レビューを見てかなり覚悟をして読んだからか自分は納得がいきました、こういう終わり方ってホラーとかミステリーとかサスペンスでよくある気がします。
「え?この先どうなるの…?」みたいな、「それじゃ何も解決してないじゃん!」みたいな。ホラーとかになると酷くなりますよね、含みを持たせてはいるけど結局それどうするんだ?っていう終わり方です。
なのでこの漫画を読んで「すっきり」だとか「あ~よかった!」っていう感覚は一つも得られません。残るのは重苦しい人間関係に対する疑問と、「普通」とはなんなのかという疑問、ラスボスはなんだったのか、主人公の母ってかなりやばくない?っていうか、彼氏どーなんの?いやそもそもこの母子、兄弟ってどうなの?いや…むしろ、この物語では誰が悪いの?…とかいった疑問、疑問、疑問につきます。
少しずつ足りないピースが様々な人の中にあった、それが共鳴しあって沢山の人を巻き込んだ。でも一枚パズルが完成したように見えたその果ては…また、ピースの足りてないもの同士のピースの埋めあいが続きます。
主人公はどこかおかしいまま終わっているような気がするし、恋愛もうまくいってません。上っ面で解決したように、乗り越えたように見せかけています。嘘臭く、今後主人公がまともに育っていく確信はひとつも持てない。
でもそれこそこの漫画のラストな気がします。
そもそもこんなに人を振り回して傷つけてあさりまわして、人のため人のためといいながら結局は好きな人と近づきたかったというこの主人公が、とある出来事をきっかけに心が生まれ変わり彼氏とうまくいってラスボスも倒して何もかも乗り越えました…なんてそれこそ漫画みたいです。彼氏も、うーん。「普通」だけど「普通」じゃありません。自分の足りない部分と向き合って乗り換え、人をまっとうに愛していくなんて漫画みたいでとても素敵な終わりですが、この漫画はそうはいきません。
登場人物の、特にこのメインの二人が(あと兄もか)ずうっと何か圧倒的に足りなかったような気がします。人を愛するだとか、尊敬するだとか、基本的なことが人より一つ欠けているような。そんな何をどうやっても埋まらない子たちが集まっても、なんにも起きるはずがありません。幸せになりようがないのです。
依存することでこの子たちは空虚の隙間を一瞬だけ本能的に埋めあいますが、それは永遠ではありません。このパズルが完成する日はきっと、あったとしてもずっと先で、そこが礼美やはるか、コウジ、ひきこもりの子とは絶対的に違う所だったとおもいます。
そんな二人がこういう風に終わったというのは、ご都合主義な終わり方ではなかったからではないでしょうか。もやもやっとすることに間違いはないのですが。笑
ただそんなもやもやっとした終わり方は割りとカテゴリーによってはあるので、しかたなし。引きは完全にミステリーのそれです。
寧ろ特筆すべきは作者さんの鋭利な感情の描き方です。一人一人人間の汚い部分だったりとか悩みだったりとかを非常に繊細にかきあげてらっしゃって、誰にでもあるだろう小さいけれど大きなことを描くのが、とにかく上手い。
主人公や彼氏含め、多種多様な環境で育った人間の感じたことを、針に穴を通すような丁寧な言葉でひとつひとつ表現されていて、理解はできなくても翻弄されていく登場人物の姿に心がずしんときます。重苦しいまでの主人公たちの複雑な感情が漫画の中で何度も何度も飛び交っていて、たまりませんでした。
特にコウジくんの礼美のコンプレックスを受けてからの「生きててスミマセン」、と9巻の成海くんの限界点、あれはよかった。
主人公と彼氏は満たされぬまま進んでしまって全てはラスボスの思惑通り…?みたいな所で終わりますが、これからを想像するとおもしろいです。明瞭な答えはなくてもいいんじゃないかな。眼鏡の子が言った通りあの成海くんは主人公が欲しかった形ではなかったですが、主人公のことをギリギリまで受け入れてました。恋愛漫画としての答えということで一つ、いかがでしょうか。
そんなかんじで★5点です。作者さんの漫画は分厚く長く、連載も長期に渡るものばかりかと思いますが、次の作品が読めることを心から楽しみにしております。
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Piece (10) (フラワーコミックス) コミック – 2013/6/26
芦原 妃名子
(著)
大ヒットラブサスペンス、遂に完結!!
累計120万部突破の大HIT作!!
「砂時計」に続く、芦原妃名子の意欲作、
TVドラマも大人気だった「Piece」が、ついに10巻をもって完結する!!
通常より増ページにてお届けする、芦原妃名子渾身の結末を
是非見届けてください!!
戦慄と感動の、最終巻です!!
「私は成海と出会って
笑い方と泣き方を覚えた・・・・」
名古屋から東京に戻り、成海の家を訪ねた水帆。それは、成海が20歳の誕生日を迎える日の前日だった。
成海は、20歳になると同時に、母親・理沙子の扶養を外れ、家を出て行かなければならないことになっているのだ。
その夜、成海への想いを初めて口に出して伝えた水帆。そして、二人の関係に大きな変化が訪れて・・・!?
