あっというまにひきこまれて読み切った。それでも描かれる苦しくて時々ページをめくる手が文字通りとまった。同時に主人公とほぼ同年代だったので、自分の10代~30代までを違う視点で見直すような気持ちで読んだ。自分が今まで見てこなかったもの、見ていたけど無視してきたものをあらためて直視するような感じだった。
人は生き直せる、しかし、それをおしつぶし、希望を奪うことは恐ろしいほどに容易く、それを行うのは私たちがつくりだす社会だ。
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夜が明ける 単行本 – 2021/10/20
西加奈子
(著)
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購入オプションとあわせ買い
直木賞受賞作『サラバ』から7年、本屋大賞第7位『i』から5年。西加奈子が悩み苦しみ抜き、全力で書き尽くした渾身の作品『夜が明ける』が、10月20日、ついに刊行。
「当事者ではない自分が書いていいのか、作品にしていいのか」という葛藤を抱えながら、それでも社会の一員として、作家のエゴとして書き抜いた本作は、著名人、書店員をはじめ、多くの人の心を揺さぶる救済と再生の感動作。
【著名人の皆さんから感動コメント】
小泉今日子さん (俳優)
今、 社会の中で、 気付かなくちゃ、
感じなくちゃいけないことがきっちり書いてある。
是枝裕和さん (映画監督)
読んでいる間中、 自分も主人公と同じように経験した「痛み」が胸にこみ上げ
息が苦しくなった。 これが小説であることをしばしば忘れ、
その度に本を閉じたが、 読み終わったときに感じたものは「希望」に近い何かだった。
「幸福」とも「解放」とも違う、 何かだった。
仲野太賀さん (俳優)
息を殺しながら生きなくてもいいように、
誰かの心が壊れないように、
この物語が生まれたんだと思う。
二階堂ふみさん (女優)
ページを捲る度に、 五感が研ぎ澄まされる。
匂い、 味、 温度、 小さな痛み。
この国に、 アキはどれほどいるのだろう。
人間は脆く、 そして哀しい。
どこまでも、 哀しい。
だからこそ"優しさ"の奇跡が生まれるのだと、 西先生の綴る文章から感じました。
これは遠い誰かの話では無く、 間違いなく"我々の話"であると思います。
【あらすじ】
15歳の時、 高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。
普通の家 庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できる ことなんて何一つないのに、 互いにかけがえのない存在になっていった。 大学卒業後、 「俺」はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属する。 しかし、 焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体 も、 壊していった......。
思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描 きながら、 人間の哀しさや弱さ、 そして生きていくことの奇跡を描く。
本書は著者が初めて、 日本の若者の生きていく上でのしんどさに真正面から取り組んだ作品。
【著者紹介】
西加奈子(にし・かなこ)
1977(昭和52)年、 イランのテヘラン生れ。 エジプトのカイロ、 大阪で育つ。 2004(平成16)年に『あおい』でデビュー。 翌年、 1 匹の犬と5人の家族の暮らしを描いた『さくら』を発表、 ベストセラーに。 2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。 2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。 15年に『サラバ! 』で直木賞を受賞。 ほか著書に『さくら』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『まく子』『i』『おまじない』など多数。
「当事者ではない自分が書いていいのか、作品にしていいのか」という葛藤を抱えながら、それでも社会の一員として、作家のエゴとして書き抜いた本作は、著名人、書店員をはじめ、多くの人の心を揺さぶる救済と再生の感動作。
【著名人の皆さんから感動コメント】
小泉今日子さん (俳優)
今、 社会の中で、 気付かなくちゃ、
感じなくちゃいけないことがきっちり書いてある。
是枝裕和さん (映画監督)
読んでいる間中、 自分も主人公と同じように経験した「痛み」が胸にこみ上げ
息が苦しくなった。 これが小説であることをしばしば忘れ、
その度に本を閉じたが、 読み終わったときに感じたものは「希望」に近い何かだった。
「幸福」とも「解放」とも違う、 何かだった。
仲野太賀さん (俳優)
息を殺しながら生きなくてもいいように、
誰かの心が壊れないように、
この物語が生まれたんだと思う。
二階堂ふみさん (女優)
ページを捲る度に、 五感が研ぎ澄まされる。
匂い、 味、 温度、 小さな痛み。
この国に、 アキはどれほどいるのだろう。
人間は脆く、 そして哀しい。
どこまでも、 哀しい。
だからこそ"優しさ"の奇跡が生まれるのだと、 西先生の綴る文章から感じました。
これは遠い誰かの話では無く、 間違いなく"我々の話"であると思います。
【あらすじ】
15歳の時、 高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。
普通の家 庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できる ことなんて何一つないのに、 互いにかけがえのない存在になっていった。 大学卒業後、 「俺」はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属する。 しかし、 焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体 も、 壊していった......。
思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描 きながら、 人間の哀しさや弱さ、 そして生きていくことの奇跡を描く。
本書は著者が初めて、 日本の若者の生きていく上でのしんどさに真正面から取り組んだ作品。
【著者紹介】
西加奈子(にし・かなこ)
