ガンツーの設計などで知られる人気建築家・堀部安嗣さん。特に、住宅建築先には隠れて堀部ファンが多いです(私調べ)。かく言う私もその1人。
とても落ち着いた雰囲気で派手さはないのですが、住宅の隅々にしっかり漂う堀部臭。とてもよい匂いです。
そんなニオイの元や素について、建築家がどんなことを考えて住宅の設計をしているのかを、簡易な文章と豊富な写真で教えてくれます。
自分だ住宅を建てる際には、ぜひ計画前に読んでおくべき良書だと感じました。
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住まいの基本を考える 単行本 – 2019/4/25
堀部安嗣
(著)
著者初の本格住宅論!
情緒と機能性――。
自然や伝統に調和するかたち。
省エネルギーを実現しながら冬暖かく、夏涼しい室内環境。
独りでいても寂しくなく、家族といても窮屈でない広さ。
心身のさまざまな状態に呼応する生活動線。
気候風土や人々の記憶を読み解き、
住宅の基本性能を丁寧に考えることで得られる
豊かな情感。
病めるときも、健やかなるときも、
私たちをあたたかく包み込み、
前向きな生へと導いてくれる大らかさ。
住宅建築の名手が今あらためて、
情緒と機能性をあわせもつ、
普遍的な住まい〈ベーシック・ハウス〉とは何かを考えた。
その思考と実践の跡を
近作8軒の写真や手描き図面とともに
つづる。
〈目次〉
はじめに
1 進化した巣の姿
2 小さな家の魅力
3 〝パッシブ〟な家の魅力
4 本当の財産とは
5 住宅の寿命
6 懐かしい未来に向けて
私の設計した家
里山に暮らす 里山住宅博 ヴァンガードハウス
古都に暮らす 鎌倉大町の家 *住まい手インタビュー
集まって暮らす 八雲の家 *住まい手インタビュー
郊外に暮らす 秦野の家
大地に暮らす 北杜の家
山に暮らす 池川の家
都市に暮らす 中野のマンション
町に暮らす 河内永和の家 *住まい手インタビュー
〈本書より〉
住まいは食や衣と同じく、人の心身に大きく作用するとても重要なものです。また風土や環境 や地域の文化と密接につながっていなければならないものだと思います。
住まいの基本を見つめることは、身体や環境に負担がかからず、長年の風雪に耐えてなおも生き残ってきたものの価値を見出し、評価することにつながります。また住まいは住む人の人生に決定的な影響を与えるものなので、噓や誤魔化しがあってはいけないこともわかります。過去から未来につながる時間の中で、現実を丁寧に調整したり修復したりして、徐々に住まいのあり方を変えてゆく必要性も見えてきます。
この本に示した私の考えや作品は、あくまでも近年の私自身の試行錯誤の結果であり、一般解、標準解を目的にしたものではありません。一人一人が住まいという樹木の太い根幹を考え、それぞれの地域、環境、暮らしの中に豊かで多様な枝葉が茂ってゆく一つのきっかけになる本になればと願っています。
――はじめにより抜粋
情緒と機能性――。
自然や伝統に調和するかたち。
省エネルギーを実現しながら冬暖かく、夏涼しい室内環境。
独りでいても寂しくなく、家族といても窮屈でない広さ。
心身のさまざまな状態に呼応する生活動線。
気候風土や人々の記憶を読み解き、
住宅の基本性能を丁寧に考えることで得られる
豊かな情感。
病めるときも、健やかなるときも、
私たちをあたたかく包み込み、
前向きな生へと導いてくれる大らかさ。
住宅建築の名手が今あらためて、
情緒と機能性をあわせもつ、
普遍的な住まい〈ベーシック・ハウス〉とは何かを考えた。
その思考と実践の跡を
近作8軒の写真や手描き図面とともに
つづる。
〈目次〉
はじめに
1 進化した巣の姿
2 小さな家の魅力
3 〝パッシブ〟な家の魅力
4 本当の財産とは
5 住宅の寿命
6 懐かしい未来に向けて
私の設計した家
里山に暮らす 里山住宅博 ヴァンガードハウス
古都に暮らす 鎌倉大町の家 *住まい手インタビュー
集まって暮らす 八雲の家 *住まい手インタビュー
郊外に暮らす 秦野の家
大地に暮らす 北杜の家
山に暮らす 池川の家
都市に暮らす 中野のマンション
町に暮らす 河内永和の家 *住まい手インタビュー
〈本書より〉
住まいは食や衣と同じく、人の心身に大きく作用するとても重要なものです。また風土や環境 や地域の文化と密接につながっていなければならないものだと思います。
住まいの基本を見つめることは、身体や環境に負担がかからず、長年の風雪に耐えてなおも生き残ってきたものの価値を見出し、評価することにつながります。また住まいは住む人の人生に決定的な影響を与えるものなので、噓や誤魔化しがあってはいけないこともわかります。過去から未来につながる時間の中で、現実を丁寧に調整したり修復したりして、徐々に住まいのあり方を変えてゆく必要性も見えてきます。
