ウクライナ戦争勃発の刺激を受け台湾有事・日本有事に関する議論が高まっているが、本当に中国軍が海を越えて台湾に着上陸作戦(水陸両用作戦)を行うことが可能なのか?と疑問に思い、手に取ったのが本書である。
本書ではまず共産主義国家由来の軍隊としてのロシア軍と中国軍の類似性、およびロシアのゲラシモフ参謀総長が唱えたハイブリッド戦に始まる「新しい戦争」様式の中国軍への影響が説かれている。しかし、やはり焦点となるのは台湾に対する中国軍の着上陸作戦能力である。
本書の見積もりでは、台湾が有事の際に動員できる兵力は約43万人、これに必要となる中国軍の兵力は平均175万人とされる。現在中国海軍は全通甲板をもつ強襲揚陸艦3隻、ドック型揚陸艦8隻をはじめとする数十隻の揚陸艦艇を保有しているが、これだけでは所要の兵力を輸送するのは無理であり、山下裕貴『完全シミュレーション 台湾侵攻戦争』(講談社+α新書)では、民間船舶を多数徴用することが想定されている。しかし本書では対艦ミサイルの撃ち合いや潜水艦の攻撃により、中国軍が海上優勢を獲得することは不可能だとされる。また、兵站面でも中国軍の輸送アセットや後方支援体制が不十分であるとの台湾国防部の見解が紹介されている。これらの根拠から、中国の台湾侵攻が実行されるのは習近平総書記の3期目の任期にあたるここ5年間で上記の軍事的条件がそろった時点(国内事情により前倒しとなる可能性もあるが)だと著者は結論づけている。
最終章で著者は従来の「専守防衛」から「積極防衛」への転換を軸とした日本の防衛体制強化を唱えている。しかし問題はそれが有事に間に合うかどうかである。実際に近年自衛隊の「南西シフト」が急速に進んでいるが、単なる部隊や装備の配置にとどまらず、有事の際の生残性や継戦能力を高めることが喫緊の課題であろう。そして国民保護についても、もはや戦争が地震等の災害と同様いつ起こるかわからないという前提の上で対策を立てておくべきである。
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中国軍、その本当の実力は: 中国軍は台湾を着上陸侵攻できるのか 単行本 – 2023/4/26
樋口譲次
(著)
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徹底した秘密主義と権謀術数を常套手段とする中国の政治・軍事の実情を知ることは、至難の業である。
「台湾有事は日本有事」の危機が叫ばれる中、中国軍の本当の実力を解明することは喫緊の課題であり、中国の各種工作やマスコミなどの極端な論調に惑わされない冷静な判断が必要である。
そのため本書では、まず中国軍が「ソ連(ロシア)型軍隊」であり、ロシア軍と軍事的類似性があることを踏まえ、ウクライナ戦争におけるロシア軍の軍事作戦の実態を分析し、そこから中国軍の実体や実力について何が類推でき、どのような問題や課題があるかを明らかにした。
また、尖閣・台湾を軍事侵攻するには着上陸(水陸両用)作戦の遂行が必須の要件である。現段階で中国軍がその実力を有しているか、その能力を分析評価し、可能な範囲で課題に対する答えを導いた。
その上で、日本が直面する危機にどう備えるべきか、日本の安全保障・防衛体制強化の方向を明示。
いま読まれるべき、冷静な現状分析の書!