1977(昭和52)年、 イランのテヘラン生れ。 エジプトのカイロ、 大阪で育つ。 2004(平成16)年に『あおい』でデビュー。 翌年、 1 匹の犬と5人の家族の暮らしを描いた『さくら』を発表、 ベストセラーに。 2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。 2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。 15年に『サラバ! 』で直木賞を受賞。 ほか著書に『さくら』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『まく子』『i』『おまじない』など多数。
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2021/10/20
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104103070439
- ISBN-13978-4103070436
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出版社より



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窓の魚 | 白いしるし | 【単行本】夜が明ける | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち3.6
47
|
5つ星のうち4.0
88
|
5つ星のうち4.2
471
|
価格 | ¥539¥539 | ¥605¥605 | ¥2,035¥2,035 |
【新潮文庫】西加奈子 作品 | 私たちは堕ちていった。裸の体で、秘密の心を抱えて──男女4人が過ごす温泉宿での一夜と、ひとりの死。恋愛小説の新たな臨界点 。 | ヴィーナスの足指の不自然な反り返り、実在の娼婦から型を取った彫刻。名画の背景にある官能を読み解く、目からウロコの美術案内。 | 思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。どれだけ傷ついても、夜が深くても、必ず明日はやってくる。 |
商品の説明
出版社からのコメント
「書きながら、 辛かった」と西加奈子さん自身が振り返る、 最新長編『 夜が明ける』の主なテーマは現代日本に存在する若者の貧困、 虐待、 過重労働です。
直木賞受賞後に友人たちが連れて行ってくれたモノマネパブで見た「誰かに似ている人」という存在、 フィンランドのバーで出会った男性など、 様々な西さんの実体験がつながって物語は構築され、 執筆途中で生活拠点を移したカナダで諸外国人の「日本の若者の貧困」に対する認識を痛感された西さんの想いが反映された、 まさに5年かけて変化し続けた作品です
。 主人公は「俺」です。 彼に名前はついていません。
誰でも、 それこそ女性でも、 「俺」のような状況に陥ることがある、 ここには「この小説はあなたの物語なんだよ」という西さんのメッセージが込められています。
直木賞受賞後に友人たちが連れて行ってくれたモノマネパブで見た「誰かに似ている人」という存在、 フィンランドのバーで出会った男性など、 様々な西さんの実体験がつながって物語は構築され、 執筆途中で生活拠点を移したカナダで諸外国人の「日本の若者の貧困」に対する認識を痛感された西さんの想いが反映された、 まさに5年かけて変化し続けた作品です
。 主人公は「俺」です。 彼に名前はついていません。
誰でも、 それこそ女性でも、 「俺」のような状況に陥ることがある、 ここには「この小説はあなたの物語なんだよ」という西さんのメッセージが込められています。
著者について
1977(昭和52)年、 イランのテヘラン生れ。 エジプトのカイロ、 大阪で育つ。 2004(平成16)年に『あおい』でデビュー。 翌年、 1 匹の犬と5人の家族の暮らしを描いた『さくら』を発表、 ベストセラーに。 2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。 2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。 15年に『サラバ! 』で直木賞を受賞。 ほか著書に『さくら』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『まく子』『i』『おまじない』など多数。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2021/10/20)
- 発売日 : 2021/10/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 416ページ
- ISBN-10 : 4103070439
- ISBN-13 : 978-4103070436
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 38,760位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,007位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年10月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み切るのに凄く体力を使った。読み終わった後も夜が明けるのかわからないし感じる事もできない。
ずっとモヤモヤが続く作品。爽快エンターテイメントではなく他人には薦めることはできないけど、でも‥
気力がある時に読む事を薦めます。
ずっとモヤモヤが続く作品。爽快エンターテイメントではなく他人には薦めることはできないけど、でも‥
気力がある時に読む事を薦めます。
2021年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書を購入前に『小泉今日子と西加奈子の対談!』を読んで欲しい。ネットで検索すると出て来る。
著者がカナダで書き上げた『夜が明ける』についての真相がこの対談によって明らかになる。
2021年10/23(土) 8:00配信された、本書の出版社
『新潮社 小説新潮 2021年11月号 掲載』の記事だ。
この記事で、著者の本当の気持ちがわかるので、一部引用して紹介する。
西、
『夜が明ける』は日本にいた頃に書き始めて、カナダで書き上げた小説なんです。日本にいた頃も、書くうちに小説が変わっていくことはありましたが、この小説はカナダに来てからどんどん変わりました。
小泉 それはどういう部分ですか?
