱり素敵です。
・・・
私にとっては原田氏の作品は読んだことがありませんでした。書評ブログで取り上げられているのを見て気になっていたところ、AmazonでKindle版が半額であるということで、今回飛びつきました。
私が好きな芸術がモチーフになっている点、芸術作品の背景や端緒が絶妙に織り込まれている点、芸術を肯定する人たちが醸し出すハイソ感、芸術作品にかかわる人たちの気持ちを豊かに描いている点、こうしたところがとても面白かったと思います。芸術好き、ウンチク好きにはたまらない一冊かと思います。
2022年11月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
名前は知っていても描かれた作品まで思い浮かばない各作家の絵画に対して、関心をワンステップ後押ししてもらい高めることができたから。
2015年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
楽園のカンヴァスを読んで、余韻さめやらぬうちに続けて読みました。これはこれで良いのかも知れませんが、余韻をさらに楽しむというわけには行きませんでした。原田マハをもう一冊追ってみます。(書評になってなくてすみません。)
2018年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ニューヨーク近代美術館(MoMA)を舞台にしたアート小説短編集。アーティストではなくMoMA職員や監視員達が主人公ですが、名画や9・11同時多発テロ、東日本大震災が重要な背景となっています。
原田マハさんのアート小説を読むと美術館に行きたくなりますが、今回は、アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」を観にMoMAへ、そして福島県立美術館を訪れたくなりました。また、MoMA初代館長のアルフレッド・ バーにも興味が湧いてきます。
原田マハさんのアート小説を読むと美術館に行きたくなりますが、今回は、アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」を観にMoMAへ、そして福島県立美術館を訪れたくなりました。また、MoMA初代館長のアルフレッド・ バーにも興味が湧いてきます。
2019年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
MoMA(ニューヨーク近代美術館)を舞台にした短編集である。
登場人物は、何らかの形でそこに勤める人、あるいは依頼を受けたりして付き合いのある人である。
キュレーターもいれば警備員もいる。
この著者は、こういうのを書かせると右に出る人がいないと思う。
長編になると、余計な要素を盛り込みすぎて、ハーレクインロマンスのようになってしまう作品も多いのだが。
5年ほど前にMoMAには行ったが、この本を読んでから行っていればずいぶんと経験が深くなったのに、と後悔した。
MoMAについては、ロックフェラー家のかかわりが深く、モダンアートの神殿のような場所であるという程度の知識しか持ち合わせていなかった。
仕事場で20年以上愛用している、ハーマンミラー社のアーロンチェアーが、MoMAのパーマネントコレクションに採用されたという記事を2000年代の初めに読んで、MoMAのどこに展示されているのかと探したほど無知だったのである。
パーマネントコレクションとは、優れたデザインの工業製品をMoMAが毎年数点選んで所蔵するという仕組みのことであり、展示されているわけではないということを本書で知ったw
ミュージアムショップでは、写真の水性ボールペンを購入した。
フランクロイドライトがデザインしたペンで、今ではペリカンのスーベレン万年筆やカランダッシュのボールペンを押しのけて取材用のメインの筆記具となっている。
いい買い物をした、という記憶くらいしかない。
もっと楽しめたのにと思うともったいなくもある。
登場人物は、何らかの形でそこに勤める人、あるいは依頼を受けたりして付き合いのある人である。
キュレーターもいれば警備員もいる。
この著者は、こういうのを書かせると右に出る人がいないと思う。
長編になると、余計な要素を盛り込みすぎて、ハーレクインロマンスのようになってしまう作品も多いのだが。
5年ほど前にMoMAには行ったが、この本を読んでから行っていればずいぶんと経験が深くなったのに、と後悔した。
MoMAについては、ロックフェラー家のかかわりが深く、モダンアートの神殿のような場所であるという程度の知識しか持ち合わせていなかった。
仕事場で20年以上愛用している、ハーマンミラー社のアーロンチェアーが、MoMAのパーマネントコレクションに採用されたという記事を2000年代の初めに読んで、MoMAのどこに展示されているのかと探したほど無知だったのである。
