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戦争プロパガンダ10の法則 Kindle版
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2015/2/9
- ファイルサイズ1742 KB
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商品の説明
商品説明
あのヒトラーだって「虐げられているドイツ民族を救う」ために、ポーランドに侵攻した。ゲーリングは1939年8月、ライン・メタルの労働者にこう言っている。「ドイツは戦争を望んではいない。たが、欧州を戦火にまきこもうとする者があれば、われわれドイツは防衛のために立ち上がるだろう」
1910年代、自国政府の戦争プロパガンダを批判し続けたイギリスの政治家、アーサー・ポンソンビー(1871-1946)によれば、イギリス政府は国民に「義憤、恐怖、憎悪を吹き込み、愛国心を煽り、多くの志願兵をかき集めるため、『嘘』をつくりあげ、広めた」。彼は労働党議員だったが、イギリスの参戦に反対して労働党を脱退、イギリスの外交政策を監視する超党派の組織を作って「戦時の嘘」(1928年出版の著書)を暴き続けた。この活動から導き出されたのが、戦争プロパガンダの基本的メカニズムを読み解く10項目の「法則」である。
一国の政府が戦争を準備するときは、まず「われわれは戦争をしたくない」「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」ことを国民に訴え、「敵の指導者は悪魔のような人間」であることを信じ込ませる。そして、「われわれの戦争」は領土的野心によるものでなく、「自由」と「民主主義」を守るための「聖戦」であることを、芸術家、思想家、小説家、知識人、およそ文化の担い手とされている人々を動員して、国民の脳裏に焼き付け、最後には「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」というファナティックな信仰心を抱かせる。
モレリは、この「衝撃的」法則を用いて、2つの大戦から湾岸戦争、NATOのコソボ爆撃、アメリカのアフガニスタン空爆までの嘘をあぶり出している。なるほど「善玉」も「悪玉」もよくぞうまい嘘を考えつくものだ、と感服するほど呆れ果て、やがてウソ寒くなる本である。(伊藤延司)
内容(「MARC」データベースより)
著者について
歴史学者。ブリュッセル自由大学歴史批評学教授。歴史批評を近代メディアに適用し、世論を特定の方向に誘導するからくりを体系的に分析してきた。著書に『Lettre ouverte ── la secte des adversaires des sectes (宗教団体を弾圧する団体への公開質問状)』。
永田 千奈(ながた・ちな)
1967年東京生まれ。翻訳家。早稲田大学第一文学部仏文専修卒業後渡仏。フランス国立東洋文化言語研究所修士課程修了。訳書に『ある父親──puzzle』(ラカン、晶文社)、『恋愛小説──マルティンとハンナ』(クレマン、角川春樹事務所)、『それでも私は腐敗と闘う』(ベタンクール、草思社)、『海に住む少女』(シュペルヴィエル、光文社古典新訳文庫)など。
登録情報
- ASIN : B01LASJ21S
- 出版社 : 草思社 (2015/2/9)
- 発売日 : 2015/2/9
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1742 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 159ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 109,675位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 145位戦略・戦術
- - 368位軍事 (Kindleストア)
- - 387位軍事入門
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著者について
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イメージ付きのレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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多くのレビューが掲載されているので繰り返しは避けるが、開戦に至る過程では、どの国の政治家も国民に真実は告げていない。権力者に都合が良い様に世論操作がなされる。この胡散臭さを見破れれば、異なる展開があるのかもしれない。
本書を読みながら、フォークシンガー・故高田渡氏の『値上げ』を思い出した(作詞:有馬敲 原題は「変化」)。
「値上げは全然考えぬ」で始まり、「値上げの時機は考えたい」「極力、値上げはおさえたい」「値上げには消極的であるが」「年内値上げもやむを得ぬ」と続き、「値上げに踏み切ろう」
となる歌詞である。もちろん似て非なるものだが、どちらも最後は“踏み切る”のである。
値上げは歓迎しないが、その結果、何十万人もの人が亡くなることはまずないだろう。
しかし、国家間で一度戦争が勃発すれば、一瞬で十万人規模の人が亡くなったことを忘れてはならない。
この10の法則に収束されるプロセスは、政治家・権力者の詭弁を正当化するのに、なんと都合が良いものだろう。
訳語について。
p38『フランスでも、ある衆議院議員が…』との訳文があるが、フランス議会の構成は元老院(上院)・国民議会(下院)である(国立国会図書館 調査と情報 No1047 2019.3.14 等)。なぜ、衆議院という言葉を使ったか?翻訳学校でこういう訳文を書くと、真っ赤に直される。校正の段階でもこれで良しとしたのだろうか?
