著者の「なぜあなたの仕事は終わらないのか」を拝読したことがあるが、この本の主張の一つはエンジニアにとって生産性が重要というもので、前期の文献と主張は同じである。
著者はリモートワークが強いられたエンジニアの間で、生産性を上げる層と下げる層の二つの層ができる(既にできている)と主張しており、これが貧富の差の要因の一つとなることを指摘している。
リモートワークという環境下で生産性を上げるために、SlackやTeamsなどの非同期コミュニケーションツールを使いこなせるかどうかが必要条件(当然十分条件ではない)であり、これらのツールを活用することで会議などがリモートワーク以前より減りエンジニアの生産性が上がると主張している。
私はソフトウェアエンジニアではないが、この主張には賛成である。ある程度規模が大きい会社になれば外資も日系企業も関係なく会議が多くなり、パワポエンジニアを量産させる。私見であるが、その半分以上は出席しなくても業務に差し当たりのない会議であると感じている。大抵の会議は議事録が発行されるのでそれさえ読めばプロジェクトの状況はキャッチアップでき、それで問題ない。こういう場合においては、会議という情報伝達手段は生産性が悪く、teamsなどで文字列ベースでやり取りする方が効率的である。
しかし、会議の数を無くすのは簡単ではない。まず、管理職(特にITリテラシーのない)の多くは情報伝達手段において会議以外のオプションを持っていない、ある意味思考停止の状態にある。彼らは慣れ親しんだ会議というやり方を変更するのに異常な拒否反応を示す。実際、私は上司に会議をなくして情報のやり取りはslackなどを用いた文字列ベースに変更しようと提案したことがあるが、(毎日進捗を管理したexcelを確認するための会議があり鬱陶しかったため)有無を言わずに拒否された。その上司の主張はリモートワーク化でただでさえやりにくいのにチャットベースになると余計やりにくくなる、というものだった。この主張の前提には、対面の会議がベストでそれに近い音声会議がベターであるというものがある。これまでの経験上、彼らは実績というものに異常にこだわるので旧態依然としたやり方であってもそれに固執してしまい、新しい手段を拒絶するのだろう。エンジニアであれば、拒絶する前に両方の手段を実行してどちらが効果的か検証するという発想がまず思い浮かぶはずで、普段の業務ではそういった仮説思考はお手の物であるので腑に落ちない。ただの愚痴なので、これ以上は差し控えるが”これまでの実績”に思考停止し、著者の言う進化圧を利用できないダメ管理職が蔓延する企業は国際的に力を落とし、今後も衰退していくだろうと思われる。
リモートワーク時の生産性の話以外にも当事者意識を持って働くことや、ベンダーに仕様書丸投げの問題点などの指摘がなされているが、これは前記の本の主張と変わらない。雇用を守ろうとする日本と雇用の流動性を促すアメリカの違いの指摘なども同じである。
残業が常態化している企業の知識のアップデートが行われていない管理職にこそ読んでほしい本である。
誤植:
gmatの問題2の回答は
(425*2 -10)/3
が正しいと思われる。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える 単行本 – 2021/4/1
中島 聡
(著)
こんな時代だから、イノベーションは自宅で起こそう
1.ビジネス、2.働き方、そして、3.人材の二極化が、すでに始まっている――
新型コロナウィルスの感染拡大によってリモートワークが当たり前になり、否応なく新しい働き方に取り組まざるを得なくなりました。
そして、自らを進化させなければならないプレッシャー(進化圧)は、複数の二極化を生み、それが、「新しいエリート層」を生み出すことにもつながります。
では、新しいライフスタイルを捉えた「ビジネス」はどう考えればいいか。
どのようなツールを選択して「働き方」を変えるべきか。
これから価値を増す「人材」の条件とは何か。どんなキャリアを築くべきか。
■本当のDX(デジタル・トランスフォーメーション)は「業界の外」から起こる
■会社に「オフィス」は本当に必要なのか
■「コロナ後もリモートワークを続けるべき」理由
■思考実験――新しい形の飲食業
■リモートワーク時代は「ツールの選択」で生産性に差がつく
■「非同期コミュニケーション」という必須スキル
■テレビ会議を圧倒的に快適にする「二つのコツ」
■イノベーションを起こすのは、いつだって「個人」だ
■リモートのチーム運営に必要な「呼吸」の話
……etc.
この波をどう乗り切り、生き残るか――元マイクロソフト伝説のプログラマーからの提案。
【目次】
はじめに “二極化が加速する”ポストコロナの働き方
第1章 この「進化圧」に乗るか、淘汰されるか 【ビジネスの二極化】
第2章 武器になる「ツール」を手に入れる 【働き方の二極化】
第3章 こんな個人が「ニュー・エリート」になる 【人材の二極化】
第4章 「偏執的な個人」が活躍する社会への道
おわりに 資産バブル、格差の拡大、資本主義の危機
1.ビジネス、2.働き方、そして、3.人材の二極化が、すでに始まっている――
新型コロナウィルスの感染拡大によってリモートワークが当たり前になり、否応なく新しい働き方に取り組まざるを得なくなりました。
そして、自らを進化させなければならないプレッシャー(進化圧)は、複数の二極化を生み、それが、「新しいエリート層」を生み出すことにもつながります。
では、新しいライフスタイルを捉えた「ビジネス」はどう考えればいいか。
どのようなツールを選択して「働き方」を変えるべきか。
これから価値を増す「人材」の条件とは何か。どんなキャリアを築くべきか。
■本当のDX(デジタル・トランスフォーメーション)は「業界の外」から起こる
■会社に「オフィス」は本当に必要なのか
■「コロナ後もリモートワークを続けるべき」理由
■思考実験――新しい形の飲食業
■リモートワーク時代は「ツールの選択」で生産性に差がつく
■「非同期コミュニケーション」という必須スキル
■テレビ会議を圧倒的に快適にする「二つのコツ」
■イノベーションを起こすのは、いつだって「個人」だ
■リモートのチーム運営に必要な「呼吸」の話
……etc.
