タイムトラベル分野で著名なSF古典作品「タイムマシン」の新版といえばよいのだろうか。古典での壮大さをパワーアップした作品だ。タイムマシンを開発する経緯はネタバレになるが、なんとなく「輪廻の蛇」を思い出す。そして、タイムトラベルが原因で、終わりのない戦争に巻き込まれたり、時間の果てを見に行ったりと、文字通り時空をまたいだ冒険譚となる。時間SFはタイムパラドックスとの戦いであり、本作品はなかなか強引な理屈で解決する。
また、未来のポストヒューマンになるのだろうか、モーロック族のネボジプフェルとの友情が芽生えたようで、種を越えた論争や支え合う姿が美しい。
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タイム・シップ〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF) Kindle版
1891年、時間航行家は再び未来へ旅立った。タイム・マシンを発明した時間航行家は、最初の時間旅行で出会ったエロイ族のウィーナを救うためマシンを再起動し、西暦80万2701年の未来をめざした。だが、彼がたどり着いたのは高度な知性を有するモーロック族が支配する異なる時間線の未来であった。H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して書かれ、英米独日四カ国のSF賞を受賞した量子論SFの傑作。
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2015/5/25
- ファイルサイズ2019 KB
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商品の説明
著者について
1957年、リバプール生まれ。ケンブリッジ大学で数学の学位を取得後、サウサンプトン大学で工学博士号を取得。学生時代からSFを執筆し、1987年〈インターゾーン〉誌掲載の短篇「ジーリー・フラワー」でデビューした。この短篇に始まる壮大な宇宙年代記〈ジーリー〉シリーズは、長篇第1作『天の筏』(91)、『時間的無限大』(92)、『虚空のリング』(93)などが発表され、新世代のハードSF作家として注目を集めた。バクスターは巨匠アーサー・C・クラークの後継者と目される存在で、長篇『過ぎ去りし日々の光』(00)、『時の眼』(03)に始まる〈タイム・オッデセイ〉三部作をクラークと共作している。本書『タイム・シップ』(95)は、H・G・ウエルズの古典的名作『タイム・マシン』刊行百周年を記念して、ウエルズの遺族の公認を受けて執筆された。英国SF協会賞、フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、クルト・ラスヴィッツ賞、星雲賞という英米独日の四カ国のSF賞を受賞した傑作である。
登録情報
- ASIN : B00YGIKJR6
- 出版社 : 早川書房 (2015/5/25)
- 発売日 : 2015/5/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2019 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 690ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 267,382位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
子どもの時に読んだタイムマシンを思い出しながら、楽しく読みました。
最近、SF物から少し遠ざかっていたせいか、少し表現に違和感を感じた感もありますが、面白かったですね。
最近、SF物から少し遠ざかっていたせいか、少し表現に違和感を感じた感もありますが、面白かったですね。
2022年8月23日に日本でレビュー済み
誰もが知っている H. G. Wells の The Time Machine の公式(?)の続編としてタイム・マシン100周年のタイミングで書かれたのが本書 The Time Ships です。長いけれど面白いのでたぶん3回は読んでます。