【目次】
はじめに
第1章 ソ連(ロシア)軍をモデルに建設された中国軍──ウクライナ戦争が示唆する中国軍への教訓
第1節 ソ連(ロシア)軍と中国軍の類似性
第2節 ウクライナ戦争におけるロシアの軍事作戦と中国軍との関係性
第3節 ウクライナ戦争から中国は何を学んだのか
第2章 中国の対台湾「戦争に見えない戦争」はすでに始まっている──ハイブリッド戦/グレーゾーンの戦いから急速な着上陸侵攻へ
第1節 「ハイブリッド戦」を提唱するゲラシモフ理論の実践
第2節 中国の対台湾「戦争に見えない戦争」はすでに始まっている──ハイブリッド戦/グレーゾーンの戦いから急速な着上陸侵攻へ
第3章 中国は台湾を着上陸侵攻できるのか
第1節台湾の防衛
第2節 着上陸作戦の歴史的趨勢
第3節 中国軍による台湾への着上陸侵攻
第4節 中国軍の台湾に対する着上陸侵攻能力の評価
第4章 直面する「台湾有事は日本有事」の危機に日本はどう備えるべきか──日本の安全保障・防衛体制強化の方向
第1節 東アジアの安全保障環境と日本
第2節 日本の安全保障・防衛体制強化の方向
おわりに
主要参考文献
「台湾有事は日本有事」の危機が叫ばれる中、中国軍の本当の実力を解明することは喫緊の課題であり、中国の各種工作やマスコミなどの極端な論調に惑わされない冷静な判断が必要である。
そのため本書では、まず中国軍が「ソ連(ロシア)型軍隊」であり、ロシア軍と軍事的類似性があることを踏まえ、ウクライナ戦争におけるロシア軍の軍事作戦の実態を分析し、そこから中国軍の実体や実力について何が類推でき、どのような問題や課題があるかを明らかにした。
また、尖閣・台湾を軍事侵攻するには着上陸(水陸両用)作戦の遂行が必須の要件である。現段階で中国軍がその実力を有しているか、その能力を分析評価し、可能な範囲で課題に対する答えを導いた。
その上で、日本が直面する危機にどう備えるべきか、日本の安全保障・防衛体制強化の方向を明示。
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はじめに
第1章 ソ連(ロシア)軍をモデルに建設された中国軍──ウクライナ戦争が示唆する中国軍への教訓
第1節 ソ連(ロシア)軍と中国軍の類似性
第2節 ウクライナ戦争におけるロシアの軍事作戦と中国軍との関係性
第3節 ウクライナ戦争から中国は何を学んだのか
第2章 中国の対台湾「戦争に見えない戦争」はすでに始まっている──ハイブリッド戦/グレーゾーンの戦いから急速な着上陸侵攻へ
第1節 「ハイブリッド戦」を提唱するゲラシモフ理論の実践
第2節 中国の対台湾「戦争に見えない戦争」はすでに始まっている──ハイブリッド戦/グレーゾーンの戦いから急速な着上陸侵攻へ
第3章 中国は台湾を着上陸侵攻できるのか
第1節台湾の防衛
第2節 着上陸作戦の歴史的趨勢
第3節 中国軍による台湾への着上陸侵攻
第4節 中国軍の台湾に対する着上陸侵攻能力の評価
第4章 直面する「台湾有事は日本有事」の危機に日本はどう備えるべきか──日本の安全保障・防衛体制強化の方向
第1節 東アジアの安全保障環境と日本
第2節 日本の安全保障・防衛体制強化の方向
おわりに
主要参考文献
- 本の長さ252ページ
- 言語日本語
- 出版社国書刊行会
- 発売日2023/4/26
- 寸法1.8 x 13 x 18.8 cm
- ISBN-10433607500X
- ISBN-13978-4336075000
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著者について
1947年長崎県生まれ。防衛大学校卒業(13期生、機械工学専攻)、陸上自衛隊高射特科部隊等に勤務。この間、米陸軍指揮幕僚大学留学。第2高射特科群長、第2高射特科団長兼飯塚駐屯地司令、第7師団副師団長兼東千歳駐屯地司令、第6師団長、陸上自衛隊幹部学校長等を歴任。2003年退官(陸将)。現在、日本安全保障戦略研究所副理事長兼上席研究員、偕行社・安全保障研究会研究会、隊友会参与等を務める。
登録情報
- 出版社 : 国書刊行会 (2023/4/26)
- 発売日 : 2023/4/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 252ページ
- ISBN-10 : 433607500X
- ISBN-13 : 978-4336075000
- 寸法 : 1.8 x 13 x 18.8 cm
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