自身はニワカファンを自称しています。
作者は今から百年前を生きていたとは考えられないほど、未来に生きていると感じます。
私がファンになったときからハヤカワの「鼠と竜のゲーム」は廃刊になっていました。
その事実に絶望し、忘れかけていたときにこの作品の発刊を知りました。
本邦初出の作品を始め、どの作品も最高でした。
しかし、ある漫画の登場人物の言をお借りすると「今更 初訳される話がおもしろいワケないだろ」というところでもあります。
ある意味では正しいかもしれません。
でも、違うんです。
コードウェイナー・スミスの各個の作品にはつながりがあり、流れがあります。
全短編3まで読んでなおのこと、この一冊の凄みを感じることができます。
もちろん、この一冊を手始めに読んでも、最高の読書体験を得ることができます。
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スキャナーに生きがいはない 人類補完機構全短篇 (ハヤカワ文庫SF) Kindle版
1950年、あるSF雑誌に無名の新人の短篇が掲載された。異様な設定、説明なしに使われる用語、なかば機械の体の登場人物が繰り広げる凄まじい物語……この「スキャナーに生きがいはない」以来、〈人類補完機構〉と名づけられた未来史に属する奇妙で美しく、グロテスクで可憐な物語群は、熱狂的な読者を獲得する。本書はシリーズ全中短篇を初訳・新訳を交え全3巻でお贈りする第1巻。20世紀から130世紀までの名品15篇を収録。解説/大野万紀。
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2016/3/15
- ファイルサイズ1098 KB
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商品の説明
著者について
コードウェイナー・スミス、1913年アメリカ生まれ、1966年没。本名ポール・マイロン・アンソニー・ラインバーガー博士。著名な政治学者で(ジョンズ・ホプキンス大学教授。中国を中心とする極東の政治が専門)、軍人(陸軍情報部大佐)。少年時代を中国で過ごし、かの孫文につけられた中国名は林白楽。第二次大戦と戦後の米国の対日政策でも重要な役割を果たし、ケネディ大統領の顧問も務めた。そして少年のころからのSFファンで、大の猫好きでもあった。1950年、ファンタジイ・ブック誌に「スキャナーに生きがいはない」を発表し、SF界にデビュー。以後、〈人類補完機構〉という独自の未来史を背景に、綺羅星のごとき物語群を生み出し、それら色彩豊かな作品は多くのSFファンを虜にした。
登録情報
- ASIN : B01CQMK46E
- 出版社 : 早川書房 (2016/3/15)
- 発売日 : 2016/3/15
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1098 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 416ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 54,213位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
短編集の第1集ということで、初めてこの作家の作品に触れる方には、やや取っ掛かりが難しいかもしれません。ところが、あまり深く考えずに読み進んでいくうちに、これ好きかも!、これ面白いかも!!と思える瞬間が唐突にやって……くると思います。
2016年3月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
予約の時点で早くも小躍りしながら待っていた本!読書中の他の本を投げ出してすぐに没頭しました。
「鼠と竜のゲーム」「第81Q戦争」「シェイヨルという名の星」というタイトルで出されていたコードウェイナー・スミスの短編集が入手不可能になってはや数年(もっと?)…全短編集として、しかも推測可能な限りで時系列順に並べた作品集として帰ってきたのです。コストの兼ね合いかもしれないけど、伊藤典夫さんと浅倉久志さんの過去の翻訳のまま蘇ったというのもファンとしてはうれしい。
