本書は、部活動によって教師や生徒(特に前者)が疲弊している状況を指摘し、その改善を図ろうとする本である。
教育学者の人が書いているだけあり、データに基づく議論をしている。特にここ20年ほどの変化がそれなりに大きく「自分の頃はそんなに問題ではなかったと思う」という人も、状況の大きな変化の存在を認識する必要がある。
タイトルは強く批判的にも見えるが、著者は部活動そのものの意義は高く評価していることには留意が必要であろう。
本書で指摘される部活動の構造上の問題は、そのグレーゾーン性である。正規の活動ではない扱いでありながら、慣習的に教師も生徒も全員がやらされる状況にある。その一方で、正規ではないために補償や専門性もなく、負担だけが増加していく傾向にある。
建前と実態の乖離として、部活動の「居場所の論理」と「競争の論理」の存在を指摘している。「やりたい人が誰でも活動できるべき」というのが居場所の論理で、部活動の正当化としてしばしば持ち出される。しかし部活動の実態としては、県大会優勝のような目標を掲げ、競争に勝ち抜くための厳しい練習を課すことが多く、そうした練習を耐えていくことが美徳とされる。
「自主的に努力し、勝利するとその努力が強豪・上位に認められ祝福される(教員であれば、強豪校の先生方と仲良くなって認められる)」というやりがい搾取型のループは、本書ではドラッグになぞらえられている。そのループに入り込んでしまうと、「努力や苦労が認められる」という快楽から抜け出せなくなってしまい、土日をつぶしてもよいとますます自己犠牲に走ってしまう。
教員の勤務時間は、現在の労働時間削減の風潮にもかかわらず、2006年~2016年のこの10年で見ても中学教員は休日の勤務時間が109分も増えており、部活動が半分以上の時間を占める。教員に全員顧問制を強いている中学校は、1996年では57%に対し、2016年では87%と大幅に増加している。在校12時間など、過労死ラインを超える中学教員も4割以上に及ぶ。人によっては、8月以外すべて過労死ラインを超えている教員もいる。
自己犠牲の姿勢を見せて、土日も部活に捧げる教員を「教師の鑑」として持ち上げる風潮はある。「子供のため」という建前で、教師の負担は無尽蔵に増えるが、その長時間労働の問題には目がやられない。専門外の不慣れな部活動も任され(これもグレーゾーン故に起きることである。授業であればそういうことは出来ない)、場合によっては事故につながってしまう。
部活動は本当は生徒にとっては自主的な活動のはずだが、強制加入が生じている場合も少なくない。これは地域によって大きく異なり、東京の中学ではほとんど強制加入はないのに対し、岩手県ではほぼすべての中学が強制加入である。そして実態としては9割の加入率という点、大学になると過半数が部活をやめる点を考慮すると、実質強制は少なくないだろうとしている。こうした背景には、内申点などの評価システムの問題もある。
著者は、学校は「居場所の論理」で部活を運営し、競争は地域のクラブチームなどに委ねることを提起している。
部活動をめぐる問題、特に教員を取り巻く問題に鋭く切り込んだ一冊である。
そこまでというイメージはなかったが、特に近年悪化が進んでいるという現状も指摘されており、過去のイメージでいる人は更新が必要な部分だろう。
部活動に関わるうえで避けては通れない本である。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,540¥1,540 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥1,540¥1,540 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥220¥220 税込
ポイント: 2pt
(1%)
配送料 ¥330 6月19日-20日にお届け
発送元: 【公式】ブックオフ 販売者: 【公式】ブックオフ
¥220¥220 税込
ポイント: 2pt
(1%)
配送料 ¥330 6月19日-20日にお届け
発送元: 【公式】ブックオフ
販売者: 【公式】ブックオフ
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う 単行本 – 2017/7/31
内田 良
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,540","priceAmount":1540.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,540","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"O6P0Ot8PobhhKOJciqj3E%2FJ7fWU6Bnyn%2BsJRVSfxw%2BasVN6dz6FL0ajMoJD0cuIbT37T%2BJh92qmBwuEHmx1rJ1e5W52qkOkr9eegPMIAfH41S6fw9h0ryHwWVpV6N1%2BiEJiDu%2FnlgfM%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥220","priceAmount":220.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"220","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"O6P0Ot8PobhhKOJciqj3E%2FJ7fWU6BnynW936OfBIgL9mJelysJaadtWHeA%2BEfsIT%2BcN3tlpf%2FIVKsp7ZIl0FVnGpHXb8DNzg3Ljidx%2FlDMP1gvuCDf7oDy1%2FmXeFyFG8qmHqZ6RxpMg4BaE%2BUPydKfdDiYdQgXrVFH%2FXiHe9SbhhYMwqV8ZqkaIcJ4C%2F0nGB","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
----------------------------------------
メディア掲載レビューほか
----------------------------------------
「部活動」の問題点を解き明かし、社会問題化への火付け役となった本書、刊行1ヶ月で3刷!
