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最後の読書 (新潮文庫) 文庫 – 2021/8/30
津野 海太郎
(著)
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読売文学賞受賞!
いつまで読める?
80代を迎えた稀代の読書人が綴る、本との付き合い最終章。
目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はわるいことばかりではないよ――。鶴見俊輔、幸田文、須賀敦子……。長い歳月をたずさえて読む本は、豊かで新鮮なよろこびに満ちている。親しい仲間や敬愛する先達との別れを経験しながら、それでも本と出会い続けよう。本を読み、つくり、書いてきた読書人が、その楽しみを軽やかに綴る現状報告。読売文学賞受賞作! (解説・鈴木敏夫)
いつまで読める?
80代を迎えた稀代の読書人が綴る、本との付き合い最終章。
目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はわるいことばかりではないよ――。鶴見俊輔、幸田文、須賀敦子……。長い歳月をたずさえて読む本は、豊かで新鮮なよろこびに満ちている。親しい仲間や敬愛する先達との別れを経験しながら、それでも本と出会い続けよう。本を読み、つくり、書いてきた読書人が、その楽しみを軽やかに綴る現状報告。読売文学賞受賞作! (解説・鈴木敏夫)
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2021/8/30
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101202826
- ISBN-13978-4101202822
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出版社より


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花森安治伝―日本の暮しをかえた男― | 最後の読書 | 【単行本】かれが最後に書いた本 | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち3.8
33
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5つ星のうち4.1
62
|
5つ星のうち4.2
11
|
価格 | ¥737¥737 | ¥693¥693 | ¥2,310¥2,310 |
【新潮文庫】津野海太郎 作品 | 「これからは絶対だまされない。だまされない人たちをふやしていく」――敗戦から三年後の一九四八年創刊。新しいライフスタイルの提案、徹底した商品テスト、圧倒的にモダンなデザインで、百万部にとどく国民雑誌となった『暮しの手帖』。花森安治が生涯語らなかった、創刊の真の理由とは? 希代の編集者の決定版評伝。 | 目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はこんなに楽しい! 稀代の読書人が軽やかに綴る現状報告。 | 樹木希林、橋本治、加藤典洋、平野甲賀……あの世に行った彼らとのつながりをかえってつよく感じる。80歳をこえて深まる読書の記。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2021/8/30)
- 発売日 : 2021/8/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4101202826
- ISBN-13 : 978-4101202822
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 315,142位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本好きには堪えられない作者。芋蔓しきに紹介されている本も購入しました。素晴らしい本です。
2019年1月13日に日本でレビュー済み
著者は1938年生まれの評論家。晶文社の取締役を務めるなど出版業界にも縁が深い著者が、齢(よわい)80歳にして自らの老いと読書についての思いを身辺雑記風に綴った随想集です。
