上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0【自炊PDFのために買ったが「書ける」ことが超便利】1年使った超レビュー【最新・BOOX NOTE3より優れている点】
2018年5月3日に日本でレビュー済み
2021年1月、わたしはBoox Note3というE-InkのAndroidタブレットを導入した。流石に新聞やwebが読めたり、別アプリを導入してきめ細かいバックアップが行えるなど、純粋Androidならでは便利さを体験すると、dp:t-rp1は見劣りがする。ではあるが、一方、dpt-rp1の基本性能の素晴らしさが逆に判る結果ともなった。Note3の良さは別で書くが、更めて判ったdpt-rp1の優れている点を書いておく。本機は役割を終えた製品ではなく、立派な現行機種である。
1・ページめくりでの残像がない。
Booxのモードを色々試したが、残像が残ったり、ページめくりの度に画が乱れるのがとても気になる。dpt-rp1のページめくりは、素早く、1ページ毎に素早く自然なリフレッシュがかかり、残像が残らない。とてもよくできている。本機以降に発売された製品でもE-Ink専用コントローラを載せたSoc(CPU)を使用していない製品(BOOX NOTE3)では、設定を工夫して1ページ毎に完全リフレッシュを行う必要があり、その際、目がチカチカしたりする。本機のページめくりはとても優秀であり、そうした基本的な部分がよくできている。
2・画面に手を置ける。
画面に手の側面を置いて自由に紙のように書ける。Booxでは、PDFの書き込みでは手を浮かせておかないと誤動作することがしばしばある。いわゆる「ノート」的なアプリではOKでも、PDFに書き込むと手を置くだけでページがめくれてしまうのだ。本機にはそのような誤動作は皆無である。(これはbooxが、「フリックのみでページめくりをする」モードがないためである。デジタルペーパーはページめくり誤動作を避けるため、フリックのみでしかページめくりできないかわり、フリックの感度が高い)
3・書き込み部分にバグがない
NOTE3では、「ノート」は良くできているが、PDFファイルに大量に書き込むと、上手く保存されなくなるバグが存在する。購入して2ヶ月弱で2回経験した。デジタルペーパーでは、100M超の重いPDFに書き込んでページをめくると時によって数秒待たされることがあるが、逆にその時に確実に保存してくれる。BOOXはいつ保存しているか判らない快適な動きを実現している代わり、沢山書き込んだ時に突然、線が描画されず「%」になったり、書き込んだ筈のページがクリアされていたりすることがあるのだ。(それでもBooxが便利な点は多数ある。)
結局、1・PDFで長く読書する、2・読書した物に自由に書き込んでファイルを残しておく、という「読み書き」の基本動作だけを考えれば、本機の性能は素晴らしく、いまから中古で安く入手できるdpt-rp1をもう一台購入しても良いくらいだ。(Carta1250を使ったよりコントラストのはっきりしたデジタルペーパー新製品が2021年夏に製品化が予定されている。新製品は、ワコムEMRペンに戻るので、電源の必要がなく、好きなペンを別途購入できるメリットも大きい。したがって、定価近い中古は「待ち」半額程度の中古なら「買い」だろうと思う。)
以下は、2017~2018年に書いたレビューで、もう時間が経つのでどこまで参考になるか判らないが、しかしdpt-rp1は現在もわたしにとってないと困る道具である。
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A4サイズのDPT-RP1。一回り小さいA5サイズのDPT-CP1がもうすぐ発売されることで、DPT-RP1を取り巻く立ち位置も大きく変わった。さらに使用感を大きく変えた新機能【スマホ連携】の実装も含めて再レポートする。(2018年6月1日現在。2017年8月のレポートのリニューアルです)
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ともかく素晴らしい。ソニーストアで触っても踏ん切りがつかなかったが、持ってみないと判らないのが本機だった。購入した日から、本機がない生活は考えられなくなってしまった。購入して2カ月経った時点で本レポを書いたが、逆にまだ2カ月なのかと驚いたほどだ。それくらい、本機に生活が依存している。
DPT-RP1とDPT-CP1でかなり迷うと思うが、個人的にはA4サイズのDPT-RP1をぜひ実際に触ってからどちらを購入するかを決めてほしいと願う。それは画面の広さの使いやすさに加え、圧倒的な軽さを体感して欲しいからである。
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目次
■1・意外。「書けること」が重要だった
■2・ペンで「書く」
■3・Wi-Fi接続がオススメ
■4・解像度について・ディスプレイに関して
■5・PDF周りのスキルがあるか?
