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アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理 Kindle版
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この国のあとを追うのはもうやめよう
原理1 民主主義を減らす
原理2 若者を教化・洗脳する
原理3 経済の仕組みを再設計する
原理4 負担は民衆に負わせる
原理5 連帯と団結への攻撃
原理6 企業取締官を操る
原理7 大統領選挙を操作する
原理8 民衆を家畜化して整列させる
原理9 合意を捏造する
原理10 民衆を孤立させ、周辺化させる
この国のあとを追うのはもうやめよう
原理1 民主主義を減らす
原理2 若者を教化・洗脳する
原理3 経済の仕組みを再設計する
原理4 負担は民衆に負わせる
原理5 連帯と団結への攻撃
原理6 企業取締官を操る
原理7 大統領選挙を操作する
原理8 民衆を家畜化して整列させる
原理9 合意を捏造する
原理10 民衆を孤立させ、周辺化させる
- 言語日本語
- 出版社ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日2017/10/13
- ファイルサイズ84320 KB
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出版社より
商品の説明
出版社からのコメント
わたしは年をとっているからよく覚えていますが、
あの一九三〇年代の大恐慌当時の人々の気分、感情は、現在よりもはるかにひどいものでした。
けれども、わたしたちの気持ちのなかには、いつかこの大恐慌から抜け出すだろうという希望がありました。
状況は必ずもっとよくなると、みんな思っていたのです。
「今日は仕事がないかもしれないが、明日には仕事があるだろう、だから力を合わせていっしょに働いて、
もっと明るい未来をつくり出すことができる」という期待です。
……
ところが、現在、そのようなものは全く消えてしまって見当たりません。
いま人びとのなかに広がっているのは、「もう何も戻ってこない、すべては終わった」という感情です。
いまや、社会的地位が上昇する可能性はヨーロッパと比べてもぐっと低くなっています。
……
富の不平等は、過去に前例がないほどひどくなっています。
……
似たような時期は過去にもなかったわけではありません。
たとえば、1890年代の「金ぴか時代」や1920年代の「怒(ど)濤(とう)の20年」などです。
そのときの状況は現在と非常に近いものでした。
けれども、いまのアメリカはそれをはるかに超えるものになっています。
富の分配の不平等は、超富裕層(人口の0.01%)という大金持ちに起因しているのです。
アメリカンドリームの重要な部分は、階級の流動性です。
貧乏な家に生まれても刻苦勉励(こっくべんれい)すれば豊かになれる、というものです。 すべての人がきちんとした仕事を手に入れることができ、家を買うことができ、 車を手に入れることができ、子どもを学校に行かせることができるというものです。 けれどもいまや、そのすべてが崩壊してしまっているのです。
(冒頭「アメリカンドリームはどこに?」より一部抜粋)
あの一九三〇年代の大恐慌当時の人々の気分、感情は、現在よりもはるかにひどいものでした。
けれども、わたしたちの気持ちのなかには、いつかこの大恐慌から抜け出すだろうという希望がありました。
状況は必ずもっとよくなると、みんな思っていたのです。
「今日は仕事がないかもしれないが、明日には仕事があるだろう、だから力を合わせていっしょに働いて、
もっと明るい未来をつくり出すことができる」という期待です。
……
ところが、現在、そのようなものは全く消えてしまって見当たりません。
いま人びとのなかに広がっているのは、「もう何も戻ってこない、すべては終わった」という感情です。
いまや、社会的地位が上昇する可能性はヨーロッパと比べてもぐっと低くなっています。
……
富の不平等は、過去に前例がないほどひどくなっています。
……
似たような時期は過去にもなかったわけではありません。
たとえば、1890年代の「金ぴか時代」や1920年代の「怒(ど)濤(とう)の20年」などです。
そのときの状況は現在と非常に近いものでした。
けれども、いまのアメリカはそれをはるかに超えるものになっています。
富の分配の不平等は、超富裕層(人口の0.01%)という大金持ちに起因しているのです。
アメリカンドリームの重要な部分は、階級の流動性です。
貧乏な家に生まれても刻苦勉励(こっくべんれい)すれば豊かになれる、というものです。 すべての人がきちんとした仕事を手に入れることができ、家を買うことができ、 車を手に入れることができ、子どもを学校に行かせることができるというものです。 けれどもいまや、そのすべてが崩壊してしまっているのです。
(冒頭「アメリカンドリームはどこに?」より一部抜粋)
著者について
ノーム・チョムスキー
