本書は30の章で構成されているが、それぞれの章は論理でつながったものではなく、それぞれは独立している。しかし、それらは質量を持たない線が絡んで仮の全体を構成している。第一部「結び目をつくること」、第二部「天候にさらされること」、第三部「人間になること」の三部構成である。
・第一部「結び目をつくること」;
生命は一般に信じられているようなブロックではなく、結び目で織られている。壁や建物や身体の中で、ラインがいかに互いに結ばれているかが示される。
ブロックとは生命体ならば細胞のかたまり、つまり有機体などと呼ばれ、人は大きなかたまりとして捉えられている。本書ではブロブ(blob)、小さなかたまりと表現され、そしてそれは否定される。根本的な生命観の変更が提示される。
最近、思弁的実在論のグレアム・ハーマン『非唯物論: オブジェクトと社会理論』を読んだばかりなのだが、彼の哲学との類似性を感じた。彼がモノたちというとき、生命と物質を区別しない。そして、モノたちどうしは非関係の関係にあり、互いに魅惑(allure)し合っている(代替因果性、vicarious causation)という。そして、これはモノたちの共生でもある。
著者のインゴルドは、このハーマンの説明を否定しないはずだ。インゴルドは、この魅惑をラインの結び目・からまりと表現したのだろう。もうひとつ、ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』における「リゾーム」の構造を説明する、線を多用したグラフィックを見たことがある。リゾームもインゴルドのラインに似ていた。
・第二部「天候にさらされること」;
歩くことや機を織ること、観察すること、歌うこと、物語を語ることなど、ラインとして運動するライン学を学ぶためには、天候を研究しなければならない。インゴルドはライン学を補完するために、息、時間、気分、音、記憶、色、そして空に共通する性質、一言でいえば雰囲気を研究する気象学を展開している。
雨に歩けば傘を差し、日差しが強ければ日陰を探す。モノたちは天候と結び目をつくって活動している。
・第三部「人間になること」;
インゴルドは、ライン学を人間の領域に持ち出す。生を持続するために我々が為すことは、引き受けた生の中で形づくられる。絶えず他者と応答する中で、社会の基盤たる調和の原則を成立させる。
気候がもたらす多くの偶然の中で、人となり、人として存在する。
本書は説得力を持って、物質世界が生命につながることを考えさせてくれる。本書は人類学の本だが、哲学、地理学、社会学、建築芸術の広い範囲をカバーしている。
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ライフ・オブ・ラインズ―線の生態人類学 単行本 – 2018/9/25
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世界から注目される人類学者、
ティム・インゴルドのライフワーク
「ライン学(=linealogy)」の到達点。
結ぶこと、天候、歩くこと、成長すること、人間になること……
見たことのない自由な発想で、この世界にさまざまなラインを見いだす。
哲学、生態学、気象学、人類学の境界を踏み超えて自在に歩き回る、
人類学者インゴルドの驚くべき「線」の探求の旅。
線を作りだすことは、人間になること──
「たとえ意識されることがなかったとしても、道を歩いたことがある者、布を縫ったことがある者、動物を追いかけたことがある者、詩を朗読したことがある者、図を描いたり手紙を書いたりしたことがある者、──つまるところ、実際に生きている者であれば誰もがそれ〔「ライン学」〕に携わってきた。」(本書より)
たとえ意識していなくても、道を歩いたり、布を縫ったり、動物を追いかけたり、詩を朗読したり、図を描いたり、手紙を書いたりしたことがあれば、つまり、実際に生きているわたしたち人間誰もが、「ライン学」の研究者といえる。
つまり、わたしたち人間は誰もが、「ライン学」の研究者といえるのだ。
そのように説くインゴルドは、本書において、歩くこと、織ること、観察すること、歌うこと、物語ること、描くこと、書くことといった、人間が紡ぎ出す文化の中にあるラインを見出しながら、「結び目をつくること」「天候にさらされること」「人間になること」という3つの枠組みを手がかりに、「ライン学(=linealogy)」をさらに広い視点から考察していく。