大反響のラブサスペンス、ついに完結!!
累計120万部突破の大HIT作!!
「砂時計」に続く、芦原妃名子の意欲作、
TVドラマも大人気だった「Piece」が、ついに10巻をもって完結する!!
通常より増ページにてお届けする、芦原妃名子渾身の結末を
是非見届けてください!!
戦慄と感動の、最終巻です!!
「私は成海と出会って
笑い方と泣き方を覚えた・・・・」
名古屋から東京に戻り、成海の家を訪ねた水帆。それは、成海が20歳の誕生日を迎える日の前日だった。
成海は、20歳になると同時に、母親・理沙子の扶養を外れ、家を出て行かなければならないことになっているのだ。
その夜、成海への想いを初めて口に出して伝えた水帆。そして、二人の関係に大きな変化が訪れて・・・!?
大反響のラブサスペンス、ついに完結!!
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2013/6/26
- ISBN-104091352685
- ISBN-13978-4091352682
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2013/6/26)
- 発売日 : 2013/6/26
- 言語 : 日本語
- コミック : 208ページ
- ISBN-10 : 4091352685
- ISBN-13 : 978-4091352682
- Amazon 売れ筋ランキング: - 276,521位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「自分の感覚なんてびっくりするくらい脆い 迷ってばっかりだ それでも何度でもキャンバスを塗りつぶす 何度でも思い描く 未来を 感情をこじ開けて 真っ直ぐに 前へ ギリギリのバランスでーーー」 という最後のメッセージ。『固定概念に縛られず、驚きながら、四苦八苦しながら、試行錯誤せよ、自分が支配されない新しい世界を見つけよ』と言っているんだろうと受け取っておきます。問題は、謎めいた Risako 先生による思わせぶりな終幕。少し時間が経って気が付きましたが、こういう、バッサリ叩き切るような終わらせ方こそ Risako 先生のやり方なんですね。ある意味、斬新ですが、筋も通っていますが、特に Hikaru Narumi が心配なままです。
2019年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
怖かった……。大きな物語だったんだな、と思わされる最後でした。ラブストーリーではなかったのか?伏線回収に読み返したくなった。ロリコンお兄さんは結局なんだったんだろう。成海が好きでした。
2015年3月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
酷評が多いですが、私はこの巻を読んでよかったです。謎めいたところがいくつかあり、ラブストーリーがメインでなく、子供から大人への成長、自分で自分の人生を決めることの大切さに重きを置いた話なので、好き嫌いが激しいのでしょう。深い話が好きな人におすすめです。作者の後日談みたいなのをよみたいです。
2015年8月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三巻ぐらいまではおもしろかったのに。最後に納得いかないし、作者の自己満足だけで買って損した
2019年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
サスペンスなら、映画とか小説というよりテレビの2時間サスペンス的なありえなさが垣間見えて、
最後だけ無理矢理怖さ出した感じ。どうせなら、怖い母親の追いつめてく様をもっとリアルに観たかったなー
絵が少女マンガだから難しいかな?
最後だけ無理矢理怖さ出した感じ。どうせなら、怖い母親の追いつめてく様をもっとリアルに観たかったなー
絵が少女マンガだから難しいかな?
2013年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
10巻のほとんどが最終話という・・・。
しまったー。
話の終わらせ方は悪くないと思います。
ちょっと、もどかしい感もありますが、なかなか怖いです。よい意味で。
しまったー。
話の終わらせ方は悪くないと思います。
ちょっと、もどかしい感もありますが、なかなか怖いです。よい意味で。
2013年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
期待していた以上のものはなく、だけど、期待には応えてくれていたようなエンディングでした。
少女漫画らしい夢物語で終わって欲しくはないという期待どおり、現実的に最後まで描いてくれました。
ただ、最後の最後は違和感を残してくれるエンディングでした。
ネタバレになってしまうので書きませんが、現実的には在り得ない設定であること、そして、もう一度読み返して確認したくなる設定で終わっています。
読み返して、とってつけたような締めなのか、元から計画していた締めなのか、それを確認することができたら、またこの作品への評価が変わると思います。
夢物語的な少女漫画に飽きた方にはおススメの作品です。
少女漫画らしい夢物語で終わって欲しくはないという期待どおり、現実的に最後まで描いてくれました。
ただ、最後の最後は違和感を残してくれるエンディングでした。
ネタバレになってしまうので書きませんが、現実的には在り得ない設定であること、そして、もう一度読み返して確認したくなる設定で終わっています。
読み返して、とってつけたような締めなのか、元から計画していた締めなのか、それを確認することができたら、またこの作品への評価が変わると思います。
夢物語的な少女漫画に飽きた方にはおススメの作品です。