いくつかある「アンネ・フランク」の伝記漫画のうちのひとつ。
アンネの生まれた1929年から始まり、幼年時は当時のドイツの社会情勢の説明を中心にユダヤ人迫害が徐々に活発化する中で、アンネ一家はドイツからオランダへ逃れます。
しかし、そのオランダもドイツに占領されてユダヤ人に対する迫害が開始されます。
最初は公共施設からの締め出し。ユダヤ人学校への集約化等、真綿で首を絞めるかのようにじわじわと追い詰めていく。遂には強制収容所への移送が開始され、アンネの姉のマルゴーに対する召喚状が届くに至り、アンネの父親のオットーはかねてより計画していた隠れ家の引っ越しを始める。
隠れ家でアンネは日記をつけ始め、これが戦後に出版されて大ベストセラーになる「アンネの日記」である。
隠れ家にはアンネ一家の他にファン・ダーン夫妻と息子のペーター、そして後から歯科医のデュッセルが加わり8名にもなる。昼間は階下の協力者が運営する会社の従業員に気が付かれないように物音を立てられない生活。
さらに外に出られない不自由さや物資不足が続き、ストレスから住人同士の衝突が発生する。
特にアンネは一番年下ということもあるが活発な性格で他の住人たちと喧嘩を繰り返していた。
しかしそれは彼女の幼さ故の部分も大きく、日記を通して自身と対話することで大人の階段を駆け上がっていく。
1943年には連合国軍がノルマンディに上陸し、終戦と解放の時も近いかと思われた。
だが、何者かの密告により8月4日の夏の日に一家は秘密警察に踏み込まれて全員逮捕され、強制収容所送りとなった。
収容所は噂で聞いていたよりも酷いところでアンネは若かったのでガス室行きは免れたものの、食料も満足に与えられない環境で重労働に狩り出され徐々に衰えていく。
不衛生な環境で姉のマルゴーがチフスに罹患し命を落とし、アンネも同じくチフスで数日後に姉の後を追った。
戦後、ただ一人生存して隠れ家に帰還した父・オットーはアンネが書き溜めていた日記を出版し、「ホロコースト」の恐ろしさを今日まで語り伝えた。
この漫画は絵がかなり特徴的なのだが、アンネの生まれた頃の社会情勢から隠れ家以前の成長期・隠れ家での日常・そして強制収容所に送られてから亡くなるまでの3つの期間に満遍なくページを割いており、アンネの伝記漫画の中ではかなり分り易い構成になっている。
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