本書では、インゴルド自身が提唱する社会的生命論から、ベルクソン、ジェイムズ・ギブソンやメルロ゠ポンティ、ドゥルーズ゠ガタリ、そしてオルテガ・イ・ガセットの人間論やハンナ・アレントのリーダーシップ論、教育哲学者ヤン・マッシェラインを引き合いに出しながら、バクテリアの細胞と鞭毛、画家マティスの《ダンス》、タコとイソギンチャク、小説家イタロ・カルヴィーノの書く「結び目」、グレアム・ハーマンのオブジェクト指向存在論(OOO)、ロープの結び目と木の継ぎ目、さらには壁、山と摩天楼の差異、地面、知識へと関心を遷移させ、次いで風、つむじ風、渦巻き、風と歩行、足跡、天候を知覚することと世界、大気と雰囲気、空気、空、太陽の光、色、音とメロディにまで考察を広げ、さらには人間化することについて、人間形成、成長することと作ること、行なうことと経験すること、服従することと熟練すること、あいだにあるもの、中動態、調和といった思考に深化させていく。
哲学、社会学、生態心理学、芸術学、考古学、建築学など多様な領域をクロスオーバーする人類学研究を精力的に展開するインゴルドによる、「ライン(線)の生態人類学」の決定的一冊。
「人間は、どこで生きているのであれ、そしてどのようにして生きているのであれ、常に人間になりつつあるのであり、つまりその進展とともに自らを創造しているのである。人間は、この意味で、自分自身の生の脚本家あるいは小説家なのだ。」(本書より)
◎目次
序文
第1部 結び目をつくること
1 ラインとブロブ(小さな塊)
2 タコとイソギンチャク
3 対象のない世界
4 物質、身振り、感覚、感情
5 結び目と接ぎ目について
6 壁
7 山と摩天楼
8 地面
9 表面
10 知識
第2部 天候にさらされること
11 つむじ風
12 道に沿った足跡
13 風‐歩行
14 天候‐世界
15 大気゠雰囲気(アトモスフィア)
16 滑らかな空間の中で膨らむこと
17 巻きつくこと
18 空の下で
19 太陽の光の筋とともに見ること
20 ラインと色
21 ラインと音
第3部 人間になること
22 人間であるとは一つの動詞である
23 人間発生論
24 行なうこと、経験すること
25 迷路と迷宮
26 教育と注意
27 服従が先導し、熟練が追従する
28 一つの生
29 あいだのもの
30 ラインの調和
訳者あとがき
参考文献
索引
ティム・インゴルドのライフワーク
「ライン学(=linealogy)」の到達点。
結ぶこと、天候、歩くこと、成長すること、人間になること……
見たことのない自由な発想で、この世界にさまざまなラインを見いだす。
哲学、生態学、気象学、人類学の境界を踏み超えて自在に歩き回る、
人類学者インゴルドの驚くべき「線」の探求の旅。
線を作りだすことは、人間になること──
「たとえ意識されることがなかったとしても、道を歩いたことがある者、布を縫ったことがある者、動物を追いかけたことがある者、詩を朗読したことがある者、図を描いたり手紙を書いたりしたことがある者、──つまるところ、実際に生きている者であれば誰もがそれ〔「ライン学」〕に携わってきた。」(本書より)
たとえ意識していなくても、道を歩いたり、布を縫ったり、動物を追いかけたり、詩を朗読したり、図を描いたり、手紙を書いたりしたことがあれば、つまり、実際に生きているわたしたち人間誰もが、「ライン学」の研究者といえる。
つまり、わたしたち人間は誰もが、「ライン学」の研究者といえるのだ。
そのように説くインゴルドは、本書において、歩くこと、織ること、観察すること、歌うこと、物語ること、描くこと、書くことといった、人間が紡ぎ出す文化の中にあるラインを見出しながら、「結び目をつくること」「天候にさらされること」「人間になること」という3つの枠組みを手がかりに、「ライン学(=linealogy)」をさらに広い視点から考察していく。
本書では、インゴルド自身が提唱する社会的生命論から、ベルクソン、ジェイムズ・ギブソンやメルロ゠ポンティ、ドゥルーズ゠ガタリ、そしてオルテガ・イ・ガセットの人間論やハンナ・アレントのリーダーシップ論、教育哲学者ヤン・マッシェラインを引き合いに出しながら、バクテリアの細胞と鞭毛、画家マティスの《ダンス》、タコとイソギンチャク、小説家イタロ・カルヴィーノの書く「結び目」、グレアム・ハーマンのオブジェクト指向存在論(OOO)、ロープの結び目と木の継ぎ目、さらには壁、山と摩天楼の差異、地面、知識へと関心を遷移させ、次いで風、つむじ風、渦巻き、風と歩行、足跡、天候を知覚することと世界、大気と雰囲気、空気、空、太陽の光、色、音とメロディにまで考察を広げ、さらには人間化することについて、人間形成、成長することと作ること、行なうことと経験すること、服従することと熟練すること、あいだにあるもの、中動態、調和といった思考に深化させていく。
哲学、社会学、生態心理学、芸術学、考古学、建築学など多様な領域をクロスオーバーする人類学研究を精力的に展開するインゴルドによる、「ライン(線)の生態人類学」の決定的一冊。
「人間は、どこで生きているのであれ、そしてどのようにして生きているのであれ、常に人間になりつつあるのであり、つまりその進展とともに自らを創造しているのである。人間は、この意味で、自分自身の生の脚本家あるいは小説家なのだ。」(本書より)