この本に示した私の考えや作品は、あくまでも近年の私自身の試行錯誤の結果であり、一般解、標準解を目的にしたものではありません。一人一人が住まいという樹木の太い根幹を考え、それぞれの地域、環境、暮らしの中に豊かで多様な枝葉が茂ってゆく一つのきっかけになる本になればと願っています。
――はじめにより抜粋
- 本の長さ128ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2019/4/25
- 寸法18.4 x 1.2 x 21.5 cm
- ISBN-104103352922
- ISBN-13978-4103352921
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商品の説明
著者について
堀部安嗣(ほりべ・やすし)
建築家、京都造形芸術大学大学院教授。1967年、神奈川県横浜市生まれ。筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業。益子アトリエにて益子義弘に師事した後、1994年、堀部安嗣建築設計事務所を設立。2002年、〈牛久のギャラリー〉で吉岡賞を受賞。2016年、〈竹林寺納骨堂〉で日本建築学会賞(作品)を受賞。2017年、設計を手がけた客船〈guntû(ガンツウ)〉が就航。同年、「堀部安嗣展 建築の居場所」(TOTOギャラリー・間)開催。作品集に『堀部安嗣の建築 form and imagination』(TOTO出版)、『堀部安嗣作品集 1994-2014 全建築と設計図集』(平凡社)。主な著書に『建築を気持ちで考える』(TOTO出版)、共著に『書庫を建てる 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト』(新潮社)など。
建築家、京都造形芸術大学大学院教授。1967年、神奈川県横浜市生まれ。筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業。益子アトリエにて益子義弘に師事した後、1994年、堀部安嗣建築設計事務所を設立。2002年、〈牛久のギャラリー〉で吉岡賞を受賞。2016年、〈竹林寺納骨堂〉で日本建築学会賞(作品)を受賞。2017年、設計を手がけた客船〈guntû(ガンツウ)〉が就航。同年、「堀部安嗣展 建築の居場所」(TOTOギャラリー・間)開催。作品集に『堀部安嗣の建築 form and imagination』(TOTO出版)、『堀部安嗣作品集 1994-2014 全建築と設計図集』(平凡社)。主な著書に『建築を気持ちで考える』(TOTO出版)、共著に『書庫を建てる 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト』(新潮社)など。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2019/4/25)
- 発売日 : 2019/4/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 128ページ
- ISBN-10 : 4103352922
- ISBN-13 : 978-4103352921
- 寸法 : 18.4 x 1.2 x 21.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 131,680位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 23位民家・住宅論 (本)
- - 262位住宅建築
- カスタマーレビュー:
著者について
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イメージ付きのレビュー
5 星
今だけ・金だけ・自分だけの現代だからこそ、読むべき普遍的な住宅論
堀部氏が、立ち向かっていったテーマは、ある意味現代においては、非常に困難なテーマである。資本主義と情報社会の進展で、人間が何千年とかけて洗練されてきた街と暮らしの在り方が、ここ数十年の間で、利己主義で刹那的に塗り替えてしまったからだ。しかし、時代に左右されない基本というものがあるはずだと、「ベーシック」な住まいの在り方が展開されている。そしてもう一つのキーワードが「パッシブデザイン」である。詳しくは書で確認していただきたい。この書の一番心を打つ箇所は、東洋的思想に裏付けされた、利他の思想である。「資本主義経済が、利己的に、ここ数十年間の短期間で、社会を大きく塗り替えてしまっている。