政治哲学者、活動家、言語学者であるノーム・チョムスキーは、真実を追求する姿勢と優れた思想で世界中から敬愛されている。
1928年12月7日、ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ、ペンシルベニア大学で言語学、数学、哲学を学び、1955年、博士号を取得。
その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で50年間教鞭をとり、その後、名誉教授。
その言語学的研究は革命的で幅広い信用を得、政治に関する著作は数十年にわたり重要な貢献をしてきた。
2001年には『9-11』を出版し、彼の最初の世界的ベストセラーとなり、おそらく「ポスト9-11」の本の中で最も大きな影響力を持つ1冊となった。
その他『Profit Over People』『Media Control』『Hegemony or Survival』『Failed States』『Hopes and Prospects』『Masters of Mankind』
『What Kind of Creatures Are We?』『Who Rules the World?』など政治に関するベストセラー著作も多数。
訳者 寺島 隆吉(てらしま たかよし)
1944年生まれ。東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学)卒業。元岐阜大学教育学部(英語教育講座)教授。
現在、国際教育総合文化研究所所長。岐阜大学在職中に、コロンビア大学、カリフルニア大学バークリー校、サザン・カリフォルニア大学客員研究員。
ノースカロライナ州立農工大学(グリーンズボロ)、カリフォルニ州立大学ヘイワード校日本語講師などを歴任。 著書:『学習集団形成のすじみち』(明治図書)、『英語教育原論』『英語教育が亡びるとき』『英語で大学が亡びるとき』、
監修『寺島メソッド 英語アクティブラーニング』(以上、明石書店)、シリーズ『授業の工夫』全6巻、
『英語にとって学力とは何か』『英語にとって授業とは何か』(以上、三友社出版)、シリーズ『英語音声への挑戦』全6巻、
『国際理解の歩き方』、『英語にとって文法とは何か』『英語にとって音声とは何か』『英語にとって評価とは何か』
『英語にとって教師とは何か』(以上、あすなろ社)、共著『センとマルとセンで英語が好き! に変わる本』(中経出版、全国学校図書館協議会選定図書2004年度)など多数。
訳書:『チョムスキー、21世紀の帝国アメリカを語る』(明石書店)。共訳:『チョムスキーの教育論』『肉声でつづる民衆のアメリカ史』
『アフガニスタン、悲しみの肖像画』(以上、明石書店)、『衝突を超えて― 9・11後の世界秩序』(日本経済評論社、日本図書館協議会選定図書2003年度)など多数。
寺島 美紀子(てらしま みきこ)
津田塾大学学芸学部国際関係論学科卒業。現在、朝日大学経営学部教授。東京大学客員研究員、イーロンカレッジ客員研究員(アメリカ、ノースカロライナ州)を歴任。
著書:『ロックで読むアメリカ――翻訳ロック歌詞はこのままでよいか?』(近代文芸社)、『Story Of A Songの授業』『英語学力への挑戦――走り出したら止まらない生徒たち』
『英語授業への挑戦――見えない学力・見える学力・人間の発達』(以上、三友社出版)、
『英語「直読直解」への挑戦』(あすなろ社)、共著『センとマルとセンで英語が好き! に変わる本』(中経出版)など多数。
共訳:『チョムスキーの教育論』『肉声でつづる民衆のアメリカ史』(以上、明石書店)、『衝突を超えて――9・11後の世界秩序』(日本経済評論社)。
政治哲学者、活動家、言語学者であるノーム・チョムスキーは、真実を追求する姿勢と優れた思想で世界中から敬愛されている。
1928年12月7日、ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ、ペンシルベニア大学で言語学、数学、哲学を学び、1955年、博士号を取得。
その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で50年間教鞭をとり、その後、名誉教授。
その言語学的研究は革命的で幅広い信用を得、政治に関する著作は数十年にわたり重要な貢献をしてきた。
2001年には『9-11』を出版し、彼の最初の世界的ベストセラーとなり、おそらく「ポスト9-11」の本の中で最も大きな影響力を持つ1冊となった。
その他『Profit Over People』『Media Control』『Hegemony or Survival』『Failed States』『Hopes and Prospects』『Masters of Mankind』
『What Kind of Creatures Are We?』『Who Rules the World?』など政治に関するベストセラー著作も多数。
訳者 寺島 隆吉(てらしま たかよし)
1944年生まれ。東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学)卒業。元岐阜大学教育学部(英語教育講座)教授。
