つい先日WOWOWで「クレイジー・ハート」を鑑賞したのをきっかけに、今作を再度観直してみる事にした。
「クレイジー・ハート」は落ちぶれた歌手がもう一度栄光と金を手にするウソっぽい話だが、
「テンダー・マーシー」は金では買えない沢山の愛を手に入れる、普通にありそうな話である。
ゆえにストーリーは到って地味。
愛情を得たとは言え、どこかいい加減さの残るジェフ・ブリッジスとは違い、
自分を慕ってくれる人の為に実直に生きていくロバート・デュバルを描いているので、派手なEpisodeは全くなし。
「クレイジー・ハート」同様、主人公には離れ離れになっている娘(あちらは息子だった)がいて、その娘との再会がこの作品の重要なポイントとなっている。
結末は静かに迎えるが、「クレイジー・ハート」と同様に決してハッピーエンドではない。否、バッドエンドと言えるかもしれない。
そこが最期まで明るいトーンで貫かれている「クレイジー・ハート」と決定的に違うところだ。
ジェフ同様ロバートも劇中歌を披露しているが、「クレイジー・ハート」のような大きなコンサート会場等ではなく、
酒場の狭苦しいステージやレコーディングスタジオで歌うシーンのみ。
それにしてもジェフもロバートも見事な歌いっぷりで天は二物を与えるもんだなぁと感心しきり。
ちなみにジェフ・ブリッジス同様、ロバート・デュバルもこの作品でアカデミー主演男優賞を受賞しており、
ロバートは「クレイジー・ハート」にもジェフの親友役として出演。
これは意図的なんでしょうか?