名著であり新書版2冊の力作である。
初めは異形の国家ロシアを性格づけた「タタールのくびき」の実態を知りたくて読み始めた。これを時代的にさかのぼっていくと当然チンギス・カアンに行きつく。そこから今度は時間を下ると結局はタタールのくびきを含むモンゴル帝国を巨視的にみた歴史をたどることになる。本書はところどころで通説の批判を交え複雑な歴史をわかりやすく解説する。特に面白かったのは元寇をモンゴル側の視点による分析と、明帝国のボロクソともいえる評価である。
モンゴル帝国の影響で後世に出現した帝国は東では明、清、西ではオスマントルコ、南ではムガル帝国、北ではロシア帝国である。この点をとってもモンゴル帝国をみていくことの重要性が分かるだろう。
今まで興味が持てなかったモンゴルの歴史を面白く読ませてくれた。
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モンゴル帝国の興亡<上> (講談社現代新書 1306) 新書 – 1996/5/20
杉山 正明
(著)
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世界史はモンゴルを待っていた――草原の遊牧国家が、ユーラシアの東西を結ぶ。チンギスから、クビライの奪権まで。
モンゴル軍少年部隊――モンゴル遠征軍の主力は、少年部隊であった。モンゴル高原を出発する時は、10代の、それも前半の少年であることが多かった。彼らは長い遠征の過程で、さまざまな体験をし、実地の訓練を通して、次第にすぐれた大人の戦士になっていった。……こうした少年兵にとって、遠征の出発は人生への旅立ちでもあった。……彼らは遠征先で、そのまま落ち着いてしまうことも、しばしばあった。その場合、今やすっかり大人となったかつての少年兵や、さらにその子孫たちも、やはり「モンゴル」であることには変わりがなかった。はるかなるモンゴル本土の高原には、兄弟姉妹、一族親類がいた。帰るべき心のふるさとは、みなモンゴル高原であった。……今や、名実ともに世界帝国への道をたどりつつあった「イェケ・モンゴル・ウルス」にとって、モンゴル高原の千戸群こそが、すべての要であった。高原は、「祖宗興隆の地」であるとともに、まさしく「国家根本の地」であった。そして、その地とそこの牧民たちの保有こそがモンゴル大カアンたる証であり、権力のすべての根源であった。――本書より
モンゴル軍少年部隊――モンゴル遠征軍の主力は、少年部隊であった。モンゴル高原を出発する時は、10代の、それも前半の少年であることが多かった。彼らは長い遠征の過程で、さまざまな体験をし、実地の訓練を通して、次第にすぐれた大人の戦士になっていった。……こうした少年兵にとって、遠征の出発は人生への旅立ちでもあった。……彼らは遠征先で、そのまま落ち着いてしまうことも、しばしばあった。その場合、今やすっかり大人となったかつての少年兵や、さらにその子孫たちも、やはり「モンゴル」であることには変わりがなかった。はるかなるモンゴル本土の高原には、兄弟姉妹、一族親類がいた。帰るべき心のふるさとは、みなモンゴル高原であった。……今や、名実ともに世界帝国への道をたどりつつあった「イェケ・モンゴル・ウルス」にとって、モンゴル高原の千戸群こそが、すべての要であった。高原は、「祖宗興隆の地」であるとともに、まさしく「国家根本の地」であった。そして、その地とそこの牧民たちの保有こそがモンゴル大カアンたる証であり、権力のすべての根源であった。――本書より
- 本の長さ234ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1996/5/20
- 寸法10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- ISBN-10406149306X
- ISBN-13978-4061493063
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著者について
1952年、静岡県生まれ。京都大学文学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。現在、京都大学大学院文学研究科教授。専攻は、中央ユーラシア史、モンゴル時代史。主な著書に、『大モンゴルの世界』―角川書店、『クビライの挑戦』―朝日新聞社、『耶律楚材とその時代』―白帝社―がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1996/5/20)
