青春ラブコメの金字塔、俺ガイル。
そんな名作のアンソロジーなわけですが、すごく面白かったです。
原作ファンはもちろんですが、僕のようにラノベの新人賞に応募している、いわゆる「作家志望」には必読かもしれません。
と言うのも、この一冊は「作家性」というものを存分に感じさせてくれます。
例えば「テンプレばっか」と言われる異世界転生モノであっても、10人の作家が書けばそれぞれの個性が出るように、俺ガイルという世界観の中であっても、やはり作家の個性は出てくるものなのだと感じました。
僕のように「作家としての強味・武器」というものが、おぼろげにしか分かっていない人間にとっては勉強になる一冊です。
以下、自分のメモ代わりの意味も含め、それぞれの作品で思ったことを書いておきます。
〇「その答えは風に吹かれている」 石川博品
簡単に言えばヒロインたちのパンツを見ようとするお話。石川先生のパンツに対する並々ならぬ熱意を感じました。怖い。
なんでしょうね。他の作家は「俺ガイルという世界観にお邪魔します」って感じなのですが、石川先生は「え? 俺ガイルのアンソロジー? よーし! 無茶苦茶してやるぜ!」感がすげぇです。例えるなら「え? 焼肉奢ってくれんの? おっしゃ、高いの頼んだろ!」みたいな。でもそれが面白さに直結しているのですから「やっぱプロってすげぇ」って思っちゃいました。
〇「将棋はとっても楽しいなあ!!」 さがら総
将棋部の部員が持ち込んだ相談を、奉仕部の比企谷くんと雪ノ下さんが解決するお話です。
で、このお話は「雪ノ下さんは普段どんなことを考えているのかしら」ってのが分かる短編になっています。つまり雪ノ下さんの「地の文」が読めるわけです。雪ノ下さんって案外、頭の中は柔らかい言葉遣いだったりするらしいです。正直「その優しい感じで喋れば友達できたのでは?」と思いますが、そうできないのが雪ノ下さんが雪ノ下さんである所以なのかしらと思いました。このアンソロジー集の中では、さがら総先生が描く雪ノ下さんが一番可愛かったです。あんな青春ラブコメしたかった。
〇「雪ノ下雪乃と比企谷八幡の、期せず生まれた初舞台」 天津向
比企谷くんと雪ノ下さんが、地域の子供を集めたお楽しみ会で漫才を披露するお話です。
この短編を読んで思ったのは、ラノベでよくある「キャラ同士の掛け合いで笑わせる」ってのは「漫才の血を引いてるんだろうな」ってことです。
中でも比企谷くんと雪ノ下さんが初めて漫才の練習をするシーンがあるのですが、そこの掛け合いが漫才そのものだと思ってしまいました。
個人的には人を笑わすのが一番難しい技術だと思っているので、こういうのを書ける天津先生はすげぇなって思います。あと、指折るぞ。
〇「いつしか雪ノ下雪乃の髪は、あの日の風に吹かれている」 水沢夢
あくる日の奉仕部で、雪ノ下さんの白髪を見つけてしまった由比ヶ浜さんと、そこに居合わせた比企谷くんのお話です……なのですが、なぜでしょう。
なぜか頭の中に残るワードは「ツインテール」。ツインテール、ツインテール、ツインテール。その単語ばっか。
原作に対するリスペクトをすごく感じたお話だったはずなのに、後に残るのは「ああ、ツインテールだったなあ」という印象ばかり。
まあでも仕方ありません。水沢先生ですから!
〇「そして、雪ノ下雪乃(29)は問い直す」 裕時悠示
簡単にまとめると、29歳になった雪ノ下さんが視察で訪れたコールセンターの問題を解決する話です。
個人的には一番「俺ガイル感」を楽しめた作品かもしれません。いろいろと書きたいことはありますが、これは読んだほうが早いです。
確かにアンソロジーなんだけど、もしかすると原作のifストーリーなのかもしれません。例えば、比企谷くんが雪ノ下さんと付き合わなかった世界線とか。
〇「斯くして、彼の前に新たな敵は現われる」 渡航
雪ノ下パパの視点で描かれた物語であり、雪乃から「お父さん。紹介したい人がいるの」と言われるお話です。
雪ノ下パパの思考というか考え方は比企谷くんそっくりです。女性は父親に似た男性を好きになるなんて話がありますが、その俗説を信じるのであれば、雪乃さんが比企谷くんを好きになったのも納得できるかもしれません。それと、時系列的には比企谷くんや雪乃さんが高校三年生になったくらいのお話であり、付き合い立てホヤホヤで浮かれる雪乃さんを見ることができます。
てことで、それぞれのお話の感想でした。
原作ファンも僕のような作家志望も読んで損はないはず。
それに、現役バリバリで活動している作家がここまで集まるアンソロジーってそうない気がします。やっぱすげぇぜ俺ガイル。
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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。アンソロジー 1 雪乃side (ガガガ文庫) Kindle版
「俺ガイル」アンソロジー4冊刊行!