パーマネントコレクションとは、優れたデザインの工業製品をMoMAが毎年数点選んで所蔵するという仕組みのことであり、展示されているわけではないということを本書で知ったw
ミュージアムショップでは、写真の水性ボールペンを購入した。
フランクロイドライトがデザインしたペンで、今ではペリカンのスーベレン万年筆やカランダッシュのボールペンを押しのけて取材用のメインの筆記具となっている。
いい買い物をした、という記憶くらいしかない。
もっと楽しめたのにと思うともったいなくもある。
MoMA(ニューヨーク近代美術館)を舞台にした短編集である。
登場人物は、何らかの形でそこに勤める人、あるいは依頼を受けたりして付き合いのある人である。
キュレーターもいれば警備員もいる。
この著者は、こういうのを書かせると右に出る人がいないと思う。
長編になると、余計な要素を盛り込みすぎて、ハーレクインロマンスのようになってしまう作品も多いのだが。
5年ほど前にMoMAには行ったが、この本を読んでから行っていればずいぶんと経験が深くなったのに、と後悔した。
MoMAについては、ロックフェラー家のかかわりが深く、モダンアートの神殿のような場所であるという程度の知識しか持ち合わせていなかった。
仕事場で20年以上愛用している、ハーマンミラー社のアーロンチェアーが、MoMAのパーマネントコレクションに採用されたという記事を2000年代の初めに読んで、MoMAのどこに展示されているのかと探したほど無知だったのである。
パーマネントコレクションとは、優れたデザインの工業製品をMoMAが毎年数点選んで所蔵するという仕組みのことであり、展示されているわけではないということを本書で知ったw
ミュージアムショップでは、写真の水性ボールペンを購入した。
フランクロイドライトがデザインしたペンで、今ではペリカンのスーベレン万年筆やカランダッシュのボールペンを押しのけて取材用のメインの筆記具となっている。
いい買い物をした、という記憶くらいしかない。
もっと楽しめたのにと思うともったいなくもある。
登場人物は、何らかの形でそこに勤める人、あるいは依頼を受けたりして付き合いのある人である。
キュレーターもいれば警備員もいる。
この著者は、こういうのを書かせると右に出る人がいないと思う。
長編になると、余計な要素を盛り込みすぎて、ハーレクインロマンスのようになってしまう作品も多いのだが。
5年ほど前にMoMAには行ったが、この本を読んでから行っていればずいぶんと経験が深くなったのに、と後悔した。
MoMAについては、ロックフェラー家のかかわりが深く、モダンアートの神殿のような場所であるという程度の知識しか持ち合わせていなかった。
仕事場で20年以上愛用している、ハーマンミラー社のアーロンチェアーが、MoMAのパーマネントコレクションに採用されたという記事を2000年代の初めに読んで、MoMAのどこに展示されているのかと探したほど無知だったのである。
パーマネントコレクションとは、優れたデザインの工業製品をMoMAが毎年数点選んで所蔵するという仕組みのことであり、展示されているわけではないということを本書で知ったw
ミュージアムショップでは、写真の水性ボールペンを購入した。
フランクロイドライトがデザインしたペンで、今ではペリカンのスーベレン万年筆やカランダッシュのボールペンを押しのけて取材用のメインの筆記具となっている。
いい買い物をした、という記憶くらいしかない。
もっと楽しめたのにと思うともったいなくもある。
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2018年6月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マハさんの美術表現によって、目が開かれました、本当に優しい作家さんです、他の美術本も超お勧めです。
2018年11月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この1冊だけでも楽しめるけれど、『暗幕のゲルニカ』『楽園のカンヴァス』を読んでいるとさらにおもしろさが増す。名画の傍には凄まじいストーリーがあるのだと知ることができた。近い未来、必ずMoMaへいこう。わたしも見えないところで、役に立っていたいなあ。そして美しくありたい!
この1冊だけでも楽しめるけれど、『暗幕のゲルニカ』『楽園のカンヴァス』を読んでいるとさらにおもしろさが増す。名画の傍には凄まじいストーリーがあるのだと知ることができた。近い未来、必ずMoMaへいこう。わたしも見えないところで、役に立っていたいなあ。そして美しくありたい!
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