西、
カナダに来て、周りの人に「小説家です」と言うと、「今何を書いてるの?」と聞かれます。一言では言えないけれど、今は日本の貧困について書いてると言うと、日本に貧困があるということを知らない人が多くて驚かれるんです。
小泉 そうなのか……。
西、
南米や中近東、アフリカ出身の方もたくさんいるので、その方たちからしたら、貧困といってもごはんを食べられているんだからそんなに苦しくはないでしょう、僕たちの国では貧しさで人が死ぬと。でも、先ほどの「恐怖を受け入れる」話にも通じるんですけど、日本のこの辛さは、他国に比べたら大したことないから我慢しないと、というものではないはずです。日本人は特に、「●●と比べたら」という比較で目を瞑ったりなかったことにしたりしがちです。それは苦しさをやはり「乗り越えている」だけで、それを受け入れて、きちんと自覚していることにならないんですよね。
小泉 そうですね、比べられないですよね。
西、
それは違う、嫌だと思って、けっこう変えたところや書き足した部分もあります。人によってしんどいと感じることは違うんだから、
しんどいと思ったらしんどいって言っていいんだ、ということを書きたい気持ちが強くなりました。
小泉、
日本人の国民性というか性格みたいなものに依るものなんでしょうか。他にも何か感じたところはありましたか?
西、
自己責任っていう言葉が英語ではなかなか伝わりにくいです。セルフレスポンシビリティと表現することもできますが、それだと自立っぽいニュアンスがあるようで、ちょっと違うような気もします。少なくともこちらでは、「自己責任だからあなたのせいだ」と言われるためのツールにはなっていないと思います。あとは恥の概念ですね。例えば、日本人の中には、自分が職を失ったことや家を失ったことを恥ずかしくて家族に言えない、という方もいらっしゃいます。でもカナダではそういう状況が信じられないみたいです。その話をした時、
カナダ人の友人に「どうして家族に言えないの?」と聞かれて「恥の意識があって」と答えると「恥って何?」
と聞かれて答えに窮しました。カナダ人は、日本人に比べると「あなたのせいだ」と言われる状況が少なかったんだと思います。だから、しんどいときに、自然と人に助けを求められるんじゃないかなと。
日本社会に根付いている「恥」という感覚がみんなを苦しめてるように感じます。
小泉、
そうかもしれない。でも、日本社会も日本人の中にも、今まさに、少しずつ意識を変えようとか行動を起こそうという人が増えている気がします。
西 さっき、私が小説で書きたいことの一つに、
「人間は変われる」ということ、と言ったのですけど、今、小泉さんとお話ししながら、
「自分を取り戻す」ということも書きたかったことの一つだと改めて気づきました。
私たちは人種や国籍や性別など関係ないピュアな生き物として生まれてきたはずなのに、社会にいる間に自分の軸が分からなくなって、周りから「価値観」や「常識」の粘土で塗り固められた人間になる。例えば、十代の頃の私なんて、「可愛くないと駄目」だとか、そんなことばっかり思っていたんです。
以上。
〜2021年10/23(土) 8:00配信された、本書の出版社『新潮社 小説新潮 2021年11月号 掲載』の記事より一部抜粋して引用〜
上記の対談で、著者は日本人社会は『恥じ』という感覚がみんなを苦しめているのではないか?と感じている。
確かにそうだ、私ごとで申し訳ないが、このレビューをかかせていただいている私も生存率が極めて低い癌にかかったと人に言えなかった。そして10年間、誰にも本当の気持ちをつたえれず苦しんだ。
著者がこの小説で書きたいことの一つに「人間は変われる」ということがある。
まさに、この小説の中で出てくる主人公アキの姿そのものである。貧困の中で自分がどうやって変わってかがよく描かれている。
私も本書により、ようやく気がついた。くるしいときは、くるしいと話てもよいことを。著者に勇気をもらい感謝する。
本書は、現在、日本の生きとし生けるもの全ての人に読んで欲しいと思った素晴らしい作品である。