多様性がもたらされたように見えても、実は画一的で平面的な商売の損得勘定から作られるようになった」ことを嘆いている。「変えるべきこと」と「変えなくていいこと」を整理せず、急速に進んできた日本の問題に切り込みます。大東建託・レオパレスに見るサブリースの問題や、街を食い荒らすミニ開発の分譲住宅を見ていると、現在の住宅産業は、外来種の害虫のように、「今だけ 金だけ 自分だけ」のことしか考えていないように強く感じる。こうした現代の建築のありように、静かな怒りを言葉の中に込めていることに大いに共感できる。「根本的な実感を伴わず、自己中心的な考えのものは自滅する道しかない」あわただしく変わりゆく社会だからこそ、建築こそはじっと動かず、人間の記憶と五感とを集約したものとして存在しなければならない。住まいは暮らしのベースであるからこそ、時空を超えた人間の活動そのものの基本を学び、当たり前なことを当たり前に、まっとうに積み上げていった総和であるべきだと言いたいのであろう。氏の思想は普遍的である。 と、こんな感じのレビューでまとめると 難しい本に思われるかもしれませんが、まったく違います。本書は一般の方を想定して書かれているし、写真とプランが豊富にあることと、文章も比較的、平易なであるので、これから住宅をと考えている、一般の読者に広く読んでいただきたい一冊である。
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2021年9月16日に日本でレビュー済み
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2019年7月15日に日本でレビュー済み
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この本は、初めて家を建てようとしている人には余り適当でないかも知れません。最初の家を持とうとする人は、建物の外見、機能、デザイン等に注意がいって、実際に住んだときに本当に快適な家になるかどうかについては、余り気を配らないものです。
一度、家を建てて長い間住んでいると、いろいろと改善すべき点が出てきます。大き過ぎる家を建ててしまったとか、デザインに凝りすぎたとか、との反省が多いようです。ぱっと見れば素晴らしい家に見えるのですが、実際に住むと、快適な家になっていない場合がよくあるようです。また、その頃になると、高齢になり、家の見かけが良い等ということより、実際に快適に住めるどうかが切実な問題になってきます。
この本は、著者が設計した100平米程度の小住宅を紹介しています。どの家も、著者の設計スタイルが良く現れた住み良さそうな家ばかりです。都市部の家や、郊外の家、地方の家等での実際に設計・建築した家の写真・図面が掲載されています。
この本は新潮社のPR雑誌「波」に掲載されていたものをベースにしています。「波」に記載されているのは文章、つまり、設計方針だけで、その方針に従ってどのような家を実際に設計したかは、記載されていません。この本は、その実施例が具体的に示されています。写真と図面だけを見ても楽しめる本です。
一度、家を建てて長い間住んでいると、いろいろと改善すべき点が出てきます。大き過ぎる家を建ててしまったとか、デザインに凝りすぎたとか、との反省が多いようです。ぱっと見れば素晴らしい家に見えるのですが、実際に住むと、快適な家になっていない場合がよくあるようです。また、その頃になると、高齢になり、家の見かけが良い等ということより、実際に快適に住めるどうかが切実な問題になってきます。
この本は、著者が設計した100平米程度の小住宅を紹介しています。どの家も、著者の設計スタイルが良く現れた住み良さそうな家ばかりです。都市部の家や、郊外の家、地方の家等での実際に設計・建築した家の写真・図面が掲載されています。
この本は新潮社のPR雑誌「波」に掲載されていたものをベースにしています。「波」に記載されているのは文章、つまり、設計方針だけで、その方針に従ってどのような家を実際に設計したかは、記載されていません。この本は、その実施例が具体的に示されています。写真と図面だけを見ても楽しめる本です。
2019年6月11日に日本でレビュー済み
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住宅を設計するうえで考えるべき事を著者の考えを通して分かりやすく書かれている
個人的にバイブルとしていつも手元にあり
進むべき道に迷ったときに読み返したいと思う書籍のひとつ
個人的にバイブルとしていつも手元にあり
進むべき道に迷ったときに読み返したいと思う書籍のひとつ
2020年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