「内田氏は部活問題や組体操問題など、日本の教育現場で起きている様々な現象について疑問を投げかけ続けてきた。根拠と発信で社会は動くのだということを態度で示している実践者である。……誤解してはならない。部活そのものを否定しているのではなく、部活のブラック化を防ぎ、みんながより幸福になれる道を探ることが重要だということだ」
(荻上チキ氏評、「朝日新聞」 掲載書評より)
○NHK ニュース深読み「キツい・長い・休めない? "ブラック化"する部活動」
○東京MXTV:「田村淳の訊きたい放題 ブラック部活動から学校の問題点を考えよう! 」
○session-22 「夏休みの今こそ考えたい、ブラック部活問題! 」
○BuzzFeed Japan「『楽しいから、やめられない』ブラックすぎる部活動がなくならない理由」
○Synodos:「今、『部活がつらい』という声を出せるようになってきた――過熱する部活動から子ども・先生を救うには?」
○プレジデント・オンライン:「連載 ブラック部活動」
その他、刊行から1ヶ月で、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、ウェブ…30以上ものメディアからの取材殺到!
----------------------------------------
内容紹介
----------------------------------------
部活動には素晴らしい価値がある。
だからこそ、加熱しすぎている現状を改善し、本来あるべき姿へと戻さなければならない。
教員や生徒の側に立った温かさに多くの読者の共感を得る。
○顧問は自主的なサービス残業、かつ実質強制。しかも半数は競技の素人
○自主的・自発的な活動のはずなのに生徒は強制参加。「内申に響く」と囁かれることも
○練習なら学校の廊下を走っても許される? それは部活動が「グレーゾーン」だから
○データが示す部活動の活動時間・教員の負担増。先生達に頼るのはもう限界
○週3日2時間ずつでも十分! 自主的・自発的に楽しめる部活動の未来展望図とは
○過熱を避け、「生涯を通してスポーツ・文化に取り組める」ための部活動へ
多くの人が慣れ親しんできた部活動。「部活動を通した成長」「集団生活の規律の向上」「友だちとの絆、深い結びつき」など、教育的な文脈で語られ、その意義は繰り返し強調されてきた。
しかし、統計データや教師の声を繙いていくと、その裏に大きな矛盾や教員の負担が覆い隠されていることが明らかになる。
教育課程外の活動である部活動は、本来教員の業務ではない。にもかかわらず、「教師が部活顧問をするのは当然」と見なされ、強制的に割り振る学校が大半。早朝から夜まで、土日も休まず活動する部活動は多い。
また、自主的な活動である部活動への「全員加入」を強制する自治体・学校も少なくない。
「教育」「子どものため」という題目の裏で何が起きているのか。統計データや子ども・教師の声の解釈から、部活動のリアルと、部活動を取り巻く社会の構造が見えてくる。
そこから明らかになるのは、子ども・先生が疲弊しきる「ブラック部活動」が、多くの学校で行われているという事実である。このような部活動のあり方では、遠くない将来、学校が立ち行かなくなってしまう。
本書のねらいは、部活動を全廃することにはない。双方がほんとうに自発的で、過度の負担のない部活動へ向かうことが目的である。そのためには、現状をエビデンスに基づいて正しく見通し、悩み苦しむ子どもや先生の声に耳を傾けることで、あるべき部活動の姿を探っていくほかない。
教育関係者、保護者に限らず、教育・スポーツ・文化活動に興味のある人は必読の1冊。
メディア掲載レビューほか
----------------------------------------
「部活動」の問題点を解き明かし、社会問題化への火付け役となった本書、刊行1ヶ月で3刷!