ネタバレしない程度にあらすじを書くと、前作(The Time Machine)で未来から戻ってきた主人公が、未来で見捨ててしまったエロイ族(人類の進化後の未来生物の一種)の少女を救うために再び(何と翌日に!)未来へと旅立ちます。ところが、今回の旅は前回の自身の行動で **発生した** 新たな時間線上の旅であり、前回とは全く異なる未来へ行ってしまいます。いわゆる多世界解釈です。そしてその後再び過去へ戻り、いろいろ、いろいろ、時間と世界を旅して、ついには究極の宇宙へ…。そんな最後の方はとてつもなくスケールが爆発する話です。
個人的には一番面白かったのはやっぱり前半の「新たな歴史上のA.D. 657208」の世界。本作品、バクスターのウェルズへのリスペクトがものすごく、基本的に The Time Machine を一切否定せずにつじつま合わせを行うのですが、この「新たな未来」はその際のいわば「足かせ」が外れるため、バクスターが好き放題書いてる感が感じられます。ある意味作品中で一番リアリティに溢れているのがこの A.D. 657208 の辺りかも。
中盤は泥沼化した第一次世界大戦がそのまま第二次世界大戦とくっついたかのような重い話が続きます。ここではウェルズのさまざまなアイデアをバクスターが再構成して歴史改変SFとしていますが、ロンドンドームとか、さすがにちょっと無理じゃないかなぁと思うものもいくつかあります。
そして物語はさらに過去に遡って新生代のはじめのあたりへ。戦争の任務で送り込まれ、過去に取り残された若者が作った新たな歴史が、その後主人公が再び行く新たな19世紀をとんでもないものにしているあたりは、作者本人はそのつもりはないのでしょうが、私はなんだか英国風の悪い冗談みたいで少し笑ってしまいました。
そして物語はクライマックスへと進みますが、ここまで読み進めると異生物の相棒ネボジプフェルとの別れのシーンには熱いものがこみ上げてきます。
本作品で一貫しているのは上述したとおり The Time Machine との辻褄合わせだと思います。現代から見たらどう考えても SF として荒唐無稽な The Time Machine を何とか無理してそれらしく説明してしまう辺りのテクニックと言うか屁理屈のこね方はさすがバクスターだと思いました。最新の知見を取り入れつつ、ウェルズになりきって書いているように感じます。まず、The Time Machine を読み、その直後に本作品を読むと、 2 作セットで 1 つのお話として見事に成立することがわかると思います。
SF作品としてみると、2022年現在、既に四半世紀も前の作品なので科学技術分野の描写が心配ですが、決して(作品執筆当時の)最新の科学や技術をガッツリとネタの中心に取り込んだ話ではなく、さらに主人公が19世紀の科学者で、ほぼ全てその視点で語られているため全く違和感なく読めると思います。
ネタバレしない程度にあらすじを書くと、前作(The Time Machine)で未来から戻ってきた主人公が、未来で見捨ててしまったエロイ族(人類の進化後の未来生物の一種)の少女を救うために再び(何と翌日に!)未来へと旅立ちます。ところが、今回の旅は前回の自身の行動で **発生した** 新たな時間線上の旅であり、前回とは全く異なる未来へ行ってしまいます。いわゆる多世界解釈です。そしてその後再び過去へ戻り、いろいろ、いろいろ、時間と世界を旅して、ついには究極の宇宙へ…。そんな最後の方はとてつもなくスケールが爆発する話です。
個人的には一番面白かったのはやっぱり前半の「新たな歴史上のA.D. 657208」の世界。本作品、バクスターのウェルズへのリスペクトがものすごく、基本的に The Time Machine を一切否定せずにつじつま合わせを行うのですが、この「新たな未来」はその際のいわば「足かせ」が外れるため、バクスターが好き放題書いてる感が感じられます。ある意味作品中で一番リアリティに溢れているのがこの A.D. 657208 の辺りかも。
中盤は泥沼化した第一次世界大戦がそのまま第二次世界大戦とくっついたかのような重い話が続きます。ここではウェルズのさまざまなアイデアをバクスターが再構成して歴史改変SFとしていますが、ロンドンドームとか、さすがにちょっと無理じゃないかなぁと思うものもいくつかあります。
そして物語はさらに過去に遡って新生代のはじめのあたりへ。戦争の任務で送り込まれ、過去に取り残された若者が作った新たな歴史が、その後主人公が再び行く新たな19世紀をとんでもないものにしているあたりは、作者本人はそのつもりはないのでしょうが、私はなんだか英国風の悪い冗談みたいで少し笑ってしまいました。
そして物語はクライマックスへと進みますが、ここまで読み進めると異生物の相棒ネボジプフェルとの別れのシーンには熱いものがこみ上げてきます。