- 発売日 : 1996/5/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 234ページ
- ISBN-10 : 406149306X
- ISBN-13 : 978-4061493063
- 寸法 : 10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 275,149位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 1,548位講談社現代新書
- - 53,813位ノンフィクション (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年7月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1200年頃、チンギス・ハーンという傑物の下、群雄割拠のユーラシア大陸に突如出現、南宋を倒しただけでなく、西は一時ハンガリーまで押し寄せ、現イラン、イラク、中央アジア、現中国と、広大な地域を支配。ところが内部の権力闘争で活力を奪われていき、1300年代の後半には自壊が始まり、徐々に歴史の舞台から消滅。以降、現中国地区は明朝に、その他各地は地方勢力の群雄割拠となる。そしてその中から、100年単位の時間をかけて、オスマン帝国、ロシア帝国、サファビー朝(イラン)、ムガール朝(インド)という「大帝国」が生まれ、1900年代初頭まで存続する、という大きな歴史の流れが提示されています。
モンゴルというと、従来、宋→元→明→清 という、中華王朝の連続の中でしか捉えられてこなかったが、それに対する強烈なアンチテーゼとして貴重な1冊だと思います。
従って、単なる通史として読むと、「モンゴル王族間の内紛、権力闘争物語」になってしまうので、価値半減です。
ただ、わかりにくい部分もあります。 王朝というと、壮麗な王宮あるいは堅固な城郭都市を想像しますが、モンゴルの王朝の主人、カアンは、遊牧民の、天幕を張り移動し続ける生活を続けます。 王朝は古代エジプト王朝から、農民へ徴税し富を蓄えますが、モンゴル王朝は商業活動への課税が収入の9割とあります。 宗教には無関心、移動が常の生活なので、人種も混交します。 他に例のない国家形態ですので、読んでもなんとなくピンとこない部分があります。
ともあれ、今までの歴史の固定観念を破る一冊、として読まれることをお勧めします。 尚、私は、ノートにメモをとりながら読みました。
モンゴルというと、従来、宋→元→明→清 という、中華王朝の連続の中でしか捉えられてこなかったが、それに対する強烈なアンチテーゼとして貴重な1冊だと思います。
従って、単なる通史として読むと、「モンゴル王族間の内紛、権力闘争物語」になってしまうので、価値半減です。
ただ、わかりにくい部分もあります。 王朝というと、壮麗な王宮あるいは堅固な城郭都市を想像しますが、モンゴルの王朝の主人、カアンは、遊牧民の、天幕を張り移動し続ける生活を続けます。 王朝は古代エジプト王朝から、農民へ徴税し富を蓄えますが、モンゴル王朝は商業活動への課税が収入の9割とあります。 宗教には無関心、移動が常の生活なので、人種も混交します。 他に例のない国家形態ですので、読んでもなんとなくピンとこない部分があります。
ともあれ、今までの歴史の固定観念を破る一冊、として読まれることをお勧めします。 尚、私は、ノートにメモをとりながら読みました。
2022年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
モンゴル帝国の爆発的膨張が、確かに記述されている。
しかし、地理が分からないので、なにがなにやらつかみどころがない。
こういう歴史書は、つまるところ文章では、わからない。図面や地図がほしいところだ。
また、不思議に思うのは、あれだけの帝国を作ったモンゴル人には、今はその痕跡すらない。
相撲に強いくらいのイメージしかない。 やはり創生期のジンギスカングループには、何か秘密が
あるのではないか。世界帝国のポルトガルやスペインもそうだが、しかし、突然変異ともいえる歴史上の