家は小さくてよい。土地と家なら、土地のほうにお金をかけるべきなどなど、生活すること、そこで生きていくことに考え続けている筆者が、わかりやすい言葉で、家について教えてくれます。
2019年4月26日に日本でレビュー済み
堀部氏が、立ち向かっていったテーマは、ある意味現代においては、非常に困難なテーマである。
資本主義と情報社会の進展で、人間が何千年とかけて洗練されてきた街と暮らしの在り方が、
ここ数十年の間で、利己主義で刹那的に塗り替えてしまったからだ。
しかし、時代に左右されない基本というものがあるはずだと、「ベーシック」な住まいの在り方が展開されている。
そしてもう一つのキーワードが「パッシブデザイン」である。
詳しくは書で確認していただきたい。
この書の一番心を打つ箇所は、東洋的思想に裏付けされた、利他の思想である。
「資本主義経済が、利己的に、ここ数十年間の短期間で、社会を大きく塗り替えてしまっている。多様性がもたらされたように見えても、実は画一的で平面的な商売の損得勘定から作られるようになった」ことを嘆いている。
「変えるべきこと」と「変えなくていいこと」を整理せず、急速に進んできた日本の問題に切り込みます。
大東建託・レオパレスに見るサブリースの問題や、
街を食い荒らすミニ開発の分譲住宅を見ていると、
現在の住宅産業は、外来種の害虫のように、「今だけ 金だけ 自分だけ」のことしか考えていないように強く感じる。
こうした現代の建築のありように、静かな怒りを言葉の中に込めていることに大いに共感できる。
「根本的な実感を伴わず、自己中心的な考えのものは自滅する道しかない」
あわただしく変わりゆく社会だからこそ、建築こそはじっと動かず、
人間の記憶と五感とを集約したものとして存在しなければならない。
住まいは暮らしのベースであるからこそ、
時空を超えた人間の活動そのものの基本を学び、当たり前なことを当たり前に、
まっとうに積み上げていった総和であるべきだと言いたいのであろう。
氏の思想は普遍的である。
と、こんな感じのレビューでまとめると 難しい本に思われるかもしれませんが、
まったく違います。本書は一般の方を想定して書かれているし、
写真とプランが豊富にあることと、文章も比較的、平易なであるので、これから住宅をと考えている、一般の読者に広く読んでいただきたい一冊である。
資本主義と情報社会の進展で、人間が何千年とかけて洗練されてきた街と暮らしの在り方が、
ここ数十年の間で、利己主義で刹那的に塗り替えてしまったからだ。
しかし、時代に左右されない基本というものがあるはずだと、「ベーシック」な住まいの在り方が展開されている。
そしてもう一つのキーワードが「パッシブデザイン」である。
詳しくは書で確認していただきたい。
この書の一番心を打つ箇所は、東洋的思想に裏付けされた、利他の思想である。
「資本主義経済が、利己的に、ここ数十年間の短期間で、社会を大きく塗り替えてしまっている。多様性がもたらされたように見えても、実は画一的で平面的な商売の損得勘定から作られるようになった」ことを嘆いている。
「変えるべきこと」と「変えなくていいこと」を整理せず、急速に進んできた日本の問題に切り込みます。
大東建託・レオパレスに見るサブリースの問題や、
街を食い荒らすミニ開発の分譲住宅を見ていると、
現在の住宅産業は、外来種の害虫のように、「今だけ 金だけ 自分だけ」のことしか考えていないように強く感じる。
こうした現代の建築のありように、静かな怒りを言葉の中に込めていることに大いに共感できる。
「根本的な実感を伴わず、自己中心的な考えのものは自滅する道しかない」
あわただしく変わりゆく社会だからこそ、建築こそはじっと動かず、
人間の記憶と五感とを集約したものとして存在しなければならない。
住まいは暮らしのベースであるからこそ、
時空を超えた人間の活動そのものの基本を学び、当たり前なことを当たり前に、
まっとうに積み上げていった総和であるべきだと言いたいのであろう。
氏の思想は普遍的である。
と、こんな感じのレビューでまとめると 難しい本に思われるかもしれませんが、
まったく違います。本書は一般の方を想定して書かれているし、
写真とプランが豊富にあることと、文章も比較的、平易なであるので、これから住宅をと考えている、一般の読者に広く読んでいただきたい一冊である。
堀部氏が、立ち向かっていったテーマは、ある意味現代においては、非常に困難なテーマである。
資本主義と情報社会の進展で、人間が何千年とかけて洗練されてきた街と暮らしの在り方が、
ここ数十年の間で、利己主義で刹那的に塗り替えてしまったからだ。
しかし、時代に左右されない基本というものがあるはずだと、「ベーシック」な住まいの在り方が展開されている。