鶴見俊介や幸田文など先輩諸氏の老いと読書についてつづったかと思うと、幼少期の読書の思い出に思いを馳せ、さらには自らの視力の衰え、読んでも憶えていられない記憶力の衰え、終活の一環としての蔵書処分の寂しさ、今更ながらの古典文学への挑戦など、年齢を重ねたからこそ見えてくる読書の世界が興味深く綴られていきます。
「若者や壮年とちがって、老人の日常(リアル)は基本的に『何でもないこと』だけでできているから」「その『何でもないこと』をうまく表現できないと、なんだか腑ぬけたようなものしか書けなくなってしまう」と嘆く著者の文章のうち、目を見開かれたのは近年『 君たちはどう生きるか 』がベストセラーとなった現象を著者が読み解くくだりです。
「私のような老人だけでなく、『いまの人』までが『ことによったら裏切るかもしれない私』へのおそれをいだきはじめている。それが全面的にいいことだとは、とてもいえないのである」(139頁)
確かにあれは少年が友人を裏切る弱さをどう克服していくかという話でした。そうした話に日本人が手を伸ばし、なおかつ高い評価の声を寄せているのは、自己への恐怖心だと指摘する点には目を向けるべきでしょう。
最後に心に残った言葉を引き写します。
著者は美智子皇后が『 橋をかける 』で「本への感謝をこめてつけ加えます。読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。(略)人と人との関係においえても。国と国との関係においても」と綴っていることを紹介した後、こう自身の気持ちを記します。
「私たちは『決して単純でない』世界を、それぞれが『決して単純でない』しかたで生きてゆくしかない。読書は、その『単純でない』環境に耐える力を私たちにあたえてくれる。これまでもそうだったし、きっとこれからもそうだろう」(93頁)
-----------------------
以下の書をあわせて紹介しておこうと思います。
◆永江朗『 51歳からの読書術―ほんとうの読書は中年を過ぎてから 』(六耀社)
:著者は1958年生まれの著述家。マンガの大人買いや絵本や少年文庫、和歌や漢文まで幅広く50代の読書を楽しんでいる様子が綴られます。新書のレーベルで外れが少ないと感じるのは岩波新書、中公新書、講談社現代新書、そしてちくま新書だという主張には頷かされます。
◆山田太一『 月日の残像 』(新潮社)
:テレビドラマのシナリオライターとして知られる著者のエッセイ集で、特に「減退」と題された随想が心に残りました。
「減退」という言葉が指すのは性(欲)の減退です。齢(よわい)七十を重ねた著者はかつてのように「反射神経のように性欲で分別するところ」がなくなったと綴ります。
「しかし、私は減退が新鮮だった。別の世界へ足を踏み入れたぞ、という小さな興奮があった。負け惜しみだと笑われそうだし、幾分その通りかもしれないが、減退を意識してそれを受け入れると、肩の荷をおろしたような気持になった」(30頁)。
いつか私も著者の年齢に達した際、この随想を思い返しながら著者の胸の内を想い返したいと思っています。
◆関口良雄『 昔日の客 』(夏葉社)
:この随想集の中に「読書の終着駅」という言葉が出てきます。この言葉を読んだ私自身の終着駅となるのは一体どんな本なのだろうか。いつかやって来るその時のことが楽しみであり、また淋しくも感じたのでした。
.
鶴見俊介や幸田文など先輩諸氏の老いと読書についてつづったかと思うと、幼少期の読書の思い出に思いを馳せ、さらには自らの視力の衰え、読んでも憶えていられない記憶力の衰え、終活の一環としての蔵書処分の寂しさ、今更ながらの古典文学への挑戦など、年齢を重ねたからこそ見えてくる読書の世界が興味深く綴られていきます。
「若者や壮年とちがって、老人の日常(リアル)は基本的に『何でもないこと』だけでできているから」「その『何でもないこと』をうまく表現できないと、なんだか腑ぬけたようなものしか書けなくなってしまう」と嘆く著者の文章のうち、目を見開かれたのは近年『 君たちはどう生きるか 』がベストセラーとなった現象を著者が読み解くくだりです。
「私のような老人だけでなく、『いまの人』までが『ことによったら裏切るかもしれない私』へのおそれをいだきはじめている。それが全面的にいいことだとは、とてもいえないのである」(139頁)
確かにあれは少年が友人を裏切る弱さをどう克服していくかという話でした。そうした話に日本人が手を伸ばし、なおかつ高い評価の声を寄せているのは、自己への恐怖心だと指摘する点には目を向けるべきでしょう。
最後に心に残った言葉を引き写します。
