上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0『こころを病んで精神科病院に入院していました。』の感想文
2023年4月11日に日本でレビュー済み
本書で最も重要なメッセージは「はじめに」にある著者の言葉であると思う。
「この作品は統合失調症により精神科病院に入院した「私」、安藤たかゆきが入院してから退院するまでの生活を描いたものです。
統合失調症やうつなどの「こころの病気」にはそれぞれさまざまな症状と経過、治療例があり、作品で描かれている内容は「私」が経験したその一例です。
現在の精神科病院の実情とは多少異なることをご了承ください。」
本書では患者さん同士のトラブルは特にないし、看護師さんは優しい人だと描かれている。そのような境遇にあった著者は、いささか穿った見方になってしまうが、ある意味、幸運だった。
例えば、吾妻ひでお著『失踪日記』では精神科病棟で患者間のトラブルがあったとされているし、杉山なお著『精神病棟ゆるふわ観察日記』では高圧的な看護士の姿が描かれている。
統合失調症を患い精神科病棟に入院し、保護室にまで入った著者の経験談としては興味深い。しかし、個人的にいちばんネックだったのは、本書の作画について。
同室の患者さんである笹木さんの顔は、ほとんど三角と三角で描かれています。主治医の顔もほぼ丸です。
漫画家という肩書きでコミックエッセイをお金を出して人に読んで貰うのであれば、書く絵にもう少し工夫を凝らせなかったのかと思う。これが☆3つとした理由です。