本書は我々がいかに無知でそれに無自覚であるか、更に個人の知性への過大評価と集団的知性の重要性について書かれている
私達は実際は詳しく知らないことを理解していると思い込んでおり、自身を含む個人の知識や能力を過大評価しがちであり、"知識の錯覚"に陥っている
個人が知っていると思っているほとんどの知識は外部情報にアクセスすることで得られるものであり、周囲の人間や属するコミュニティに始まり、インターネットや書物、更に五感を通した環境からの情報など、個人で完結している知識・知性はほとんど存在しない
歴史的な発明や文明の発展など、人がここまでの繁栄と知性を獲得できた真の理由は、個人の能力の高さではなく他人と協力する能力の高さであり、集団的知性こそが本来の意味の知性であると言う
人は協力するように進化し、協力のために脳を発達させ、多様性によって更に知識の幅を広げてきた
歴史的な偉人達も他人の発明や既存の知識に頼ること、つまり"認知的分業"のおかげで偉業を成し遂げることができた
現代社会では個人の成功にばかり焦点が当てられがちだが、実際には個人の知性や能力よりもチームに貢献できる能力の方が重要であるという
人は自身が無知であることに無知であり、その弱点を埋める方法が協力、つまり認知的分業である
著者曰く、学習とは単に新たな知識や能力を身につけることではなく、他者と協力する方法を学ぶこと、そして自分が提供できる知識と他者から埋めてもらわなければならない知識は何かを知ることでもあるという
本書のテーマである"知識の錯覚"と"認知的分業"は、社会・人間・生物の本質的な性質であり、私達が生きる上で欠かすことのできない"協力/チームワーク"の重要性に気づかされる
他にも興味深かった内容としては、
・陰謀論者や非科学主義などの科学的無知は知識よりも文化的・社会的なものであり、属するコミュニティの信念やアイデンティティに依存する
・認知的分業は自分の担当分野の専門性を高めるが、他人が担当する分野についてはより無知になる
・知識の錯覚にはメリットもあり、無知のおかげで大胆な挑戦を生み結果的に大きな成功を成し遂げることもある
Kindle 価格: | ¥1,078 (税込) |
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知ってるつもり 無知の科学 (ハヤカワ文庫NF) Kindle版
自転車や水洗トイレの仕組みを説明できると思いこむ。ネットで検索しただけでわかった気になりがち。人はなぜ自らの理解を過大評価してしまうのか? 認知科学者のコンビが行動経済学やAI研究などの知識を結集し、「知ってるつもり」の正体と知性の本質を明かす
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2021/9/2
- ファイルサイズ2827 KB
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商品の説明
出版社からのコメント
ツイッター、上司、公文書改ざん。この本を編集してから、世の中のいたるところに「知ってるつもり」を見つけてしまう毎日を送っています。まずは読んでみてください。(担当編集者)
著者について
スティーブン・スローマン(Steven Sloman)
認知科学者。ブラウン大学教授(認知・言語・心理学)。《Cognition(認知)》誌の編集長をつとめる。
フィリップ・ファーンバック(Philip Fernbach)
認知科学者。コロラド大学リーズ・スクール・オブ・ビジネス教授(マーケティング論)。
認知科学者。ブラウン大学教授(認知・言語・心理学)。《Cognition(認知)》誌の編集長をつとめる。
フィリップ・ファーンバック(Philip Fernbach)
認知科学者。コロラド大学リーズ・スクール・オブ・ビジネス教授(マーケティング論)。
登録情報
- ASIN : B09DRT8X8H
- 出版社 : 早川書房 (2021/9/2)
- 発売日 : 2021/9/2
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2827 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 364ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 10,894位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 7位ハヤカワ文庫 NF
- - 9位イギリス・アメリカのエッセー・随筆
- - 131位エッセー・随筆 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年2月3日に日本でレビュー済み