著者がカナダで書き上げた『夜が明ける』についての真相がこの対談によって明らかになる。
2021年10/23(土) 8:00配信された、本書の出版社
『新潮社 小説新潮 2021年11月号 掲載』の記事だ。
この記事で、著者の本当の気持ちがわかるので、一部引用して紹介する。
西、
『夜が明ける』は日本にいた頃に書き始めて、カナダで書き上げた小説なんです。日本にいた頃も、書くうちに小説が変わっていくことはありましたが、この小説はカナダに来てからどんどん変わりました。
小泉 それはどういう部分ですか?
西、
カナダに来て、周りの人に「小説家です」と言うと、「今何を書いてるの?」と聞かれます。一言では言えないけれど、今は日本の貧困について書いてると言うと、日本に貧困があるということを知らない人が多くて驚かれるんです。
小泉 そうなのか……。
西、
南米や中近東、アフリカ出身の方もたくさんいるので、その方たちからしたら、貧困といってもごはんを食べられているんだからそんなに苦しくはないでしょう、僕たちの国では貧しさで人が死ぬと。でも、先ほどの「恐怖を受け入れる」話にも通じるんですけど、日本のこの辛さは、他国に比べたら大したことないから我慢しないと、というものではないはずです。日本人は特に、「●●と比べたら」という比較で目を瞑ったりなかったことにしたりしがちです。それは苦しさをやはり「乗り越えている」だけで、それを受け入れて、きちんと自覚していることにならないんですよね。
小泉 そうですね、比べられないですよね。
西、
それは違う、嫌だと思って、けっこう変えたところや書き足した部分もあります。人によってしんどいと感じることは違うんだから、
しんどいと思ったらしんどいって言っていいんだ、ということを書きたい気持ちが強くなりました。
小泉、
日本人の国民性というか性格みたいなものに依るものなんでしょうか。他にも何か感じたところはありましたか?
西、
自己責任っていう言葉が英語ではなかなか伝わりにくいです。セルフレスポンシビリティと表現することもできますが、それだと自立っぽいニュアンスがあるようで、ちょっと違うような気もします。少なくともこちらでは、「自己責任だからあなたのせいだ」と言われるためのツールにはなっていないと思います。あとは恥の概念ですね。例えば、日本人の中には、自分が職を失ったことや家を失ったことを恥ずかしくて家族に言えない、という方もいらっしゃいます。でもカナダではそういう状況が信じられないみたいです。その話をした時、
カナダ人の友人に「どうして家族に言えないの?」と聞かれて「恥の意識があって」と答えると「恥って何?」
と聞かれて答えに窮しました。カナダ人は、日本人に比べると「あなたのせいだ」と言われる状況が少なかったんだと思います。だから、しんどいときに、自然と人に助けを求められるんじゃないかなと。
日本社会に根付いている「恥」という感覚がみんなを苦しめてるように感じます。
小泉、
そうかもしれない。でも、日本社会も日本人の中にも、今まさに、少しずつ意識を変えようとか行動を起こそうという人が増えている気がします。
西 さっき、私が小説で書きたいことの一つに、
「人間は変われる」ということ、と言ったのですけど、今、小泉さんとお話ししながら、
「自分を取り戻す」ということも書きたかったことの一つだと改めて気づきました。
私たちは人種や国籍や性別など関係ないピュアな生き物として生まれてきたはずなのに、社会にいる間に自分の軸が分からなくなって、周りから「価値観」や「常識」の粘土で塗り固められた人間になる。例えば、十代の頃の私なんて、「可愛くないと駄目」だとか、そんなことばっかり思っていたんです。
以上。
〜2021年10/23(土) 8:00配信された、本書の出版社『新潮社 小説新潮 2021年11月号 掲載』の記事より一部抜粋して引用〜
上記の対談で、著者は日本人社会は『恥じ』という感覚がみんなを苦しめているのではないか?と感じている。