■6・スマホ連携 【2018年5月31日より実装しました】
■7・PCでの操作 (Digital Paper App)
■8・改善して欲しい点(要望)
■9・ケースについて
■10・そもそも、E-Inkについて (比較図あり)
■11・ライバル機との比較
■12・ファームウェア、ソフトウェアバージョン
■13・最後に
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■1・意外。「書けること」が重要だった
DPT-RP1は、13.3型E-Ink端末、解像度1650×2200ドット(DPT-CP1は10.3型、1404×1872)。どれほど快適か、使ってみないと判らない。PDF閲覧だけで良くて購入したのに、書き込めることの重要性は使ってから痛感した。時代は間違いなくこっちにいくだろう。
購入前、同じ画面サイズで書き込み機能なしの安価な端末が欲しかったが存在しなかった。つまり仕方なく本機を購入したのだ。しかし結果として本機を買えたことに満足している。
PDFに書けることの便利さは、展示機を触るくらいでは判らないかも知れない。しかし自分の所有物となった後、様々なPDFや自炊本を入れて使い始めると数時間で書けることの重要性に気づく。(それはいつでも消せることであり、また、元ファイルをとっておけば、クリーンなPDFと書き込んだPDFの両方を持てることでもある。)
私の場合は自炊本に直接書き込むことの便利さの他に、PCからwebページや、仕事の資料をDPT-RP1に「印刷(転送のこと)」して、それに書き込みチェックをできることの自然な便利さ(!)に衝撃を受けた。
<◎手書きの「☆」「*」マークを認識・検索>
また、手書きの「☆」「*」を認識してそのページに飛べるのも便利。
(ページジャンプといえば、ワードから変換したPDF資料や、自炊PDFでもOCR情報が埋め込んであれば、本機で検索ジャンプできる。ごく普通の機能だが、機能の有無が気になるユーザーは安心して欲しい。検索の際には本機画面にキーボードが出てくるため、ローマ字入力で検索ができる。漢字変換はiWnn。)
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■2・ペンで「書く」
ペン先は2種類あり好きに交換できる。鉛筆のような書き味のフェルト。ボールペンのような書き味のPOM。どちらも完成度の高さにびっくりする。
私はボールペン派なので、POM素材の方の替え芯を使っている。フェルトより固いから安心と思っていたら、これもかなり柔らかく減りが早い。柔らかいからディスプレイを守れるのだろう。セコいことを言うが、書ける文字数で考えると、恐らく市販の国産ボールペンの替え芯の方が安いくらいだ。
しかし、ペンをにぎる指先のボタンで書いたばかりの線をすぐに消せること、重なった線でも内部の情報ではレイヤーのようになっているので、前に書いた線だけを消すなどの操作が簡単で、それが物凄く快適だ。
書き込んだ部分は、PC版アクロバットで開いても右クリックで順次消去可能。
例えば、100Mバイトくらいの大きなPDFファイルに書き込んだ場合、ペンで書いた後に、ページめくりのタイミングでファイル自動保存がかかるようで、少し待たされることがあるので注意が必要だ。
また、ノートを取る場合など、あとから一行くらい空行を入れたくなった場合、簡単に書いたものをブロック移動させて空行を追加できるのも意外と良く使うデジタルならではの便利な機能だ。
書き心地は特筆に値する。フェルトの柔らかい書き心地が快適なのは当たり前としても、POMがとても快適だったこと。紙にボールペンを書いている感覚。なめらかで書いてる実感がある。ツルツルの固い画面に固いペン先がコツコツ当たるような、これまでありがちだった類似製品の書き心地とは全く違う。
A4という広い画面なのに画面上が歪み・たわみなく均一でフラット。当たり前だと思っていたが、海外E-Ink端末などでは歪みがあったり、縁が少しせり上がっていてペン先が当たる製品なども存在するらしい。
本機に触ってまず一番驚くのが軽さである。そして次に書き心地の素晴らしさ。まさに紙。デジタルペーパーの名に恥じない。
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■3・Wi-Fi接続がオススメ
USBケーブルで結線してファイル出し入れをすると当初は思っていた。しかし本機はWi-Fi接続がオススメである。