この第1巻はまだまだこの世界の歴史では初期の段階です。スズダル大佐、ミス・ヘレン・アメリカといった懐かしい登場人物--スキャナー、ピンライターなど宇宙航行のための仕事に従事する職人たち--これらの魅力的なことは、初読のときの新鮮さがなくなった後もなんら変わりありません。新規に追加された作品に登場するタスコなどもそうですが、この時代のエピソードに登場する人物は皆、性格ではなくその行動と、深いけれどあくまで冷静な想いの強さから、刺すように鋭く印象に残ります。
それが後の(執筆年でなく描かれた世界での)時代の猫娘ク・メルなどになると、より性格の複雑さが顕著になってきて、ひとつの宇宙を巡る叙事詩としても、時代毎の変化がきちんと見られるという、その秀逸さにも感嘆します。
決して一般受けするような作家ではないですが、ぜひ多くの人に堪能してもらいたい。この世界の冷たいまばゆさは、どんなCG映像も敵わないと思います。
なお、過去の作品を未読の方は、できれば2つの序文を読まずに1,2編を読んでから序文を読み、また解説はさらに何作か読んだ後にしたほうが、この世界観に対する新鮮な驚きが損なわれないでしょう。
ああ続く2巻、3巻が本当に待ち遠しい。第1巻が出たばかりなのに言うのも何ですが、早川さん、決して絶版にしないように!と今から釘を刺しておきますよ。
「鼠と竜のゲーム」「第81Q戦争」「シェイヨルという名の星」というタイトルで出されていたコードウェイナー・スミスの短編集が入手不可能になってはや数年(もっと?)…全短編集として、しかも推測可能な限りで時系列順に並べた作品集として帰ってきたのです。コストの兼ね合いかもしれないけど、伊藤典夫さんと浅倉久志さんの過去の翻訳のまま蘇ったというのもファンとしてはうれしい。
この第1巻はまだまだこの世界の歴史では初期の段階です。スズダル大佐、ミス・ヘレン・アメリカといった懐かしい登場人物--スキャナー、ピンライターなど宇宙航行のための仕事に従事する職人たち--これらの魅力的なことは、初読のときの新鮮さがなくなった後もなんら変わりありません。新規に追加された作品に登場するタスコなどもそうですが、この時代のエピソードに登場する人物は皆、性格ではなくその行動と、深いけれどあくまで冷静な想いの強さから、刺すように鋭く印象に残ります。
それが後の(執筆年でなく描かれた世界での)時代の猫娘ク・メルなどになると、より性格の複雑さが顕著になってきて、ひとつの宇宙を巡る叙事詩としても、時代毎の変化がきちんと見られるという、その秀逸さにも感嘆します。
決して一般受けするような作家ではないですが、ぜひ多くの人に堪能してもらいたい。この世界の冷たいまばゆさは、どんなCG映像も敵わないと思います。
なお、過去の作品を未読の方は、できれば2つの序文を読まずに1,2編を読んでから序文を読み、また解説はさらに何作か読んだ後にしたほうが、この世界観に対する新鮮な驚きが損なわれないでしょう。
ああ続く2巻、3巻が本当に待ち遠しい。第1巻が出たばかりなのに言うのも何ですが、早川さん、決して絶版にしないように!と今から釘を刺しておきますよ。
2016年6月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人類補完機構は4冊持っているけれども、全短篇と言う事で。
記憶が有る物ばかりでちょっと残念。
まあ、新作ではないので仕方がないね。
持っている本はすでに茶色くなってるのでKindle版が出るのは嬉しいな。
でも、どこまでKindle版になるのかな?
そう言えば猫娘の名前だけ出てきて物語が載って無かったけれども、
次の巻なのかな?
次巻は6月か・・・
記憶が有る物ばかりでちょっと残念。
まあ、新作ではないので仕方がないね。
持っている本はすでに茶色くなってるのでKindle版が出るのは嬉しいな。
でも、どこまでKindle版になるのかな?
そう言えば猫娘の名前だけ出てきて物語が載って無かったけれども、
次の巻なのかな?
