"生成文法とは端的に言えば、明示的で明確に定義された方法を持って文に構造記述を付与する規則のシステムに他ならない。"1970年発表の本書は言語の本質を科学的に明らかにしようとした革新的な言語学古典、第1章和訳。『文法性の概念』とは『有意味性の概念』とは無関係であることを例示した"色のない緑の観念が猛然と眠る"でも有名な一冊。
個人的にガリレオの『地動説』アインシュタインの『相対性理論』が既読な事から、彼らに劣らない存在にして存命の著者の本として手にとりました。
さて、そんな本書は脳科学の分野がまだ発展しておらず、まだ『文系』分野として扱われていた1970年代の言語学の時代に人間の心のメカニズムを言語を捉える内在主義と近代科学的アプローチとして結びつけ、認知革命を引き起こした『生成文法』。その理論的正しさをどう証明することができるか】について論じた著者理論の初期集大成の第1章の部分翻訳なのですが。
何となく『人は真っ白な白紙の存在として誕生し、行動して学んでいくものかな?』と今でも考えてしまうのに、人為的な営みでなく、人の脳にはあらかじめ『文そのものを生み出す言語獲得装置、同じシステムが備わっている』つまり【人間が言葉を生み出すことの根底には、すべての個別言語に共通の文法が存在する】(普遍理論)とする主張が当時に与えたインパクトは自身は脳科学にまったく詳しくなくも理解できる。
また、著者の発想が研究が進む現在では賛否を呼ぶものであったとしても、それに問わず、良くも悪くも今でもこの分野の研究者に避けて通れない影響を与えていると読後に知って、それにもまた驚かされました。
脳科学の普遍的な古典名著として、また言語に関わる、関心のある全ての人にオススメ。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥858¥858 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥858¥858 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥757¥757 税込
無料配送 6月12日-13日にお届け
発送元: コメンテ【1注文送料込¥1100以上で1日早く届きます・検品時消毒済・日本郵便より発送】 販売者: コメンテ【1注文送料込¥1100以上で1日早く届きます・検品時消毒済・日本郵便より発送】
¥757¥757 税込
無料配送 6月12日-13日にお届け
発送元: コメンテ【1注文送料込¥1100以上で1日早く届きます・検品時消毒済・日本郵便より発送】
販売者: コメンテ【1注文送料込¥1100以上で1日早く届きます・検品時消毒済・日本郵便より発送】
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
統辞理論の諸相――方法論序説 (岩波文庫) 文庫 – 2017/2/17
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥858","priceAmount":858.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"858","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"Jd2JKsOuqmXGOb6grGlbr7SvZOVqhNZBguzDH9D41qV1VIHVvXFNMuaeSeloaD8Fb49DVXt9DEtEsCO9v%2BWbPnfdMbtvsZNv7qAMVrnQk3bX%2F3xwlsDcuEsesZxxNvQKPXax2w8m%2BH8%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥757","priceAmount":757.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"757","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"Jd2JKsOuqmXGOb6grGlbr7SvZOVqhNZB5BKsAW0xVF9T0r9DZXkNML%2BVOZHDDpp%2FQaD33lqB3XwO2t0iLxK2rXccif5enbWD2iALMYrrdOnn6oTV0UXO1yYvbXGqnWbjp5Q%2FI2KXnjK9%2BKeiGy8169qADhJrhDb3wqcCzoc0xqdWeiuWcM6dNg%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
言語の本質を人間の心の働きと見なす内在主義と近代科学的アプローチを根本的に結びつけた「生成文法の企て」の全体像を初めて明快に提示した古典。話者が持つ潜在的言語能力・言語知識の厳密な記述に加えて、言語獲得に関わる事実の説明を可能にする一般言語理論(普遍文法)の構築を目指す研究プログラムが論じられる。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2017/2/17
- 寸法10.5 x 1 x 14.8 cm
- ISBN-104003369521
- ISBN-13978-4003369524
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 統辞理論の諸相――方法論序説 (岩波文庫)
¥858¥858
最短で6月10日 月曜日のお届け予定です
残り9点(入荷予定あり)
¥1,353¥1,353
最短で6月10日 月曜日のお届け予定です
残り11点(入荷予定あり)
¥1,100¥1,100
最短で6月10日 月曜日のお届け予定です