【本書から得た教訓】
人は自分に知識があると錯覚している。しかし多くの知識は自分の頭の中にあるのではなく、他人の頭の中にあり、それを利用しているにすぎない。他人の知識を、あたかも自分の知識のように錯覚しているわけだ。
1. 知識のコミュニティを活用すべし
自分が無知であることを自覚し、積極的に人の知識に頼る。世の中は複雑すぎて、理解するにはあたな1人の頭では足りない。ただし無批判に、他人の知識を受け入れてはいけない。誰が本当に正しい知識を持った専門家なのか、見極める目を養おう。
2. 知識のコミュニティに貢献すべし
自分の知識を、コミュニティのために使う。知識の形は言葉だけでなはい。自分の知識をモノやサービスとして提供することもできる。人に与えられるだけの知識を身につけるには、専門分野をつくるのが良い。あるいはゼネラリストとして、他人の知識をうまく協調させるのも1つの貢献の形である。
他人に頼るべき知識は何か、自分が身につけるべき知識は何か、そして他人に提供できる知識は何か、自らに問う。知識はコミュニティの中にあって、自分の頭の中だけにあるのではない。他者と協力(=認知的分業)することで、よい結果を生むための行動ができる。
【感想】
この本は「あなたはバカなのだから、もっと勉強せよ」的な教訓を期待して購入した。でもいい意味で裏切られ、他者との協力の仕方について考えさせれる読書体験であった。
この本を読んでまだ数日だが、仕事のやり方が少し変わったことに気付いた。以前よりも、自分の知識を同僚に教えたり、逆に同僚の知識に頼る行動が増えた。ただ同僚の知識を100%鵜呑みにもしていない。同僚も1人の人間で無知である。
ただ無知の自覚は難しく、意識し続けないとスグに錯覚に陥るだろう。
他の方のレビューの中には「要するに、無知の知だろう。くどくど言われなくても知っている。」という批判的なレビューもあった。でもそれこそ『知ってるつもり』なのではないだろうか。
この本で学んだ教訓を忘れず、自分の無知を自覚し続けることが、最も大切なことだと思う。
人は自分に知識があると錯覚している。しかし多くの知識は自分の頭の中にあるのではなく、他人の頭の中にあり、それを利用しているにすぎない。他人の知識を、あたかも自分の知識のように錯覚しているわけだ。
1. 知識のコミュニティを活用すべし
自分が無知であることを自覚し、積極的に人の知識に頼る。世の中は複雑すぎて、理解するにはあたな1人の頭では足りない。ただし無批判に、他人の知識を受け入れてはいけない。誰が本当に正しい知識を持った専門家なのか、見極める目を養おう。
2. 知識のコミュニティに貢献すべし
自分の知識を、コミュニティのために使う。知識の形は言葉だけでなはい。自分の知識をモノやサービスとして提供することもできる。人に与えられるだけの知識を身につけるには、専門分野をつくるのが良い。あるいはゼネラリストとして、他人の知識をうまく協調させるのも1つの貢献の形である。
他人に頼るべき知識は何か、自分が身につけるべき知識は何か、そして他人に提供できる知識は何か、自らに問う。知識はコミュニティの中にあって、自分の頭の中だけにあるのではない。他者と協力(=認知的分業)することで、よい結果を生むための行動ができる。
【感想】
この本は「あなたはバカなのだから、もっと勉強せよ」的な教訓を期待して購入した。でもいい意味で裏切られ、他者との協力の仕方について考えさせれる読書体験であった。
この本を読んでまだ数日だが、仕事のやり方が少し変わったことに気付いた。以前よりも、自分の知識を同僚に教えたり、逆に同僚の知識に頼る行動が増えた。ただ同僚の知識を100%鵜呑みにもしていない。同僚も1人の人間で無知である。
ただ無知の自覚は難しく、意識し続けないとスグに錯覚に陥るだろう。
他の方のレビューの中には「要するに、無知の知だろう。くどくど言われなくても知っている。」という批判的なレビューもあった。でもそれこそ『知ってるつもり』なのではないだろうか。
この本で学んだ教訓を忘れず、自分の無知を自覚し続けることが、最も大切なことだと思う。
2023年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は認知科学者が多分野の研究を参考に「無知」とは何か? どう付き合うか?について科学的に考察していく本である。
平易で読みやすい文章だが、ボリュームがあり、一度ならず読む価値がある本です。
自分が無知であることくらい知っているよ、と思ったそこのあなた、是非本書を手にとってみて。
平易で読みやすい文章だが、ボリュームがあり、一度ならず読む価値がある本です。
自分が無知であることくらい知っているよ、と思ったそこのあなた、是非本書を手にとってみて。
2024年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『人間は自分が思っているよりも無知である』