次巻は6月か・・・
2016年3月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
それだけで、星5とさせていただきます。
が、作品集の編集としては?がつきます。ただでさえ作者自身が不整合であると認めている未来史なのに、それを時系列順に収録する必要があるのかな? 個人的には発表順に読みたかったですね。
(コナン・ザ・バーバリアンとか、ポーの一族とかを時系列順に読みたいのかって話です)
念のために言っておきますが、作品は文句なしに素晴らしい。
まだ未読の方がいらっしゃるんなら、あなたがうらやましい。
が、作品集の編集としては?がつきます。ただでさえ作者自身が不整合であると認めている未来史なのに、それを時系列順に収録する必要があるのかな? 個人的には発表順に読みたかったですね。
(コナン・ザ・バーバリアンとか、ポーの一族とかを時系列順に読みたいのかって話です)
念のために言っておきますが、作品は文句なしに素晴らしい。
まだ未読の方がいらっしゃるんなら、あなたがうらやましい。
2016年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
コードウェイナー・スミスだけ! あれこればらばらに読んでいた短編が、まとまって読める……「あれは、どの本に入っていたっけ? 確か、あの短編集……」とバタバタしなくてもよくなっただけでも、うれしいです。第2集も、楽しみです。
2017年12月2日に日本でレビュー済み
この短篇小説集のタイトルとなっている短篇作品「スキャナーに生きがいはない」は、
新たに発見された技術によって「スキャナー」たちの仕事が必要なくなり、職を失うことになったため、その技術を発見した研究者を殺そうとする話です。しかし、新しい仕事をもらえることになり「スキャナー」たちは生き延びることができた、というハッピーエンドのSF短篇小説です。
「スキャナーに生きがいはない」、なんとも不思議な作品名です。
機械なのですから、人間のような「生きがい」なんて関係ないのでは?
いくら人工知能の時代のSFであっても、「スキャナー」という機械が「生きがい」の有無を意識するなんてまったく考えられませんでした。それで、この本を読んでみることにしました。
ところが、この短篇集のタイトルになっている作品「スキャナーに生きがいはない」が発表されたのは、大昔の1950年。
著者が草稿を書き上げたのは、1945年。第二次世界大戦がやっと終わったころです。70年以上も前の作品と知って、驚きました。
そのころに「スキャナー」なんて機械が世の中にあったのでしょうか?
「コンピューター」という名の電子計算機だって、リレー部品とか真空管部品とかで動いていた時代です。
今日では、我が家にも「スキャナー」付きプリンターがあります。
1945年ごろに「スキャナー」なんていう家電製品が存在したのでしょうか?
そこで思いつきました。第二次世界大戦のころに「スキャナー」と言えば、音波探知機を走査して海中の機雷をくまなく探査する船「機雷掃海艇」のことだったのではないでしょうか。
たぶん、それにヒントを得て、著者スミスは、深い海のような宇宙空間の闇の中に悪魔(あるいは神)によって仕掛けられた(機雷のような)「大いなる苦痛」を走査して探る、半分機械・半分人間の「スキャナー」というキャラクターを考え付いたのではないでしょうか。
本書巻末の「解説」には、
「変化した人間性。いま読んでもそうなのに、半世紀以上も前の衝撃はどんなだったろうか。深宇宙にある大いなる苦痛。意識を保ってそこに行けるのは、なかば機械の体をもったスキャナーたちだけである」
とありました。
「スキャナー」とは、使命感に燃える心を持った、なかば機械の体をもった人間なのです。
人間の部分が、自分のまわりの自殺したいと悩める人たちをくまなく走査しながら、その苦痛を探知し、苦痛多き人生に対処して死なずに生きて行く方法を模索してやる、という特殊な生き物なのです。「なかば機械」である、悩める人間を走査する人間。「スキャナー」とは、そんな未来の人間像のようです。
「生きがい(イコール苦痛)探査機」を自身の体に着けて、そこから発信されるレーダーや超音波を彼らの「生きがい」に向けて照射し、反射されてきた信号を受信して、どこに「生きがい」が存在があるのか、イメージをつくり、その実在を認識してイメージするという、哲学的な「なかば機械」の人間。
補完機構により「なかば機械」化された人間を想定することから、人間そのものを再発見しようとすることが著者の意図のように思われます。
本書の英語原題は、「The Rediscovery of Man」です。
訳せば、この補完機構によって人間をくまなく完全に探査した結果、得られる<人間の再発見>という意味です。
「スキャナー」とは、単純に考えると「スキャンする人」。
「スキャンする」とは、漏れなく、くまなく完璧に探査して分析する、という意味です。
ところが、著者スミスによる「スキャナー」の説明は、複雑、難解で、わかりにくいです。例えば、こんな説明が出て来ます。
「スキャナーはヘイバーマンの保護者。<空のむこう>の裁判官。スキャナーは、人びとがひたすら死を願う場所で、人びとのいのちを守る。スキャナーは人類の最も名誉ある者」(180頁)
「ひとつの同業組合(ギルド)、ひとつの社会階級としてのスキャナーが、これまでヘイバーマンたちのために、なにをしてやったろう?」(187頁)
スキャナーに保護される「ヘイバーマン」の説明も、さらにむずかしい。
「ヘイバーマンは人類の浮きかす。ヘイバーマンは弱き者、残酷なる者、欺かれやすき者、社会に不向きなる者。ヘイバーマンは死より重き刑を宣告された者。ヘイバーマンは心の中にのみ生きる者。虚空のために殺され、虚空のために生きる者。あまたの世界をつなぐ船を操る者。一般人が航宙の冷たき眠りにつくあいだも、大いなる苦痛の中に生きる者」(179頁)
「死より重き刑」だって!?
