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混沌からの表現 (ちくま学芸文庫 ヤ 17-1) 文庫 – 2007/6/1

3.5 5つ星のうち3.5 11個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2007/6/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/6/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 261ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480090835
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480090836
  • カスタマーレビュー:
    3.5 5つ星のうち3.5 11個の評価

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山崎 正和
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年4月20日に日本でレビュー済み
日本人の自己表現
自己イメージの分裂
16世紀は実験室
江戸時代の文化政策と現代。
手とイメージ
情報化の歪み
変質する情報
アイデンティティの喪失
現代芸術の自己解体
手仕事としての芸術
ものの復活。
都市の復活のために。
日本人の心とかたち
無情のリズム
水の東西
もう一つの自然回復
元号とげん直し
演じられた風景
自然回帰のための機械
高層建築のわび
時計の塔の困惑
悲しき新体詩
ダイダラザウルスの哀れ
いじらしい国家
恨みを買わない誇り
落書の明暗
能楽堂の憂鬱
茶道具とアメリカ人
能と狂気
鹿鳴館と陣風連のあいだ
実朝出帆。
曲がり角で考える
虚の国に生きる覚悟
新しい文盲の時代
新骨董ブーム
情報の交通整理員
虚の国に生きる覚悟。
労働から仕事へ
同上
免許証の陥穽
勤勉の哲学を
夕方の復活を。
自己嫌悪の恐怖
同上
アメリカの苦渋と成熟
ああ同胞
うら道徳の紅葉
機械は権力主義的か
性教育の幻想。
豊かさへの模索
嫉み・論理なき感情
土地に暮らすということ
避雷針
反射神経の断絶
活字ジャーナリズム
豊かさを感じる技術を。
あとがき
ちくま学芸文庫版あとがき。
2020年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まぁまぁ
2018年3月20日に日本でレビュー済み
劇作家・評論家である山崎正和による、文化・文明批評集となっています。
「水の東西」では、何かと気忙しいニューヨークにおける水の表現は噴水なのに対して、
京都郊外では‘鹿おどし’という仕掛けが人々の耳を楽しませている、という点に注目し、
その文化的背景を探っています。

比較文化論として興味深く読んだのですが、仮にニューヨークではたしかに人々は忙しいため、
瞬時に目で見て楽しめる噴水施設を横目にして、都市空間を謳歌するさなか、いっときの寛ぎを得るでしょうが、
それはむしろ視覚に訴える建築技術の粋ともいえるものです。
それに対して、仮に京都郊外の‘鹿おどし’は半分に割った竹筒かなにかで流れ落ちる水を受けて、
周期的に高平音が‘こおん’とあたりに鳴り渡る仕掛けであって、それに暫時耳を澄ます人々はその間合いなどから、
時間的な移り行きを実感しているのでは。その点それはむしろ聴覚に訴える工芸技術の粋ともいえましょう。

かように水をめぐる表現は、洋の東西でたぶんに異なりますが、水が華麗に空中を舞う視覚的アートにせよ、
目に見えないながら水の存在がたしかに介在することで結果音を楽しむ聴覚的アートにせよ、
時空が水によっていかようにも分割、演出可能であることを感じさせてくれるものでしょう。
即ち、そこには和辻的な比較風土論的感受性の差異に根差した、文明・文化の構築に係る偏差が見て取れ、
たしかに風土という文化機構(フィルター)の介在によって、同じ物理要素が異なった仕方で受理される点、
見逃せないと思います。そうした様態を仮に、変異に基づく多文化並存と呼ぶならば、
その間の翻訳可能性(不可協約性)とは、水の芸術ひとつとっても、根深く思われるものです。

山崎正和は劇作家・評論家として、数々の文化現象や歴史的事象に取材して、
それに味わい深い哲学的考察を施すことで、
背景にあるより根本的な構造に思いを至らせてくれる、そんな批評家でありますが、
この「水の東西」にはそれが鋭敏に現れているので、この際とりあげました。
その他の考察も読みごたえがあり、軽快なる身の回り事象からあれこれと考えるきっかけを提供してくれるので、
ぜひご一読をおすすめしておきます。なお、吉野作造賞受賞作である『柔らかい個人主義の誕生』(中公文庫)も、
予兆的な社会評論として、また『演技する精神』(中公文庫)も、劇作をつうじた哲学的演劇論として、
この際併せておすすめです。
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