本作品で一貫しているのは上述したとおり The Time Machine との辻褄合わせだと思います。現代から見たらどう考えても SF として荒唐無稽な The Time Machine を何とか無理してそれらしく説明してしまう辺りのテクニックと言うか屁理屈のこね方はさすがバクスターだと思いました。最新の知見を取り入れつつ、ウェルズになりきって書いているように感じます。まず、The Time Machine を読み、その直後に本作品を読むと、 2 作セットで 1 つのお話として見事に成立することがわかると思います。
SF作品としてみると、2022年現在、既に四半世紀も前の作品なので科学技術分野の描写が心配ですが、決して(作品執筆当時の)最新の科学や技術をガッツリとネタの中心に取り込んだ話ではなく、さらに主人公が19世紀の科学者で、ほぼ全てその視点で語られているため全く違和感なく読めると思います。
2015年6月14日に日本でレビュー済み
ハヤカワ補完計画によって復活した本作は、数あるタイムトラベルものの中でも,ずば抜けてスケールの大きな作品です。
こういった優れた作品が復刊されると、なんだかとてもうれしくなります。
HGウェルズの「タイムマシン」で80万年後の未来から帰還した時間旅行者が,再度旅立ちたどりついたところは,以前訪れた未来世界とは似ても似つかぬ驚愕の世界だった,という場面から始まる本作。
これは,時間旅行者が帰還後に話した体験談によって現在の社会が影響を受け,その後の未来社会が違った方向性で進んだいったがために再構築された新しい未来だったからです。
タイムパラッドクスの問題は,あらゆる作品において描かれてきましたが,本書では歴史の多様性を認めることでその問題をクリアしています。
タイムトラベルをするたびに自らの予期せぬ新たな世界が築かれる。
ここに至って,時間旅行者の存在というものは,自ら世界を構築することができる、つまり神のような存在に見えてくる。
しかし彼はこう考える。
「ぼくは人であって,神ではない。だから人間の本能には従うしかない」
「人間ひとりひとりの力では,ものごとの流れなどたいして変えられない。とはいえ,多様性という観点から見れば,人間ひとりひとりやその行動はちっぽけだが,無意味なわけではない」
「人間はそれぞれの人生を地道に毅然として生きていればいい。人間の運命や無限の多様性はもっと巨大なうねりをもっていることをもっていることを,頭の片隅で理解していればいい」
これが本作品の最大のテーマだと思います。
タイムトラベルによって新たな平行世界が構築されることにより,同じ世界へは二度と帰ることはできなくなってしまうとしたら,果たしてどの時代のどの世界で暮らすことが幸福なのだろうか。
最終的に,自ら世界を選ぶことができる時間旅行者の選択した世界は・・・?
実にスケールのでかいタイムトラベルSFの傑作です。
こういった優れた作品が復刊されると、なんだかとてもうれしくなります。
HGウェルズの「タイムマシン」で80万年後の未来から帰還した時間旅行者が,再度旅立ちたどりついたところは,以前訪れた未来世界とは似ても似つかぬ驚愕の世界だった,という場面から始まる本作。
これは,時間旅行者が帰還後に話した体験談によって現在の社会が影響を受け,その後の未来社会が違った方向性で進んだいったがために再構築された新しい未来だったからです。
タイムパラッドクスの問題は,あらゆる作品において描かれてきましたが,本書では歴史の多様性を認めることでその問題をクリアしています。
タイムトラベルをするたびに自らの予期せぬ新たな世界が築かれる。
ここに至って,時間旅行者の存在というものは,自ら世界を構築することができる、つまり神のような存在に見えてくる。
しかし彼はこう考える。
「ぼくは人であって,神ではない。だから人間の本能には従うしかない」
「人間ひとりひとりの力では,ものごとの流れなどたいして変えられない。とはいえ,多様性という観点から見れば,人間ひとりひとりやその行動はちっぽけだが,無意味なわけではない」
「人間はそれぞれの人生を地道に毅然として生きていればいい。人間の運命や無限の多様性はもっと巨大なうねりをもっていることをもっていることを,頭の片隅で理解していればいい」
これが本作品の最大のテーマだと思います。
タイムトラベルによって新たな平行世界が構築されることにより,同じ世界へは二度と帰ることはできなくなってしまうとしたら,果たしてどの時代のどの世界で暮らすことが幸福なのだろうか。
最終的に,自ら世界を選ぶことができる時間旅行者の選択した世界は・・・?