「内田氏は部活問題や組体操問題など、日本の教育現場で起きている様々な現象について疑問を投げかけ続けてきた。根拠と発信で社会は動くのだということを態度で示している実践者である。……誤解してはならない。部活そのものを否定しているのではなく、部活のブラック化を防ぎ、みんながより幸福になれる道を探ることが重要だということだ」
(荻上チキ氏評、「朝日新聞」 掲載書評より)
○NHK ニュース深読み「キツい・長い・休めない? "ブラック化"する部活動」
○東京MXTV:「田村淳の訊きたい放題 ブラック部活動から学校の問題点を考えよう! 」
○session-22 「夏休みの今こそ考えたい、ブラック部活問題! 」
○BuzzFeed Japan「『楽しいから、やめられない』ブラックすぎる部活動がなくならない理由」
○Synodos:「今、『部活がつらい』という声を出せるようになってきた――過熱する部活動から子ども・先生を救うには?」
○プレジデント・オンライン:「連載 ブラック部活動」
その他、刊行から1ヶ月で、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、ウェブ…30以上ものメディアからの取材殺到!
----------------------------------------
内容紹介
----------------------------------------
部活動には素晴らしい価値がある。
だからこそ、加熱しすぎている現状を改善し、本来あるべき姿へと戻さなければならない。
教員や生徒の側に立った温かさに多くの読者の共感を得る。
○顧問は自主的なサービス残業、かつ実質強制。しかも半数は競技の素人
○自主的・自発的な活動のはずなのに生徒は強制参加。「内申に響く」と囁かれることも
○練習なら学校の廊下を走っても許される? それは部活動が「グレーゾーン」だから
○データが示す部活動の活動時間・教員の負担増。先生達に頼るのはもう限界
○週3日2時間ずつでも十分! 自主的・自発的に楽しめる部活動の未来展望図とは
○過熱を避け、「生涯を通してスポーツ・文化に取り組める」ための部活動へ
多くの人が慣れ親しんできた部活動。「部活動を通した成長」「集団生活の規律の向上」「友だちとの絆、深い結びつき」など、教育的な文脈で語られ、その意義は繰り返し強調されてきた。
しかし、統計データや教師の声を繙いていくと、その裏に大きな矛盾や教員の負担が覆い隠されていることが明らかになる。
教育課程外の活動である部活動は、本来教員の業務ではない。にもかかわらず、「教師が部活顧問をするのは当然」と見なされ、強制的に割り振る学校が大半。早朝から夜まで、土日も休まず活動する部活動は多い。
また、自主的な活動である部活動への「全員加入」を強制する自治体・学校も少なくない。
「教育」「子どものため」という題目の裏で何が起きているのか。統計データや子ども・教師の声の解釈から、部活動のリアルと、部活動を取り巻く社会の構造が見えてくる。
そこから明らかになるのは、子ども・先生が疲弊しきる「ブラック部活動」が、多くの学校で行われているという事実である。このような部活動のあり方では、遠くない将来、学校が立ち行かなくなってしまう。
本書のねらいは、部活動を全廃することにはない。双方がほんとうに自発的で、過度の負担のない部活動へ向かうことが目的である。そのためには、現状をエビデンスに基づいて正しく見通し、悩み苦しむ子どもや先生の声に耳を傾けることで、あるべき部活動の姿を探っていくほかない。
教育関係者、保護者に限らず、教育・スポーツ・文化活動に興味のある人は必読の1冊。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋館出版社
- 発売日2017/7/31
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104491033331
- ISBN-13978-4491033334
よく一緒に購入されている商品
対象商品: ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う
¥1,540¥1,540
最短で6月15日 土曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
¥2,640¥2,640
最短で6月15日 土曜日のお届け予定です
残り5点(入荷予定あり)
¥682¥682
最短で6月15日 土曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
出版社からのコメント
部活動問題を世に広く問い、一大議論を巻き起こしている著者が、数年間のエビデンス分析から部活動に潜む矛盾と社会構造を鋭く示す。
