戦後米国は暫く極度の累進税だった。それが崩壊したのは新保守主義や新自由主義が出てきてから、相当最近の話だ。
著者は富裕税や資産課税はやればできるという立場である。しかし、現状方向性は逆でやっていないし多分当分やれないだろう。マルクスの時代や戦前以上に格差は酷いのに人々はグローバル化されたネットワークの社会の中で寸断されており政治的には連帯や団結する気配すら伺えない。
これだけの集中が防げないなら、日本でなら消費税、米国でなら売上税と給与税を廃止するくらいしか民を救う手段はない。
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つくられた格差~不公平税制が生んだ所得の不平等~ Kindle版
富裕層はますます富み、中間層や貧困層はより貧しくなる真の理由とは? ピケティの共同研究者による衝撃の研究結果。/史上最高レベルの不平等はどのように生まれたのか?/最高税率が高ければ格差は縮小し、経済も成長する/富裕層の租税回避を防ぐ方法/「過剰な富の集中は民主主義にとって、戦争と同じぐらい有害だ」
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2020/9/30
- ファイルサイズ11491 KB
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
富裕層はますます富み、中間層や貧困層はより貧しくなる真の理由とは?ピケティの共同研究者による衝撃の研究結果。史上最高レベルの不平等はどのように生まれたのか?最高税率が高ければ格差は縮小し、経済も成長する。富裕層の租税回避を防ぐ方法。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者について
エマニュエル・サエズ(Emmanuel Saez)
1972年スペイン生まれ。フランスのバスク地方で育つ。99年MITで博士号を取得。
2002年からカリフォルニア大学バークレー校教授。主な研究テーマは不平等と税政策。トマ・
ピケティとの共同研究では、80年以降、米国の上位1%の人々の所得が国民総所得に占め
る比率が拡大し続け、著しい不平等が生じていることを明らかにした。この研究結果は「ウォー
ル街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動にも影響を与えた。2010年マッカーサー「ジー
ニアス」フェローシップ、19年ハーバード大学の名誉学位など、数多くの学術賞を受賞。
ガブリエル・ズックマン(Gabriel Zucman)
1986年パリ生まれ。カリフォルニア大学バークレー校で経済学と公共政策の教授を務める。
富の蓄積と分布を世界的・歴史的な視点から分析。2019年ベルナセル賞とスローンリサー
チフェローシップを受賞。著書に『失われた国家の富 タックス・ヘイブンの経済学』(林
昌宏訳、NTT出版)がある。
山田美明(やまだよしあき)
英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退。訳書に『ISの人質』(プク・ダ
ムスゴー著)、『ありえない138億年史』(ウォルター・アルバレス著)、『24歳の僕が、オバ
マ大統領のスピーチライターに?! 』(デビッド・リット著)、『アスペルガー医師とナチス』
(エディス・シェファー著、いずれも光文社)、『ゴッホの耳』(バーナデット・マーフィー著、
早川書房)、『ファンタジーランド』(カート・アンダーセン著、共訳、東洋経済新報社)な
どがある。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
1972年スペイン生まれ。フランスのバスク地方で育つ。99年MITで博士号を取得。
2002年からカリフォルニア大学バークレー校教授。主な研究テーマは不平等と税政策。トマ・
ピケティとの共同研究では、80年以降、米国の上位1%の人々の所得が国民総所得に占め
る比率が拡大し続け、著しい不平等が生じていることを明らかにした。この研究結果は「ウォー
ル街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動にも影響を与えた。2010年マッカーサー「ジー
ニアス」フェローシップ、19年ハーバード大学の名誉学位など、数多くの学術賞を受賞。
ガブリエル・ズックマン(Gabriel Zucman)