実にスケールのでかいタイムトラベルSFの傑作です。
2015年9月12日に日本でレビュー済み
遠大な未来へと旅して帰還した時間航行家は、エロイ族のウィーナを救えなかったことを悔やんでいた。そして彼女を救出するべく、彼は再び西暦80万2701年へとマシンを駆ける。だが…。
H.G.ウェルズの古典SF『 タイムマシン 』の出版100周年にあたる1995年に、ウェルズの遺族のお墨付きを得たうえで出版された続編です。邦訳は1998年に早川書房から文庫2分冊で既に出ていましたが、今年2015年に「ハヤカワ文庫補完計画」の名のもとに一冊に合本されて再刊された新版です。
片手で読むにはずしりと重い、700頁以上ある壮大な物語です。時間航行家は、一足飛びにウィーナのもとへとたどり着くことはできません。それどころか、ウェルズの正編からは大きく道を逸れるかのように、作者バクスターはその想像の翼を限りなく広げ、複数の時間軸を編み出し、主人公を時の彼方へと投げ飛ばし続けます。
正編では野卑な地下棲息人として描かれたモーロック族の中からネポジプフェルという特異で魅力的な存在が現れます。時間航行者の相棒(バディ)として近過去のロンドンへ連れだって赴いたかと思えば、第一次大戦が果てるともなく継続し、私たちの歴史では既に第二次大戦の時代に達してしまっているロンドンへと身を移し、さらには人類の祖先の哺乳類さえその姿をまだ見せるか見せないかの天地開闢の地で、英独間が核戦争を開始。そして……。
こんな具合に時間を指し示す針が未来と過去に目まぐるしくも振り切れ続けます。もちろん安穏とした旅では決してありません。唇を噛み、奥歯を噛みしめ、拳を握りしめるような厳しい状況が続きます。読者である私はこの激しい旅の奔流の中で、人間のもつ想像の力に圧倒されつつ、それでも心地よい高揚感を味わい続けたのです。
時間航行の旅の途上でネポジプフェルが主人公をこう諭す場面があります。
「やめることはない。はてはないんだ。先へという意志に終わりはない。生命と精神にとって挑戦できない限界点はないし、破れない限界点はない」(682頁)
人間の可能性に全幅の信頼を置くこの力強い言葉が胸を衝きます。そう、たじろぐことはないのです。主人公はこの言葉を信じて、高く険しい限界点を越え、そしてやり遂げることの大切さを知って行くのです。
彼が物語の最後に手に入れたものの美しさに、私自身も陶然とした思いを味わいました。
実に見事なSF小説だといえます。
H.G.ウェルズの古典SF『 タイムマシン 』の出版100周年にあたる1995年に、ウェルズの遺族のお墨付きを得たうえで出版された続編です。邦訳は1998年に早川書房から文庫2分冊で既に出ていましたが、今年2015年に「ハヤカワ文庫補完計画」の名のもとに一冊に合本されて再刊された新版です。
片手で読むにはずしりと重い、700頁以上ある壮大な物語です。時間航行家は、一足飛びにウィーナのもとへとたどり着くことはできません。それどころか、ウェルズの正編からは大きく道を逸れるかのように、作者バクスターはその想像の翼を限りなく広げ、複数の時間軸を編み出し、主人公を時の彼方へと投げ飛ばし続けます。
正編では野卑な地下棲息人として描かれたモーロック族の中からネポジプフェルという特異で魅力的な存在が現れます。時間航行者の相棒(バディ)として近過去のロンドンへ連れだって赴いたかと思えば、第一次大戦が果てるともなく継続し、私たちの歴史では既に第二次大戦の時代に達してしまっているロンドンへと身を移し、さらには人類の祖先の哺乳類さえその姿をまだ見せるか見せないかの天地開闢の地で、英独間が核戦争を開始。そして……。
こんな具合に時間を指し示す針が未来と過去に目まぐるしくも振り切れ続けます。もちろん安穏とした旅では決してありません。唇を噛み、奥歯を噛みしめ、拳を握りしめるような厳しい状況が続きます。読者である私はこの激しい旅の奔流の中で、人間のもつ想像の力に圧倒されつつ、それでも心地よい高揚感を味わい続けたのです。
時間航行の旅の途上でネポジプフェルが主人公をこう諭す場面があります。
「やめることはない。はてはないんだ。先へという意志に終わりはない。生命と精神にとって挑戦できない限界点はないし、破れない限界点はない」(682頁)
人間の可能性に全幅の信頼を置くこの力強い言葉が胸を衝きます。そう、たじろぐことはないのです。主人公はこの言葉を信じて、高く険しい限界点を越え、そしてやり遂げることの大切さを知って行くのです。
彼が物語の最後に手に入れたものの美しさに、私自身も陶然とした思いを味わいました。
実に見事なSF小説だといえます。