偽善、矛盾、自己欺瞞、自己コントロール、道徳的価値観
本書の核となる「モジュール理論」
・・・心は複数の "モジュール(特定の機能に特化した情報処理メカニズム)" によって構成される。
多くの心理学者を悩ませた概念を、痛快に説明する本です。
個人的に興味深かった内容を簡単にまとめます(先頭の数字は参照ページです)
第1章 一貫した一貫性の欠如
22 心の内部を理解するために、その人が "口にすること" のみでは不十分である理由とは?
31 健常者の脳であっても、互いに "矛盾する情報" を持つことがあり得る理由とは?
第2章 進化と断片化した脳
41 本書の主要概念 "モジュール" とは?
52 「生物は、特定の機能を果たす種々の部位から構成される機械である」とは?
59 「iPhoneを開発した技術者は、進化が用いているものと同じ解決方法を思いついた」とは?
63 「脳には、汎用的に機能する期間や神経回路は存在しない」とは?
66 健常者であっても "無意識の選択" の理由を説明できない理由とは?
第3章「私」って誰?
79 意識を持つ "私" が "責任者" で意思決定を下している。わけではない?
81 手首を動かす決定を下した後で、初めて "脳の活動" が生じることは有り得ない?
第4章 モジュール化された私
91 「私たち一人一人は、様々な目的のために搔き集められたメンバーによる委員会」とは?
93 「あなた(you) が存在するのなら、その仕事は広報のはずだ」とは?
98 それぞれのモジュールの "影響力" の変化の仕方とは?
101 "「人」が何を信じているのか" を語ることに問題がある理由とは?
106 "信念" や "表象" について有益に考える方法とは?
第5章 真実の痛み
123 警察官が犯罪に対して "無知" である方が都合の良い場合とは?
124 無知から "効用" が得られる理由とは?
133 わたしたちの行動の多くは、仲間にとって "貴重" とみなされるように調整されている?
137 人間が社会生活の競争的な性格を考える "報道官モジュール" の設計とは?
139 「愛は、銀行の取り付け騒ぎと同様、自己充足的予言なのだ」とは?
第6章 心理的なプロパガンダ
149 モジュール性から考える欺瞞 "戦略的な誤り" とは?
157 成功や失敗の要因を戦略的に誤ってしまう "バイアス" が生じる理由とは?
178 「報道官モジュールは、ものごとを誤認すべく設計されている」とは?
186 戦略的誤認が "効果的" であり得る条件とは?
190 痛みの "トレードオフ" の観点から考えるプラシーボ効果とは?
192 "自己欺瞞" は実際には起こっていない?
第7章 自己欺瞞
202 モジュール自体が "幸福の向上" 目的に設計されてはいない可能性が高い理由とは?
206 多くの心理学者が "自己評価" の必要性に固執するのか?
208 「進化は、人を幸福にすること自体には、何の関心もない」とは?
211 「脳は何かをするのに "役立つ"」器官である?
212 自己評価は "燃料メーター" に例えられる?
217 「命題P(信念)が心に浮かぶ」という表現の不整合さとは?
219 モジュール性を考慮した "自己欺瞞" の正体とは?
第8章 自己コントロール
228 人の "好み" についての言及は無意味?
234 モジュール毎に異なる "割引率" とは?
239 各モジュールが行動に影響を及ぼす要因となる "3つの要素" とは?
247 "人物自体" が忍耐強い。はあり得ない?
257 自己コントロールにおける "グルコースモデル" は幻想でしかない理由とは?
259 注意を払う、難題を解く、誘惑に耐えることで生じる "コスト" とは?
260 著者が意志力の代わりに提示する "努力メーターモデル" とは?
267 "人間は根本的に利己的なのか?" と言う問いに対するモジュール理論の回答とは?
268 「モジュール理論は、大理石より粘土として人間の心を捉える」とは?
第9章 道徳と矛盾
274 人が喜んで取り入れる "道徳原理" が持つ特徴とは?
278 道徳的判断が一連の "首尾一貫" した原理に基づいて判断されているわけではない?
286 ドラックの非合法化が、"暴力の雰囲気" を生む理由とは?
297 我々が種々の好意を道徳的に非難する "理由が分かっていない" 理由とは?
第10章 鳥の道徳
304 強制された "一夫一婦制" によって利益を得る個体とは?
305 一夫一婦制/一夫多妻制をそれぞれ支持する鳥が "語る" であろう支持の理由とは?
309 性的な行動に対する人々の見解が違う "根本的な由来" とは?
311 道徳的な認知が安定するための "大きな条件" とは?
313 「本質的に、偽善は身びいきにつながる」とは?
314 "政治家" の偽善が殊更目立つ理由とは?
315 私たちの心のモジュールが矛盾に "気づかない" ように設計されている理由とは?