国民議会(日本の衆議院に相当)―と書けばわかることだ。
『魔の山』(新潮文庫)を読んだ時も、いきなり、「神社」という言葉が出てきて驚いた。
また、p109「ナイル熱の菌は」は、明らかに誤り。ウエストナイル熱はウエストナイルウイルスによるもの。たとえ原書に「菌」と書かれてあっても、校閲時に訂正すべきである。
1.戦争の始まり
戦争の裏にある動機・目的は、植民地や領土の拡大などというあからさまなものは影を潜め、プロパガンダ:第4章「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」や、第9章「われわれの大儀は神聖なものである」などのプロパガンダに置き換わっている。
今回のウクライナ戦争におけるロシアの「ウクライナ内の同胞の解放」も、偉大な使命であり神聖なものである。第二次世界大戦のヒトラーの『我が闘争』における、ドイツ民族の優越とその裏返しのユダヤ人絶滅の物語の実現も、偉大な使命であり神聖なものであった。朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争などもしかりである。
2.戦争不可避の理由
戦争を仕掛けられた側には、最も強力な戦う理由がある。それは自己防衛である。正戦論(just war theory)という戦争哲学の分野があるのだが、戦ってもよい戦争の条件とは、攻撃に対する反撃、つまり自己防衛であることでほぼ一致している。ただし、歴史を遡れば、戦争を仕掛けた方も仕掛けられた側に回ることができる場合がある。
自己防衛のプロパガンダは、第1章「われわれは戦争をしたくはない」、第2章「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」のだから、戦争をすることは正当な理由があるということになる。プロパガンダの一番目と二番目が自己防衛であることは、それなりの意味があるのだ。
3.戦闘員の範囲
自己防衛の他にも正義にかなった戦い方がある。戦闘員と非戦闘員の区別することが伝統的な考え方であった。戦争は関係国の戦闘員どうしが戦うもので、市民などの非戦闘員は戦いに加わらないのが原則であった。
しかし、戦争プロパガンダ10の法則ができた第一次世界大戦は、この区別が無くなり、国民を総動員する戦争に変化していた。第8章「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」、第10章「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」が、全体戦争の特徴をプロパガンダしている。戦闘員と非戦闘員の区別はなくなっている。
4.その他
以上、伝統的な正戦論で議論されていることを当てはめて、プロパガンダのリストを整理してみた。残ったリストは、敵を悪く言うもの(第3章、第5章、第6章)、自分が勝っていると虚勢を張るもの(第7章)で、子供の喧嘩と変わるところがない。
5.彼らの宗教観
以前、ジョセフ・ブルチャック (1990)『それでもあなたの道を行け―インディアンが語るナチュラル・ウィズダム』(1999) 中沢新一, 石川雄午(めるくまーる)を読んだのだが、アメリカ先住民の言葉は、戦争を防ぐために、大変示唆に富むものであった。彼らは、彼らを征服した西洋人の宗教とは明らかに異なる宗教観を持っていた。東洋の宗教観に似ているようだが、それとも違う。
「死への恐れというものがまったく見あたらないことに、おどろかされます」とあり、「魂は、生前の罪や不道徳な行いに対する償いをしなければならない、などとは考えられていなかった(ブルチャックp.79)」。つまり神はあっても、「ワカンタンカは罰する神ではない」のだ(ブルチャックp.89)。白人に向かって、「あなたはいつも悪魔のことや、人が死後に行く地獄の話ばかりをしている」と言う(ブルチャックp.120)。そうではなく、彼らの「神は、私を苦しめているものを克服できるように助けてくれる」のである(ブルチャックp.121)。
罰や地獄を恐れていては、心の平安など得られるはずもないのに、西洋や東洋の宗教はなぜそれらを持ち出すのだろうか。「人の魂のなかに生まれるものこそが真実の平和なのだから、その平和をまず知っておかない限り、部族間の平和などとうてい実現しない(p.124)」のだから、いつまでも世界平和が訪れないのは、われわれの宗教観のせいかもしれない。きっとそうなのだろう。