1986年パリ生まれ。カリフォルニア大学バークレー校で経済学と公共政策の教授を務める。
富の蓄積と分布を世界的・歴史的な視点から分析。2019年ベルナセル賞とスローンリサー
チフェローシップを受賞。著書に『失われた国家の富 タックス・ヘイブンの経済学』(林
昌宏訳、NTT出版)がある。
山田美明(やまだよしあき)
英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退。訳書に『ISの人質』(プク・ダ
ムスゴー著)、『ありえない138億年史』(ウォルター・アルバレス著)、『24歳の僕が、オバ
マ大統領のスピーチライターに?! 』(デビッド・リット著)、『アスペルガー医師とナチス』
(エディス・シェファー著、いずれも光文社)、『ゴッホの耳』(バーナデット・マーフィー著、
早川書房)、『ファンタジーランド』(カート・アンダーセン著、共訳、東洋経済新報社)な
どがある。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
サエズ,エマニュエル
1972年スペイン生まれ。フランスのバスク地方で育つ。’99年MITで博士号を取得。2002年からカリフォルニア大学バークレー校教授。主な研究テーマは不平等と税政策。トマ・ピケティとの共同研究では、’80年以降、米国の上位1%の人々の所得が国民総所得に占める比率が拡大し続け、著しい不平等が生じていることを明らかにした。この研究結果は「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動にも影響を与えた。2010年マッカーサー「ジーニアス」フェローシップ、’19年ハーバード大学の名誉学位など、数多くの学術賞を受賞
ズックマン,ガブリエル
1986年パリ生まれ。カリフォルニア大学バークレー校で経済学と公共政策の教授を務める。富の蓄積と分布を世界的・歴史的な視点から分析。2019年ベルナセル賞とスローンリサーチフェローシップを受賞
山田/美明
英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
1972年スペイン生まれ。フランスのバスク地方で育つ。’99年MITで博士号を取得。2002年からカリフォルニア大学バークレー校教授。主な研究テーマは不平等と税政策。トマ・ピケティとの共同研究では、’80年以降、米国の上位1%の人々の所得が国民総所得に占める比率が拡大し続け、著しい不平等が生じていることを明らかにした。この研究結果は「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動にも影響を与えた。2010年マッカーサー「ジーニアス」フェローシップ、’19年ハーバード大学の名誉学位など、数多くの学術賞を受賞
ズックマン,ガブリエル
1986年パリ生まれ。カリフォルニア大学バークレー校で経済学と公共政策の教授を務める。富の蓄積と分布を世界的・歴史的な視点から分析。2019年ベルナセル賞とスローンリサーチフェローシップを受賞
山田/美明
英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B08FDSSYKN
- 出版社 : 光文社 (2020/9/30)
- 発売日 : 2020/9/30
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 11491 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 313ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 177,927位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 174,825位Kindle本
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、現在アメリカの格差は不公平税制によって作られたと説いている。著者の一人はピケティの共同研究者であり、内容が具体的で一般市民でも理解できる表現になっている。