著者について
内田 良[著]
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。博士(教育学)。専門は教育社会学。日本教育社会学会理事、日本子ども安全学会理事。
スポーツ事故、組体操事故、転落事故、「体罰」、自殺、2分の1成人式などの「学校リスク」について広く情報発信している。ヤフーオーサーアワード2015受賞。
運営サイトに、「学校リスク研究所」「部活動リスク研究所」がある。また、最新情報をYahoo! ニュース「リスク・リポート」で発信。
著書に『教育という病』(光文社、2015)、『柔道事故』(河出書房新社、2013)、『「児童虐待」へのまなざし』(世界思想社、2009。日本教育社会学会奨励賞受賞)などがある。
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。博士(教育学)。専門は教育社会学。日本教育社会学会理事、日本子ども安全学会理事。
スポーツ事故、組体操事故、転落事故、「体罰」、自殺、2分の1成人式などの「学校リスク」について広く情報発信している。ヤフーオーサーアワード2015受賞。
運営サイトに、「学校リスク研究所」「部活動リスク研究所」がある。また、最新情報をYahoo! ニュース「リスク・リポート」で発信。
著書に『教育という病』(光文社、2015)、『柔道事故』(河出書房新社、2013)、『「児童虐待」へのまなざし』(世界思想社、2009。日本教育社会学会奨励賞受賞)などがある。
登録情報
- 出版社 : 東洋館出版社 (2017/7/31)
- 発売日 : 2017/7/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4491033331
- ISBN-13 : 978-4491033334
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 132,640位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 874位学校教育
- - 13,761位教育・学参・受験 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.3つ
5つのうち4.3つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
142グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の意識誘導、改革路線という点は気になりますが、全般的に第三者のデータを解析しての科学的な根拠に基づいた話の展開となっています。
学校は地域の最大のインフラです。学校問題は地域課題に直結してくるため、広い範囲で社会問題に関わる人はこの本を読んでもらいたいと思いました。
学校は地域の最大のインフラです。学校問題は地域課題に直結してくるため、広い範囲で社会問題に関わる人はこの本を読んでもらいたいと思いました。
2018年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
部活動をめぐるさまざまな問題点が網羅されている。
この本を読む人は学校関係者が多いだろう。教師はこの本に共感をするだろうが、教師以外の人は、この本の内容に納得する人もいれば、そうではない人もいるだろう。ブラック労働は日本に蔓延しており、「自分の方が長時間労働をしている」、「教師はまだマシだ」だ」と言う人も多いだろう。学校の中でも外でも、会社でも役所でも、どこでも無法状態が蔓延している。
学校の部活動は無法状態にある。学校に法律を持ち込むことが嫌われ、戦前からの慣習によって学校が運営されている。イジメを隠すのが当たり前で、国民にバレれば謝罪すればすむ。役所の中も無法状態にあり、戦前から公文書を国民に隠してきたのであって、法律が変わっても役所のこのやり方は変わらなかった。会社の中でも法律は排除され、不正が国民にバレるまで続くのは戦前からのこと。最近は国民にバレることが増えた。
現在の学校の部活動によって保護者や国民は利益を得ており、部活だけを問題にしてもの反発する国民が多いのではないか。教師の労働時間と保護者の利益の対立という構図では、部活動の問題の解決に国民の納得を得にくい。教師のサービス労働を無くすることが、国民全体の労働規制につながり、全国民の「幸福」につながるのでなければならない。教師が幸福になることが、教師以外の職種の幸福につながるという視点。先進国で当たり前の40時間労働制を日本でも強制すれば、教師を含めて全国民の野放しの残業がなくなる。