理由は、ファイルのコピーをしている間も、本機でのPDF閲覧ができるからである。
本機でPDFを読んだり、書き込みしているあいだに、例えばPCから本機へのコピーをいつの間にか完了することができる。
(普通のことのようだが、例えばKoboだと読みながらPCからKoboへのコピーはできない。)
ただ、バッテリの消費が早くなるため、普段はWi-Fiを切っている。
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■4・解像度について・ディスプレイに関して
A4サイズのDPT-RP1での、2ページ見開きの素晴らしさ。見開きで自炊PDFが読めると、「E-Ink端末」がようやく「書籍」に進化したような感動がある。
何度も書くが、本機は実際に触らないとわからない。デジタルペーパー展示機は現在(2018年5月3日)、ソニーストア銀座、ソニーストア 札幌、ソニーストア 名古屋、ソニーストア 大阪、ソニーストア 福岡天神にあるらしいが、電話アポをとって、自分のPDFをDPT-RP1に転送させてもらう段取りを踏んでから出かけていくと良い。空いている時間帯なら対応して貰える可能性がある。
ソニーストアで本機を実際に触って確かめられることはE-Ink端末としては例外的とも言える大きな特色である。ぜひ事前に実機にて確認をして欲しい。もしあなたがE-Ink端末を買いたいと思っても、例えばKoboやKindleに関しては、展示してある店舗で自炊ファイルを試しに入れられるような対応をしてくれるところは極めて少ない(そもそも、販売側はそういう使い方を想定していない)。一方、海外のE-Inkライバル機は特別なイベントでもない限り展示機に触る機会すらほぼないからだ。
マンガなどは、E-Ink画面による、まともな大きさで見開きで読む初めての体験をした。これは多くの人がそうだろう。
DPT-RP1によるマンガの見開き2ページ表示。これだけでもソニーストアで確認したら、マンガを読む人は購入を即決するだろう。或いは、マンガや雑誌などを敢えて見開きではなく単ページでA4いっぱいに表示させた時の素晴らしさ。実寸の書籍より大きく表示させることで、細かいところが目に飛び込んで来る。作者の辿った思考や感情、配慮が、細かい部分にびっしりと記録されている。このことだけでも本機を購入して良かったと思った。(ちなみに写真集閲覧はモノクロ16階調なので、がっかりします。)
本機購入前には、Kobo Aura ONEを使用していた。KoboとのPDF閲覧の大きな違いは、Koboは、数ページめくったあとに、画面リフレッシュがかかること。Koboはリフレッシュしたばかりではとても美しい表示だが、最適化されていないPDFに関しては、リフレッシュ直前などは、線が薄くなって読みにくくなることもしばしばあった。
一方、本機は、ページめくり毎に素早くリフレッシュがかかり、常に表示が美しい。また、PDFにカスタマイズされているため、思った以上にPDFがサクサクと閲覧できる。
本機がKoboに劣るのは、LEDライトが入っていないことである。Kobo Aura ONEの白眉はLEDライトの使い勝手である。暗いところはもちろん、日中でも白い紙に見えるような微妙な明るさ、色が存在する。(とは言え、例えば新幹線車内でDPT-RP1を閲覧しても明るさ的になんの問題もありません。)
多くの場面ではLEDライトなしでも良いが、薄暗い中、PDFを読みたいことも結構あるのだ。その点は諦めるしかないだろう。私はポケットサイズのクリップ型LEDライトも購入したが、画面が読み難く、登場の場面は余りない。
<◎一覧ページも高解像度だから使える>
ピンチ操作により、ページ一覧画面が見れるが、大画面高解像度の本機は、この機能が使い物になる。各ページに書いてあることがなんとなく判るからだ。ページ一覧とは、16ページ分を一覧表示し、一覧表示のまま、次の16ページにページめくりもできる機能のことだ。一覧表示に切り換えた時は、1ページ1ページ描画する速度に少しイライラするが、一度一覧表示をしてしまえば、ページめくりはてきぱきと早い。(フォント埋め込みPDFの場合。全画像になっているPDFは、一覧表示は多少もっさりする。)
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■5・PDF周りのスキルがあるか?