さて、19世紀に現在に繋がる巨大企業が勃興し、産業独占に成功した事業家、あるいは戦争を利用した不当利得行為で巨万の富を得た成金達が台頭し、社会の不公平感が増大した。20世紀の初めアメリカ社会は、このような不公平な格差社会を拒否し是正するため、経済的公正を求める累進性の高い税制を導入した(ルーズベルトの税制)。例えば所得税の最高税率は90%まで上げられ、1970年代まで富の集中が劇的に抑制されていたことをデータが示しているという。
ところが1980年代、レーガン大統領によって所得税最高税率は28%まで下げられ、それ以来格差は増大し続けているという。税制変更を進める際のレーガンの演説が常識を超えたひどさである。「われわれの問題を解決するのは政府ではない。政府自体が問題なのだ。納税を回避したいと思う人がいるとすれば、それはその人たちが悪いのではなく、アメリカ的でない高い税率が悪いのだ」。これは租税回避を、愛国的・道徳的行為とみなす新自由主義に沿った発言である。そして、政府の税制遂行責任者である大統領が、租税回避にお墨付きを与えたことになり、犯罪的演説ではないかと思う。レーガンの演説や税制変更によって、租税回避産業は隆盛を極め、現在の超富裕層所得税率は平均よりも低い異常な事態になっているという。そして現在、大規模な租税回避が国境を越えて行われている。タックスヘイブン(アイルランドやバミューダ諸島などの租税回避地)への企業利益の移転や、守秘法域への資産隠しなどがそれである。
現在、各国政府はタックスヘイブンには対抗策なしのように報道されているが、実際はそうでもないようだ。例えば、オバマ大統領の時代に、海外の銀行と内国歳入庁との間でデータの自動共有を義務化する外国口座財務コンプライアンス法が成立し、殆どの国がこの法律に同意しているという。これにより、金融機関は、顧客の中にいるアメリカ人一人ひとりについて口座にいくら保有し、その口座でどれだけの所得を得ているかを内国歳入省に報告する義務が発生した。各国政府が同様の法律を成立させれば、多国籍企業に対する課税対象額が明らかになり、徴収は現実味を帯びる。また、企業がタックスヘイブン国に資産を移転しまう等の問題は、各国の最低法人税率を世界的に統一することで阻止できるという案が紹介されている。偶然、本書を読んだ直後に行われたG7首脳会議で、この案がバイデン新大統領から提案され主要国が最低法人税率15%で合意したというニュースが流れた。さすがは民主党大統領だなと感心してしまった。各国が協調し、これらの対策を組み合わせて実行すれば、富裕層、多国籍企業、そして巨大金融機関が現在行っているような反政府的行動を抑制できるのではないだろうか。本書を読んで将来に少し光明が見えた気がした。
さて、19世紀に現在に繋がる巨大企業が勃興し、産業独占に成功した事業家、あるいは戦争を利用した不当利得行為で巨万の富を得た成金達が台頭し、社会の不公平感が増大した。20世紀の初めアメリカ社会は、このような不公平な格差社会を拒否し是正するため、経済的公正を求める累進性の高い税制を導入した(ルーズベルトの税制)。例えば所得税の最高税率は90%まで上げられ、1970年代まで富の集中が劇的に抑制されていたことをデータが示しているという。
ところが1980年代、レーガン大統領によって所得税最高税率は28%まで下げられ、それ以来格差は増大し続けているという。税制変更を進める際のレーガンの演説が常識を超えたひどさである。「われわれの問題を解決するのは政府ではない。政府自体が問題なのだ。納税を回避したいと思う人がいるとすれば、それはその人たちが悪いのではなく、アメリカ的でない高い税率が悪いのだ」。これは租税回避を、愛国的・道徳的行為とみなす新自由主義に沿った発言である。そして、政府の税制遂行責任者である大統領が、租税回避にお墨付きを与えたことになり、犯罪的演説ではないかと思う。レーガンの演説や税制変更によって、租税回避産業は隆盛を極め、現在の超富裕層所得税率は平均よりも低い異常な事態になっているという。そして現在、大規模な租税回避が国境を越えて行われている。タックスヘイブン(アイルランドやバミューダ諸島などの租税回避地)への企業利益の移転や、守秘法域への資産隠しなどがそれである。