現在、国際教育総合文化研究所所長。岐阜大学在職中に、コロンビア大学、カリフルニア大学バークリー校、サザン・カリフォルニア大学客員研究員。
ノースカロライナ州立農工大学(グリーンズボロ)、カリフォルニ州立大学ヘイワード校日本語講師などを歴任。 著書:『学習集団形成のすじみち』(明治図書)、『英語教育原論』『英語教育が亡びるとき』『英語で大学が亡びるとき』、
監修『寺島メソッド 英語アクティブラーニング』(以上、明石書店)、シリーズ『授業の工夫』全6巻、
『英語にとって学力とは何か』『英語にとって授業とは何か』(以上、三友社出版)、シリーズ『英語音声への挑戦』全6巻、
『国際理解の歩き方』、『英語にとって文法とは何か』『英語にとって音声とは何か』『英語にとって評価とは何か』
『英語にとって教師とは何か』(以上、あすなろ社)、共著『センとマルとセンで英語が好き! に変わる本』(中経出版、全国学校図書館協議会選定図書2004年度)など多数。
訳書:『チョムスキー、21世紀の帝国アメリカを語る』(明石書店)。共訳:『チョムスキーの教育論』『肉声でつづる民衆のアメリカ史』
『アフガニスタン、悲しみの肖像画』(以上、明石書店)、『衝突を超えて― 9・11後の世界秩序』(日本経済評論社、日本図書館協議会選定図書2003年度)など多数。
寺島 美紀子(てらしま みきこ)
津田塾大学学芸学部国際関係論学科卒業。現在、朝日大学経営学部教授。東京大学客員研究員、イーロンカレッジ客員研究員(アメリカ、ノースカロライナ州)を歴任。
著書:『ロックで読むアメリカ――翻訳ロック歌詞はこのままでよいか?』(近代文芸社)、『Story Of A Songの授業』『英語学力への挑戦――走り出したら止まらない生徒たち』
『英語授業への挑戦――見えない学力・見える学力・人間の発達』(以上、三友社出版)、
『英語「直読直解」への挑戦』(あすなろ社)、共著『センとマルとセンで英語が好き! に変わる本』(中経出版)など多数。
共訳:『チョムスキーの教育論』『肉声でつづる民衆のアメリカ史』(以上、明石書店)、『衝突を超えて――9・11後の世界秩序』(日本経済評論社)。
登録情報
- ASIN : B0761RTMPL
- 出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017/10/13)
- 発売日 : 2017/10/13
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 84320 KB
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年3月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
チョムスキー博士は、現代の最高の知識人であり、とても公正かつ公平な、信頼すべき人物だと思います。20年以上前から、彼を信じて、生きています。
2022年12月17日に日本でレビュー済み
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著者は10年以上前にメディアコントロールを読んで以来、西部邁さんとともに本当に勉強になっている方ですが、大企業が政治を支配するツールとして問題にされている政治献金の絶対量は圧倒的に共和党よりも民主党が多く、大手マスコミは民主党の味方で、民主党大統領下では官僚として政権に多数入るほど肩入れしているにも係わらず、共和党政権をより強く批判しているところには違和感を持ちました。
共和党は米国中心をむき出しにしているかもしれませんが、無駄な実際に戦争を起こしているのは民主党政権が多く、極めて偽善的でありながら巨悪といえるのは民主党政権だと思います。
一方、日本ではアメリカ以上に報道は限定されており、親米保守から護憲左翼までの大手メディア論調しかないために、本来必要であるはずの独立保守が無いというのを西部さんに教えて頂きましたが、それに比べるとアメリカはまだ民衆がフェイクニュースということに目覚めているだけマシですね。
共和党は米国中心をむき出しにしているかもしれませんが、無駄な実際に戦争を起こしているのは民主党政権が多く、極めて偽善的でありながら巨悪といえるのは民主党政権だと思います。
一方、日本ではアメリカ以上に報道は限定されており、親米保守から護憲左翼までの大手メディア論調しかないために、本来必要であるはずの独立保守が無いというのを西部さんに教えて頂きましたが、それに比べるとアメリカはまだ民衆がフェイクニュースということに目覚めているだけマシですね。
2018年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『アメリカンドリームの終わり』というタイトルに心は引かれるものの、
その分厚さ(約300ページ)に少し緊張を強いられました。私の悪い癖は
ページを読み進めるにつれ、関心が枝葉に拡散してしまい、結果的に著者
