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文學界2018年7月号 雑誌 – 2018/6/7

4.2 5つ星のうち4.2 24個の評価

創作
村上春樹 最新短編3作同時掲載
「三つの短い話」
<石のまくらに>
<クリーム>
<チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ>
石原慎太郎「―ある奇妙な小説―老惨」
多和田葉子「胡蝶、カリフォルニアに舞う」
松浦寿輝/椎名誠/町屋良平ほか
対談
暦本純一×上田岳弘「AI(人工知能)とAR(拡張現実)時代の文学」
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登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B07CXK4N8D
  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2018/6/7)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2018/6/7
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 24個の評価

カスタマーレビュー

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5つのうち4.2つ
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上位レビュー、対象国: 日本

2018年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
村上春樹さんの「三つの短い話」が読みたくて、ひさしぶりに買いました。最新短篇3作同時掲載とは、うれしい。

3作まとめて同時掲載する意図が分からない。3作をくくった上で、「三つの短い話」という素っ気ない題名を付ける意図が分からない。
通信販売によくある抱き合わせ販売みたいで。

まあ、意図なんか、分からなくてもいいや、面白ければ。「三つの短い話」は全部おもしろかったです。

《石のまくらに》
「僕は大学の二年生で、まだ二十歳にもなって」いないのに(あるいは、なっていないからこそ)、
「僕ら自身の首を、冬の月光が照らし出す冷ややかな石のまくらに載せなくてはならないのだ」(22頁)

なぜ人は死ななくてはいけないのでしょう。
死罪に値するほどの罪を犯したつもりは自分にはないのに。
夢をまくらに夢遊病者のように、罪の意識もなく、夢の中で無意識にただふわふわと風に吹かれて流されてきただけなのに。

草をまくらに死ぬのなら、人の定め、生きものの定めと納得できるけど、
石のまくらに横たわる首を「名もなき斧が」なぜ刎ねるのか。

「そしてやがて夜が明け、激しい風が吹きやむと、生き延びた言葉たちは地表に密やかに顔を出す」

「そのような辛抱強い言葉たちをこしらえて、あるいは見つけ出してあとに残すためには、人はときには自らの身を、自らのこころを無条件に差し出さなくてはならない」(22頁)

夢の中で無意識に「自らの身を、自らのこころを無条件に差し出」すなんて、まともな人間のやることじゃない、と言われても。
「正直で公正な証人として」立つ、ミライの歴史の証人としての言葉たち。大部分、ほとんどが塵となって消えてしまうとしても。

読者のこころに、こんな小説家みたいな妄想が勝手に訳もなく湧いてくるところが、村上作品のおもしろさではないかと思います。

《クリーム》
「ぼく」は十八歳。一浪中。ひとりの老人と出会う。
老人は「文章の改行でもするみたいに簡潔にひとつ咳払いをした」。コホン。

「ほんまに大事なことはな、学校なんかではまず教えてくれんのや」(34頁)と、関西弁の老人。
「それ以外はな、みんなしょうもないつまらんことばっかりや」(35頁)
「しっかりと智恵をしぼって思い浮かべるのや。中心がいくつもあり、しかも外周を持たない円を」(35頁)

「そういう円はちゃんと存在する。しかし誰にでも見えるわけやない」
「それはおそらく具体的な図形としての円ではなく、人の意識の中にのみ存在する円なのだろう」

なぞなぞ大好きのとんちの一休さんの問題みたいです。東大の入試問題みたく、難しいけど。

「中心がいくつもあり、しかも外周を持たない円」について、あなたが思ったことを述べよ。

読者の解答例みたいなもの:
  夢の中の「暗闇の中に浮かんでは消えていく奇妙な図形」(32頁)、例えば、レコード盤のうずまきのような円

「心臓は肋骨の檻の中で、怯えた鼠(ねずみ)が駆け回るような<かさこそ(傍点あり)>という不揃いな音を立てていた」(32頁)
これは、演奏を終えたレコード盤の針が最後の溝の円の中をむなしく何度も何度も空転している<かさこそ>音だと確信しました。

例えば、レコード盤上に刻まれた溝の渦巻きは半回転ごとに円の中心を持つと考えられます。
そんな仮想の円は、回転に連れて少しずつ小さくなるので、円の中心も少しずつ横方向へ移動していきます。
回転の瞬時瞬時の仮想円には、多数の中心が生まれては死んでいきます。
これらの仮想円は、人の頭の中の意識中にのみ存在します。仮想の円は、頭の中だけの集合体。