この波をどう乗り切り、生き残るか――元マイクロソフト伝説のプログラマーからの提案。
【目次】
はじめに “二極化が加速する”ポストコロナの働き方
第1章 この「進化圧」に乗るか、淘汰されるか 【ビジネスの二極化】
第2章 武器になる「ツール」を手に入れる 【働き方の二極化】
第3章 こんな個人が「ニュー・エリート」になる 【人材の二極化】
第4章 「偏執的な個人」が活躍する社会への道
おわりに 資産バブル、格差の拡大、資本主義の危機
- 本の長さ216ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2021/4/1
- 寸法13 x 1.5 x 18.9 cm
- ISBN-104041097576
- ISBN-13978-4041097571
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
出版社より
商品の説明
著者について
●中島 聡:1960年生まれ。米シアトル在住。早稲田大学大学院理工学研究科修了。米ワシントン大学でMBA取得。大学時代に世界初パソコン用CADソフト「CANDY」を開発し3億円のロイヤリティーを稼ぐ。同院修了後NTTの電気通信研究所入社、1年でマイクロソフト日本法人へ転職。3年後米国本社へ移りWindows95/98、IE3.0/4.0のチーフアーキテクトを務めた。独立後UIEvolution(Xevo)等を起業。現在シンギュラリティ・ソサエティ代表理事を務める傍らメルマガ「週刊Life is beautiful」発行
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2021/4/1)
- 発売日 : 2021/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 216ページ
- ISBN-10 : 4041097576
- ISBN-13 : 978-4041097571
- 寸法 : 13 x 1.5 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 348,007位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,418位実践経営・リーダーシップ (本)
- - 7,447位その他のビジネス・経済関連書籍
- - 9,414位ビジネス実用本
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
エンジニア・起業家・エンジェル投資家。工学修士(早稲田大学)・MBA(ワシントン大学)。1989年に渡米し、ソフトウェア・アーキテクトとしてMicrosoft本社で Windows 95 と Internet Explorer 3.0/4.0 を開発。2000年に UIEvolution を起業、2004年にスクエニに売却($56 million)。2007年に MBO で買い戻したのち、車載機向けのソフトウェア会社と成功させ 2019年に Lear に売却($320 million)。主な著書「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」(15万部)。メルマガ「週刊 Life is Beautiful」を発行。現在は、mmhmmの一員(株主、エンジニア)。
カスタマーレビュー
星5つ中4.4つ
5つのうち4.4つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
54グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2021年4月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年7月17日に日本でレビュー済み
時流の変化についていけるだけの力を自ら付けていくかがこれからは必要だということを再認識されられました。
ずっと言われ続けてきたことがついに現実に顕著に表れてきたという焦りも持ちましたが、新しくておもしろいツールもたくさんある世の中で、どう使いこなしていくのかを自分自身で考えたくなりました。
ずっと言われ続けてきたことがついに現実に顕著に表れてきたという焦りも持ちましたが、新しくておもしろいツールもたくさんある世の中で、どう使いこなしていくのかを自分自身で考えたくなりました。
2021年6月2日に日本でレビュー済み
研究と別でプログラミングを身につけられたんですね(p146).
本もたくさん読まれていると思いますが,どうやってたくさんのことをこなせるんでしょう.
要件定義書を作らず開発したりするんですね(p182).
疑問点
社内にエンジニアを抱えて内製するのがいいが,それがカルチャー的にも人事制度的にも難しい(p167).
日本の大企業のほとんどは経営陣=取締役会(p172)
解雇規制により,理系の大卒を専門職として養成することを許さない(p177).
株価が実体経済を離れて高騰(p208)
調べること
3Dプリンタ(p23)
バグを防ぐ仕組みのコードレビュー,アーキテクチャレビュー(p175)
本もたくさん読まれていると思いますが,どうやってたくさんのことをこなせるんでしょう.
要件定義書を作らず開発したりするんですね(p182).
疑問点
社内にエンジニアを抱えて内製するのがいいが,それがカルチャー的にも人事制度的にも難しい(p167).
日本の大企業のほとんどは経営陣=取締役会(p172)
解雇規制により,理系の大卒を専門職として養成することを許さない(p177).
株価が実体経済を離れて高騰(p208)
調べること
3Dプリンタ(p23)
バグを防ぐ仕組みのコードレビュー,アーキテクチャレビュー(p175)