著者は美智子皇后が『 橋をかける 』で「本への感謝をこめてつけ加えます。読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。(略)人と人との関係においえても。国と国との関係においても」と綴っていることを紹介した後、こう自身の気持ちを記します。
「私たちは『決して単純でない』世界を、それぞれが『決して単純でない』しかたで生きてゆくしかない。読書は、その『単純でない』環境に耐える力を私たちにあたえてくれる。これまでもそうだったし、きっとこれからもそうだろう」(93頁)
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以下の書をあわせて紹介しておこうと思います。
◆永江朗『 51歳からの読書術―ほんとうの読書は中年を過ぎてから 』(六耀社)
:著者は1958年生まれの著述家。マンガの大人買いや絵本や少年文庫、和歌や漢文まで幅広く50代の読書を楽しんでいる様子が綴られます。新書のレーベルで外れが少ないと感じるのは岩波新書、中公新書、講談社現代新書、そしてちくま新書だという主張には頷かされます。
◆山田太一『 月日の残像 』(新潮社)
:テレビドラマのシナリオライターとして知られる著者のエッセイ集で、特に「減退」と題された随想が心に残りました。
「減退」という言葉が指すのは性(欲)の減退です。齢(よわい)七十を重ねた著者はかつてのように「反射神経のように性欲で分別するところ」がなくなったと綴ります。
「しかし、私は減退が新鮮だった。別の世界へ足を踏み入れたぞ、という小さな興奮があった。負け惜しみだと笑われそうだし、幾分その通りかもしれないが、減退を意識してそれを受け入れると、肩の荷をおろしたような気持になった」(30頁)。
いつか私も著者の年齢に達した際、この随想を思い返しながら著者の胸の内を想い返したいと思っています。
◆関口良雄『 昔日の客 』(夏葉社)
:この随想集の中に「読書の終着駅」という言葉が出てきます。この言葉を読んだ私自身の終着駅となるのは一体どんな本なのだろうか。いつかやって来るその時のことが楽しみであり、また淋しくも感じたのでした。
.
2019年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本好きがますます本好きになる本です。書評集であり読書のお誘いでもある。
2019年6月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本を紹介しながら著者の意見を述べている、素晴らしい本でした。まさに高齢となってきた自分にとってとても参考になる本でした。
2021年9月10日に日本でレビュー済み
本書を読んでいるとき、
「本の雑誌」の10月号が、「定年後本当に本が読めるのか!?」の特集を組んでいて・・・
レビューしていますから興味のある方は参照してください・・・、
色んな考え方があるもんだなと、本書と併読し、面白く読ませてもらいました。
本書でも、高齢者に付き物の体力、気力、記憶力の衰え、
そして目の不調、等は切実に記述されています。
私も古希を超えましたから、当然のことですが、
本書に書かれているようなことはかなり理解できるようになりました。
電子書籍、蔵書の処分、といった老人特有問題だけでなく、
戦後の貧しかった時代の読書、上皇后さまのお話、ピエトロ・ジェルミの「鉄道員」
貸本屋の話、老年の糞尿譚、大西巨人、須賀敦子、そして山口瞳もちらっと出てきます。
博覧強記というか、変幻自在というか、私も津野さんのような読書人でありたいな!!
「本の雑誌」の10月号が、「定年後本当に本が読めるのか!?」の特集を組んでいて・・・
レビューしていますから興味のある方は参照してください・・・、
色んな考え方があるもんだなと、本書と併読し、面白く読ませてもらいました。
本書でも、高齢者に付き物の体力、気力、記憶力の衰え、
そして目の不調、等は切実に記述されています。
私も古希を超えましたから、当然のことですが、
本書に書かれているようなことはかなり理解できるようになりました。
電子書籍、蔵書の処分、といった老人特有問題だけでなく、
戦後の貧しかった時代の読書、上皇后さまのお話、ピエトロ・ジェルミの「鉄道員」
貸本屋の話、老年の糞尿譚、大西巨人、須賀敦子、そして山口瞳もちらっと出てきます。
博覧強記というか、変幻自在というか、私も津野さんのような読書人でありたいな!!