個人的に、とても秀逸な内容だと思いました。
モジュール理論を用いて従来の心理学の内容をもっと掘り下げていくと、さらに面白いと思います。
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だれもが偽善者になる本当の理由 単行本 – 2014/9/1
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- 本の長さ380ページ
- 言語日本語
- 出版社柏書房
- 発売日2014/9/1
- ISBN-104760145109
- ISBN-13978-4760145102
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登録情報
- 出版社 : 柏書房 (2014/9/1)
- 発売日 : 2014/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 380ページ
- ISBN-10 : 4760145109
- ISBN-13 : 978-4760145102
- Amazon 売れ筋ランキング: - 473,219位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2018年3月18日に日本でレビュー済み
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2021年11月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
モジュール理論を基礎として、誰もが偽善者になる理由を示している本です。この本を読めば、モジュール理論について理解でき、「人間が人によって態度を変える理由が分かる」本でもあります。また、自分の意志決定がどのように行われるか一定の知識が得られるので、自分のことを理解したい人にもオススメしたい一冊です
2021年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
進化心理学の「モジュール理論」を扱っている名著。
「主体的自己」、つまり脳内にいると思われている自身の行動決定の最高責任者とでもいうものは、存在しない。
全ての意思の一なる決定者、というものは、存在しない。
あるのはそれぞれの機能に特化したモジュールの集まり。
そしてそのモジュールどものガヤガヤした無数の乱立する意見の中で、その時、そのシチュエーションにおいて優勢になった意見を、さも自分が決定したものとして後から認識し勘違いしている意識。
これがどうやら主体的自己にまつわることの真相のようです。
科学的に証明された!って話ではなくて、あくまでもこのモジュール仮説の元に考えると全てに無理ない説明がつけられるよってことですが。
色々自分なりに考えてきましたが、個人的にはこれが真相だと思っています。
モジュール理論について扱っている本も少ないので、この本は貴重です。
タイトルでちょっと損をしてる気がします。
自分がタイトルつけるなら「唯一の『あなた』なんていない!」とかかな?
「誰もが偽善者になる本当の理由」ってのは副題にすると思います。
みんなそんな理由が知りたくてこの本読むわけじゃないんじゃないかな??
主体的自己が幻想ってことの方が100倍インパクトあると思うのだけど笑
「主体的自己」、つまり脳内にいると思われている自身の行動決定の最高責任者とでもいうものは、存在しない。
全ての意思の一なる決定者、というものは、存在しない。
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そしてそのモジュールどものガヤガヤした無数の乱立する意見の中で、その時、そのシチュエーションにおいて優勢になった意見を、さも自分が決定したものとして後から認識し勘違いしている意識。
これがどうやら主体的自己にまつわることの真相のようです。
科学的に証明された!って話ではなくて、あくまでもこのモジュール仮説の元に考えると全てに無理ない説明がつけられるよってことですが。
色々自分なりに考えてきましたが、個人的にはこれが真相だと思っています。
モジュール理論について扱っている本も少ないので、この本は貴重です。
タイトルでちょっと損をしてる気がします。
自分がタイトルつけるなら「唯一の『あなた』なんていない!」とかかな?
「誰もが偽善者になる本当の理由」ってのは副題にすると思います。
みんなそんな理由が知りたくてこの本読むわけじゃないんじゃないかな??
主体的自己が幻想ってことの方が100倍インパクトあると思うのだけど笑
2022年8月25日に日本でレビュー済み
進化心理学の知見をベースとして、
人間の脳が有する機能の不思議さについて、
脳のモジュール理論だけでどこまで説明可能かを追求した本です。
脳のモジュール理論は他の書籍を読んで知っていましたが、
ここまで徹底してこの理論だけで脳機能を解説している本は、私の読書経験の中で初めてです。
これまで哲学や心理学で難題とされ、膨大な労力を要してなお解決されていない事象について、
脳のモジュール理論は何ら問題なくサクサクと解決していきます。
しかも、進化心理学の根幹である自然淘汰を踏まえての展開ですので、
自然科学の知恵を取り込んでいない他の社会科学系の論理展開よりも説得力は高いと思われます。
そのアプローチが私の好奇心を刺激したのでしょう、一気に読みきってしまいました。
ただ、本書での脳のモジュール理論は、
脳の機能面についてのみ使用されており、脳の構造面についてはほとんど触れていません。
従って、脳が抱える矛盾について、
それらをすべて要素分解し、要素ごとに特化したモジュールがあるという説明も機能面に特化しており、
それを裏付けるための脳の構造面についての言及がほとんどないため、少し乱暴かな、と思いました。
特定の機能には必ず特定の構造(それがどのような形態であろうとも)があるはずですので、
機能と構造が今後マッチングされていくことを期待しています。
あと、持論を否定された学者が、その理論に対して、科学的な反証はできないけど、とにかく否定したい場合に、
如何にしてその理論に欠陥があるように見せかけるか、如何にして一般読者を巧妙に騙しているのか、
に言及している箇所があり、結構面白かったです。
2016/5/6読了
人間の脳が有する機能の不思議さについて、
脳のモジュール理論だけでどこまで説明可能かを追求した本です。
脳のモジュール理論は他の書籍を読んで知っていましたが、
ここまで徹底してこの理論だけで脳機能を解説している本は、私の読書経験の中で初めてです。
これまで哲学や心理学で難題とされ、膨大な労力を要してなお解決されていない事象について、
脳のモジュール理論は何ら問題なくサクサクと解決していきます。
しかも、進化心理学の根幹である自然淘汰を踏まえての展開ですので、
自然科学の知恵を取り込んでいない他の社会科学系の論理展開よりも説得力は高いと思われます。
そのアプローチが私の好奇心を刺激したのでしょう、一気に読みきってしまいました。
ただ、本書での脳のモジュール理論は、
脳の機能面についてのみ使用されており、脳の構造面についてはほとんど触れていません。
従って、脳が抱える矛盾について、
それらをすべて要素分解し、要素ごとに特化したモジュールがあるという説明も機能面に特化しており、
それを裏付けるための脳の構造面についての言及がほとんどないため、少し乱暴かな、と思いました。
特定の機能には必ず特定の構造(それがどのような形態であろうとも)があるはずですので、
機能と構造が今後マッチングされていくことを期待しています。
あと、持論を否定された学者が、その理論に対して、科学的な反証はできないけど、とにかく否定したい場合に、
如何にしてその理論に欠陥があるように見せかけるか、如何にして一般読者を巧妙に騙しているのか、
に言及している箇所があり、結構面白かったです。
2016/5/6読了