40時間労働制を強制すれば日本の経済を損なうと言う人がいるが、そんなことはない。ドイツ、スイス、北欧などは労働時間が短いが日本よりも生産性が高い。欧米では、教師の労働時間が短いが日本よりも生徒の学力のある国は多い。フィンランドの小学校の教師は午後2時には仕事が終わり、後は自宅で授業の研究に時間を使うようだ。日本以外の国は学校の部活がなくてもオリンピックで日本以上にメダルをとっている。日本はあらゆる面で生産性が低い。この点の舛添前東京都知事の指摘は正しい。7か国語をマスターした彼は欧米の状況に詳しかった。
日本のように野放しの残業を認めれば、10分でできることを1時間かけてするようになり、効率と生産性が悪くなるのは当たり前。日本の学校、役所、企業は非効率の塊。10分ですむ会議が、時間制限がなければ何時間でもかける。時間がタダだから。かつてインドでも時間はタダだった。残業規制がなければ、どうでもよい会議や報告書が「必要性」の名のもとに日常化する。「必要」という名のもとに無制限に行動すれば、誰でも過労死し、家庭と国家は破産する。「制限」がなければ、生物は生存できない。学校に限らず、役所や企業で労働時間の制限がなければ、無駄な管理業務が際限なく増える。
人件費を払わなくてよく、しかも、時間の制限がなければ、誰でもサービスに無限の時間をかけてもらいたいと考える。教師の労働時間の制限がなければ、保護者はいくらでも家庭内の相談を学校にも持ち込むだろう。教師が保護者からの相談を受けるとしても、午後5時を過ぎたらそれができなくなることを保護者が常識だと考える社会のシステムが必要である。午後5時を過ぎたら学校では会議ができず、校長がそれに違反すれば処分される社会(欧米はだいたいそんなイメージ)。このことは、企業でも5時になったら全員が帰宅するのが当たり前の社会を意味する(ドイツではだいたい午後3時に仕事が終わる。ドイツ閉店法により、土、日は店舗は営業禁止。子供の宿題禁止)。ヨーロッパでは社員に有給休暇を取得させない管理職は「無能」と評価され、昇進できない。
後進国では時間はタダだが、先進国では時間が価値を持ち、時間のあることが幸福の量に比例するという哲学がある。日本は「時間」の管理については、後進国である。
この本を読む人は学校関係者が多いだろう。教師はこの本に共感をするだろうが、教師以外の人は、この本の内容に納得する人もいれば、そうではない人もいるだろう。ブラック労働は日本に蔓延しており、「自分の方が長時間労働をしている」、「教師はまだマシだ」だ」と言う人も多いだろう。学校の中でも外でも、会社でも役所でも、どこでも無法状態が蔓延している。
学校の部活動は無法状態にある。学校に法律を持ち込むことが嫌われ、戦前からの慣習によって学校が運営されている。イジメを隠すのが当たり前で、国民にバレれば謝罪すればすむ。役所の中も無法状態にあり、戦前から公文書を国民に隠してきたのであって、法律が変わっても役所のこのやり方は変わらなかった。会社の中でも法律は排除され、不正が国民にバレるまで続くのは戦前からのこと。最近は国民にバレることが増えた。
現在の学校の部活動によって保護者や国民は利益を得ており、部活だけを問題にしてもの反発する国民が多いのではないか。教師の労働時間と保護者の利益の対立という構図では、部活動の問題の解決に国民の納得を得にくい。教師のサービス労働を無くすることが、国民全体の労働規制につながり、全国民の「幸福」につながるのでなければならない。教師が幸福になることが、教師以外の職種の幸福につながるという視点。先進国で当たり前の40時間労働制を日本でも強制すれば、教師を含めて全国民の野放しの残業がなくなる。
40時間労働制を強制すれば日本の経済を損なうと言う人がいるが、そんなことはない。ドイツ、スイス、北欧などは労働時間が短いが日本よりも生産性が高い。欧米では、教師の労働時間が短いが日本よりも生徒の学力のある国は多い。フィンランドの小学校の教師は午後2時には仕事が終わり、後は自宅で授業の研究に時間を使うようだ。日本以外の国は学校の部活がなくてもオリンピックで日本以上にメダルをとっている。日本はあらゆる面で生産性が低い。この点の舛添前東京都知事の指摘は正しい。7か国語をマスターした彼は欧米の状況に詳しかった。
日本のように野放しの残業を認めれば、10分でできることを1時間かけてするようになり、効率と生産性が悪くなるのは当たり前。日本の学校、役所、企業は非効率の塊。10分ですむ会議が、時間制限がなければ何時間でもかける。時間がタダだから。かつてインドでも時間はタダだった。残業規制がなければ、どうでもよい会議や報告書が「必要性」の名のもとに日常化する。「必要」という名のもとに無制限に行動すれば、誰でも過労死し、家庭と国家は破産する。「制限」がなければ、生物は生存できない。学校に限らず、役所や企業で労働時間の制限がなければ、無駄な管理業務が際限なく増える。