残り6点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2017/2/17)
- 発売日 : 2017/2/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 240ページ
- ISBN-10 : 4003369521
- ISBN-13 : 978-4003369524
- 寸法 : 10.5 x 1 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 105,229位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 775位岩波文庫
- - 2,535位実用・暮らし・スポーツ
- - 4,434位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
21グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年10月5日に日本でレビュー済み
大著、統辞理論の諸相の第1章の部分だけを翻訳した書。
この書が出版されてからすでに50年以上たっている、というからこの本は文字通り、言語学の古典である。
文法論序説とあるが、いわゆる生成理論の正しさをどう証明することができるか、という方法論が論じられている。
巻末に訳者によるわかりやすい解説が付いている。
第1章のみ、しかも序論のみなので、理論の詳細をしることはできないが、その特徴、何がわかっていて何がわかっていないのか、生成文法の企てについて、その本家本元が当時の現状と課題を解説しているのが、この本の本当のバリューということになるだろう。
この書が出版されてからすでに50年以上たっている、というからこの本は文字通り、言語学の古典である。
文法論序説とあるが、いわゆる生成理論の正しさをどう証明することができるか、という方法論が論じられている。
巻末に訳者によるわかりやすい解説が付いている。
第1章のみ、しかも序論のみなので、理論の詳細をしることはできないが、その特徴、何がわかっていて何がわかっていないのか、生成文法の企てについて、その本家本元が当時の現状と課題を解説しているのが、この本の本当のバリューということになるだろう。
2018年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今から30年近く前に大学の卒論のテキストとして安井稔訳および原書で「諸相」を読みましたが、今回久しぶりに新訳で読み直しました。あらためてチョムスキー理論の矛盾を感じました。本書訳者を含めたチョムスキー教の人たちはなぜ疑問に感じないのか不思議です。以下はチョムスキーの基本概念への私からの微力な批判です。
1.「言語理論は理想的話者-聴者を対象とする」(P36)
理想は理想であって、現実ではありません。何をもって理想とするのか?実際上大切なのは現実に言語がどうであるのかであり、理想ではありません。チョムスキーはあくまで、思い違いや聞き違いや記憶違い、集中力低下、などなどの諸要素に影響されない言語使用者を対象にしますが、そんなの無理です(例えば発話時に美人が通りかかり、気を取られている時の発話文は全くの対象外!)。ただし人間じゃなくロボットなら可能ですが。じゃあ生成文法はロボット言語学?
そもそもチョムスキーは一次データは間違えや記憶違い、いい間違いだらけだと言っていますが、私たちが日ごろ使っていることばって、そんなにひどいのでしょうかね。それでコミュニケーションが成り立っているんですからね。そんな理想的云々言う必要があるんですかね。
2.「言語の創造的側面」(P41)
人は無限の思考を表現できるとのことですが、果たしてそうでしょうか。たとえば大多数の日本人はI love mathなんて英語文を作ることはないかと思います(I love youは逆にほとんど全ての日本人は作ったことがあるでしょう)。でも多くの英語母語者は作ったことがあるかと思います。個人的に見ますとmathなんて単語は大部分の日本人のレキシコンにはありません。だからそんな文は作れません。つまり創造的側面はレキシコン中の語彙数に左右されます。それらの語彙を文法という骨組に入れ替えを行い、無限のパターンの文を作れるとのことです。しかし本当にそうでしょうか。語彙数が無限ではないのに無限の文なんて本当に創造できるのでしょうか。それはあくまで「数億パターン」「数兆パターン」あるいは「数京パターン」であり、決して「無限」ではないのかもしれません。それはただチョムスキー的に言えば「短期記憶に係わる問題」(P16)「記憶容量は有限」(P56)ということだけではないでしょうか。要するに「今まで作ったことがあるけど忘れちゃった」ということです。I love mathだって案外と中学英語でちょろっと作文したことがあるかもしれません。大部分の人間は100年も生きません。だいたい70、80年くらいですか。長くて。その人生において数億、数兆パターンの文なんて作れるわけありません。覚えていることもできません。誰も「無限」なんて確かめることなんてできないわけです。
3.表層構造と深層構造(P60)
通常音声や文字で表されている表層構造だけではその意味は深く意識されていないとのことです。そのためにチョムスキーは動詞のpersuadeと expectの使われている文を例にとります(P72~74)。深層構造で受動態文にすれば、その違いがはっきりするとのことですが、なぜわざわざそんなことをしなければならないのでしょうか。全ての文をこのように深層構造において受動態文にすればいいのでしょうか(know とかhope とかbeliveとか wonderとかある文などで) ?それで言語知識、言語能力であることが果たしてわかるのでしょうか?
