長らく単行本の中古価格が高騰していたらしく、文庫化はとても嬉しい。
他の方のレビューと重複していたら申し訳ない。本書は特に貨幣の通史を取り扱っているというわけではない。"貨幣システム"の多層性や、複数貨幣の構造を歴史の事例と共に見ていくという感じの内容だ。私はとても面白い読むことができた。
もし貨幣や歴史等に、興味があれば、是非手に取っていただきたい一冊である。
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貨幣システムの世界史 (岩波現代文庫 学術 417) ペーパーバック – 2020/2/16
黒田 明伸
(著)
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貨幣の価値は一定であると我々は常識的に考えている。しかし、複数の通貨が存在して評価が多元的であるという事例は、歴史上、さまざまな地域、時代にあった。交換という行い自体が多様である以上、貨幣も多様にならざるを得ない――。謎に満ちた貨幣現象を、世界史の中で根本から問い直す。
- 本の長さ372ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2020/2/16
- 寸法10.5 x 1.7 x 14.8 cm
- ISBN-104006004176
- ISBN-13978-4006004170
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2020/2/16)
- 発売日 : 2020/2/16
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 372ページ
- ISBN-10 : 4006004176
- ISBN-13 : 978-4006004170
- 寸法 : 10.5 x 1.7 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 27,313位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2020年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書を読み始めてから気付いた辺りは、偏に私自身の不注意・軽率さにあるが、本書は学術系「岩波(現代)文庫」であり、本書の趣旨・内容は「世界史」とあるも専門的でありかつ一定地域の又は特定時期の通史ではない。概略としては18~20世紀における一部紅海周辺地域、17~8世紀のインド(ベンガル)地域、11~8世紀頃の中国・日本等の東アジア地域等を中心とした、『貨幣』制度の成立・変質、地域的(市場的)特質、歴史的又は社会的相似・相同性等を実証的に考察したものである(補論では中世後期日本を別個に扱う)。「商品の説明」には「複数の通貨が存在して評価が多元的であるという事例は、歴史上、さまざまな地域、時代にあった。交換…自体が多様である以上、貨幣も多様にならざるを得ない…謎に満ちた貨幣現象を…根本から問い直す」とはあるが、これだけでは本書の趣旨を的確に表象しているとは言い難い。本書は内容自体が複数の地域・時期かつ細部の考察に渡るところ、些か乱暴だが端的に言えば「市場階層の上位と下位〔市場取引規模・性質の相違〕の垂直的関係において、非自発的な保蔵の生じる傾向があること…空間をもった市場の、その内部と外部〔特定貨幣流通地域とこれに接する異別の流通地域〕の市場との水平的関係において、安定した内部の貨幣需要と時に大きく揺れる外部の市場との貨幣出入、という2つの力」(14頁:引用文中〔〕は筆者に依る)の現象的連関につき、歴史実証的に考察したものと言える。内容・構成は「商品の説明」に譲り、以下主要なトピックを所見と共に紹介したい。
まず「マリア・テレジア銀貨」に係る貨幣鋳造と流通の歴史の考察(第1章)、このトピックが第2章以降の考察、読者における本書理解の基本的前提をなしていると言っても過言ではないだろう。殊に前述の本書趣旨である「空間をもった市場の、その内部と外部〔特定貨幣流通地域とこれに接する異別の流通地域〕の市場との水平的関係において、安定した内部の貨幣需要と時に大きく揺れる外部の市場との貨幣出入、という2つの力」の経済的(歴史的)連関の代表例を詳細に考証している。ここでは、政府ないし権力に依る貨幣政策(貨幣変更及び為替・両替の公定相場の設定等)が市場原理に依りその制御に限界があったこと(24~46・51~4頁ほか)が重要だろう。加えて「マリア・テレジア銀貨の環状回路」の論旨・図表(46~51頁)は、前記「空間をもった市場の、その内部と外部〔特定貨幣流通地域とこれに接する異別の流通地域〕の市場との水平的関係」を具体的かつ判りやすく表象している。実態的市場経済は主権(統治)者の思惑通りには連動しない好例だろう。