確かにそうだ、私ごとで申し訳ないが、このレビューをかかせていただいている私も生存率が極めて低い癌にかかったと人に言えなかった。そして10年間、誰にも本当の気持ちをつたえれず苦しんだ。
著者がこの小説で書きたいことの一つに「人間は変われる」ということがある。
まさに、この小説の中で出てくる主人公アキの姿そのものである。貧困の中で自分がどうやって変わってかがよく描かれている。
私も本書により、ようやく気がついた。くるしいときは、くるしいと話てもよいことを。著者に勇気をもらい感謝する。
本書は、現在、日本の生きとし生けるもの全ての人に読んで欲しいと思った素晴らしい作品である。
2022年11月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
西加奈子の長編はこの作品のほかに「サラバ!」を読みましたが、この作家の短編作品はともかく、長編作品はどうも自分と相性が悪いのか、あまり好きになれません。
どこが気に入らないかというと、まず作品が長いうえに冗長な記述が多く、作者が言いたいことになかなか辿り着けない点です(下手すると最後まで読んでもよくわからない)。
また、この作品の森という女性、サラバ!だと主人公の姉がそうですが、何かすべてをわかったような顔をして主人公を説得するあるいは悟りを開かせるようなことを言う人物が終盤になって現れて、何か主人公が納得して終わるというような展開も小説の書き方としてちょっとずるいし、安易な作りに感じます。おそらくこの森や姉が作者の代弁者になっているのでしょうが、それが見え見えなのも作品として軽薄な感じがします。
貧困・親の子供に対する虐待などに関して言えば現実社会で考えてみても、非常に深刻で解決しなければならない問題だと思うし、それを題材に小説を書くことにも異存はないし、そういう作品が嫌いなわけでないのです。
ただ、作品の最後の1~2ページでわざわざ現実社会で起きた広告代理店の若い女性が、激務とパワー・ハラスメントに耐えかねて自殺した事件に触れているように、おそらくこの事件の女性などがこの作品の「俺」のモデルあるいは非常に似通った状況にある人物として、「俺」を描いたものと推測しますが、「俺」も現実世界の女性も、自殺を考えるくらいならもっと早く職場をやめる選択はできたはずだと、私は思うのです。たとえ学生時代に借りた奨学金の返済があったとしてもです。
未成年の頃はしょうがないとしても、成人して社会人になった段階では、過去にどんな家庭環境にあったとしても、自分の生き方を決められるのは自分だけだし、周りの世界のいろいろなイジメやハラスメントから自分を守れるのも自分だけなのです。
最後に「アキ」とフィンランド人俳優のアキ・マケライネンを(特に人格が)そっくりの人物として描いたところは面白かったし、最後のオチもこの作品の中では気に入った部分です。
どこが気に入らないかというと、まず作品が長いうえに冗長な記述が多く、作者が言いたいことになかなか辿り着けない点です(下手すると最後まで読んでもよくわからない)。
また、この作品の森という女性、サラバ!だと主人公の姉がそうですが、何かすべてをわかったような顔をして主人公を説得するあるいは悟りを開かせるようなことを言う人物が終盤になって現れて、何か主人公が納得して終わるというような展開も小説の書き方としてちょっとずるいし、安易な作りに感じます。おそらくこの森や姉が作者の代弁者になっているのでしょうが、それが見え見えなのも作品として軽薄な感じがします。
貧困・親の子供に対する虐待などに関して言えば現実社会で考えてみても、非常に深刻で解決しなければならない問題だと思うし、それを題材に小説を書くことにも異存はないし、そういう作品が嫌いなわけでないのです。
ただ、作品の最後の1~2ページでわざわざ現実社会で起きた広告代理店の若い女性が、激務とパワー・ハラスメントに耐えかねて自殺した事件に触れているように、おそらくこの事件の女性などがこの作品の「俺」のモデルあるいは非常に似通った状況にある人物として、「俺」を描いたものと推測しますが、「俺」も現実世界の女性も、自殺を考えるくらいならもっと早く職場をやめる選択はできたはずだと、私は思うのです。たとえ学生時代に借りた奨学金の返済があったとしてもです。