本機で扱えるのはpdfのみ。epubも読めないし、Kindle、Koboなどもアプリをインストールできない。
私自身はDR-C240という爆速のスキャナで自炊PDFを作成しているし、epubや各種ファイルをPDFに変換するのも調べればわけはない。おまけに、スマホ連携で用途が数限りなく拡がった。
PDFの表示のみ……と思い、購入を躊躇する意見も見かけるが、自身のPDF化スキルやスマホ連携を見つめて、案外大丈夫と結論したら、本機は最高の宝になるだろう。
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■6・スマホ連携 【2018年5月31日より実装しました】
DPT-CP1も、DPT-RP1もスマホと連携できるようになった。これで本機の利便性が一気に加速した。また、スマホ連携に関して、ほぼ完璧と言い得るユーザビリティを実現したと思う。
これまでも小さいタブレットPCを持ち歩いているなら、いつでも「Digital Paper App」からDTP-RP1を操作可能であった。しかし、スマホ(タブレット)操作の手軽さはPCの比ではない。
考えてもみて欲しい。スマホからwebページや定額読み放題雑誌ページ、または、日経新聞の記事などをキャプチャして、DPT-RP1にコピーできるのだ。日々のニュース性の高い情報は、囲みを入れたり、メモを追加することで、いつまでも使える活きた情報になるだろう。
.docや.txtからのPDF化もスマホアプリなら昨今では簡単だし、配布された資料をスマホで写真データにし、それをPDFに変換しつつDPT-RP1にコピーなど。それら様々なファイルがパッとDPT-RP1で書き込みできる資料となるのだ。
本機の記憶容量は11Gバイト。これで困ることはないが、容量がが少ないと感じるユーザーの不満もスマホ連携により解決する。タブレットやスマホが母艦になれば、本機に保存しきれない大量のPDFをSDカード等で持ち運べることにもなるからだ。多くのスマホはUSBホスト機能を備えており、外部メモリを接続できる。
「Digital Paper App for mobile」
・PCを介さずスマホと直接連携し、PDFの出し入れが可能
・NFC搭載スマホの場合、デジタルペーパーにかざして接続できる
色々な方法があるだろうが、私にとって便利だと思う方法を以下に紹介する。(以下の操作の前に、最初に一度、Digital Paper App for mobile経由でスマホにデジタルペーパーを登録する必要がある。)
<◎準備 デジタルペーパーとスマホの接続>
以下、アンドロイドタブレットにての検証結果のみ記す。本機は当然、iOSにも対応している。接続には2つの方法がある。
・Wi-Fi環境下では、デジタルペーパーもスマホも同じネットワークに参加させるだけ。Wi-Fiインフラ接続(同じWi-Fiネットワークに接続)。(デジタルペーパーに最初にWi-Fi参加させるには、PCとUSB接続し、Digital Paper Appを介して行う。)
・外出先などの場合は、ダイレクト接続(デジタルペーパーがアクセスポイント)。デジタルペーパーの設定で「Wi-Fiアクセスポイントを起動」にチェックを入れる。アクセスポイント名やパスワードの設定は、デジタルペーパー側から自在に変更できる。スマホ側でWi-Fiネットワークを探せば、デジタルペーパーが見つかるので選択すれば良い。この「Wi-Fiアクセスポイントを起動」の実装があるため、非常に手軽にスマホとの連携を実現できた。
<◎PDFファイルのコピー デジタルペーパー → スマホ>
上記、スマホとの接続状態で、Digital Paper App for mobileを起動させればデジタルペーパー内のファイルを選択し、「取り出し」できるようになる。「共有」をぞれのアプリに引き継がれる。選択すれば、クラウドアップロードやメール添付など、ファイルの受け渡しがそれぞれのアプリに引き継がれる。(現時点では、リストに最新100ファイルしか表示されない不具合がある。まあ出先で古いファイルを取り出したいことは余りない。)