次が日常取引と市場間取引、別言すると零細額面通貨と高額額面通貨の歴史・経済的成立契機と連関性及び係る貨幣流通の地域間特質(≒共通性)、即ち前記の「市場階層の上位と下位〔市場取引規模・性質の相違〕の垂直的関係において、非自発的な保蔵の生じる傾向があること」の論考も興味深い(第2・3章)。但しここでは、「私鋳銭」(材質低下)ないし「紙製通貨」発行の実態、両替(為替)相場の錯雑性等に関する歴史・現象的分析は詳細だが、係る現象からの市場経済的影響又は金融経済論的論究に乏しい印象がある(58~62・69~76・88~94・102~6頁ほか)。第4章では、銅銭不足・紙製通貨崩壊、私製通貨(竹・布製ほか)、秤量通貨銀との連関等の歴史を概観しつつ、中国における銅銭≒地域内通貨(小額決算)、秤量銀≒広域地域通貨(高額決済)と言う視点が歴史的には必ずしも妥当しない点を指摘している(131頁など)。これに関して、著者は「空間的画一性と時系列的一貫性を創造し維持しようとする王朝側の動機と、地域的多様性と状況を志向する社会の側の動機との引き合い…2つの均衡点がないわけではないが、この振動が構造化されて…長きを経た」(136頁)と位置付ける。この辺り(金融経済学的な分析に浅く)些か理解しにくい論旨で、端的に言えば表層的又は現象的側面からだけでなく、私鋳銭又は(私製)「紙製通貨」発行、非流動的因子(滞留・保蔵等)につき、金融経済論(貨幣価値とインフレに係る連関的分析)及び市場経済的側面(生産力・物価変動等の分析)からの立ち入った(原理的)論究が欲しいところである(133~8頁)。
前述した貨幣に係る保蔵ないし「滞留」等の現象的要因として、「粗悪」な私鋳銭又は私製「紙製通貨」と流通過程における撰銭又は(基準銭と通用銭に観る)通貨の二重構造化、両替(為替)相場の多様化に論究を進めていく(141~9頁ほか)。これに関連して中世から近世における日本の封建制度的変質(貫高制から石高制への移行)、中国製銅銭と日本との関連性も考察があるが概観的な範囲に留まる。他方、中国製銅銭の流通広域圏(通貨需給の連動性と瓦解)をして「環シナ海銭貨共同体」と観るのは面白く(170~3頁)、「銭票」と「紙製通貨」との異同は不明確ながら、権力期間に依らない意味での“私製”通貨及び地域的流動性の成立制度的考証(176~193頁)、更に進んで具体的地域における信用制度実態等(199~207頁ほか)も興味深い。前者については、「銭票」と紙幣・有価証券等との経済的・質的異別が必ずしも明確でなく、後者については「購入された繭や製品代価勘定を“引き当て”にして…金融機関からの信用供与を受ける…債権が流通している」(206頁:右引用文中“”は筆者付記)等とあるが、これは“集合債権譲渡担保”性の言い換えであり、この辺りにも前段摘示と同じく制度実態(現象)面に留まらずもう少し(原理的な)市場経済・金融論的視点が欲しいように思う。
第7章で市場通貨の(水平的・垂直的)2層性から、「脱現地通貨化」から進んで統一通貨制度及び「国際金本位制」の言及があるが(212~228頁ほか)、これらの歴史的連関(契機)については、私の理解では曖昧に感じられる。そして終章では通貨(需給)市場の2重(水平的・垂直的)階層性の(慣習的)制度変遷、統合契機、通貨制度の歴史的多様性など(特に239~253頁など)、本書の総括的構成となる。補論は主として中世日本の貨幣制度・市場実態と関連する中国との考証であり、中国銭貨の日本国内的意義(私鋳銭)・撰銭令の実態など(263~285頁ほか)が注目される。このように本書を概覧すると、本書が一般的通史でないこと(専門的論文と同視できること)、各論として制度的考証を展開していること等から、特に経済史よりも一定程度の通史に理解ある読者は、まず①序章で本書目的の概要を理解し、②終章で本書趣旨総括の理解、③同じく本書趣旨の契機の1つを述べる「岩波現代文庫版あとがき」、④日本史的側面の補論及び2章~7章という読み方の方が、殊に右④の各論理解に資するように思う。時に垣間見える自賛的筆致、貨幣制度の現象的側面への傾倒、為替・両替相場の経済分析的考察及び市場経済学・財政金融論的考察(別言すると金融・市場経済等の原理的分析)に薄い論旨等は措くとして、非常に実証的であり専門性が強いので一般的歴史愛好家にはハードルは高いと思料される。