「大いなる苦痛の中に生きる」とは、安らかに死ねないで生きたまま苦しむということ?
ますます疑問が湧いてきます。
ある日、このスキャナーたちに「緊急事態」が発生し、呼び集められます。
アダム・ストーンという名の研究者が「虚空の苦痛を遮断する方法を発見した」ので「もはやスキャナーの必要はなくなった」と人類補完機構に届け出たからなのです。
「虚空の苦痛」とは、<空のむこう>の虚空の宇宙空間で、死ぬことができずに働き続けなければならない苦痛なのです。
死より重い罰とは、死ぬことを許されず、この世を生きたままさまよい続けなければならない刑だ、とどこかで聞いたことがあります。
この短編集は、硬いするめのようです。煮ても焼いても、そのまましゃぶっていても、深い味わいが出る、深い読書ができる本だと思います。仕事と生きがいについて、考えさせられました。
新たに発見された技術によって「スキャナー」たちの仕事が必要なくなり、職を失うことになったため、その技術を発見した研究者を殺そうとする話です。しかし、新しい仕事をもらえることになり「スキャナー」たちは生き延びることができた、というハッピーエンドのSF短篇小説です。
「スキャナーに生きがいはない」、なんとも不思議な作品名です。
機械なのですから、人間のような「生きがい」なんて関係ないのでは?
いくら人工知能の時代のSFであっても、「スキャナー」という機械が「生きがい」の有無を意識するなんてまったく考えられませんでした。それで、この本を読んでみることにしました。
ところが、この短篇集のタイトルになっている作品「スキャナーに生きがいはない」が発表されたのは、大昔の1950年。
著者が草稿を書き上げたのは、1945年。第二次世界大戦がやっと終わったころです。70年以上も前の作品と知って、驚きました。
そのころに「スキャナー」なんて機械が世の中にあったのでしょうか?
「コンピューター」という名の電子計算機だって、リレー部品とか真空管部品とかで動いていた時代です。
今日では、我が家にも「スキャナー」付きプリンターがあります。
1945年ごろに「スキャナー」なんていう家電製品が存在したのでしょうか?