人件費を払わなくてよく、しかも、時間の制限がなければ、誰でもサービスに無限の時間をかけてもらいたいと考える。教師の労働時間の制限がなければ、保護者はいくらでも家庭内の相談を学校にも持ち込むだろう。教師が保護者からの相談を受けるとしても、午後5時を過ぎたらそれができなくなることを保護者が常識だと考える社会のシステムが必要である。午後5時を過ぎたら学校では会議ができず、校長がそれに違反すれば処分される社会(欧米はだいたいそんなイメージ)。このことは、企業でも5時になったら全員が帰宅するのが当たり前の社会を意味する(ドイツではだいたい午後3時に仕事が終わる。ドイツ閉店法により、土、日は店舗は営業禁止。子供の宿題禁止)。ヨーロッパでは社員に有給休暇を取得させない管理職は「無能」と評価され、昇進できない。
後進国では時間はタダだが、先進国では時間が価値を持ち、時間のあることが幸福の量に比例するという哲学がある。日本は「時間」の管理については、後進国である。
2017年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は面白い。
まずお礼を言いたい。
内田先生のおかげで、
部活のブラックな側面を議論しやすくなった。
日本の教師と子どもの部畜化は、
日本人の社畜化や国畜化へ繋がっていくはずだから、
この本が目指す部活改革は、
社会にとって大きな意味があるはずだと思う。
つまり、これはちょっとした革命だと思う。
そして、革命ついでに付け加えれば、
子ども達にとってブラックなのは部活だけではない。
夜遅く街を散歩していると、
暗い道を真面目そうな大勢の子ども達が行き来している。
彼らは夕食もまともに食べていないのではないか。
だが、彼らはブラック部活の帰りではない。
街を散歩しているわけでもない。
ぶら下げているバッグから分かるが、ブラック学習塾の帰りだ。
学生服が喪服のようにもみえる。
三年生になって部活を卒業した子供たちは、
空いた時間をそのまま部活から学習塾にシフトする。
あるいは最初から部活ではなく学習塾を選んでいる。
ブラックなのは部活だけではない。
部活という文化のさらにベースに広がる、
日本の「教育文化」が、そもそもブラックなのだと思う。
「ブラック部活」という問題の根っこに、
「ブラック教育」という問題がある。(と思う)
内田先生が指摘する「グレーゾーン」の問題は、
たしかに部活を歯止めなくブラック化させる原因の一つだろうが、
その前に日本には勤勉さを歯止めなく信仰する教育文化がある。
日本の教育においては、そもそもブラックは善なのだ。
教師や生徒や親や社会が、
部活のブラックな実態に気づいても問題化できなかったのは、
そもそも「教育」がブラックだったからだと思う。
根本的に日本の「教育」がブラックであり、
そのブラックな状況が容認どころか賞賛されているからこそ、
誰もブラック部活に歯向かえなかった。(と思う)
亡くなった居酒屋チェーンの社員と大手広告代理店の社員では、
それぞれ洗脳されたブラックメンタリティーの出自は違うかもしれないが、
どっちにしても彼らの価値観は、
「ブラックな日本の教育文化」に支配されていたはずだ。
ブラック部活もブラック学習塾も、どちらも、
「ブラックな日本の教育文化」というベースに根ざしている。
だから、このゲームのラスボスは二宮金次郎だ。
ブラック部活はザコキャラにすぎない。
まずザコキャラをラスボスから孤立させて倒す戦略として
「グレーゾーン」という言葉があるのかもしれないが、
ザコキャラを倒したついでにラスボスも倒してほしい。
なぜなら、ブラック部活を倒すだけなら、
教師だけが解放され、
校外に解き放たれた子供たちは、
校外のスポーツクラブや学習塾に再び捕捉されるだけで、
永久にブラックから解放されない可能性があるからだ。
子供たちはブラックから解放されるが、
再びブラックへ帰っていくだけだ。
出口は無い。
しかし、ラスボスだけに二宮金次郎的勤勉さは強敵だ。
たとえば、、
「部活だけだったらまだしも、
長年美徳とされてきた二宮金次郎的勤勉さを
ブラックとして否定してしまったら日本は駄目になる。」
と抵抗する信者が多数いるだろうと思う。
そういう勤勉信者は、
「バカンス制度すら求めない勤勉な日本人なのに、
それでも日本の1人当たりのGDP(?)は先進国中最低だ。
勤勉さ以外にろくにトリエもない無能な日本人が、
その勤勉さすら失ったら、
日本はこの先いったいどうなってしまうのか?」
と心配しているわけだ。
この心配はもっともだ。
アホみたいに働いているのに日本はどんどん落ちぶれてきた。
だからこそ、部活時間や就学時間の短縮だけでなく、
「勤勉さ以外のトリエ」を身に着けるための教育改革が必要になる。
それはそんなに難しい話だろうか?