そしてもう一つのキーワードが「パッシブデザイン」である。
詳しくは書で確認していただきたい。
この書の一番心を打つ箇所は、東洋的思想に裏付けされた、利他の思想である。
「資本主義経済が、利己的に、ここ数十年間の短期間で、社会を大きく塗り替えてしまっている。多様性がもたらされたように見えても、実は画一的で平面的な商売の損得勘定から作られるようになった」ことを嘆いている。
「変えるべきこと」と「変えなくていいこと」を整理せず、急速に進んできた日本の問題に切り込みます。
大東建託・レオパレスに見るサブリースの問題や、
街を食い荒らすミニ開発の分譲住宅を見ていると、
現在の住宅産業は、外来種の害虫のように、「今だけ 金だけ 自分だけ」のことしか考えていないように強く感じる。
こうした現代の建築のありように、静かな怒りを言葉の中に込めていることに大いに共感できる。
「根本的な実感を伴わず、自己中心的な考えのものは自滅する道しかない」
あわただしく変わりゆく社会だからこそ、建築こそはじっと動かず、
人間の記憶と五感とを集約したものとして存在しなければならない。
住まいは暮らしのベースであるからこそ、
時空を超えた人間の活動そのものの基本を学び、当たり前なことを当たり前に、
まっとうに積み上げていった総和であるべきだと言いたいのであろう。
氏の思想は普遍的である。
と、こんな感じのレビューでまとめると 難しい本に思われるかもしれませんが、
まったく違います。本書は一般の方を想定して書かれているし、
写真とプランが豊富にあることと、文章も比較的、平易なであるので、これから住宅をと考えている、一般の読者に広く読んでいただきたい一冊である。
資本主義と情報社会の進展で、人間が何千年とかけて洗練されてきた街と暮らしの在り方が、
ここ数十年の間で、利己主義で刹那的に塗り替えてしまったからだ。
しかし、時代に左右されない基本というものがあるはずだと、「ベーシック」な住まいの在り方が展開されている。
そしてもう一つのキーワードが「パッシブデザイン」である。
詳しくは書で確認していただきたい。
この書の一番心を打つ箇所は、東洋的思想に裏付けされた、利他の思想である。
「資本主義経済が、利己的に、ここ数十年間の短期間で、社会を大きく塗り替えてしまっている。多様性がもたらされたように見えても、実は画一的で平面的な商売の損得勘定から作られるようになった」ことを嘆いている。
「変えるべきこと」と「変えなくていいこと」を整理せず、急速に進んできた日本の問題に切り込みます。
大東建託・レオパレスに見るサブリースの問題や、
街を食い荒らすミニ開発の分譲住宅を見ていると、
現在の住宅産業は、外来種の害虫のように、「今だけ 金だけ 自分だけ」のことしか考えていないように強く感じる。
こうした現代の建築のありように、静かな怒りを言葉の中に込めていることに大いに共感できる。
「根本的な実感を伴わず、自己中心的な考えのものは自滅する道しかない」
あわただしく変わりゆく社会だからこそ、建築こそはじっと動かず、
人間の記憶と五感とを集約したものとして存在しなければならない。
住まいは暮らしのベースであるからこそ、
時空を超えた人間の活動そのものの基本を学び、当たり前なことを当たり前に、
まっとうに積み上げていった総和であるべきだと言いたいのであろう。
氏の思想は普遍的である。
と、こんな感じのレビューでまとめると 難しい本に思われるかもしれませんが、
まったく違います。本書は一般の方を想定して書かれているし、
写真とプランが豊富にあることと、文章も比較的、平易なであるので、これから住宅をと考えている、一般の読者に広く読んでいただきたい一冊である。
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2022年9月8日に日本でレビュー済み
著者の建築哲学が静かに、しかしひしひしと伝わってきました。
景観と一体感のある色々な意味で無理のない家。
作為のない素直な間取り。
呼吸するような家。
具体的な予定はないけれど、家を建てるならこんな家がいい、というイメージはずっとありました。
それがこの本を読んで言語化、可視化されたような気がします。
家を建てる前にこの本に出会えて良かったと思いました。
景観と一体感のある色々な意味で無理のない家。
作為のない素直な間取り。
呼吸するような家。
具体的な予定はないけれど、家を建てるならこんな家がいい、というイメージはずっとありました。
それがこの本を読んで言語化、可視化されたような気がします。
家を建てる前にこの本に出会えて良かったと思いました。
2019年5月29日に日本でレビュー済み
新潮社が発行する「波」の連載で発表された6つの文章と近作の写真・美しい手書きのスケッチがまとめられた本です.