レコード盤の真ん中のブラックホールのような穴。その回転する「空洞」がつくる円のようなものと考えられます。
何もない「空洞」なので、その縁が形作る円は、外周を持ちません。空しい無の円形の空洞。

「ぼくらの人生にはときとしてそういうことが持ち上がる。説明もつかないし筋も通らない、しかし心だけは深くかき乱されるような出来事が。そんなときは何も思わず何も考えず、ただ目を閉じてやり過ごしていくしかないんじゃないかな」(38頁)

きっと、村上さんはそうやって、説明もつかないし筋も通らない、しかし心だけは深くかき乱されるような腹立たしい出来事をいくつも乗り越えてきたのではないでしょうか。

ただ目を閉じて、耳だけでレコードを聴いて、おだやかにやり過ごす。できそうで、なかなかできないことでしょう。
反論もせずに、無言で、こつこつと翻訳に集中する、気の毒な村上さんの姿が目に浮かぶようです。

村上さんの短篇には、本音が巧妙に隠されているように感じます。読者の勝手な推測かもしれません。
でも、そういう勝手な読みも許してくれそうな、不思議な許容力を感じます。ふところが深い作家です。
「中心がいくつもあり、しかも外周を持たない円」のような作品群に対して、読者が自由に解釈して楽しむ。村上作品の魅力です。

本誌(『文學界』平成三十年七月号)のQ頁の「挿絵」をヒントにして思いを巡らせました。

《チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ》
後日談、特に「もうひとつの後日談」がおもしろかったです。「僕」の夢の話。

「このチャーリー・パーカーが死んでいくときに、頭の中で選(よ)りに選ってベートーヴェンのメロディーを何度も何度も口ずさんでいるなんてな」

「僕」の夢の記憶が薄れないうちに「彼の語った一言ひとことをできる限り正確にボールペンでノートに書き留めた」もの。

「あなたにはそれが信じられるだろうか?
 信じた方がいい。それはなにしろ実際に起きたことなのだから」

村上さんは、大学生の頃に書いた「この二行」を、老年期に入った今も、繰り返しています。
村上さんの創作は、実際に起きたこととして信じた方が楽しめますよ、と言っているみたいです。

ネタばらしを含んだジョークのような創作、作り話を信じるほどバカじゃない、まだボケてないと自分を信じているので、
いくら楽しめるからと言っても、村上さんの創作を全面的には信じていません。
村上さんの夢の中では「実際に起きたこと」だからって、「ノンフィクションのリアルさを持った夢」のようには信じられません。

夢と希望と現実とがごっちゃごちゃなので。夢かうつつか、うつつが夢か。
ほんとの話だけで成り立っている現実なんだから、噓や作り話をしても無駄だぞ。お縄を頂戴しろ。天は見ておるぞ、何もかも。

「三つの短い話」は全部、十分に楽しめました。
ブラック・コーヒーを飲まなくても眠くならず、ベートーヴェンのピアノ協奏曲一番、三楽章と『コルコヴァド』を聴かなくても。
言葉のなぞなぞを考えながら、読めました。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年7月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
村上さんの新作が読める。それだけでも十分価値がある。
本当に久しぶりに購入したら読みやすくなっていた。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どのペ-ジからみても、どこの行から読んでも村上春樹だ。久しぶり短編が三つ「文学界」7月号に掲載されています。村上春樹は、長編の構想や文体に行き詰ると米国作家の作品を翻訳したり、そして、それをもとにした視点と構想で短編を書き、次の長編のために爪を磨いてきましたが、今回の三編は異色。そのまんまの村上春樹。

一作目の「石のまくらに」は、文体は「ノルウェ-の森」時代の村上春樹に回帰しつつ、新しい試みとして、作中の女性が書いたという想定で短歌というか短詩八首が披露されている。二作目は、なぞの多い「クリ-ム」。新聞の評者や読者の感想などざっと見てみましたが、みな的外れ。後述するように、この奇妙な作品には、あるトリックが隠されている、と思う。三作目の「チャーリ-・パ-カ-・プレイズ・ボサノヴァ」は、ああこんな想像上の録音が本当に存在しているならば、いくら払ってもだれもが購入するのに ! なんといっても、ボサノバの神様カルロス・ジョビンとの共演だ。それがなんとニュ-ヨ-クの古レコ-ド店で売られていた ?