モンゴル帝国は起承転結は不思議だが、この本では、帝国の衰退の原因は、分裂した子孫の派閥の抗争く
らいしか、描いていない。そこが一番知りたかったんだが、その点が残念だ。
しかし、地理が分からないので、なにがなにやらつかみどころがない。
こういう歴史書は、つまるところ文章では、わからない。図面や地図がほしいところだ。
また、不思議に思うのは、あれだけの帝国を作ったモンゴル人には、今はその痕跡すらない。
相撲に強いくらいのイメージしかない。 やはり創生期のジンギスカングループには、何か秘密が
あるのではないか。世界帝国のポルトガルやスペインもそうだが、しかし、突然変異ともいえる歴史上の
モンゴル帝国は起承転結は不思議だが、この本では、帝国の衰退の原因は、分裂した子孫の派閥の抗争く
らいしか、描いていない。そこが一番知りたかったんだが、その点が残念だ。
2023年9月12日に日本でレビュー済み
本書は、チンギスの世からモンゴル帝国崩壊後の余波までを描き出した通史である。
「野蛮な征服者」というイメージを覆そうという意気込みが随所で見られる。
一般でのモンゴルのイメージはもっぱらチンギスが強いかもしれないが、チンギスは上巻50ページほどで死んでしまう。
本書のメインはクビライの時代であり、オゴデイ、モンケからクビライに至る大帝国が下巻の途中まで占めている。
ジョチ、フレグのウルスが今でいう中東やスラブ地域を押さえていく一方、クビライは中国へと進んでいく。
戦いの話が多めではあるが、経済奨励、交通網整備などの側面は後のヨーロッパにまで影響しているという。
逆にクビライ後のモンゴル帝国にはそこまで思い入れがないのか、かなりザクっと進んでしまうので、ただ内紛でごちゃごちゃやっているという印象だけが残り「モンゴル帝国の没落過程」はそこまで描き出されない。
モンゴル帝国崩壊後は短めだが、明→清、ティムール→ムガル帝国、オスマン帝国、ロシア帝国などがその後継と見ることが出来、そう考えるとモンゴルの息はかなり長くかかっている。
慣れない固有名詞が多いので、もう少し工夫できるところはあると思った。地図はそこまでとは感じなかったが、家系図はかなり読みにくい(無理やり押し込まれていて、誰と誰が同世代なのか全然分からない。登場人物を絞って簡潔に表示した方がよかったと思う)。
ともあれ、モンゴル帝国を通史として描いた本は多くなく、エネルギッシュさも伝わってくる本書は、モンゴル帝国を知りたいならばまずは読んでおくべき本だと思う。
「野蛮な征服者」というイメージを覆そうという意気込みが随所で見られる。
一般でのモンゴルのイメージはもっぱらチンギスが強いかもしれないが、チンギスは上巻50ページほどで死んでしまう。
本書のメインはクビライの時代であり、オゴデイ、モンケからクビライに至る大帝国が下巻の途中まで占めている。
ジョチ、フレグのウルスが今でいう中東やスラブ地域を押さえていく一方、クビライは中国へと進んでいく。
戦いの話が多めではあるが、経済奨励、交通網整備などの側面は後のヨーロッパにまで影響しているという。
逆にクビライ後のモンゴル帝国にはそこまで思い入れがないのか、かなりザクっと進んでしまうので、ただ内紛でごちゃごちゃやっているという印象だけが残り「モンゴル帝国の没落過程」はそこまで描き出されない。
モンゴル帝国崩壊後は短めだが、明→清、ティムール→ムガル帝国、オスマン帝国、ロシア帝国などがその後継と見ることが出来、そう考えるとモンゴルの息はかなり長くかかっている。
慣れない固有名詞が多いので、もう少し工夫できるところはあると思った。地図はそこまでとは感じなかったが、家系図はかなり読みにくい(無理やり押し込まれていて、誰と誰が同世代なのか全然分からない。登場人物を絞って簡潔に表示した方がよかったと思う)。
ともあれ、モンゴル帝国を通史として描いた本は多くなく、エネルギッシュさも伝わってくる本書は、モンゴル帝国を知りたいならばまずは読んでおくべき本だと思う。
2016年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「遊牧民から見た世界史」がむちゃ面白かったので、いつか本書も読みたいと思いながらなんとなく先送りしているうちに、新書版のカバーが味も素っ気もないものに変わってしまっていた。早く買っとくんだった!(今はまた、元に戻ったのかしら?)