2018年12月22日に日本でレビュー済み
津野海太郎『最後の読書』(新潮社、2018年)は老いと読書についてのエッセイである。好きな人でも、読書がままならなくなる現実をシビアに語っている。
本書の優れたところは、老いという普遍的な現象と戦前戦中世代のノスタルジア的なものを区別していることである。後者にはコンピュータへの拒否感や紙の本への愛着、映画は映画館で観るものという観念、個人が大量の蔵書を保有する傾向などがある。この種の感覚を著者は理解し、共感する側にいる。それでいながら、時代の変化を認識し、それが普遍的なものとして通用しなくなっていることも理解している。自分の体験が歴史に組み込まれ、「私の時代が後ろにずれてゆく」感覚を持っている(128頁)。
コンピュータへの拒否感や紙の本への愛着については、「一九八〇年代が終わるころまで、職業的な文系知識人のほとんどはコンピュータを頭から拒否していた」傾向があったとする(104頁)。ここは学生時代にインターネットが普及し、個人が資本をかけずに情報発信できるようになったことで社会の変化を期待した私とは世代ギャップがあるところである。これに対して本書はKindleなどの電子書籍が小さな文字が読みにくくなる高齢者の救世主になると指摘する。「小さな印刷文字と苦闘している老人たちにとっての画期的な発明」と評価する(58頁)。
本書は年をとると難解な理論書を敬遠したくなるという(63頁)。それは無理のないことと理解できる。それを著者は自嘲するが、マルクス主義など自分が学生時代に学んだことにしがみつき、それを若い世代に押し付ける頑迷な教条主義よりは良いだろう。
映画は映画館で観るものという感覚については、既に著者はビデオやパソコンで観るものという習慣になっている(114頁)。本書は映画は映画館で観る行為を一人で映画館に行くという自由の感覚に裏打ちされた孤独感があると評価する(120頁)。これは茶の間でテレビを観て、翌日に学校や職場で共通の話題にする高度経済成長期以降の日本的同質性とは異なる。しかし、今や自分の部屋にこもってYouTubeやAmazonプライムで自分が観たい映画を観るようになった。より自由の感覚に裏打ちされた孤独感が深化している。映画館で観るか観ないかが本質ではない。
本書は蔵書についても興味深い分析をしている。戦後知識人は大量の蔵書を個人で持ちたがる傾向があったが、それは戦中戦後の本に飢えた経験によるものとする(102頁)。特殊な経験から生じた特殊な傾向となる。状況が変われば、そのような文化は廃れるだろう。
高齢者が高齢であることを理由に差別されてはならない。高齢者が尊厳ある生活を送れるようにすることは高齢化社会で求められていることである。しかし、それは戦前戦中世代のノスタルジアをひたすら維持して、後の世代に押し付けることとは別である。そこをごっちゃにすると反発が生じる。
そこをごっちゃにしない柔軟性が本書にはある。この柔軟性は日本の敗戦という価値観の変転を体験したためだろう。著者は1938年生まれである。逆に戦後生まれのシニア世代の方が頑迷である。高度経済成長期の「成功体験」に固執し、多様化が求められる21世紀の社会的ニーズへの抵抗勢力になってしまいがちである。私は子どもの頃に冷戦の終結という世界史上の大事件を目の当たりにしており、従来の枠組みからの変革という問題意識を持っている。そのためにノスタルジアだけではない本書に共感が持てる。
本書の優れたところは、老いという普遍的な現象と戦前戦中世代のノスタルジア的なものを区別していることである。後者にはコンピュータへの拒否感や紙の本への愛着、映画は映画館で観るものという観念、個人が大量の蔵書を保有する傾向などがある。この種の感覚を著者は理解し、共感する側にいる。それでいながら、時代の変化を認識し、それが普遍的なものとして通用しなくなっていることも理解している。自分の体験が歴史に組み込まれ、「私の時代が後ろにずれてゆく」感覚を持っている(128頁)。