<◎「ホワイトボード」「名刺」「レシート」 スマホ(スキャン) → デジタルペーパー>
アンドロイドではFast Scannerというアプリが圧勝だ。画像をグループ管理するので、「名刺」「○○企画」「個人交通費」などの追加したいグループを選択→スキャン(撮影)→台形補正(わかりやすい!)→カラーやモノクロ、明るさを1タッチで調整→PDF出力を選択→共有→DPA mobileという遷移。このアプリがあるかないかで大きく違う。
<◎webページのコピー スマホ → デジタルペーパー>
これはもっとスマートな方法もあると思うが、私の方法は、Chromeなどで印刷メニューからいったんPDF化しておき、あとで作成した複数のPDFをファイラーで選択し、長押し→共有→DPA mobileという遷移で、デジタルペーパー内の好きなフォルダにコピーする。
<◎jpgのコピー スマホ → デジタルペーパー>
スマホで閲覧している「新聞」や「雑誌」をスクリーンショット保存したjpgなどの複数のjpgファイルをあとからPDFにするのに、ひとまず私は「Image to PDF Converter(2種類あるが緑のアイコンの方)」も利用している(上記Fast Scannerでも可能だと思う)。このアプリの場合は、これ自体がファイラーのようになっており、フォルダを辿り、画像ファイルを選択すると、再圧縮などかけることなく素直にPDFにしてくれる。あとは、ファイラー操作で転送する。
いくつか試した類似アプリだと、jpgに再圧縮がかかり、小さい文字等が見難くなるものも存在した。
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■7・PCでの操作 (Digital Paper App)
デジタルペーパーのネットワークへの参加や、オートスリープの時間設定など、母艦となるPCからしか設定できない項目もいくつか存在する。
PCにインストールしたソフト「Digital Paper App」から本機にアクセスすると、本機で操作するよりはファイルなどを探しやすい。
「Digital Paper App」にて、デジタルペーパーをPCとペアリングする。
【特長1】ワイヤレスでドキュメントを転送する
【特長2】デジタルペーパーに“印刷”する
【特長3】コンピューターとデジタルペーパーを同期する
【特長4】デジタルペーパーのドキュメントを整理
<◎PCからの「印刷」機能>
PCから「印刷」をするとDPT-RP1に直接PDFが生成される。
たとえば、web記事などを印刷してDPT-RP1に入れておき、書き込みチェックするような使い方。
たとえば、webカレンダー的なものを印刷してDPT-RP1で書き込みチェックするような使い方。
ただし、「印刷」にて生成されたPDFは、テキスト埋め込みがされていないため、検索等できない画像PDFになる(2017年10月20日現在のDigital Paper Appの仕様)。急場しのぎには良いが、長期間使うPDFは別途、テキスト埋め込みできるアプリケーションにて生成する方が便利だろう。
<◎クラウド連携>
注意点は、クラウドにファイルを入れておきさえすれば、DPT-RP1とファイルが同期する「わけではない」こと。
条件は、
・Digital Paper AppをインストールしたPC
・DPT-RP1が起動した状態
・DPT-RP1がPCと同じwifiネットワークに参加していること
・Digital Paper Appでクラウドと同期したいフォルダを指定する
・Digital Paper Appが起動していること
たとえば、「NOTE」フォルダのように、DTP-RP1の中で動的にファイルが作成・更新されるフォルダの自動バックアップがクラウドに保存されるのは楽だ。逆にも、PCからクラウドにファイルを入れておけば、DPT-RP1で作業をしている間にいつの間にかファイルが同期されている。