まだ作品集に収められていない、近年の住宅の写真が多く収められていて、とても見ごたえがありました.
美しく、心地よさそうな住宅の写真に反し、収められた文章からは著者の切実な訴えを感じます.
そのすべての文章を通じて、著者は”私たちが建築とどんな関係を築いて生きていけばよいか”と問い続けていると感じました.
本書の語り口はやわらかく、建築を専門としない方たちにも自然に読める本になっていると思いますが、
それは著者が、専門的な問題を噛み砕いて伝えているからというより、先述のような全ての人に共通の、本質的な問いについて語ろうとしているからだと思います.
“建築とどんな関係を築くのか” という問いは、建築を創る側だけに課せられた問いではなく、生きている人全てに共通の問いだということなのだと思います.
著者は,私たちが本当に求める住まい・建築について,もう一度じっくり考えてみよう,と冷静に,切実に訴えかけています.
私たちはいつの間にか,手に馴染むもの,心地よいと思うもの,不思議と気の静まるもの,心から好きだと思うもの,を純粋に求める気持ちをないがしろにしてしまっていて,
美しくない形,無機質な模造の仕上げ,不自然な匂い,といった本当は嫌悪感を抱いているものに対して,とても慣れてしまっているのではないか,と気付かされました.
本書には,人の生活のある住まいの写真が多く収められています.
写真を見ていると,こんな家に住んでいる人はどんな人だろう,と想像が膨らみます.
大げさに言えば,人が美しく生きられる器のようで,いつの間にか自分や,自分の親しい人の姿を写真に重ねていました.
住まい手の方の書いた文章も収められていて,
住まいをただ機能的なことで評価し,使っているのではなく,
寄り添いながら生きて,住んでいるのだということが伝わってきて,とても感動しました.
写真やスケッチにも多くのページがさかれ,負担なく一冊全て読める本ですが,何度も読み返したくなる本です.
あらゆる世代の,あらゆる立場の人に読んでほしい本だと思いました.
中でも中学生や高校生に読んでほしい.
読者たちが、答えのないこの問いを抱え続けて生きていくことが、著者の願いであるように感じています.
まだ作品集に収められていない、近年の住宅の写真が多く収められていて、とても見ごたえがありました.
美しく、心地よさそうな住宅の写真に反し、収められた文章からは著者の切実な訴えを感じます.
そのすべての文章を通じて、著者は”私たちが建築とどんな関係を築いて生きていけばよいか”と問い続けていると感じました.
本書の語り口はやわらかく、建築を専門としない方たちにも自然に読める本になっていると思いますが、
それは著者が、専門的な問題を噛み砕いて伝えているからというより、先述のような全ての人に共通の、本質的な問いについて語ろうとしているからだと思います.
“建築とどんな関係を築くのか” という問いは、建築を創る側だけに課せられた問いではなく、生きている人全てに共通の問いだということなのだと思います.
著者は,私たちが本当に求める住まい・建築について,もう一度じっくり考えてみよう,と冷静に,切実に訴えかけています.
私たちはいつの間にか,手に馴染むもの,心地よいと思うもの,不思議と気の静まるもの,心から好きだと思うもの,を純粋に求める気持ちをないがしろにしてしまっていて,
美しくない形,無機質な模造の仕上げ,不自然な匂い,といった本当は嫌悪感を抱いているものに対して,とても慣れてしまっているのではないか,と気付かされました.
本書には,人の生活のある住まいの写真が多く収められています.
写真を見ていると,こんな家に住んでいる人はどんな人だろう,と想像が膨らみます.
大げさに言えば,人が美しく生きられる器のようで,いつの間にか自分や,自分の親しい人の姿を写真に重ねていました.
住まい手の方の書いた文章も収められていて,
住まいをただ機能的なことで評価し,使っているのではなく,
寄り添いながら生きて,住んでいるのだということが伝わってきて,とても感動しました.
写真やスケッチにも多くのページがさかれ,負担なく一冊全て読める本ですが,何度も読み返したくなる本です.
あらゆる世代の,あらゆる立場の人に読んでほしい本だと思いました.
中でも中学生や高校生に読んでほしい.
読者たちが、答えのないこの問いを抱え続けて生きていくことが、著者の願いであるように感じています.