◎目次
序文
第1部 結び目をつくること
1 ラインとブロブ(小さな塊)
2 タコとイソギンチャク
3 対象のない世界
4 物質、身振り、感覚、感情
5 結び目と接ぎ目について
6 壁
7 山と摩天楼
8 地面
9 表面
10 知識
第2部 天候にさらされること
11 つむじ風
12 道に沿った足跡
13 風‐歩行
14 天候‐世界
15 大気゠雰囲気(アトモスフィア)
16 滑らかな空間の中で膨らむこと
17 巻きつくこと
18 空の下で
19 太陽の光の筋とともに見ること
20 ラインと色
21 ラインと音
第3部 人間になること
22 人間であるとは一つの動詞である
23 人間発生論
24 行なうこと、経験すること
25 迷路と迷宮
26 教育と注意
27 服従が先導し、熟練が追従する
28 一つの生
29 あいだのもの
30 ラインの調和
訳者あとがき
参考文献
索引
- 本の長さ344ページ
- 言語日本語
- 出版社フィルムアート社
- 発売日2018/9/25
- 寸法13.5 x 2.7 x 19.5 cm
- ISBN-104845916266
- ISBN-13978-4845916269
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出版社より
商品の説明
著者について
[著者]
ティム・インゴルド(Tim Ingold)
1948年生まれのイギリスの人類学者。1976年、ケンブリッジ大学で社会人類学の博士号を取得、1995年よりアバディーン大学にて教鞭を取る。哲学、社会学、生態心理学、芸術学、考古学、建築学など多様な領域をクロスオーバーする人類学研究を精力的に展開している。著書にThe Perception of the Environment: Essays in Livelihood, Dwelling and Skill, 2000、Lines: Brief History, 2007(邦訳『ラインズ──線の文化史』)、Being Alive: Essays on movement, knowledge and description, 2011、Making: Anthropology, Archaeology, Art and Architecture, 2013(邦訳『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』)、Anthropology and/as Education, 2017、Anthropology: Why It Matters, 2018など多数。
[訳者]
筧菜奈子(かけい・ななこ)
美術史研究者。2017年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。著書に『めくるめく現代アート——イラストで楽しむ世界の作家とキーワード』(フィルムアート社、2016年)。翻訳にトマ・ゴルセンヌ「装いの系譜学——記号学的モデルとしての紋章から、有機的モデルとしての生地まで」(『現代思想』〈特集=人類学の時代〉青土社、2017年3月臨時増刊号)。岡山大学、関西大学、関西学院大学、京都精華大学など非常勤講師。
島村幸忠(しまむら・ゆきただ)
煎茶家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC)。専門は美学・芸術学。翻訳にベルトラン・プレヴォー「コスミック・コスメティック——装いのコスモロジーのために」(『現代思想』〈特集=現代思想の新展開2015「思弁的実在論と新しい唯物論」〉青土社、2015年1月号)がある。京都造形芸術大学通信教育部及び岡山大学非常勤講師。
宇佐美達朗(うさみ・たつろう)
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。日本学術振興会特別研究員(DC2)。現代哲学専攻。2017年にUniversité Paris NanterreでMaster 2 (Philosophie) を取得。
ティム・インゴルド(Tim Ingold)
1948年生まれのイギリスの人類学者。1976年、ケンブリッジ大学で社会人類学の博士号を取得、1995年よりアバディーン大学にて教鞭を取る。哲学、社会学、生態心理学、芸術学、考古学、建築学など多様な領域をクロスオーバーする人類学研究を精力的に展開している。著書にThe Perception of the Environment: Essays in Livelihood, Dwelling and Skill, 2000、Lines: Brief History, 2007(邦訳『ラインズ──線の文化史』)、Being Alive: Essays on movement, knowledge and description, 2011、Making: Anthropology, Archaeology, Art and Architecture, 2013(邦訳『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』)、Anthropology and/as Education, 2017、Anthropology: Why It Matters, 2018など多数。