読み始めると、「なんかすごく面白そう!」なのだが、一回読んだだけでは、よくわからない。理由は三つ。その1・固有名詞になじみがない。特に人名。たくさん人が出てくるのだが、ジョチとかフレグとか、なじみのない短い音節の名前ばかりで混乱する。その2・地理がわからない。地図はいろいろあるのだが、見てもイマイチぴんとこない。土地勘のない場所ばかり。その3・特に前半はエピソードにもなじみがない。うん? それってどうしてそうなるの?的に、しらないお話ばかりでぼうっとしてしまう。つまりは、私が無知なだけなのだけどね。
しかし、無知がひっくり返るわけだから、その快感はひとしお! というわけで、すっかりはまり、3回読んでやっと少しわかったかな?
日本人にとってモンゴルといえば「元寇」だけど、その一方の主役であるクビライについて、何も知っちゃいなかったのだね。チンギスの孫というので、三代目の代表徳川家光のような人物と思っていたのだけれど、見当違いもいいところだった。こんなすごい人物がいたとは!
杉山先生は学者さんなので、お話を盛ったりはしていないのだけれど、書き方がどこかロマンチックで引きつけられます。もっと読みたいと思い、次は「疾駆する草原の征服者」を読もうと楽しみにしていたら、廃盤(廃刊?)になってしまった(らしい)! 上記カバーの件といい、本は早めに入手しておかないとだめだなのかなあ。買うとそれで満足してしまって積ん読になりがちなので、読むときに買いたいのだが……。
追記 「疾駆する草原の征服者」は絶版になったわけではなかった。再入荷していたので、無事入手できました(^o^)
読み始めると、「なんかすごく面白そう!」なのだが、一回読んだだけでは、よくわからない。理由は三つ。その1・固有名詞になじみがない。特に人名。たくさん人が出てくるのだが、ジョチとかフレグとか、なじみのない短い音節の名前ばかりで混乱する。その2・地理がわからない。地図はいろいろあるのだが、見てもイマイチぴんとこない。土地勘のない場所ばかり。その3・特に前半はエピソードにもなじみがない。うん? それってどうしてそうなるの?的に、しらないお話ばかりでぼうっとしてしまう。つまりは、私が無知なだけなのだけどね。
しかし、無知がひっくり返るわけだから、その快感はひとしお! というわけで、すっかりはまり、3回読んでやっと少しわかったかな?
日本人にとってモンゴルといえば「元寇」だけど、その一方の主役であるクビライについて、何も知っちゃいなかったのだね。チンギスの孫というので、三代目の代表徳川家光のような人物と思っていたのだけれど、見当違いもいいところだった。こんなすごい人物がいたとは!
杉山先生は学者さんなので、お話を盛ったりはしていないのだけれど、書き方がどこかロマンチックで引きつけられます。もっと読みたいと思い、次は「疾駆する草原の征服者」を読もうと楽しみにしていたら、廃盤(廃刊?)になってしまった(らしい)! 上記カバーの件といい、本は早めに入手しておかないとだめだなのかなあ。買うとそれで満足してしまって積ん読になりがちなので、読むときに買いたいのだが……。
追記 「疾駆する草原の征服者」は絶版になったわけではなかった。再入荷していたので、無事入手できました(^o^)
2006年2月25日に日本でレビュー済み
長らく歴史の闇に埋もれてきたモンゴル高原ですが、12世紀の後半、チンギス・カンという一大政治家の出現により、分裂の克服と政治的統合を達成することとなりました。これは、草原の抗争によって培われてきた潜在的軍事力の組織化につながり、彼らのエネルギーは草原を東へ西へと迸っていきます。
代替わりの毎に分裂と混乱の契機を萌芽させつつも、チンギスの血はモンゴル諸王侯をゆるやかに結びつけ、イェケ・モンゴル・ウルスは帝国としてユーラシア全域を席捲・制覇するに至ります。