現在、各国政府はタックスヘイブンには対抗策なしのように報道されているが、実際はそうでもないようだ。例えば、オバマ大統領の時代に、海外の銀行と内国歳入庁との間でデータの自動共有を義務化する外国口座財務コンプライアンス法が成立し、殆どの国がこの法律に同意しているという。これにより、金融機関は、顧客の中にいるアメリカ人一人ひとりについて口座にいくら保有し、その口座でどれだけの所得を得ているかを内国歳入省に報告する義務が発生した。各国政府が同様の法律を成立させれば、多国籍企業に対する課税対象額が明らかになり、徴収は現実味を帯びる。また、企業がタックスヘイブン国に資産を移転しまう等の問題は、各国の最低法人税率を世界的に統一することで阻止できるという案が紹介されている。偶然、本書を読んだ直後に行われたG7首脳会議で、この案がバイデン新大統領から提案され主要国が最低法人税率15%で合意したというニュースが流れた。さすがは民主党大統領だなと感心してしまった。各国が協調し、これらの対策を組み合わせて実行すれば、富裕層、多国籍企業、そして巨大金融機関が現在行っているような反政府的行動を抑制できるのではないだろうか。本書を読んで将来に少し光明が見えた気がした。
2021年3月20日に日本でレビュー済み
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アメリカの税制を扱っているけど、なぜグローバル化の動きに税制がついていけなかったのか、富裕層と格差是正など興味深かった。これはもう1度じっくり噛み砕いて読みたい。
2020年8月25日に日本でレビュー済み
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富が極端に偏在している、と感じている人は少なくない。著者は、その偏在の背景には単なる能力の差ではなく、税制の変容、租税回避産業の隆盛などがあると考えている。
本書では、アメリカの過去の税制、現在の税制、さらに公開されてデータなどを詳細に分析して、その問題点を指摘するとともに、どのようにすれば、より公平な税制は可能であるかが考察されている。
アメリカの税制をもとにしているため、用語の違いなどに戸惑う部分もある(例えば、日本の消費税と同じものを「付加価値税」。消費税は別の税)。また、州政府と連邦政府の関係は、都道府県と日本政府と違っており、さまざまな税金の在り方も違っている。しかし、税制を変えることで、不公平を取り除き格差を減らし、そのことでまっとうな民主主義を取り戻す、という本書が目指したものは、日本でも共有できるだろう。
所得税の累進化を強化すること、法人税のアップなどは日本でも主張している人がいるし、私も同じ考えである。また、キャピタルゲインに対する課税の甘さは常々疑問を持っていただけに、インフレの影響を取り除いて課税する案は日本でも実施してもらいたい。タックスヘイブンなどを利用した租税回避は、母国の収入となるべき税を私利のために他国に渡しているわけだから、本来は恥ずべき行為だと考えているので、ここで示された提言を、日本の政府にも検討してもらいたい。
選挙対策などで消費税が減税・廃止され、緊縮財政が改められたとしても、今の日本の税制のままでは、富の偏在化は進み続けるだろう。だからこそ、日本の経済学者にもより公平な社会のための税制を提案してもらいたい。
本書では、アメリカの過去の税制、現在の税制、さらに公開されてデータなどを詳細に分析して、その問題点を指摘するとともに、どのようにすれば、より公平な税制は可能であるかが考察されている。
アメリカの税制をもとにしているため、用語の違いなどに戸惑う部分もある(例えば、日本の消費税と同じものを「付加価値税」。消費税は別の税)。また、州政府と連邦政府の関係は、都道府県と日本政府と違っており、さまざまな税金の在り方も違っている。しかし、税制を変えることで、不公平を取り除き格差を減らし、そのことでまっとうな民主主義を取り戻す、という本書が目指したものは、日本でも共有できるだろう。
所得税の累進化を強化すること、法人税のアップなどは日本でも主張している人がいるし、私も同じ考えである。また、キャピタルゲインに対する課税の甘さは常々疑問を持っていただけに、インフレの影響を取り除いて課税する案は日本でも実施してもらいたい。タックスヘイブンなどを利用した租税回避は、母国の収入となるべき税を私利のために他国に渡しているわけだから、本来は恥ずべき行為だと考えているので、ここで示された提言を、日本の政府にも検討してもらいたい。
選挙対策などで消費税が減税・廃止され、緊縮財政が改められたとしても、今の日本の税制のままでは、富の偏在化は進み続けるだろう。だからこそ、日本の経済学者にもより公平な社会のための税制を提案してもらいたい。