4.説明的妥当性(P78)
無意識的な言語知識を説明するには母語話者の内観、直感によらざる得ません。つまり母語話者が違和感を感じるか否かということです(記述的妥当性とか言っているやつです)。日本語の「私は彼に本をくれません」が変で、「彼は私に本をくれません」はいいと感じるみたいにです。チョムスキー自身、話者の直感に頼ることの科学的根拠はないと認めています(P65)。本人が認めていないなら、私だって認めないよ(笑)
子どもは非文も含む一次言語データから正しい文を選択します。その上で重要なのは子どもは一次言語データの中の何が正しい文なのか知っている必要があります。生得的に。普遍的に。生成文法と言われる。これがいわゆる「説明的妥当性」というやつです。その拠り所は母語話者の直感です(P79)。しかしチョムスキーはこれに期待するのは現段階では非現実的だとも言っています(P79)。なんじゃ、それは。。。生成文法は根拠のない仮説であり、その論拠は結局は直感です。直感に頼っていては科学なんて言えません。
5.言語獲得装置(LAD)と合理主義的見解(P118)
チョムスキーは自分の言語学は合理主義の立場であり、経験主義からのアプローチでは説明的妥当性は得られないと考えています。そのためにデカルト、ヘルベルト、ライプニッツなどを引用していますが、全く説得力はありません。チョムスキーの生得的言語能力の根拠はあくまで上記の「無限の言語創造力」です。でもそれが無批判に「無限」であるという基の部分からすでに怪しいです。
結局チョムスキーも思考実験と同じく、そこから何かの問題を解決するというよりも、問題提起をして応用をさせるのがメインであると言えましょう。ですので全くの無意味というわけでもないと思います。ただし言語学の本来の趣旨からは外れているのではと思います。
本書、実際にはその後に深層構造や各種操作について言及されており、本当は第1章だけでなく、全部翻訳をして欲しかったです。
1.「言語理論は理想的話者-聴者を対象とする」(P36)
理想は理想であって、現実ではありません。何をもって理想とするのか?実際上大切なのは現実に言語がどうであるのかであり、理想ではありません。チョムスキーはあくまで、思い違いや聞き違いや記憶違い、集中力低下、などなどの諸要素に影響されない言語使用者を対象にしますが、そんなの無理です(例えば発話時に美人が通りかかり、気を取られている時の発話文は全くの対象外!)。ただし人間じゃなくロボットなら可能ですが。じゃあ生成文法はロボット言語学?
そもそもチョムスキーは一次データは間違えや記憶違い、いい間違いだらけだと言っていますが、私たちが日ごろ使っていることばって、そんなにひどいのでしょうかね。それでコミュニケーションが成り立っているんですからね。そんな理想的云々言う必要があるんですかね。
2.「言語の創造的側面」(P41)
人は無限の思考を表現できるとのことですが、果たしてそうでしょうか。たとえば大多数の日本人はI love mathなんて英語文を作ることはないかと思います(I love youは逆にほとんど全ての日本人は作ったことがあるでしょう)。でも多くの英語母語者は作ったことがあるかと思います。個人的に見ますとmathなんて単語は大部分の日本人のレキシコンにはありません。だからそんな文は作れません。つまり創造的側面はレキシコン中の語彙数に左右されます。それらの語彙を文法という骨組に入れ替えを行い、無限のパターンの文を作れるとのことです。しかし本当にそうでしょうか。語彙数が無限ではないのに無限の文なんて本当に創造できるのでしょうか。それはあくまで「数億パターン」「数兆パターン」あるいは「数京パターン」であり、決して「無限」ではないのかもしれません。それはただチョムスキー的に言えば「短期記憶に係わる問題」(P16)「記憶容量は有限」(P56)ということだけではないでしょうか。要するに「今まで作ったことがあるけど忘れちゃった」ということです。I love mathだって案外と中学英語でちょろっと作文したことがあるかもしれません。大部分の人間は100年も生きません。だいたい70、80年くらいですか。長くて。その人生において数億、数兆パターンの文なんて作れるわけありません。覚えていることもできません。誰も「無限」なんて確かめることなんてできないわけです。
3.表層構造と深層構造(P60)
通常音声や文字で表されている表層構造だけではその意味は深く意識されていないとのことです。そのためにチョムスキーは動詞のpersuadeと expectの使われている文を例にとります(P72~74)。深層構造で受動態文にすれば、その違いがはっきりするとのことですが、なぜわざわざそんなことをしなければならないのでしょうか。全ての文をこのように深層構造において受動態文にすればいいのでしょうか(know とかhope とかbeliveとか wonderとかある文などで) ?それで言語知識、言語能力であることが果たしてわかるのでしょうか?