そこで思いつきました。第二次世界大戦のころに「スキャナー」と言えば、音波探知機を走査して海中の機雷をくまなく探査する船「機雷掃海艇」のことだったのではないでしょうか。
たぶん、それにヒントを得て、著者スミスは、深い海のような宇宙空間の闇の中に悪魔(あるいは神)によって仕掛けられた(機雷のような)「大いなる苦痛」を走査して探る、半分機械・半分人間の「スキャナー」というキャラクターを考え付いたのではないでしょうか。
本書巻末の「解説」には、
「変化した人間性。いま読んでもそうなのに、半世紀以上も前の衝撃はどんなだったろうか。深宇宙にある大いなる苦痛。意識を保ってそこに行けるのは、なかば機械の体をもったスキャナーたちだけである」
とありました。
「スキャナー」とは、使命感に燃える心を持った、なかば機械の体をもった人間なのです。
人間の部分が、自分のまわりの自殺したいと悩める人たちをくまなく走査しながら、その苦痛を探知し、苦痛多き人生に対処して死なずに生きて行く方法を模索してやる、という特殊な生き物なのです。「なかば機械」である、悩める人間を走査する人間。「スキャナー」とは、そんな未来の人間像のようです。
「生きがい(イコール苦痛)探査機」を自身の体に着けて、そこから発信されるレーダーや超音波を彼らの「生きがい」に向けて照射し、反射されてきた信号を受信して、どこに「生きがい」が存在があるのか、イメージをつくり、その実在を認識してイメージするという、哲学的な「なかば機械」の人間。
補完機構により「なかば機械」化された人間を想定することから、人間そのものを再発見しようとすることが著者の意図のように思われます。
本書の英語原題は、「The Rediscovery of Man」です。
訳せば、この補完機構によって人間をくまなく完全に探査した結果、得られる<人間の再発見>という意味です。
「スキャナー」とは、単純に考えると「スキャンする人」。
「スキャンする」とは、漏れなく、くまなく完璧に探査して分析する、という意味です。
ところが、著者スミスによる「スキャナー」の説明は、複雑、難解で、わかりにくいです。例えば、こんな説明が出て来ます。
「スキャナーはヘイバーマンの保護者。<空のむこう>の裁判官。スキャナーは、人びとがひたすら死を願う場所で、人びとのいのちを守る。スキャナーは人類の最も名誉ある者」(180頁)
「ひとつの同業組合(ギルド)、ひとつの社会階級としてのスキャナーが、これまでヘイバーマンたちのために、なにをしてやったろう?」(187頁)
スキャナーに保護される「ヘイバーマン」の説明も、さらにむずかしい。
「ヘイバーマンは人類の浮きかす。ヘイバーマンは弱き者、残酷なる者、欺かれやすき者、社会に不向きなる者。ヘイバーマンは死より重き刑を宣告された者。ヘイバーマンは心の中にのみ生きる者。虚空のために殺され、虚空のために生きる者。あまたの世界をつなぐ船を操る者。一般人が航宙の冷たき眠りにつくあいだも、大いなる苦痛の中に生きる者」(179頁)
「死より重き刑」だって!?
「大いなる苦痛の中に生きる」とは、安らかに死ねないで生きたまま苦しむということ?
ますます疑問が湧いてきます。
ある日、このスキャナーたちに「緊急事態」が発生し、呼び集められます。
アダム・ストーンという名の研究者が「虚空の苦痛を遮断する方法を発見した」ので「もはやスキャナーの必要はなくなった」と人類補完機構に届け出たからなのです。
「虚空の苦痛」とは、<空のむこう>の虚空の宇宙空間で、死ぬことができずに働き続けなければならない苦痛なのです。
死より重い罰とは、死ぬことを許されず、この世を生きたままさまよい続けなければならない刑だ、とどこかで聞いたことがあります。
この短編集は、硬いするめのようです。煮ても焼いても、そのまましゃぶっていても、深い味わいが出る、深い読書ができる本だと思います。仕事と生きがいについて、考えさせられました。
2016年6月23日に日本でレビュー済み
すみません、なぜか読んでいなかったのでコードウェイナー・スミス初見でした。
これは素晴らしい。圧倒的な想像力ですね。
語りすぎないSFのおもしろさが存分に詰まっていました。
既存のいろいろな映画・漫画・アニメの元ネタがここにありました。
コードウェイナー・スミスあっての『ニューロマンサー』であり、『エヴァンゲリオン』だったんですね。
コードウェイナー・スミスの頭の中では、どのような宇宙と歴史が広がっていたのでしょう。
いまさらではありますが、読めるものはすべて追いかけていこうと思います。
これは素晴らしい。圧倒的な想像力ですね。
語りすぎないSFのおもしろさが存分に詰まっていました。
既存のいろいろな映画・漫画・アニメの元ネタがここにありました。
コードウェイナー・スミスあっての『ニューロマンサー』であり、『エヴァンゲリオン』だったんですね。
コードウェイナー・スミスの頭の中では、どのような宇宙と歴史が広がっていたのでしょう。
いまさらではありますが、読めるものはすべて追いかけていこうと思います。