未成年の頃はしょうがないとしても、成人して社会人になった段階では、過去にどんな家庭環境にあったとしても、自分の生き方を決められるのは自分だけだし、周りの世界のいろいろなイジメやハラスメントから自分を守れるのも自分だけなのです。
最後に「アキ」とフィンランド人俳優のアキ・マケライネンを(特に人格が)そっくりの人物として描いたところは面白かったし、最後のオチもこの作品の中では気に入った部分です。
2022年5月29日に日本でレビュー済み
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二人の物語が同時進行するさまは、新しい間隔に陥った。 同じ時期なのか、これはいつなのか。面白い錯覚を起こした。
僕は、メッセージ性を強く感じた。ありのままでいること。助けをもとめてもいい。不完全、完全ってのは誰が決めてるの? きっと大丈夫。
※元気なときに読むことをオススメします。
僕は、メッセージ性を強く感じた。ありのままでいること。助けをもとめてもいい。不完全、完全ってのは誰が決めてるの? きっと大丈夫。
※元気なときに読むことをオススメします。
2022年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み進めるの、すっごく辛かったけど、結末の著者のメッセージにつながった瞬間、すっと楽になった。
そうだ、私たちは変えられるんだって。
こんな酷い現実は変えなきゃ。
まずは現実を知らなきゃと思った。
多くの方に読んでもらえますように…。
そうだ、私たちは変えられるんだって。
こんな酷い現実は変えなきゃ。
まずは現実を知らなきゃと思った。
多くの方に読んでもらえますように…。
2022年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
貧困、ヤングケアラーって自己責任なのかぁ。
負の連鎖に落とされ浮かばれないよぉ。
「でもな、そこで負けちゃダメなんだ」という
中島さんの言葉が聞こえる。
「負けたくないから」と話す
遠峰の声は変わらない。
しかし俺は自己責任を果たそうとして
果たせない渦に巻き込まれる。
「田沢さん、苦しかったら助けを求めろ」と
伝えてくれた後輩の話が嬉しい。
苦しかったら助けを求めろ...
しかし夜は明ける...だろうかぁ。
保証はない。それでも歩くのか。
きついなぁ。
負の連鎖に落とされ浮かばれないよぉ。
「でもな、そこで負けちゃダメなんだ」という
中島さんの言葉が聞こえる。
「負けたくないから」と話す
遠峰の声は変わらない。
しかし俺は自己責任を果たそうとして
果たせない渦に巻き込まれる。
「田沢さん、苦しかったら助けを求めろ」と
伝えてくれた後輩の話が嬉しい。
苦しかったら助けを求めろ...
しかし夜は明ける...だろうかぁ。
保証はない。それでも歩くのか。
きついなぁ。
2021年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み進める程に、主人公2人それぞれの切実な現実が胸に迫り、救われて欲しい、いつ救われるんだ、と問い詰めるような気持ちで一気に読んだ。
この小説に救いはあるか。意見が分かれると思う。でも今現在、救いを求めている人には、どこか響く箇所があるのではないか。例え主人公のような過酷な状況にはなくとも、読み手個々人の求める救いに広くアクセスしてくるような、不思議な包容力のある小説だ。
私はこの小説を、現在家族の問題を抱える友人に手渡したいと思っている。
この小説に救いはあるか。意見が分かれると思う。でも今現在、救いを求めている人には、どこか響く箇所があるのではないか。例え主人公のような過酷な状況にはなくとも、読み手個々人の求める救いに広くアクセスしてくるような、不思議な包容力のある小説だ。
私はこの小説を、現在家族の問題を抱える友人に手渡したいと思っている。