Digital Paper Appが起動していないとか、DPT-RP1のWi-Fiを切っているだけで同期されないので、無意識の運用とまではいかないが、コツさえつかめば便利だ。
例えば、私は所有している電化製品などの各種操作マニュアル(PDF)をネットからダウンロードしクラウドに入れておいて後で勝手同期させている。
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■8・改善して欲しい点(要望)
購入に踏み切れないユーザーは買った方が良いと個人的には思う。「書ける13インチ高精細E-Ink端末」を持ったその日から生活が変わる。
それでも、本機には改善してほしい点が山のようにある。色々な人が色々なことを言っているが、個人的な要望をここでは書いておく。
<◎ペンの色は白(グレー)も絶対欲しい>
ペンの線色は、青と赤から選択できる。DPT-RP1上では色は再現されないが、PCで見ると青と赤の書き込みは目立って良い。もしこれに黒があっても良いんじゃないかと思う。
そして、最も欲しい色は白(もしくはグレー)である。DPT-RP1は背景が白いPDFを前提の端末だが、背景が黒いPDFには書き込みが実質できないからだ。
<◎本体だけでPDFの複製をつくれるようにして欲しい>
例えば、チェックシートPDFで、「何がどこまで終わったのか、今日の時点の状態」を保存したい時がある。
現在は、Digital Paper Appを起動して、「コピー(デジタルペーパー内)」→「ペースト(デジタルペーパー内)」をすると「a.pdf」が「a(1).pdf」として保存される。
これを本体だけでできるようにして欲しい。
<◎PDF簡易編集(PDFへの新規ノートページの挿入)が欲しい>
DTP-RP1は、「ノート」と呼ばれる遷移があり、デイリースケジュールや原稿用紙など、様々なフォーマットのページ(PDF 1ページ)をセットしておくと、そのフォーマットのノートを簡単に作成できる。最後のページまで行ったら、次ページにめくると、自動的にページが追加できる仕組みだ。新ページの途中挿入も自在だ。
このノートページを「非ノートのPDF」の任意の箇所に自由に追加できると便利という要望である。解像度が異なるページが並んでしまうが、それでも構わないというユーザーは多いと思う。
<◎フォルダ毎のデフォルト表示の設定が欲しい>
縦書き自炊ファイルを初めて開く時は、ページ方向設定をいちいち逆にしたり、文庫本を開く時は、加えてさらに見開き表示にする必要がある。
あるフォルダには、横書き資料が、あるフォルダに縦書きの自炊PDFを入れるなどのようにフォルダをカテゴリ別に運用するユーザーは多いのではないか。であればフォルダ毎のデフォルト動作が決定できれば、新しくPDFを開いた時に、すぐさま閲覧をはじめられる。
<◎アンドゥが欲しい>
うっかり操作ミスをして書き込んだ線を消した、ファイルを消した。そんな場合でも、本機にアンドゥ機能はない。線の復活くらいはできても良い。もちろん、1つ前のファイル復活も技術的には実装可能なはずだ。
<◎書き込んだPDFの自動リネームが欲しい>
書き込んだPDFであるかどうかは、更新日でしかわからない。書き込んだ時点でPDFを勝手にリネームしてくれるモードが欲しい。
ex「ヴィンテージ店_一覧_都内.pdf」→「w_ヴィンテージ店_一覧_都内.pdf」。こんなことだけでも十分なのだ。
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■9・ケースについて
本機の特色は軽さにあるので、私は家では時々、ケースカバーを外して使用している。純正のケースは色々配慮されたもののようだが、本機を粘着させる方式のようで、剥がす度に粘度の弱まりが心配だ。