コンピュータへの拒否感や紙の本への愛着については、「一九八〇年代が終わるころまで、職業的な文系知識人のほとんどはコンピュータを頭から拒否していた」傾向があったとする(104頁)。ここは学生時代にインターネットが普及し、個人が資本をかけずに情報発信できるようになったことで社会の変化を期待した私とは世代ギャップがあるところである。これに対して本書はKindleなどの電子書籍が小さな文字が読みにくくなる高齢者の救世主になると指摘する。「小さな印刷文字と苦闘している老人たちにとっての画期的な発明」と評価する(58頁)。
本書は年をとると難解な理論書を敬遠したくなるという(63頁)。それは無理のないことと理解できる。それを著者は自嘲するが、マルクス主義など自分が学生時代に学んだことにしがみつき、それを若い世代に押し付ける頑迷な教条主義よりは良いだろう。
映画は映画館で観るものという感覚については、既に著者はビデオやパソコンで観るものという習慣になっている(114頁)。本書は映画は映画館で観る行為を一人で映画館に行くという自由の感覚に裏打ちされた孤独感があると評価する(120頁)。これは茶の間でテレビを観て、翌日に学校や職場で共通の話題にする高度経済成長期以降の日本的同質性とは異なる。しかし、今や自分の部屋にこもってYouTubeやAmazonプライムで自分が観たい映画を観るようになった。より自由の感覚に裏打ちされた孤独感が深化している。映画館で観るか観ないかが本質ではない。
本書は蔵書についても興味深い分析をしている。戦後知識人は大量の蔵書を個人で持ちたがる傾向があったが、それは戦中戦後の本に飢えた経験によるものとする(102頁)。特殊な経験から生じた特殊な傾向となる。状況が変われば、そのような文化は廃れるだろう。
高齢者が高齢であることを理由に差別されてはならない。高齢者が尊厳ある生活を送れるようにすることは高齢化社会で求められていることである。しかし、それは戦前戦中世代のノスタルジアをひたすら維持して、後の世代に押し付けることとは別である。そこをごっちゃにすると反発が生じる。
そこをごっちゃにしない柔軟性が本書にはある。この柔軟性は日本の敗戦という価値観の変転を体験したためだろう。著者は1938年生まれである。逆に戦後生まれのシニア世代の方が頑迷である。高度経済成長期の「成功体験」に固執し、多様化が求められる21世紀の社会的ニーズへの抵抗勢力になってしまいがちである。私は子どもの頃に冷戦の終結という世界史上の大事件を目の当たりにしており、従来の枠組みからの変革という問題意識を持っている。そのためにノスタルジアだけではない本書に共感が持てる。
2021年10月18日に日本でレビュー済み
表題から想像して買ったけど、読んでみてボクの期待とは異なっていた。
「人生最後の読書はどうあるべきか」とは違ったな! 残念!
「人生最後の読書はどうあるべきか」とは違ったな! 残念!
2021年11月23日に日本でレビュー済み
休日の朝に必ず偵察に行く近所の大型書店の平積みの新刊で見つけ、そのどこか懐かしい装幀に思わず手に取りました。帯の「あと何冊読める?」の文字に身がつまされましたが、著者は、やはり読書好きの父と同じ年の生まれで、我がこととして考えるのには少しだけ早いのかもしれません。遅ればせながら先日、「滑稽な巨人」を読んだので、続けて早速の購入です。
内容としては、加齢からくる目や記憶力の衰えであったり、それでも日々手にする新たな本や、本を通しての人との出会いであったりに喚起され、徒然に綴った一冊と言ってしまえば言えますが、その思索の広がりや、携わってきた仕事や関わってきた方々の広範さに圧倒されます。
内容としては、加齢からくる目や記憶力の衰えであったり、それでも日々手にする新たな本や、本を通しての人との出会いであったりに喚起され、徒然に綴った一冊と言ってしまえば言えますが、その思索の広がりや、携わってきた仕事や関わってきた方々の広範さに圧倒されます。