実際、教育勅語が復活しそうな国では難しい話だろうと思う。
しかし、内田先生のようなタフな研究者が、
あと100人くらいいたらと想像してみる。
(ま、たしかにAC/DCファンだけど、そこは気にしないでくれ)
まずお礼を言いたい。
内田先生のおかげで、
部活のブラックな側面を議論しやすくなった。
日本の教師と子どもの部畜化は、
日本人の社畜化や国畜化へ繋がっていくはずだから、
この本が目指す部活改革は、
社会にとって大きな意味があるはずだと思う。
つまり、これはちょっとした革命だと思う。
そして、革命ついでに付け加えれば、
子ども達にとってブラックなのは部活だけではない。
夜遅く街を散歩していると、
暗い道を真面目そうな大勢の子ども達が行き来している。
彼らは夕食もまともに食べていないのではないか。
だが、彼らはブラック部活の帰りではない。
街を散歩しているわけでもない。
ぶら下げているバッグから分かるが、ブラック学習塾の帰りだ。
学生服が喪服のようにもみえる。
三年生になって部活を卒業した子供たちは、
空いた時間をそのまま部活から学習塾にシフトする。
あるいは最初から部活ではなく学習塾を選んでいる。
ブラックなのは部活だけではない。
部活という文化のさらにベースに広がる、
日本の「教育文化」が、そもそもブラックなのだと思う。
「ブラック部活」という問題の根っこに、
「ブラック教育」という問題がある。(と思う)
内田先生が指摘する「グレーゾーン」の問題は、
たしかに部活を歯止めなくブラック化させる原因の一つだろうが、
その前に日本には勤勉さを歯止めなく信仰する教育文化がある。
日本の教育においては、そもそもブラックは善なのだ。
教師や生徒や親や社会が、
部活のブラックな実態に気づいても問題化できなかったのは、
そもそも「教育」がブラックだったからだと思う。
根本的に日本の「教育」がブラックであり、
そのブラックな状況が容認どころか賞賛されているからこそ、
誰もブラック部活に歯向かえなかった。(と思う)
亡くなった居酒屋チェーンの社員と大手広告代理店の社員では、
それぞれ洗脳されたブラックメンタリティーの出自は違うかもしれないが、
どっちにしても彼らの価値観は、
「ブラックな日本の教育文化」に支配されていたはずだ。
ブラック部活もブラック学習塾も、どちらも、
「ブラックな日本の教育文化」というベースに根ざしている。
だから、このゲームのラスボスは二宮金次郎だ。
ブラック部活はザコキャラにすぎない。
まずザコキャラをラスボスから孤立させて倒す戦略として
「グレーゾーン」という言葉があるのかもしれないが、
ザコキャラを倒したついでにラスボスも倒してほしい。
なぜなら、ブラック部活を倒すだけなら、
教師だけが解放され、
校外に解き放たれた子供たちは、
校外のスポーツクラブや学習塾に再び捕捉されるだけで、
永久にブラックから解放されない可能性があるからだ。
子供たちはブラックから解放されるが、
再びブラックへ帰っていくだけだ。
出口は無い。
しかし、ラスボスだけに二宮金次郎的勤勉さは強敵だ。
たとえば、、
「部活だけだったらまだしも、
長年美徳とされてきた二宮金次郎的勤勉さを
ブラックとして否定してしまったら日本は駄目になる。」
と抵抗する信者が多数いるだろうと思う。
そういう勤勉信者は、
「バカンス制度すら求めない勤勉な日本人なのに、
それでも日本の1人当たりのGDP(?)は先進国中最低だ。
勤勉さ以外にろくにトリエもない無能な日本人が、
その勤勉さすら失ったら、
日本はこの先いったいどうなってしまうのか?」
と心配しているわけだ。
この心配はもっともだ。
アホみたいに働いているのに日本はどんどん落ちぶれてきた。
だからこそ、部活時間や就学時間の短縮だけでなく、
「勤勉さ以外のトリエ」を身に着けるための教育改革が必要になる。
それはそんなに難しい話だろうか?
実際、教育勅語が復活しそうな国では難しい話だろうと思う。
しかし、内田先生のようなタフな研究者が、
あと100人くらいいたらと想像してみる。
(ま、たしかにAC/DCファンだけど、そこは気にしないでくれ)