詳細は目次でもわかるのだけど
1. われわれは戦争をしたくない(ヒットラーでさえそう主張していた)
2. しかし敵側が一方的に戦争を望んだ
3. 敵のリーダーは悪魔のような人間だ
中略
10.この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である
という具合だ。
戦時においてはプロパガンダは敵陣営と味方陣営の両方の側で行われている、というのが大きなポイントだと思う。
この中で一番怖いのは10.だ。何かちょっとでも味方側のメディアの情報に疑問を呈しようものなら裏切りもの扱いだ。「お前は〇〇のスパイか?」(〇〇は敵国)なんて。
訳者あとがきの冒頭に「人生を変える書物というほどではないにしても、物の見方を変えてしまう本がある」とある。
これは本当にそう思う。
他の方もレビューで書かれているけど、この本はいまこそ多くの人に読んでほしいと思います。
第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて政治家として活躍した「平和主義者」アーサー・ポンソンビーの『戦時の嘘』を基に、そこに記された「戦争プロパガンダの10の法則」について、両大戦やユーゴスラヴィアへのNATO介入や湾岸戦争での参加各国が行ったプロパガンダの事例を挙げながら解説している。
経歴から見れば、ポンソンビー自体は「国際法に基づく国際秩序」(ドイツによる中立国ベルギーへの侵犯)も「力による勢力均衡」もそれによる英国の国益への影響(英国に友好的とはいえない三国同盟による欧州大陸統一とそれがもたらすであろう英国の立場の低下)も分からぬ三流以下の政治家である。
また、ナチス・ドイツのプロパガンダを例に挙げれば、戦争したいナチス・ドイツがプロパガンダを生んだのであり、プロパガンダがナチ及び彼らの欲する戦争を生んだ訳ではないのは明白である。
プロパガンダには多くの誇張や嘘を含んでおり、大衆を熱狂させる作用があるのはその通りであるが、戦争の根本原因かといえばそれは誤りであり、所詮上っ面でしかないのである(松原正『戦争はなくならない』他参照)。
ただ、「法則」の幾つかについては「戦争プロパガンダ」であることを超えて、我々の世界の様々な事象を考察するには役に立つと思われるので、以下に紹介する。
読者の参考になれば幸いである:
○「われわれの被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
⇒ミッドウェー海戦以降の「大本営発表」が正しく当て嵌まる。後者部分を別のものに置き換えて、己の被害やミスを矮小化したり責任逃れ(又は軽減)に使うレトリックとして応用出来る。
○芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
⇒「日本国憲法」を「平和憲法」、「安全保障関連法案」を「戦争法案」だと言い換える「反戦」側もこの手のアピールをよく行っている。
また、彼らは自身の「行動」をしばしば「たたかい」(わざと平仮名で表記されている)と自認しており、それらは社会の一般通念を超える過激なものが多い。彼らはけして「平和的」ではないのである。
○この正義に疑問を投げかける者は、裏切り者である
⇒左翼やカルト団体のいわゆる内ゲバがまさにコレ。
近年では、某生物製剤において、接種への圧力と慎重・反対の立場の者への攻撃に応用された手口である。
ウクライナのニュースを見ると、報道の信頼性が揺らぎます。
ロシア軍は脆弱で、士気も低く、プーチンは精神を病んだのでは
無いかと報道されていましたが、その全てが信用できなくなります。
プロパガンダの恐ろしさを知ることができました。
私は一度読み終えてから、すぐにもう一度読み返しました。
是非とも多くの方に読んでいただきたいですね。
言い換え、偏ったデータによる誘導、嘘のでっち上げ、戦争する人は戦争のためなら何でもするということです。メディアもその一翼を担うということ。現代ではインターネットで更に複雑化しています。
取り上げていないことと言えば、苦しむ人の裏で利益を得る人がいるということでしょうか。