4.説明的妥当性(P78)
無意識的な言語知識を説明するには母語話者の内観、直感によらざる得ません。つまり母語話者が違和感を感じるか否かということです(記述的妥当性とか言っているやつです)。日本語の「私は彼に本をくれません」が変で、「彼は私に本をくれません」はいいと感じるみたいにです。チョムスキー自身、話者の直感に頼ることの科学的根拠はないと認めています(P65)。本人が認めていないなら、私だって認めないよ(笑)
子どもは非文も含む一次言語データから正しい文を選択します。その上で重要なのは子どもは一次言語データの中の何が正しい文なのか知っている必要があります。生得的に。普遍的に。生成文法と言われる。これがいわゆる「説明的妥当性」というやつです。その拠り所は母語話者の直感です(P79)。しかしチョムスキーはこれに期待するのは現段階では非現実的だとも言っています(P79)。なんじゃ、それは。。。生成文法は根拠のない仮説であり、その論拠は結局は直感です。直感に頼っていては科学なんて言えません。
5.言語獲得装置(LAD)と合理主義的見解(P118)
チョムスキーは自分の言語学は合理主義の立場であり、経験主義からのアプローチでは説明的妥当性は得られないと考えています。そのためにデカルト、ヘルベルト、ライプニッツなどを引用していますが、全く説得力はありません。チョムスキーの生得的言語能力の根拠はあくまで上記の「無限の言語創造力」です。でもそれが無批判に「無限」であるという基の部分からすでに怪しいです。
結局チョムスキーも思考実験と同じく、そこから何かの問題を解決するというよりも、問題提起をして応用をさせるのがメインであると言えましょう。ですので全くの無意味というわけでもないと思います。ただし言語学の本来の趣旨からは外れているのではと思います。
本書、実際にはその後に深層構造や各種操作について言及されており、本当は第1章だけでなく、全部翻訳をして欲しかったです。
2017年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ノーム・チョムスキーが提案した生成文法理論は、言語学のみならず、心理学・脳科学など、他分野をも巻き込む「認知革命」と呼ばれる学問上の変革を引き起こした。この『統辞理論の諸相』は、そのチョムスキー理論の初期の集大成というべき著作。今あらためて読み返すと、1960年代の出版ながら、その後半世紀余りにわたって理論が劇的な進展を遂げた今も、その基本的な考え方・問題意識が、依然として有効でまったく古びていないばかりか、現在に至る理論の発展を予見しているかのような記述も随所に見られることに驚かされる。言語学・認知科学の世界に今も金字塔のような輝きを放つ歴史的著作を、良く練られた訳文で読者に提供してくれる福井・辻子両氏に敬意と感謝の意を表したい。「訳者解説」には訳者の博識・言語学および関連分野への深い造詣が活かされており、チョムスキーの生い立ちなどのエピソードも興味深く、本文を読む前に一読すると理解が深まる。出版50周年を記念したチョムスキーの序文に加え、岩波文庫版出版に寄せた序文も添えられており、学問的にも意義の大きい出版物である。人間の脳が言葉を生み出すしくみを解明しようとするチョムスキーの言語理論に興味をもつすべての人に強くお薦めしたい。
2017年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「統辞構造論」(岩波文庫)に続き、こちらも購入しましたが、訳者による解説もとても読み応えのあるものでした。
2024年2月7日に日本でレビュー済み
本書は『統辞理論の諸相』の第1章の部分のみを翻訳したもの。
つまり、「チョムスキー先生がなにを言おうとしているか」をちょろっと読んでみようというものだろう。
人文科学の大系を広げる目的で読んでみたが、やはり言語学は専門性(あるいは独自性か)が高くて、他に援用できそうにはないと感じた。日本語で読む(理解)することは無理難題にも思えた。
つまり、「チョムスキー先生がなにを言おうとしているか」をちょろっと読んでみようというものだろう。
人文科学の大系を広げる目的で読んでみたが、やはり言語学は専門性(あるいは独自性か)が高くて、他に援用できそうにはないと感じた。日本語で読む(理解)することは無理難題にも思えた。
2017年6月16日に日本でレビュー済み
「役者による解説」も含め、時間をかけてしっかり読み込みたいと感じる一冊でした。