ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージは18世紀イタリアの画家、建築家、骨董商であり、同時に『牢獄』という異様な空間を版画に描いたことで知られる版画家でもあります。その彼の代表作である『牢獄』の初版は、ピラネージが25歳であった1745年に14枚組の版画集として出版され、1761年にその初版を大きく改変し、新たに2枚を追加した計16枚の版画集が第2判として出版されています。
まずそのピラネージの経歴や建築に関する理論、生活や性格、『幻想の牢獄』(=『牢獄』)、『景観』、『ローマ古代遺跡』、『暖炉装飾術』などの作品の特徴と関係性などに触れています。
彼が18世紀に『景観』や『ローマ古代遺跡』として残した版画には建造物の断片や装飾物に番号を打ち、余白にそれらを説明する注を付けており、その後それらの建造物の多くが消失したことを考えると、ピラネージの業績は大きかったと思います。
続いて『牢獄』に関しては第1判と第2判の違い、何故彼が『牢獄』を描いたのか、『牢獄』の解釈等が解説されています。
用語として最初に『幻想の牢獄』を用い、それが説明のないままに『牢獄』に変わり(途中で説明されているのですが)、p35の3行目の「14枚の版画」は明らかに「16枚の版画」の誤植であり、また同じページの第14図に関しての説明も何かの間違いとしか思えません。さらには第何図の説明なのか分からない解説文が続いたり、修飾語が誇大で大袈裟であったりと、残念な部分が多数あります。
訳注は比較的親切に書かれていますが、もう少し多くの用語に訳注を付けてもらえれば余計な労力なしに読み通すことができたと思います。さらには関連する事項を含めた年表なども付けていただければ完璧だったと思います。
ちなみにご参考までに、「東京大学総合図書館所蔵 亀井文庫 ピラネージ画像データベース」を見ると、ピラネージの作品のほとんど全てを見ることができます。
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ピラネージの黒い脳髄 (白水社アートコレクション) 単行本 – 1985/10/1
マルグリット ユルスナール
(著),
多田 智満子
(翻訳)
空想と誇大妄想の成果ともいうべき《牢獄》。古代および近代ローマを記録した《風景》。その廃墟の詩情に対する感情を、後世への文学、建築学、都市論への影響を論じつつ、「古代の復元」に賭ける文豪がみずからの夢を幻想の銅版画家の作品1点1点にたくしその魅力を語った見事な美術エッセイ。
- 本の長さ107ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日1985/10/1
- ISBN-104560039321
- ISBN-13978-4560039328
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登録情報
- 出版社 : 白水社 (1985/10/1)
- 発売日 : 1985/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 107ページ
- ISBN-10 : 4560039321
- ISBN-13 : 978-4560039328
- Amazon 売れ筋ランキング: - 503,003位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 33,344位アート・建築・デザイン (本)
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