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カーペンターズ・ゴシック 単行本 – 2019/9/26

5.0 5つ星のうち5.0 1個の評価

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超高密度文体で紡がれる黙示録的ゴシック・サスペンス!

全米図書賞&日本翻訳大賞受賞作『JR』の作家ギャディスによる、一軒の古いゴシック式洋館を舞台に繰り広げられる、世界的陰謀と底無しの悪意が渦巻く狂騒劇――

*

今は亡き大鉱山主の娘エリザベス・ブースは、ハドソン河畔にある古いカーペンター・ゴシック様式の屋敷に、夫ポールと暮らしていた。
山師気質で粗暴なポールは、メディアコンサルタントとしての成功を目論見、いくつもの胡散臭い事業の立ち上げを画策し動き回っている。
ひっきりなしに屋敷にかかってくるいくつもの電話、そして訪ねてくる怪しい男たち。
彼らが交わす錯綜した会話の断片からは、CIA、FBI、放送局、種子販売会社、鉱山開発会社などの影が垣間見え、やがて巨大利権をめぐる遠大な世界的陰謀へと話は広がり、エリザベス自身もそこで起こる事件へと巻き込まれていく……
全米図書賞受賞『JR』の作家ギャディスによる、一軒の屋敷を舞台に繰り広げられる、超絶技巧×超高密度文体のゴシック・サスペンス&黙示録的狂騒会話劇。
(1985年作)
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出版社より

1

全米図書賞作家による黙示録的傑作

一軒の古いゴシック式洋館を舞台に繰り広げられる、世界的陰謀と悪意が渦巻く狂想劇……

超高密度文体で紡がれる黙示録的ゴシック・サスペンスが全面改稿で復刊!

装幀=水戸部功

サイズ:縦192mm×横128mm×幅25mm、重さ約450g

商品の説明

著者について

1922年ニューヨークに生まれる。ハーバード大学を中退後、「ニューヨーカー」誌の校正者などを経て、『認識』(1955年)でデビュー。ジェイムズ・ジョイスを継ぐ作家と激賞されたが、作品の長さと難解さのために、当初はカルト作家として一部に知られるのみだった。その後、社内文書作成の仕事の傍らに書き上げた『JR』(1975年)で全米図書賞を受賞。これにより、「読まれざる大作家」だったギャディスの実力が広く認められた。その後『カーペンターズ・ゴシック』(1985年)を発表。そして『フロリック・オブ・ヒズ・オウン』(1994年)で二度目の全米図書賞を受賞した。1998年死去。寡作ながらも、トマス・ピンチョンやドン・デリーロ、ジョゼフ・マッケルロイなどにも決定的な影響を与えた、現代アメリカ文学の最重要作家の一人である。その他、遺作中編『アガペー・アゲイプ』(2002年)やエッセイ集などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 国書刊行会 (2019/9/26)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2019/9/26
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 380ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4336063710
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4336063717
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.1 x 2.7 x 19.6 cm
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 1個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2020年3月10日に日本でレビュー済み
 先に「旧版訳者あとがき」と「改版にあたって」を読み、これは読めそうもないなと思った。たとえば私にとって邦訳が見事に揃えられたトマス・ピンチョンはもっと若ければ読んだかもしれない作家であり、今は敬して遠ざける立場の人だが、ウィリアム・ギャディスも同じか、という感じに襲われた。
 だがひとまず読んでみようと始まったその読書は、その恐るべき迫力に難しさへの躊躇感が裏切られる体験となった。もともと原著にそなわったものであろうが、念入りだったに違いない初訳にさらに手を加えた達意の訳文のせいで、めくるめくギャディスの世界に拉致されてしまった。
 とはいえ詰めに詰め込まれた情報の細部をわがものにできたとは到底言えない。それでも引き込まれたのは、戯曲とも映画のシナリオとも異なるこの野心的な小説作法の魅力のゆえである。
 初訳に対し、訳者はいくぶんか読みやすいように直しているようだ。人物の会話と行為の描写部分が、初訳ではおそらく原文に沿った流れで続くが、改訳では句点で区切っているところがある。たとえば初訳における次の部分。《指が探るように割れ目の縁をたどり、その下へ、さらに深く、絶望的な作り話です、不滅の霊魂だとか、いまいましい赤ん坊たちが生んでもらうために、生まれ変わるために、押しかけてくるとか、湿り気を帯びた手の幅まで割れ目を広げ──生まれ変わるためならコンドルに生まれ変わりたい、昔、フォークナーがそう言ったそうです。》
 改訳ではここが《指が探るように割れ目の縁をたどり、その下へ、さらに深く進んだ。絶望的な作り話です、不滅の霊魂だとか、いまいましい赤ん坊たちが生んでもらうために、生まれ変わるために押しかけてくるとか。湿り気を帯びた手の幅まで割れ目を広げて、──生まれ変わるならコンドルに生まれ変わりたい、昔、フォークナーがそう言ったそうです。》となる。二カ所で読点を句点にし、会話と描写を分けている。
 性行為に会話をからめたこの場面ひとつとっても、本書が戯曲とは全くかけはなれたものだと分かるし、また映画のシナリオと違って、それ自体で自立した作品となっている。《文体から構成、主題にいたるまで現代アメリカ小説の中では出色の傑作である》という訳者あとがきの言葉を(おこがましいと思うが)支持したい。
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