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のアンソロジー小説、2か月連続、計4冊刊行!
青春群像小説の金字塔「俺ガイル」がついに完結! 9年の軌跡とアニメ3期の放映を祝し、アンソロジーを2020年3月、4月に2冊ずつ、計4冊を連続刊行。
本作「雪乃side」は、「雪ノ下雪乃」にまつわる短編とイラストを収録。
うかみ、春日 歩、切符、ももこといった大人気イラストレーター、石川博品、さがら 総、天津 向、水沢 夢、裕時悠示といった超豪華作家陣が参加!! 夢のコラボが実現しました。
そしてさらに、ぽんかん(8)と渡 航による、本作にあてた完全かき下ろし作品も収録!
ここでしか読めない、珠玉の物語集!
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2020/3/23
- ファイルサイズ13220 KB
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登録情報
- ASIN : B085XZZXBK
- 出版社 : 小学館 (2020/3/23)
- 発売日 : 2020/3/23
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 13220 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 297ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 6,897位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年3月29日に日本でレビュー済み
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2022年1月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
俺ガイル終わっちゃっ…た…。って思って朦朧と2次創作を徘徊していたら何故か見つけたこの作品。なに!?プロが俺ガイルの2次創作?!なんて思って手に取ってみたら、感謝感激雨あられ。言葉にできないほど面白かったです。まあ、プロ作者の色彩が渡さんのパレット上で描かれるんですから、面白くないわけがないんですが。渡さん、この企画考えてくれて本当にありがとう。これで心置きなく成仏できます。
2023年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作ラストまで読みました。あーもう終わっちゃったなと思いながら本屋に行ったらアンソロジーという単語が。
悩みに悩んで(2年)購入。
アンソロジーの意味が分かってなく読み終わってからようやく理解しましたw
雪ノ下雪乃視点ストーリーで社会人編、家族編を短編で作られています
作者は哲学っぽい事を書く傾向が強いが、それを面白おかしく書くのが上手だな思います。気付いたらケタケタ笑ってました
ただ後半はアンソロジーというだけあって学校以外のストーリーだったため、また前作を読んだ人に取って内容を理解するのに時間がかかりました
何でここに雪ノ下が...あーそういうことかなど。家族編も同様
出来れば話が始まる前に簡単な説明が欲しかった。
普段読まないが読みやすく楽しかったです
悩みに悩んで(2年)購入。
アンソロジーの意味が分かってなく読み終わってからようやく理解しましたw
雪ノ下雪乃視点ストーリーで社会人編、家族編を短編で作られています
作者は哲学っぽい事を書く傾向が強いが、それを面白おかしく書くのが上手だな思います。気付いたらケタケタ笑ってました
ただ後半はアンソロジーというだけあって学校以外のストーリーだったため、また前作を読んだ人に取って内容を理解するのに時間がかかりました
何でここに雪ノ下が...あーそういうことかなど。家族編も同様
出来れば話が始まる前に簡単な説明が欲しかった。
普段読まないが読みやすく楽しかったです
2020年3月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
雪乃ファンには堪らない一冊です。
各エピソードに登場する雪乃のキャラは、初期の雪乃がモチーフになっている作品が多いですね。
「問い直す」というエピソードは、八幡と別れた後、社会人になった雪乃の話で、面白い着想でした。
渡航先生のエピソードには、雪乃パパも登場。
雪乃パパは、可哀そうな位置づけです。
春日歩先生、切符先生、ももこ先生のイラストはカラーもあり、夫々魅力的です。
各エピソードに登場する雪乃のキャラは、初期の雪乃がモチーフになっている作品が多いですね。