だから、私はA4サイズの文具を利用し、止めたホチキスが本機を傷つけないように、外にも見えないような構造を考え、本機の四隅をゴムで止め、ペンも脱落しないようなケースカバーを自作した。ペンは側面にゴムで固定するので、鞄の中でペンが画面を圧迫することもない(重要)(参考・添付写真)。市販のものでそのようなタイプのものも出始めた。
折れや圧力は鞄に入れる際に配慮したスペースをつくれば良いので、デザイン性に優れた「軽い汎用型13インチケース」をいまも探し続けている。
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■10・そもそも、E-Inkについて (比較図あり)
目が疲れないなどのE-Inkディスプレイの優位性を既に知っている人に向け、以上、感想を書いてみた。驚いたことに、液晶の画面(LCD)を長時間見つめていても、E-Inkとの目の疲労の差が全く判らない人もいる。もしE-Inkデバイスでなくて良いなら、価格も近いiPad Proを購入する方が普通に便利だろう。
言わずもがなだが、E-Inkディスプレイは、コピー機で一応はコピーができる完全反射型のディスプレイで、紙を見ている疲労度とほぼ同じ感覚で画面を見つめられる。これは私の個人的な場合に過ぎないが、暗く設定した液晶画面での連続20時間くらいの作業で、目がしょぼしょぼと涙が出てきて、スマホもPC画面も見た瞬間に吐き気を催すような疲労に達しても、紙やE-Ink画面を見てもそのような肉体的拒絶感がない。この感覚は判る人と判らない人がいる。判る人にとってはE-Inkは読書や研究への大きなアドバンテージとなる。
現在、E-Inkは今のところモノクロ画面で階調数も低い。LCDはカラーであるが、 周りが明るいとその分、画面を明るくする必要があるため、屋外で見るのに難儀することもある。3枚目の画像は、LCDとE-Inkを比較した結果。良くあるガラス仕上げのLCDではライトが反射している。発光と反射光の仕組みの違いによるものと思われるが、目の疲労度が大きく異なると感じるユーザーがE-Ink支持者には多い。
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■11・ライバル機との比較
何に重きをおくかではあるが、高解像度E-Inkのライバル機には、以下のようなものがある。
●国内流通品
DPT-RP1(本機) 13.3インチ 1650×2200
DPT-CP1 10.3インチ 1404×1872
Kobo Aura ONE 8インチ 1404×1872 LED入り
kindle paperwhite、 Voyage、Oasisなど 6インチ 1072×1448 LED入り
DPT-S1(前機) 13.3インチ 1200×1600
デジタルペーパーと電子書籍端末の解像度を比較してみた。E-Ink端末も新機種が出る度に高解像度化していく。
●海外
Onyx BOOX MAX CARTA(JPモデル) 13.3インチ 1650×2200 Android4.0 OS
Onyx BOOX NOTE 10.3インチCarta 1404×1872 Android6
reMarkable 10.3インチ 1872×1404 PDF&ePUBリーダー (ペンの筆圧感知ありの為ドローイング可)
(参考・E-Ink外部モニタ Paperlike 3 13.3インチ 2200×1650 retina ディスプレイ)
BOOX NOTE。androidが動き、Googleplayから様々なアプリがインストールできるBOOXは、最高の端末だという絶賛の声がある一方、使いやすいとは限らないという批判の声もある(多くのアプリがカラーデバイスを想定し設計されているため、必要なボタンが変に濃淡が薄かったり、安定性への不満など)。特色としては4096段階のペン筆圧感知と傾き検知を内蔵しているというのだから、文字だけでなく絵を描くこともできるだろう。amazonで気軽に購入できるのは魅力だ。