が伝えたいエッセンスを見失ってしまうことです。今回はその愚を避けよ
うと思いました。
ページ下段には詳細な「訳者注」、章末にはトータルで70ページにも及ぶ
「資料」が付されています。これらにはあえて目をつぶりました。
驚いたことに読書スピードがとても軽快でした。ストレスがまったくあり
ません。結果的に3回繰り返し読むことになりました。
読み終えて私の心に残ったのは著者の深い絶望感とその底知れない闇の中
から何とか光を手繰り寄せようとするしたたかさです。
「人間は『種』として存続できるか」(p.260)という問いかけは昨今の世界
情勢を散見するだけでも実感として迫ってきます。私が購読している新聞の
「詩壇」にこんな投稿詩が掲載されていました。
「そのうち来るであろう/恐ろしいことを想定しながら/大きな宙よ爆発し
ないでおくれ/核はごめんだ」(一部)
市井の詩人の感性も共振しています。
「わたしたちはいまや目を見開いたまま世界の破滅へと向かっているのです。
私たちの孫の世代が、もはや生きてはいけない世界です。」(p.263)
1928年生まれの著者にとっての「孫の世代」は1949年生まれの私にとっては
「子の世代」です。私には3歳と5歳の可愛い孫もいます。彼らの生存が絶たれ
ることを想像するだけでもぞっとします。
しかし、著者はこここそが出発点なのだ、ということを冷静な言葉遣いで私た
ちに語りかけているような気がしました。ではどうしたらいいのか?二つあり
ます。
一つは「歴史」に目を向けることです。今進行している事態は昨日今日突発的
に生じたのではありません。10年、50年、100年、数百年、さらには古代ギリ
シャにまで視野を広げるとかえって現在が鮮明に見えてくることを著者は淡々
と述べてゆきます。
もう一つは「人々と交流すること」です。
これは実に「古典的」な提案です。膝をつき合わせなくてもコミュニケーション
が成立すると誤解されやすいソーシャル・メディアがどんなに便利になっても結
局は、「直接、面と向かって人々と交流すること」が「ほんとうに大事な活動の
原点」(p.273)だと著者は言っています。「わたしたちは人間でありロボットでは
ないからです。」(p.274)
アメリカでは組織率が7%以下にまで下落している「労働組合」(p.207)の重要性
が強調されます。「支配層」が極度に恐れるのが働く人々の連帯です。日本では
データをねつ造してでも「働き方改革」(=「働かせ方改悪」)を実施しようと
必死になっています。
私の住んでいる地域でも「不当解雇」の問題があります。それに対して労働組合
を中心に幅広い支援活動が粘り強く展開されています。その支援の場に身を置
「絶望感」に流されない自分を感じることができます。
「人と交わること」をきちんやってきたのは「左派」ではなく「ティーパーティ」
などの「右派」組織だと著者は指摘します(p.191)。そう言えば日本の現政権を生
み出してきたグループの人たちは1960年代から華々しく展開されてきた「左派運
動」の陰でしっかり「草の根運動」を積み上げてきた、という説明を耳にしたこ
とがあります。
本書は著者の友人であるハワード・ジンの次の言葉で締めくくられます。
「重要なのは、ひとりの偉大な指導者ではなく、名も無い人たちの無数の活動の積
み重ねである。そのような人たちが歴史に残るような大きな出来事の土台を築いて
きたのだ」(p.276)。
晩年の湯川秀樹が絶望的な表情をして車椅子に乗っているのをテレビで見たことが
あります。人類が辿る未来を人一倍鮮明に想像し、その重圧を一人で耐えているよ
うに私には思えました。彼が亡くなってから約40年。彼の背負った重圧を今度は天
才だけではなく「名も無い人」も担うことになりました。本書を三回読み直してそ
う感じました。
この次読む時は「訳者注」にも「資料」にもきちんと目を通そうと思います。
その分厚さ(約300ページ)に少し緊張を強いられました。私の悪い癖は
ページを読み進めるにつれ、関心が枝葉に拡散してしまい、結果的に著者
が伝えたいエッセンスを見失ってしまうことです。今回はその愚を避けよ
うと思いました。
ページ下段には詳細な「訳者注」、章末にはトータルで70ページにも及ぶ
「資料」が付されています。これらにはあえて目をつぶりました。
驚いたことに読書スピードがとても軽快でした。ストレスがまったくあり
ません。結果的に3回繰り返し読むことになりました。
読み終えて私の心に残ったのは著者の深い絶望感とその底知れない闇の中
から何とか光を手繰り寄せようとするしたたかさです。
「人間は『種』として存続できるか」(p.260)という問いかけは昨今の世界
情勢を散見するだけでも実感として迫ってきます。私が購読している新聞の
「詩壇」にこんな投稿詩が掲載されていました。
「そのうち来るであろう/恐ろしいことを想定しながら/大きな宙よ爆発し
ないでおくれ/核はごめんだ」(一部)
市井の詩人の感性も共振しています。
「わたしたちはいまや目を見開いたまま世界の破滅へと向かっているのです。
私たちの孫の世代が、もはや生きてはいけない世界です。」(p.263)