そんな中、実弟をはじめとする一族との抗争に勝ち抜き大ハーンの権力を手にしたクビライは、南の中華文明圏に対して憧憬と羨望の眼差しを注ぐのでした。
本書は、我が国におけるモンゴル史研究の第一人者たる杉山教授が、こうしたモンゴルの帝国的発展を一般向けに平易に解説するものです。上巻は「軍事拡大の時代」としてチンギスの登場からクビライの即位までを対象に、モンゴルの発展・征服・抗争を描きます。
著者は、漢文史料のみならず、ペルシャ語文献等をも歴史の素材として活用することを提唱しており、本書にも「集史」などをネタとした記述をふんだんに盛り込まれ、内容に奥行きを与えています。
モンゴル帝国の全体像を把握する上で、たいへん優れた本だと思います。
代替わりの毎に分裂と混乱の契機を萌芽させつつも、チンギスの血はモンゴル諸王侯をゆるやかに結びつけ、イェケ・モンゴル・ウルスは帝国としてユーラシア全域を席捲・制覇するに至ります。
そんな中、実弟をはじめとする一族との抗争に勝ち抜き大ハーンの権力を手にしたクビライは、南の中華文明圏に対して憧憬と羨望の眼差しを注ぐのでした。
本書は、我が国におけるモンゴル史研究の第一人者たる杉山教授が、こうしたモンゴルの帝国的発展を一般向けに平易に解説するものです。上巻は「軍事拡大の時代」としてチンギスの登場からクビライの即位までを対象に、モンゴルの発展・征服・抗争を描きます。
著者は、漢文史料のみならず、ペルシャ語文献等をも歴史の素材として活用することを提唱しており、本書にも「集史」などをネタとした記述をふんだんに盛り込まれ、内容に奥行きを与えています。
モンゴル帝国の全体像を把握する上で、たいへん優れた本だと思います。
2014年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「フビライハーン」を「クビライ・カーン」と読む方式を我が国に伝えたと言っても過言ではない杉山先生がモンゴル帝国を様々な資料から読み解いておられます。
特に悪役、無能として描かれがちな金王朝やホラズム帝国に対しても高く評価し、チンギスハーンのライバルとして相応しかったことが分かり、目からうろこが落ちる思いでした。モンゴル、そして元王朝やイルハン国、キプチャックウルスの発展を知りたい方に必携の一冊です。
特に悪役、無能として描かれがちな金王朝やホラズム帝国に対しても高く評価し、チンギスハーンのライバルとして相応しかったことが分かり、目からうろこが落ちる思いでした。モンゴル、そして元王朝やイルハン国、キプチャックウルスの発展を知りたい方に必携の一冊です。
2007年2月22日に日本でレビュー済み
本書『モンゴル帝国の興亡』は、漢語やペルシア語等、多言語文献を駆使してなされた最新のモンゴル帝国研究である。従来のモンゴル帝国研究が、いかに西欧中心史観、中華史観に基づいていたかがよくわかる。高校世界史で習ったことがボロボロと崩れていくようなある意味で心地よい感触を持たされる。
上巻では帝国の黎明期であるチンギスの勃興から、クビライの台頭までを描く。帝国拡大の過程が鮮明に描かれており、臨場感を持って一気に読めてしまう。また、一国史の集積としての世界史という視点が近年批判にさらされつつある中、本書における「グローバルヒストリー」としてのモンゴル帝国史という視点は非常に興味深い。歴史が好きな方にはぜひ薦めたい名著だと思う。
上巻では帝国の黎明期であるチンギスの勃興から、クビライの台頭までを描く。帝国拡大の過程が鮮明に描かれており、臨場感を持って一気に読めてしまう。また、一国史の集積としての世界史という視点が近年批判にさらされつつある中、本書における「グローバルヒストリー」としてのモンゴル帝国史という視点は非常に興味深い。歴史が好きな方にはぜひ薦めたい名著だと思う。