また、reMarkableはe-pubにも対応しているという。ノルウェーのベンチャーでクラウドファンドにより出資者を募ったとのことだ。評判も上々で、機会があれば、これも思うままに触ってみたい機種だ。
だが、海外製品は手にとって確認する機会が少なく、保証に関しても不安は残る。
海外のライバル機に魅惑を感じつつも、私自身はソニーストアで実機に触れることのできたDPT-RP1を購入した。
DPT-RP1は「PDFしか読めない」とも言えるが、逆に、「最適化されているため、非常に快適にPDFが読める」とも言える。「やや重めのPDFもこんなにサクサク開くのか」。これが第一印象であった。Kobo Aura ONEでは開くことがやっとだった400dpiの自炊本がなんなく開いたことで購入動機が高まった。
今後も同じパネルを使用した多彩なライバル機が登場しそうだ。今のところ、トータルの完成度ではDTP-RP1は評価が高い。いつまで一位の座でいられるだろうか。ファームウェアやDigital Paper Appのアップデート次第で今後も一位での独走が続くかもしれない。
本機の他に、市場に選択肢があること自体は歓迎すべきである。DPT-RP1の購入を躊躇している方は、まずは実機に触れるのが一番であると、個人的には思う。多くのユーザーにとって、DPT-RP1は、想像で思い描ける以上のものであろう。
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■12・ファームウェア、ソフトウェアバージョン
購入したら、デジタルペーパーマイページに登録後、本体にシールで貼ってある製造番号のような数字をソニービジネスソリューションのwebページに登録することで、保証その他が受けられる。
本体アップデート情報
ソフトウェアバージョン:1.4.01.16100
※2018年5月31日アップデート現在。ダイレクトページジャンプ機能搭載など、この日から、DPT-RP1は、若干の機能アップをした。
Digital Paper App
バージョン:1.4.0.16050 (win mac版とも) 2018年5月31日現在
Digital Paper App for mobile
バージョン:1.0 リリース 2018年5月25日
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■13・最後に
当初、移動中はKobo Aura ONE、DTP-RP1は、家での使用と予想していたが、持ってみるとDPT-RP1で読みたくなる。だから、電車内などでも混んでいない時間帯に座れた場合はDPT-RP1で読書を楽しんでいる。他人には内容が丸見えだが、私にはそうした些事よりも、自分にとって快適に読書できる方が重要だ。個人的にはDPT-CP1と両方とも所有したいが、どちらか一方を選べと言われたら私はDPT-RP1を選択するだろう。大きすぎるように思えるかもしれない本機は、実際に所有し作業してみると「この大きさで良かった」と思うことがとても多いのだ。
大判サイズの書籍は重い。そういう大きさの本は机の上などで読むものであり、寝っころがって読めるようなものではなかった。A4サイズの大画面にもかかわらず、寝っころがって読める軽さになったDPT-RP1の体験は、大判書籍が軽くなるとこういう感覚になるのか、と新しい世界が開ける。
A4サイズで読書をしていると、文庫本の1ページ分をKobo Aura ONEに表示させていたときとは別の自由な考えがめぐる。
オオゲサに締めくくるならば、ラスコー洞窟の壁画の時代から、粘度版、パピルス、折り本・写本、活版印刷・製本技術を辿り、人類は進むべくしてDPT-RP1に到達したと言える。未来ではE-Inkより優れたデバイスも登場するかも知れないが、今の子どもたち、次世代の子どもたちが手にするデバイスは、間違いなく、使用感としてこちらの方向になるだろう。デバイスのあり方が人にとって自然なのだ。