1928年生まれの著者にとっての「孫の世代」は1949年生まれの私にとっては
「子の世代」です。私には3歳と5歳の可愛い孫もいます。彼らの生存が絶たれ
ることを想像するだけでもぞっとします。
しかし、著者はこここそが出発点なのだ、ということを冷静な言葉遣いで私た
ちに語りかけているような気がしました。ではどうしたらいいのか?二つあり
ます。
一つは「歴史」に目を向けることです。今進行している事態は昨日今日突発的
に生じたのではありません。10年、50年、100年、数百年、さらには古代ギリ
シャにまで視野を広げるとかえって現在が鮮明に見えてくることを著者は淡々
と述べてゆきます。
もう一つは「人々と交流すること」です。
これは実に「古典的」な提案です。膝をつき合わせなくてもコミュニケーション
が成立すると誤解されやすいソーシャル・メディアがどんなに便利になっても結
局は、「直接、面と向かって人々と交流すること」が「ほんとうに大事な活動の
原点」(p.273)だと著者は言っています。「わたしたちは人間でありロボットでは
ないからです。」(p.274)
アメリカでは組織率が7%以下にまで下落している「労働組合」(p.207)の重要性
が強調されます。「支配層」が極度に恐れるのが働く人々の連帯です。日本では
データをねつ造してでも「働き方改革」(=「働かせ方改悪」)を実施しようと
必死になっています。
私の住んでいる地域でも「不当解雇」の問題があります。それに対して労働組合
を中心に幅広い支援活動が粘り強く展開されています。その支援の場に身を置
「絶望感」に流されない自分を感じることができます。
「人と交わること」をきちんやってきたのは「左派」ではなく「ティーパーティ」
などの「右派」組織だと著者は指摘します(p.191)。そう言えば日本の現政権を生
み出してきたグループの人たちは1960年代から華々しく展開されてきた「左派運
動」の陰でしっかり「草の根運動」を積み上げてきた、という説明を耳にしたこ
とがあります。
本書は著者の友人であるハワード・ジンの次の言葉で締めくくられます。
「重要なのは、ひとりの偉大な指導者ではなく、名も無い人たちの無数の活動の積
み重ねである。そのような人たちが歴史に残るような大きな出来事の土台を築いて
きたのだ」(p.276)。
晩年の湯川秀樹が絶望的な表情をして車椅子に乗っているのをテレビで見たことが
あります。人類が辿る未来を人一倍鮮明に想像し、その重圧を一人で耐えているよ
うに私には思えました。彼が亡くなってから約40年。彼の背負った重圧を今度は天
才だけではなく「名も無い人」も担うことになりました。本書を三回読み直してそ
う感じました。
この次読む時は「訳者注」にも「資料」にもきちんと目を通そうと思います。
2017年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本の魅力は、次の3点にあると感じます。。
第一に、チョムスキーならではの洞察を読めること
第二に、その洞察の根拠となる資料が豊富に載せられていること
第三に、寺島氏の分かりやすい文体と寺島氏独自の追加資料がよりチョムスキーの主張を分かりやすくしていること です。
私が、印象に残った点をいくつか引用します(ゴシック体の部分)。
まず、第一に、現在社会をコントロールしている人たちが、民衆の「連帯と団結」を恐れて、「分断」をどのように持ち込み、「合意」を「捏造」しているかという指摘です。
たとえば、現在のメディケアを改悪するような制度を導入しようときは、これは現在55才以上の年齢層には適用されない、という条項を入れるわけです。というのは、議会で法案を通そうと思えば、有権者の支持を得なければならず、その有権者の大半は、55歳以上の年齢層によって占められているからです。 p133
そうやって年配層の利己主義に期待するわけです。年配層の利己主義に働きかえれば、かれらは自分の子どもや孫たちが将来どのような被害に遭おうと気にしなくなるからです。メディケアは、子どもや孫の世代もきちんと医療が受けられるようにするというのが、本来の精神で、老人医療の土台をなす原理だったはずですが、富裕層はそのようなことを忘れるよう、巧みに新しい法案を作成するわけです。 p133
それは「日没(サンセット)原理」と呼ばれています。つまり、太陽が沈むように、古き良き老人医療精度を享受していた世代が日没とともに姿を消したころに、次の新しい世代の、新しい法案に基づく、新しい世代が登場し、新しい老人医療精度をなんの疑問ももたず喜んで受け入れる、と期待されているのです。 p134
民衆は何もしなければ理性的な判断をするからこそ、かれらを非合理的・非理性的な動物に変える必要があったのです。だからこそ、強大なエネルギーとお金をそのことに注ぎ込んでいるのです。p240
また、民衆が「考えることがないように」と、いかなる方策を埋め込んでいるか、この点もチョムスキーが語ると説得力を持ちます。