さて、二作目の「クリーム」は、昔の知人からピアノリサイタルの正式な招待状が届いた、ところから始まる。指定された神戸の山の上のホ-ルに向かったが、その建物は何年も使われていないようで大きな南京錠までかかっている。さっぱり事情が分からないままとぼとぼと坂を下りていく主人公。疲れて途中のベンチに腰かけて、ふと目の前に現れた老人。「中心がいくつもある円」、「いくつもあって、しかも外周を持たない円」、について答えをだせ、という。わからないならば、真剣な努力をしてわかろうと努める先に人生のエッセンスがみえてくる、と言って消えた。

中心がいくつもあり、それでいて外周をもたない円とは宇宙空間のことだ。数えきれない数の銀河は、それぞれが中心を作りながら、全体としてただ一つの方向に膨張を続ける宇宙空間。138億年前に膨張を開始した。その時に重力に圧縮されていた時間が解き放たれた。外周がどこにあるのか、そもそもそんなものがあるのか知ることができない。

こうした、現代宇宙学のひとつに「多元宇宙論」が提唱されている。パラレルワ-ルドが存在すると。だから、コンサ-トホ-ルは存在もしたし、違った時空にスリップすれば、同時に期待されているようには存在もしていない。「1Q84」の月が二つある世界を思い出そう。村上春樹が偏愛している宇宙論だ。

「クリーム」の謎が解けた。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年9月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
村上春樹の久しぶりの短編3作、面白かったです。村上春樹が短歌に関心があったとは驚きでした。それも、なかなかうまい短歌でした。今回の3作は、派手ではないけれど、著者が昔を振り返り、しみじみとした心情を吐露している秀作で、その奥底の思いがじーんと伝わってきました。やっぱり、村上春樹は落ち着いた作品がいいなあ・・。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年9月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
手に取って読まれてからの評価です。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年7月21日に日本でレビュー済み
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1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年6月19日に日本でレビュー済み
村上春樹さん目当てで購入しました。
「石のまくらに」は14ページ
「クリーム」は16ページ
「チャーリー…」は14ページ
少なめですが久しぶりの新作に満足です。
単行本になったら買おうかとも考えましたが我慢出来ず…
「文學界」ははじめて買った気がします。他のこのての文芸誌より紙質が白く読みやすいですね。
「石のまくらに」は僕が大学二年の時にバイト先で出会った20代半ばくらいの女性との話です。たった一夜だけの関係。彼女は今どうしているのか?彼女がくれた歌集を時どき見て思います。
どこか「ノルウェーの森」っぽく初期の作品の感じがします。
「クリーム」は女性からピアノの発表会に招待されて出かけますが会場の建物の門には錆びた鎖が巻きつけられています。
だまされたぼくの前に不思議な老人が現れ人生について語りだします。老人は「騎士団長殺し」のイデアみたいな感じです。
フランツ・カフカの小説のような不思議な感じの世界観です。
「チャーリー…」は音楽好きな村上春樹さんらしくジャズやクラシックのことが書かれています。
1955年に亡くなったチャーリー・パーカーが生存しているかのように1963年にボサノヴァのアルバムを出したと架空のレコード批評を書いた僕。
15年後にレコード店で僕の架空のレコードを見つけることになり…
「東京奇譚集」にもあったジャズの神さまのいたずらみたいですね。
この3作が加筆され2〜3作ほどの書き下ろし新作短編が加わり単行本化されるのを楽しみに待っています。
8月5日に東京FMで放送される村上春樹さんのラジオ番組も楽しみにしています。
何を語りどんな曲をかけてくれるんでしょう?
録音します!
…追記
ラジオ番組を聴いた感想を送ったら全国で10名にしか当たらないTシャツが当たりました。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
村上春樹の創作が掲載されているのに惹かれて、つい購入したが、新発見だったのはあの石原慎太郎が85歳で脳梗塞の後遺症と闘いながら、今なお小説を新作し、寄稿しているという事実だった。石原慎太郎の新作のタイトルは「老惨」。目の前に迫る自分の死に対して、論考を重ねた上で、実はとても恐ろしいと心境を告白。対話形式で何の技巧も凝らされていないが、ちゃんと洒落ているし、小説として楽しめる作品ところがすごい。それだけでも買う価値あり。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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