①歴史家と宗教学者の対談は抜群に面白い。しかも分かりやすい。鎌倉仏教の開祖たちの歴史的真実が述べられる。
②法然は『選択本願念仏集』の著者として有名であるが、執筆したのは弟子たちであると言う。この話は面白いが、比叡山で教学研究を長年行ってきた優秀な仏教徒が執筆出来ないなどということがあり得るのだろうか？読めるということは書けるということではないか？
③しかし、実践家として称名念仏による極楽浄土への往生を説いた法然にとっては、毎日法会を開き、様々な会衆と一同に念仏を称える実践=修行が重視されたことは間違いない。
④究極の疑問は、法然はなぜ浄土宗に救いを求め、日蓮はなぜ『法華経』に救済を求めたのか、いや、『法華経』に仏法の最高の真理を見出だしたのか？
⑤そこまでは分からなくても良い。誰も分からないからである。鎌倉仏教誕生の背景には末法思想の流行があった。しかし、この思想を当時の民衆はどこまで理解出来たのか？関心を示したのは貴族や武士であった。しかし、民衆に分かりやすく仏法を説くには易行が必要だった。親鸞の話では、五木寛之の小説『親鸞』を思い出した。
興味が尽きない本である。
お勧めの一冊だ。
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