民衆のなかに欲望をつくりだし、すぐ手の届くところにその製品を置きさせすれば、民衆はその罠にはまり、その「生活必需品の消費者」になっていく、というわけです。それは1920年代の経済史を読めばよく分かります。そこで話題になっていたのは、民衆の関心を毎日の生活の取るに足らないようなことに引きつけていく必要性についてでした。それが「流行を追いかける消費者」の創出といわれるものでした。そうすれば民衆は流行ばかりを追いかけ回し、「われわれ」のほんとうの狙いに気づかずにいてくれるから、というわけです。 p229
その根底にある考えは、人びとの頭を支配し、社会全体をひとつの完全な体制に仕組むことです。完全な体制というのは、「二個一組」に基づく社会です。二個一組というのは、「あなた」と「あなたの見るテレビ」との一対です。いまの流行でいえば、あなたとアイフォンかもしれませんし、あなたとインターネットになるかもしれません。その一組があなたに快適な生活を提供するわけです。それらは、あなたが快適で健康な生活を送るためには、それらが必需品ですよ、というわけです。
こうして、あなたはそのようなガラクタ商品を手に入れるために、全力を尽くすことになるわけです。実際は、必要でなかったり、本当は欲しくなかったりするようなものだから、少し時間がたつと、すぐに投げ捨てることになるのですが。 p232
現在のアメリカの労働者の労働時間は、世界の諸国と比べてもはるかに長くなってきています。それは、労働者を従順にする効果も持っています。なぜなら、自由な時間が少なくなり、レジャーに出かける時間もありませんし、ゆっくりものを考える時間もありませんから、ますます上からの命令に従うようになるわけです。それが労働時間延長の効果です。 p87
もうひとつの方策は、授業料の値上げです。1970年以来、大学の授業料は上がる一方です。いまではとてつもないレベルにまで達しています。先にも述べたように、この授業料値上げが、学生運動を押さえ込むために意図的・計画的になされたということを証明する直接的な証拠はありませんが、結果は歴然としています。 p54
わたしたちの人間関係を崩壊させるようなことが毎日のように起こっています。そして、それこそが権力者の狙いなのです。かれらの狙いは、人びとを、お互いに恐れあったり憎みあったりするように仕向けることだからです。そうすれば、民衆は自分たちのことだけに関心をもち、他の人たちのことなど考えもしなくなるからです。 p254
第二に、その洞察の根拠となる資料がとても面白い。例えば、ルソーは道徳心の源泉は「共苦」だと言います。「共苦」の精神は、同胞を思う生物的本能に近いものであり、だれもが持っていると言います。そういう思想がアダム・スミスにおいても見られるということをこの本から知り、大変興味深かった。
他人への哀れみや同情も、この人間の本性のひとつであり、他人の苦悩を目の当たりにしたり、目にせざるを得ない状況に追い込まれたときに感じる情動に他ならない。他人が悲しんでいるとき自分も悲しくなるという事実は、あまりにも当然すぎて、それを証明する必要すらない。
アダム・スミス「道徳的感情の理論」1759 p145
このような感情は、他のすべての根源的な感情と同じように、誰もがもっているものであり、高潔で慈悲深い人間だけに限られているわけではない。それをもっとも敏感に感じとるのが高潔で慈悲深い人間なのかもしれないが、極悪人と言われている人間や最悪の無法者と言われている人間でさえ、そのような感情をまったくもたないわけではない。 p146
アダム・スミスの経済学のすべては、「同情・共感」という人間の基本的な特性にその原理を置くものだったからです。p125
アダム・スミスの思想はヒューマニズムにあふれたものであり、現在の新自由主義とは別のものであると理解しました。次の指摘もAI時代の重要な提案だと思います。
われわれは人間であり、ロボットではない。職場で働くにしても、人間であることを止めてはならない。人間であるということは、豊かな文化的伝統から利益を得ることである。単に自分たち自身がもつ伝統だけはなく、他の多くの人たちからも豊かなものを受け継ぐべきだ。単に熟練労働者になるだけではなく、人間としても賢く豊かになるべきだ。これがアダム・スミスの考え方でした。 p212
第三に、寺島氏独自の追加資料がよりチョムスキーの主張を分かりやすくしています。安部政権を支える「株高」ですが、株主が以下に優遇されているかがよく分かります。
下段の図は、国家税収全体における「キャピタルゲイン(株式譲渡益)」の比率が、先と同じ60年でそのように推移したかを示すものである。これを見ると、株で大儲けしている投資家からの税収が、かつて40%近くもあったのに、いまでは20%以下にまで下落していることがわかる。 p109
これを見ると、下位80%の勤労者は、年収のほとんどが「賃金・給料」であるのに反して、超富裕層の年収の大半は「配当金・株式譲渡益」によるものであることが、はっきりとわかる。 p111
寺島氏独自の資料が図表とともに掲載されており、次のチョムスキーの叙述をより説得力のあるものとしています。
ところが、いまやそれは大きく修正されてしまいました。超大金持ちに対する税金は低くなる一方です。そして、それに反比例して民衆への税金は増大化しています。そのように税制が組み替えられてきたのです。しかも、所得税と売上税(消費税)だけで、株の配当には課税されない方向へと進んでいるのです。
