あらすじ
遠い未来の話。大きな戦争で、地球が大きな傷を負っていた。大気は灰色に汚れ、大地では生命の息吹が途絶え、水は干上がっている。そして人口は最盛期の頃より大きく数を減らしていた。ニンゲンたちは、その日を生きるために身を寄せ合っていた。
そんな時代の中、「フィロイド」と呼ばれるロボットが、朽ちた施設で目を覚ました。戦争前の人類科学の結晶で、感情機能を持つ人型のロボットだ。ニンゲンの新たなパートナーとして、生活をよりよいものにしていくと約束されていた存在。しかし、目覚めたフィロイドは、すぐに自分の感情機能の欠落に気づく。製作途中で放置されていたのであろう、右手も人工皮膚に覆われておらず機械の骨格が剥き出しだった。少年型のフィロイドは、本能的にニンゲンを求めた。そして自分に欠落している感情を得るため、荒廃した世界を歩き続ける。
そんなある日、フィロイドはひとりの少女に拾われた。少女は彼のことをニンゲンだと思い丁寧に介抱してくれる。小さいけれど温かな町。フィロイドの少年は、少女との生活の中で徐々に感情を学んでいく。