1巻がアマゾンに至るまでの道程で考察したことを主に述べているに対し、この2巻目がアマゾンで彼が先住民の集団を直接調査した時のことが書かれている。
まず、なるべく客観的な記述に徹していることが重要なポイントである。いかなる事象に出会おうと、客観的な記述に徹すること。この姿勢はフィールドワークを行う時の基本姿勢であり、この観察態度は、のちにも述べられる民族学者としての態度を忠実に守るものである。
そして調査を終えた後、レヴィストロース自身の感想も述べられるが、これは自作の戯曲『神にされたアウグストゥス』という形で、間接的に述べられる。
他のレヴューにもあるが、この戯曲は自らの民族学者としての立場を名誉を求める人物として描き、自ら揶揄する作品である。この中に、彼がアマゾンで直面した葛藤の全てがまとめられているように思う。
この作品は、非常に現代的な問題を含んでいる。文明に接した先住民族は例外なく自らの太古から伝えてきたであろう文化を捨て、新しい道具を使い、楽を覚え、物質主義経済に飲み込まれ、麻薬や犯罪によって破滅の道を歩む。
レヴィストロースは「文明とは一体何なのだろうか」ということについて、深い問題意識を持つに至る。
それは堕落なのか、あるいは、ある一点に向かって盲目的に進む本能なのだろうか?
レヴィストロース自身も西洋人である限り、先住民の文化を破壊してきた文明の側の人間であり、結局は、文明側で生まれた民族学によって、人類の残りカスを集めているだけの人間ではないだろうか。
結局、先住民族の文化を研究する意味は、人類の歴史的な教訓を発見することだ、という観点に落ち着くかに見えるが、この後レヴィストロースの思想は我々の社会にある構造を見出すという学問を生み出すことになる。
この書を読むことは、自分自身の属する文明社会というものが、一体何か?
私たちの構築してきた文明の本質とは何か?
ということに直面することであり、答えは読んだ人それぞれが出さなければならない、という厳しい課題を突きつけられることになるだろう。
これに対する回答は簡単に出ない。また、単なる先住民族の保護という解決策では、あまりに単純すぎて、この問題に対する回答にはなっていない。
この書を読むには、非常に込み入った、複雑な思考が必要とされるので、覚悟してかかってほしい。
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悲しき熱帯 (2) (中公クラシックス W 5) 新書 – 2001/5/10
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- ISBN-10412160007X
- ISBN-13978-4121600073
- 出版社中央公論新社
- 発売日2001/5/10
- 言語日本語
- 本の長さ449ページ
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- 出版社 : 中央公論新社 (2001/5/10)
- 発売日 : 2001/5/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 449ページ
- ISBN-10 : 412160007X
- ISBN-13 : 978-4121600073
- Amazon 売れ筋ランキング: - 104,862位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 16位中公クラシックス
- - 236位文化人類学一般関連書籍
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2019年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1巻目で挫折した人が多いのではないかといささか心配する。だが、『悲しき熱帯』の本丸は、この2巻である。
主にボロロ族、ナンビクワラ族、トゥピ=カワイブ族の社会構造の比較を通して、最終的には白人文明社会の傲慢を批判する。
文字を持たず、未開社会と言われたインディオたちの生活に中に組み込まれた高度な知恵。環状集落に隠された身分制度や婚姻システム。あるいは、一夫多妻制と首長の権力がどのようにして生まれ、維持されているのか。人類の原点ともいえる社会構造を、先住民の生活から読み取るレヴィ=ストロースの鋭い観察眼と、彼らに向けるどこか心優しい眼差しがしばしば垣間見え、最後まで読ませるのである。
本書の内容に沿ってつくられた写真集『ブラジルへの郷愁』を手元に置き、レヴィ=ストロースと一緒にアマゾン奥地を旅してみてはどうだろう。
主にボロロ族、ナンビクワラ族、トゥピ=カワイブ族の社会構造の比較を通して、最終的には白人文明社会の傲慢を批判する。
文字を持たず、未開社会と言われたインディオたちの生活に中に組み込まれた高度な知恵。環状集落に隠された身分制度や婚姻システム。あるいは、一夫多妻制と首長の権力がどのようにして生まれ、維持されているのか。人類の原点ともいえる社会構造を、先住民の生活から読み取るレヴィ=ストロースの鋭い観察眼と、彼らに向けるどこか心優しい眼差しがしばしば垣間見え、最後まで読ませるのである。
本書の内容に沿ってつくられた写真集『ブラジルへの郷愁』を手元に置き、レヴィ=ストロースと一緒にアマゾン奥地を旅してみてはどうだろう。
2017年12月29日に日本でレビュー済み
第1巻では、ブラジルに行くまでの経緯や過程などが詳しく書かれている。
第2巻は、ほとんどが調査の記録についての内容で、ようやく人類学の本らしくなってきた。
レヴィ=ストロースの記述は、原住民たちの風習や習慣だけでなく、現代の社会において、彼らが置かれている状況にも、厳しい目を向けていく。
そうしたことが、この本の題名にも現れているのだろう。
かつて訪れた人々の変わり果てた現状を知った時のレヴィ=ストロースの怒りと悲しみは、読む者の心を大きく揺さぶる。
第2巻は、ほとんどが調査の記録についての内容で、ようやく人類学の本らしくなってきた。
レヴィ=ストロースの記述は、原住民たちの風習や習慣だけでなく、現代の社会において、彼らが置かれている状況にも、厳しい目を向けていく。
そうしたことが、この本の題名にも現れているのだろう。
かつて訪れた人々の変わり果てた現状を知った時のレヴィ=ストロースの怒りと悲しみは、読む者の心を大きく揺さぶる。
2016年11月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
レヴィストロースの中でも興味深い一冊なのではないでしょうか。おすすめです。
2016年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文化人類学の有名な本の後半。前半より面白い。一見小説のような文章で、気楽に読み進むうちに、世界観が変わるような発見をすることでしょう。私は幾つかの文章を暗記するほど読み込みました。
2019年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これは、原著者の癖?と思われるが、文章の一節が長く理解しにくい。訳者も時間をかけて手こずったと思われる。内容は他の解説本などで読んではいたが、やはり蒙を啓かれる思いがした。一度は読むべき本だ。
2020年3月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第2巻でも、訳者が思い込んでいる内容にあてはまらない(訳者にとって不都合な)言葉を訳し飛し、文章が捻じ曲げられている。当然、本来の言葉の意味も失われている。
不明瞭な言葉や文章の詳細を検証することなく、不都合な箇所を「見なかったこと」にして何やら語っちゃうのは問題ありでしょう。
不明瞭な言葉や文章の詳細を検証することなく、不都合な箇所を「見なかったこと」にして何やら語っちゃうのは問題ありでしょう。
2018年4月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何とか通読したのですが、これがあれほど言われる名著?との感想です。