所得税や売上税はすべての人がはらわなければなりませんが、株の配当金への税金は、事実上、金持ちだけに課せられることになります。これが富裕層にとっては許せないというわけです。 p108
第一に、チョムスキーならではの洞察を読めること
第二に、その洞察の根拠となる資料が豊富に載せられていること
第三に、寺島氏の分かりやすい文体と寺島氏独自の追加資料がよりチョムスキーの主張を分かりやすくしていること です。
私が、印象に残った点をいくつか引用します(ゴシック体の部分)。
まず、第一に、現在社会をコントロールしている人たちが、民衆の「連帯と団結」を恐れて、「分断」をどのように持ち込み、「合意」を「捏造」しているかという指摘です。
たとえば、現在のメディケアを改悪するような制度を導入しようときは、これは現在55才以上の年齢層には適用されない、という条項を入れるわけです。というのは、議会で法案を通そうと思えば、有権者の支持を得なければならず、その有権者の大半は、55歳以上の年齢層によって占められているからです。 p133
そうやって年配層の利己主義に期待するわけです。年配層の利己主義に働きかえれば、かれらは自分の子どもや孫たちが将来どのような被害に遭おうと気にしなくなるからです。メディケアは、子どもや孫の世代もきちんと医療が受けられるようにするというのが、本来の精神で、老人医療の土台をなす原理だったはずですが、富裕層はそのようなことを忘れるよう、巧みに新しい法案を作成するわけです。 p133
それは「日没(サンセット)原理」と呼ばれています。つまり、太陽が沈むように、古き良き老人医療精度を享受していた世代が日没とともに姿を消したころに、次の新しい世代の、新しい法案に基づく、新しい世代が登場し、新しい老人医療精度をなんの疑問ももたず喜んで受け入れる、と期待されているのです。 p134
民衆は何もしなければ理性的な判断をするからこそ、かれらを非合理的・非理性的な動物に変える必要があったのです。だからこそ、強大なエネルギーとお金をそのことに注ぎ込んでいるのです。p240
また、民衆が「考えることがないように」と、いかなる方策を埋め込んでいるか、この点もチョムスキーが語ると説得力を持ちます。
民衆のなかに欲望をつくりだし、すぐ手の届くところにその製品を置きさせすれば、民衆はその罠にはまり、その「生活必需品の消費者」になっていく、というわけです。それは1920年代の経済史を読めばよく分かります。そこで話題になっていたのは、民衆の関心を毎日の生活の取るに足らないようなことに引きつけていく必要性についてでした。それが「流行を追いかける消費者」の創出といわれるものでした。そうすれば民衆は流行ばかりを追いかけ回し、「われわれ」のほんとうの狙いに気づかずにいてくれるから、というわけです。 p229
その根底にある考えは、人びとの頭を支配し、社会全体をひとつの完全な体制に仕組むことです。完全な体制というのは、「二個一組」に基づく社会です。二個一組というのは、「あなた」と「あなたの見るテレビ」との一対です。いまの流行でいえば、あなたとアイフォンかもしれませんし、あなたとインターネットになるかもしれません。その一組があなたに快適な生活を提供するわけです。それらは、あなたが快適で健康な生活を送るためには、それらが必需品ですよ、というわけです。
こうして、あなたはそのようなガラクタ商品を手に入れるために、全力を尽くすことになるわけです。実際は、必要でなかったり、本当は欲しくなかったりするようなものだから、少し時間がたつと、すぐに投げ捨てることになるのですが。 p232
現在のアメリカの労働者の労働時間は、世界の諸国と比べてもはるかに長くなってきています。それは、労働者を従順にする効果も持っています。なぜなら、自由な時間が少なくなり、レジャーに出かける時間もありませんし、ゆっくりものを考える時間もありませんから、ますます上からの命令に従うようになるわけです。それが労働時間延長の効果です。 p87
もうひとつの方策は、授業料の値上げです。1970年以来、大学の授業料は上がる一方です。いまではとてつもないレベルにまで達しています。先にも述べたように、この授業料値上げが、学生運動を押さえ込むために意図的・計画的になされたということを証明する直接的な証拠はありませんが、結果は歴然としています。 p54
わたしたちの人間関係を崩壊させるようなことが毎日のように起こっています。そして、それこそが権力者の狙いなのです。かれらの狙いは、人びとを、お互いに恐れあったり憎みあったりするように仕向けることだからです。そうすれば、民衆は自分たちのことだけに関心をもち、他の人たちのことなど考えもしなくなるからです。 p254
第二に、その洞察の根拠となる資料がとても面白い。例えば、ルソーは道徳心の源泉は「共苦」だと言います。「共苦」の精神は、同胞を思う生物的本能に近いものであり、だれもが持っていると言います。そういう思想がアダム・スミスにおいても見られるということをこの本から知り、大変興味深かった。