この主張を説明するために、著者は多くの事例を挙げていますが、3つ程度で十分だと感じました。
ただ、3つではページ数が少なすぎて、書籍として成立しないのだと思いますが・・・。
既に認知科学に興味がある人にとっては、あまり新しい発見はないかもしれません。
あと、第二次世界大戦時の日本軍についても言及していますが、
残念ながらその説明は正確ではないようです。
ある意味で、著者は本書のタイトルである「知ってるつもり」を自ら証明しています。
この主張を説明するために、著者は多くの事例を挙げていますが、3つ程度で十分だと感じました。
ただ、3つではページ数が少なすぎて、書籍として成立しないのだと思いますが・・・。
既に認知科学に興味がある人にとっては、あまり新しい発見はないかもしれません。
あと、第二次世界大戦時の日本軍についても言及していますが、
残念ながらその説明は正確ではないようです。
ある意味で、著者は本書のタイトルである「知ってるつもり」を自ら証明しています。
2023年2月12日に日本でレビュー済み
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特に「知識のコミュニティ」という見方、考え方は目からウロコです。これから重要なキーワードになると思います。
2021年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
知らないことってたくさんある。
大学の学部を考えてもいろいろある。自分の興味は何か、将来はどうなりたいかが、決めた。
専門を学ぶが、選択しなかった講義も数多い。というこては知らずに生きてきている。
知らなくても生きてきている。
でも社会人として成長するには、切り開くには、ということで無知を理解することが大事だ。
それを納得いくように丁寧に進められていので、腑に落ちるものだ。
おすすめしたい本です。
大学の学部を考えてもいろいろある。自分の興味は何か、将来はどうなりたいかが、決めた。
専門を学ぶが、選択しなかった講義も数多い。というこては知らずに生きてきている。
知らなくても生きてきている。
でも社会人として成長するには、切り開くには、ということで無知を理解することが大事だ。
それを納得いくように丁寧に進められていので、腑に落ちるものだ。
おすすめしたい本です。
2021年8月13日に日本でレビュー済み
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考えているようで、そうでない。知っているということは、知識があるというわけでない。
2018年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自転車の構造、トイレのしくみ等々。
ありふれたものを説明しようとすると意外と分かっていないことが判明する。
このように人間は自分が実際に知っている以上にものを知っていると錯覚する。
こういった現象を「説明深度の錯覚」と言うらしい。
ある意味不条理で危険な傾向であるが、これには仕方がない部分もある。
それは人間が個人の知識だけでなく環境そのものやネット、書籍、他人の知識をあてにしてものを考えるからだ。
記憶していなくても調べれば情報が出てくるので、そもそも記憶する必要がない。
そして勿論記憶していなくとも、情報を引き出す方法さえ心得ていれば、知っているのと同じようなものだ。
だから説明深度の錯覚のようなものが起こる。
そういった意味で、個人の知識に注目するのではなく、チーム、組織、ネットワークなどにもっと注目する必要がある。
そういったことを教えられた本であった。
しかしこのレビューも「知ってるつもり」で書いてしまっているのかもしれないが……
何しろこの本を買っていれば、内容を暗記する必要はないのだから。
ありふれたものを説明しようとすると意外と分かっていないことが判明する。
このように人間は自分が実際に知っている以上にものを知っていると錯覚する。
こういった現象を「説明深度の錯覚」と言うらしい。
ある意味不条理で危険な傾向であるが、これには仕方がない部分もある。
それは人間が個人の知識だけでなく環境そのものやネット、書籍、他人の知識をあてにしてものを考えるからだ。
記憶していなくても調べれば情報が出てくるので、そもそも記憶する必要がない。
そして勿論記憶していなくとも、情報を引き出す方法さえ心得ていれば、知っているのと同じようなものだ。
だから説明深度の錯覚のようなものが起こる。
そういった意味で、個人の知識に注目するのではなく、チーム、組織、ネットワークなどにもっと注目する必要がある。
そういったことを教えられた本であった。
しかしこのレビューも「知ってるつもり」で書いてしまっているのかもしれないが……
何しろこの本を買っていれば、内容を暗記する必要はないのだから。