2020年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ごく一部の富裕層が富裕になる一方で、消して恵まれているとは言えない中間層や貧困層。かようなアメリカの現況の理由は歪んだ税制にあるとし、その歪みが生まれた経緯を歴史的に遡って説示する。さらに、歪みを是正する方法も各種のデータに基づいて提示されている。
例えば、法人税のアップを中心として多国籍企業に対して適正に課税する。所得税の累進性を強化して富裕層にも課税をする。国民所得税を導入し、あらゆる所得に課税する(富裕層がより富裕になる大きな要因であるキャピタルゲインも課税対象となる)。これら各種対策は歴史的な経緯を見ても、決して導入不可能ではないとされる。
あくまでアメリカの歪んだ税制の話が大半であるため、日本から見ると、あまりピンと来ない議論に思えがちだが、富裕層がより富裕になる要因の一端である租税回避の話などは国際的な大企業も関係することから、日本にとっても無縁の話ばかりというわけでもない。日本でも十分に納税していないと批判されている多国籍企業に対して、本書で提案されている手法は有効なはずで、日本の政策担当者も是非手に取って欲しい一冊である。
例えば、法人税のアップを中心として多国籍企業に対して適正に課税する。所得税の累進性を強化して富裕層にも課税をする。国民所得税を導入し、あらゆる所得に課税する(富裕層がより富裕になる大きな要因であるキャピタルゲインも課税対象となる)。これら各種対策は歴史的な経緯を見ても、決して導入不可能ではないとされる。
あくまでアメリカの歪んだ税制の話が大半であるため、日本から見ると、あまりピンと来ない議論に思えがちだが、富裕層がより富裕になる要因の一端である租税回避の話などは国際的な大企業も関係することから、日本にとっても無縁の話ばかりというわけでもない。日本でも十分に納税していないと批判されている多国籍企業に対して、本書で提案されている手法は有効なはずで、日本の政策担当者も是非手に取って欲しい一冊である。
2021年12月18日に日本でレビュー済み
原題は『不平等の勝利:お金持ちがどうやって税逃れをしているか、そして彼らにどうやって納税させるか』。著者のひとりサエズは、ピケティの共同研究者でもあるため、基本的な立場は彼と同じだ。
今の税制がどれだけ金持ち優遇(逆進的)になっており、それが税収を減らし、悪しき不平等をもたらしているか。それだけでなく、公平な税制を諦めてはいけない、という希望を持たせる内容になっており、熱い筆致で読ませる。
国内では、資産税、法人税、累進所得税、の3つすべてが必須であることが理解できる。法人税がないと、みんなが会社を作って、所得をその会社から配当として受け取れば税を納めなくて済んでしまう。また富裕層は、課税所得をいくらでも操作できてしまう。とにかく、個人と法人の間でも、所得と富の間でも、そして国の間でも、抜け穴がないようにすればよいというシンプルな話だ。
アメリカと言うと小さな政府のイメージだが、このイメージは、南部植民地で奴隷への課税を恐れた大地主の考え方に源流があるかもしれないこと、1930~80年最高限界税率は平均78%だったこと、なども知っておく価値がある。
ただし、本書はピケティと異なり、過去~今のアメリカに絞った話なので、シャープでコンパクトな議論になっている反面、ヨーロッパや日本に単純には当てはまらない話もある。たとえば、富裕層やプライベートエクイティには株式を現物で納税してもらえばよい、という面白い提案がされているが、分割できない不動産を持つ日本の富裕層には適用しづらい。
2021年にOECD加盟国が法人税の最低税率15%で最終合意したのは、本書の提案より低いものの、良い方向に向かっていると希望が持てる。
今の税制がどれだけ金持ち優遇(逆進的)になっており、それが税収を減らし、悪しき不平等をもたらしているか。それだけでなく、公平な税制を諦めてはいけない、という希望を持たせる内容になっており、熱い筆致で読ませる。
国内では、資産税、法人税、累進所得税、の3つすべてが必須であることが理解できる。法人税がないと、みんなが会社を作って、所得をその会社から配当として受け取れば税を納めなくて済んでしまう。また富裕層は、課税所得をいくらでも操作できてしまう。とにかく、個人と法人の間でも、所得と富の間でも、そして国の間でも、抜け穴がないようにすればよいというシンプルな話だ。