他人への哀れみや同情も、この人間の本性のひとつであり、他人の苦悩を目の当たりにしたり、目にせざるを得ない状況に追い込まれたときに感じる情動に他ならない。他人が悲しんでいるとき自分も悲しくなるという事実は、あまりにも当然すぎて、それを証明する必要すらない。
アダム・スミス「道徳的感情の理論」1759 p145
このような感情は、他のすべての根源的な感情と同じように、誰もがもっているものであり、高潔で慈悲深い人間だけに限られているわけではない。それをもっとも敏感に感じとるのが高潔で慈悲深い人間なのかもしれないが、極悪人と言われている人間や最悪の無法者と言われている人間でさえ、そのような感情をまったくもたないわけではない。 p146
アダム・スミスの経済学のすべては、「同情・共感」という人間の基本的な特性にその原理を置くものだったからです。p125
アダム・スミスの思想はヒューマニズムにあふれたものであり、現在の新自由主義とは別のものであると理解しました。次の指摘もAI時代の重要な提案だと思います。
われわれは人間であり、ロボットではない。職場で働くにしても、人間であることを止めてはならない。人間であるということは、豊かな文化的伝統から利益を得ることである。単に自分たち自身がもつ伝統だけはなく、他の多くの人たちからも豊かなものを受け継ぐべきだ。単に熟練労働者になるだけではなく、人間としても賢く豊かになるべきだ。これがアダム・スミスの考え方でした。 p212
第三に、寺島氏独自の追加資料がよりチョムスキーの主張を分かりやすくしています。安部政権を支える「株高」ですが、株主が以下に優遇されているかがよく分かります。
下段の図は、国家税収全体における「キャピタルゲイン(株式譲渡益)」の比率が、先と同じ60年でそのように推移したかを示すものである。これを見ると、株で大儲けしている投資家からの税収が、かつて40%近くもあったのに、いまでは20%以下にまで下落していることがわかる。 p109
これを見ると、下位80%の勤労者は、年収のほとんどが「賃金・給料」であるのに反して、超富裕層の年収の大半は「配当金・株式譲渡益」によるものであることが、はっきりとわかる。 p111
寺島氏独自の資料が図表とともに掲載されており、次のチョムスキーの叙述をより説得力のあるものとしています。
ところが、いまやそれは大きく修正されてしまいました。超大金持ちに対する税金は低くなる一方です。そして、それに反比例して民衆への税金は増大化しています。そのように税制が組み替えられてきたのです。しかも、所得税と売上税(消費税)だけで、株の配当には課税されない方向へと進んでいるのです。
所得税や売上税はすべての人がはらわなければなりませんが、株の配当金への税金は、事実上、金持ちだけに課せられることになります。これが富裕層にとっては許せないというわけです。 p108
2020年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
豊富な資料と著者の知性と経験に裏打ちされた重厚な一冊。
やや想像が逞しすぎるかも、と思える箇所もあるものの内容は概ね同意できる。権力者は民衆を愚かなものと決めつけ、自分たちが導くべきだと考えている。そして衆愚政治はこの一世紀成功している。これは事実だ。
一般大衆が対抗するには知性を磨くことである。疑いを持ち、安易な選択をしないこと。社会は権力の写し鏡ではなく、真の民衆の写し鏡であれ。本書は権力者や知識人の欺瞞を暴きながらより良い社会の構築に必要なものの見方や在り方を教えてくれる。
やや想像が逞しすぎるかも、と思える箇所もあるものの内容は概ね同意できる。権力者は民衆を愚かなものと決めつけ、自分たちが導くべきだと考えている。そして衆愚政治はこの一世紀成功している。これは事実だ。
一般大衆が対抗するには知性を磨くことである。疑いを持ち、安易な選択をしないこと。社会は権力の写し鏡ではなく、真の民衆の写し鏡であれ。本書は権力者や知識人の欺瞞を暴きながらより良い社会の構築に必要なものの見方や在り方を教えてくれる。
2019年3月3日に日本でレビュー済み
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アメリカが題材ですが、まさに日本で起こっていることの現状を、細部に至るまで重ね合わせることができるのが驚きです。たとえば、極右のティーパーティーが選挙期間以外に地道な活動をしてきたことが、結果として政治に影響をもつ団体になったこと、、リベラルは選挙に参加することが民主主義だ!という宣伝に絡めとられている間に、、など。
この本を読むことを通じて日本の問題に、それがなぜおこっているのか、という背景を含めて深い洞察を持つことができるようになると思います。
この本を読むことを通じて日本の問題に、それがなぜおこっているのか、という背景を含めて深い洞察を持つことができるようになると思います。
2020年5月31日に日本でレビュー済み
ちゃんとしたテキストデータの電子書籍になってません。こんな酷いkindle本は久しぶりに見た。