「問い直す」というエピソードは、八幡と別れた後、社会人になった雪乃の話で、面白い着想でした。
渡航先生のエピソードには、雪乃パパも登場。
雪乃パパは、可哀そうな位置づけです。
春日歩先生、切符先生、ももこ先生のイラストはカラーもあり、夫々魅力的です。
2020年3月29日に日本でレビュー済み
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え、レビュー辛辣すぎやしませんか。汗
充分楽しめました!しかし、渡先生が最後かっさらっていったのも確か。
なぜ、ママのんが八幡を気に入ったのか個人的にはかなり納得できたしこれからでてくるSSも楽しみな内容でした。しかし、パパのん。。。ごめんなさい同情するべきなのでしょうが、めちゃくちゃ笑わせていただきました。
充分楽しめました!しかし、渡先生が最後かっさらっていったのも確か。
なぜ、ママのんが八幡を気に入ったのか個人的にはかなり納得できたしこれからでてくるSSも楽しみな内容でした。しかし、パパのん。。。ごめんなさい同情するべきなのでしょうが、めちゃくちゃ笑わせていただきました。
2020年5月6日に日本でレビュー済み
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公式のアンソロジーです
特に渡航先生による父親パートが
個人的にはお気に入りです
特に渡航先生による父親パートが
個人的にはお気に入りです
2020年4月20日に日本でレビュー済み
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アンソロジーなので、原作者本人のエピソード以外は当然違和感ありましたが、楽しくは読めました。
最終巻が出る前の執筆だったでしょうから、コールセンターの未来編は難しかったでしょうね。その後の原作者のエピソードと辻褄が合ってません。
最終巻が出る前の執筆だったでしょうから、コールセンターの未来編は難しかったでしょうね。その後の原作者のエピソードと辻褄が合ってません。
2020年3月30日に日本でレビュー済み
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一部キャラ崩壊気味なとこがあったのは、事実でしたがアンソロジーとして見れば面白かったです。でもこの本の1番の素晴らしさは、原作者である渡航先生の書いてくれたお話でした。ネタバレ注意
話は雪ノ下家の一幕で時系列は、原作の最終巻直後あたりからでした。最初読んでいる時語りが誰かわからなくでも八幡ではなさそうで少し残念に思っていましたが、しかし!語りが本編でも出てこなかったあの雪ノ下家の大黒柱であるパパのんでした。テンションMAXになりました。実際原作の段階だとパパのんは、イメージ的にどんな魔王的なやばいやつなんだろうと思っていましたがただの妻と娘バカの父親で家の女性陣に頭が上がらない系のかわいいおじちゃんでした。話の内容は可愛い娘に男ができてショックを受ける父親というテンプレ的なものでした。だがしかし!原作の最終巻のあの終わり方でこれからどうなるんだろう…とモヤモヤした雪乃推しの自分でしたがどうやら順調そうです。八幡とメールをしている雪乃がパパのん視点で出てくるのですが、めっちゃかわいい!思わず雪乃と同じ行動を取ってしまいましたw。マジで尊い…正直この話を読むためだけに買うのも全然勧められる内容でした。できればこれからのアンソロジーで八幡と雪乃のデート回を一話だけでいいので渡航先生に書いて欲しいと思いました。マジでお願いします🙇♂️
話は雪ノ下家の一幕で時系列は、原作の最終巻直後あたりからでした。最初読んでいる時語りが誰かわからなくでも八幡ではなさそうで少し残念に思っていましたが、しかし!語りが本編でも出てこなかったあの雪ノ下家の大黒柱であるパパのんでした。テンションMAXになりました。実際原作の段階だとパパのんは、イメージ的にどんな魔王的なやばいやつなんだろうと思っていましたがただの妻と娘バカの父親で家の女性陣に頭が上がらない系のかわいいおじちゃんでした。話の内容は可愛い娘に男ができてショックを受ける父親というテンプレ的なものでした。だがしかし!原作の最終巻のあの終わり方でこれからどうなるんだろう…とモヤモヤした雪乃推しの自分でしたがどうやら順調そうです。八幡とメールをしている雪乃がパパのん視点で出てくるのですが、めっちゃかわいい!思わず雪乃と同じ行動を取ってしまいましたw。マジで尊い…正直この話を読むためだけに買うのも全然勧められる内容でした。できればこれからのアンソロジーで八幡と雪乃のデート回を一話だけでいいので渡航先生に書いて欲しいと思いました。マジでお願いします🙇♂️