収録曲
1.Stranger In My Arms/The Cookies 1962 Dimension-1002
2.Some Kined Of Wonderful/Idalia Boyd 1963 Dimension-1007
3.Softry In The Night/The Cookies 1963 Dimension-1008
4.He's A Bad Boy/Carole King 1963 Dimension-1008 POP94位
5.I Want A Boy For My Birthday/The Cookies 1963 Dimension-1012
6.Time Will Tell/The Story Tellers 1963 Ramarca-501, Dimension-1014
7.Girl Grow Up Faster Than Boys/The Cookies 1963 Dimension-1020 POP33位
8.Teenage Prayer/Caroline Day 1964 Dimension-1025
9.Steam/Caroline Day 1964Dimension-1025
10.Please Don't Wake Me/The Cinderellas 1964 Dimension-1026
11.Baby Baby(I Still Love You)/The Cinderellas 1964 Dimension-1026
12.The Old Crowd/The Cookies 1964 Dimension-1032
13.I Never Dream/The Cookis 1964 Dimension-1032
14.Opportunity/The Jewels 1964 Dimension-1034
15.Makin' With The Magilla/Little Eva 1964 Dimension-1035
16.My Heart Cries For You/The Lullabyes 1964 Dimension-1039
17.Say No Girl/The Spandells 1964 Dimension-1041
18.Talkin' Back What I Said/Little Eva 1965 Dimension-1042
19.Playin' With Fire/Patty Livingston 1965 Dimension-1044
20.Smokey Joe/The Jewels 1965 Dimension-1048
本シリーズの3枚目までは、現在ワーナーが所有するカタログの中から選曲したガールズ・サウンドのオムニバス形式でしたが、この4作目は、Dimension(ディメンション)Recordsにスポットを当て、掘り下げた内容です。ディメンション・レコードは、アルドン・ミュージックという音楽出版社を経営していたAl Nevins(アル・ネヴィンス)とDon Kirshner(ドン・カーシュナー)の二人によって、1962年にニュー・ヨークで設立されたレコード会社。アルドン・ミュージック(会社名は2人のファースト・ネーム、アルとドンを足したもの)といえば、キャロル・キング、ジェリー・ゴーフィン、バリー・マン、シンシア・ワイルやを初めとする優秀なソング・ライター陣を擁して、一大帝国を築き上げたことで良く知られています。
ディメンション・レコードの代表的なヒットを放ったアーティストは、リトル・エヴァ、ザ・クーキーズ、そしてキャロル・キングなどですが、本CDは「堀り下げる」という趣旨のようなので、代表的なヒットや有名曲はあまり収録されていません。シングルのB面曲や、小ヒット曲、無名の曲の多くで編集されており、その辺りはかえってマニア心をくすぐるような内容となっています。ヒットしなかったとはいえ、その制作にはアルドンのソング・ライターやスタッフ陣が多く関わっており、内容は上々の作品が多いのは事実です。ちなみに6.と19.は世界初、18.以外は日本では初のCD化ということです。
個人的に気になった曲は、まずアイダリア・ボイド(あのリトル・エヴァの妹!)の2.「Some Kind Of Wonderful」。オリジナルはもちろん、ザ・ドリフターズの大ヒットですが、リトル・エヴァもアルバムの中で作者のキャロル・キングのアレンジでレコーディングしたもの。そのオケを流用して、吹き込まれたのがこのヴァージョン。歌は正直そんなに上手くはないですが、キャロル・キングのアレンジのおかげでなかなか魅力のあるヴァージョンに仕上がっていると思います。3.「Softly In The Night」を私が初めて聴いたのは、日本のロックン・ロール・バンド、クールスのアルバムで。当時、中学生でしたが、「良い曲だな~」と思っておりました。その後、だいぶ月日は流れて・・・ザ・クーキーズの「Don't Say Nothing Bad」(邦題は「悪口はやめて」)のアメリカ盤シングルを手に入れて、それをひっくり返して聴いたときには頭をハンマーで殴られたような感覚に陥りました。何と、あのクールスの曲のオリジナルだったのです。ザ・ストーリー・テラーズの6.「Time Will Tell」の収録も嬉しいです。このグループは、ザ・テディー・ベアーズのリード・ヴォーカリストだったアネット・クレインバード(キャロル・コナーズ)と、後にP.F.スローンとサーフィン・ヴォーカル・グループのザ・ファンタスティック・バギーズを結成するスティーヴ・バリのデュオ。8.~9.キャロライン・デイという無名歌手の「Teenage Prayer/Steam」は初めて聴きましたが、どちらも個人的に好み。A面はスペクター風のキャッチーな仕上がり、B面はリトル・エヴァ風というかディー・ディー・シャープ風のダンス・ナンバー。10.~11.ザ・クーキーズの変名、ザ・シンデレラズの「Plase Don't Wake Me/Baby Baby(I Still Love You)」も素晴らしいガール・ポップス。シンシア・ワイルと、後にグレン・キャンベルに「Guess I'm Dumb」(プロデュースはビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン)を提供したラス・タイトルマンの共作、そしてプロデュースはバリー・マンという珍品?。他にも、昨今人気のノーザン・ソウル・ファンが喜びそうな曲も多くあります。なお、驚いたのが20.ザ・ジュエルズの「Smokey Joe」。この曲は後に、モータウンで多くのヒット作を提供したアシュフォード&シンプソンの作品。このコンビの名前がディメンションの作品に出てくるとは思いもよらず、驚きました。
Vol.1~Vol.3と同様に、解説も充実。おすすめです。