[訳者]
筧菜奈子(かけい・ななこ)
美術史研究者。2017年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。著書に『めくるめく現代アート——イラストで楽しむ世界の作家とキーワード』(フィルムアート社、2016年)。翻訳にトマ・ゴルセンヌ「装いの系譜学——記号学的モデルとしての紋章から、有機的モデルとしての生地まで」(『現代思想』〈特集=人類学の時代〉青土社、2017年3月臨時増刊号)。岡山大学、関西大学、関西学院大学、京都精華大学など非常勤講師。
島村幸忠(しまむら・ゆきただ)
煎茶家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC)。専門は美学・芸術学。翻訳にベルトラン・プレヴォー「コスミック・コスメティック——装いのコスモロジーのために」(『現代思想』〈特集=現代思想の新展開2015「思弁的実在論と新しい唯物論」〉青土社、2015年1月号)がある。京都造形芸術大学通信教育部及び岡山大学非常勤講師。
宇佐美達朗(うさみ・たつろう)
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。日本学術振興会特別研究員(DC2)。現代哲学専攻。2017年にUniversité Paris NanterreでMaster 2 (Philosophie) を取得。
登録情報
- 出版社 : フィルムアート社 (2018/9/25)
- 発売日 : 2018/9/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 344ページ
- ISBN-10 : 4845916266
- ISBN-13 : 978-4845916269
- 寸法 : 13.5 x 2.7 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 215,699位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 452位文化人類学一般関連書籍
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.2つ
5つのうち4.2つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
6グローバルレーティング
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年10月5日に日本でレビュー済み
線を結ぶ、織るという行為を、これまで当然のように日本的なものと捉えてきた。本書にもある通り、それは実際、日本文化に深く根付いている。だからこそ、イギリス人である著者が提唱するライン学に触れることはとても刺激的だ。
前作の後編とも言える本作の主題は、天気である。全ての事象に線を見出すライン学において、光や音の伝達を担う「大気」を扱うことは自然だが、英単語のatmosphereから転じて、いわゆる「雰囲気」を論じるところが面白い。確かにゴッホは空を線で描く。
夜空に輝く星は遠くにある一方で、われわれ見る者の心を打つという意味で今ここにある。そのためこの間に1本の線が結ばれるわけではなく、まさにゴッホが描くような波を打つというのが著者の考察だ。
他の学問と同じように、ライン学にも終わりはない。私という代名詞を動詞に置き換え、人間であるために学び続けるというのがライン学者としての著者の態度だ。
前作の後編とも言える本作の主題は、天気である。全ての事象に線を見出すライン学において、光や音の伝達を担う「大気」を扱うことは自然だが、英単語のatmosphereから転じて、いわゆる「雰囲気」を論じるところが面白い。確かにゴッホは空を線で描く。
夜空に輝く星は遠くにある一方で、われわれ見る者の心を打つという意味で今ここにある。そのためこの間に1本の線が結ばれるわけではなく、まさにゴッホが描くような波を打つというのが著者の考察だ。
他の学問と同じように、ライン学にも終わりはない。私という代名詞を動詞に置き換え、人間であるために学び続けるというのがライン学者としての著者の態度だ。