アメリカと言うと小さな政府のイメージだが、このイメージは、南部植民地で奴隷への課税を恐れた大地主の考え方に源流があるかもしれないこと、1930~80年最高限界税率は平均78%だったこと、なども知っておく価値がある。
ただし、本書はピケティと異なり、過去~今のアメリカに絞った話なので、シャープでコンパクトな議論になっている反面、ヨーロッパや日本に単純には当てはまらない話もある。たとえば、富裕層やプライベートエクイティには株式を現物で納税してもらえばよい、という面白い提案がされているが、分割できない不動産を持つ日本の富裕層には適用しづらい。
2021年にOECD加盟国が法人税の最低税率15%で最終合意したのは、本書の提案より低いものの、良い方向に向かっていると希望が持てる。
2020年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
①アメリカの経済格差の実態を活写し、高所得者の税率が低くなるメカニズムを解明する。結論は累進課税の所得上位者への税率を強化すべしと説く。
②著者が用いるアメリカ国民の平均所得は、約50%の国民所得が1ドル=110円と為替レートを設定すると、所得金額は約203万5千円となる。残り上位層の約40%の国民所得は約825万円となり、最上位9%の国民所得は約2.420万円、トップの1%の国民所得は、約16億5千万円となる。
③国民の半数は年収約203万円で暮らしている。月収は20万円を切る生活である。年金で暮らす高齢者より貧しい。生活保護受給者の生活苦水準とそれほど違わない。彼らの年収を増やし、社会保障を手厚くする必要がある。
④上位層40%は約825万円で生活している。日本人の生活水準と比べれば、国家公務員上級職や大企業の中間管理職レベルに相当するであろう。かなり豊かに暮らせる上院層が約40%もいるということは、豊かなアメリカの象徴とも言えるだろう。
⑤最上位9%の国民所得約2.420万円とトップ1%の約16億5千万円は極めて豊かである。大企業の重役・社長レベルだ。彼らへの累進課税税率を上げて貧困者の社会保障へ回す税制が必要不可欠だ。
⑥下層約50%と上位層約40%の所得格差が極めて大きいことがアメリカの「格差」を象徴している。約4倍の所得格差がある。この格差を縮小することが〈分断化〉を防ぐために不可欠である。所得税率の強化、法人税等企業への課税の強化が必要である。
⑦脱成長型の社会へ変化すれば、国民所得も減少するが、格差を縮小せねばならないことは同じである。
⑧納税額を抑えることを自慢するトランプ大統領の発言はフランス革命期のアンシャン・レジームにおける非課税の特権身分(聖職者・貴族)と同じである。納税額が多いことが国家への貢献であり、誇りとしなければならない。
他にも参考になる論点が満載だ。
お勧めの一冊だ。
②著者が用いるアメリカ国民の平均所得は、約50%の国民所得が1ドル=110円と為替レートを設定すると、所得金額は約203万5千円となる。残り上位層の約40%の国民所得は約825万円となり、最上位9%の国民所得は約2.420万円、トップの1%の国民所得は、約16億5千万円となる。
③国民の半数は年収約203万円で暮らしている。月収は20万円を切る生活である。年金で暮らす高齢者より貧しい。生活保護受給者の生活苦水準とそれほど違わない。彼らの年収を増やし、社会保障を手厚くする必要がある。
④上位層40%は約825万円で生活している。日本人の生活水準と比べれば、国家公務員上級職や大企業の中間管理職レベルに相当するであろう。かなり豊かに暮らせる上院層が約40%もいるということは、豊かなアメリカの象徴とも言えるだろう。
⑤最上位9%の国民所得約2.420万円とトップ1%の約16億5千万円は極めて豊かである。大企業の重役・社長レベルだ。彼らへの累進課税税率を上げて貧困者の社会保障へ回す税制が必要不可欠だ。
⑥下層約50%と上位層約40%の所得格差が極めて大きいことがアメリカの「格差」を象徴している。約4倍の所得格差がある。この格差を縮小することが〈分断化〉を防ぐために不可欠である。所得税率の強化、法人税等企業への課税の強化が必要である。
⑦脱成長型の社会へ変化すれば、国民所得も減少するが、格差を縮小せねばならないことは同じである。
⑧納税額を抑えることを自慢するトランプ大統領の発言はフランス革命期のアンシャン・レジームにおける非課税の特権身分(聖職者・貴族)と同じである。納税額が多いことが国家への貢献であり、誇りとしなければならない。
他にも参考になる論点が満載だ。
お勧めの一冊だ。