まず「マリア・テレジア銀貨」に係る貨幣鋳造と流通の歴史の考察(第1章)、このトピックが第2章以降の考察、読者における本書理解の基本的前提をなしていると言っても過言ではないだろう。殊に前述の本書趣旨である「空間をもった市場の、その内部と外部〔特定貨幣流通地域とこれに接する異別の流通地域〕の市場との水平的関係において、安定した内部の貨幣需要と時に大きく揺れる外部の市場との貨幣出入、という2つの力」の経済的(歴史的)連関の代表例を詳細に考証している。ここでは、政府ないし権力に依る貨幣政策(貨幣変更及び為替・両替の公定相場の設定等)が市場原理に依りその制御に限界があったこと(24~46・51~4頁ほか)が重要だろう。加えて「マリア・テレジア銀貨の環状回路」の論旨・図表(46~51頁)は、前記「空間をもった市場の、その内部と外部〔特定貨幣流通地域とこれに接する異別の流通地域〕の市場との水平的関係」を具体的かつ判りやすく表象している。実態的市場経済は主権(統治)者の思惑通りには連動しない好例だろう。
次が日常取引と市場間取引、別言すると零細額面通貨と高額額面通貨の歴史・経済的成立契機と連関性及び係る貨幣流通の地域間特質(≒共通性)、即ち前記の「市場階層の上位と下位〔市場取引規模・性質の相違〕の垂直的関係において、非自発的な保蔵の生じる傾向があること」の論考も興味深い(第2・3章)。但しここでは、「私鋳銭」(材質低下)ないし「紙製通貨」発行の実態、両替(為替)相場の錯雑性等に関する歴史・現象的分析は詳細だが、係る現象からの市場経済的影響又は金融経済論的論究に乏しい印象がある(58~62・69~76・88~94・102~6頁ほか)。第4章では、銅銭不足・紙製通貨崩壊、私製通貨(竹・布製ほか)、秤量通貨銀との連関等の歴史を概観しつつ、中国における銅銭≒地域内通貨(小額決算)、秤量銀≒広域地域通貨(高額決済)と言う視点が歴史的には必ずしも妥当しない点を指摘している(131頁など)。これに関して、著者は「空間的画一性と時系列的一貫性を創造し維持しようとする王朝側の動機と、地域的多様性と状況を志向する社会の側の動機との引き合い…2つの均衡点がないわけではないが、この振動が構造化されて…長きを経た」(136頁)と位置付ける。この辺り(金融経済学的な分析に浅く)些か理解しにくい論旨で、端的に言えば表層的又は現象的側面からだけでなく、私鋳銭又は(私製)「紙製通貨」発行、非流動的因子(滞留・保蔵等)につき、金融経済論(貨幣価値とインフレに係る連関的分析)及び市場経済的側面(生産力・物価変動等の分析)からの立ち入った(原理的)論究が欲しいところである(133~8頁)。
前述した貨幣に係る保蔵ないし「滞留」等の現象的要因として、「粗悪」な私鋳銭又は私製「紙製通貨」と流通過程における撰銭又は(基準銭と通用銭に観る)通貨の二重構造化、両替(為替)相場の多様化に論究を進めていく(141~9頁ほか)。これに関連して中世から近世における日本の封建制度的変質(貫高制から石高制への移行)、中国製銅銭と日本との関連性も考察があるが概観的な範囲に留まる。他方、中国製銅銭の流通広域圏(通貨需給の連動性と瓦解)をして「環シナ海銭貨共同体」と観るのは面白く(170~3頁)、「銭票」と「紙製通貨」との異同は不明確ながら、権力期間に依らない意味での“私製”通貨及び地域的流動性の成立制度的考証(176~193頁)、更に進んで具体的地域における信用制度実態等(199~207頁ほか)も興味深い。前者については、「銭票」と紙幣・有価証券等との経済的・質的異別が必ずしも明確でなく、後者については「購入された繭や製品代価勘定を“引き当て”にして…金融機関からの信用供与を受ける…債権が流通している」(206頁:右引用文中“”は筆者付記)等とあるが、これは“集合債権譲渡担保”性の言い換えであり、この辺りにも前段摘示と同じく制度実態(現象)面に留まらずもう少し(原理的な)市場経済・金融論的視点が欲しいように思う。
第7章で市場通貨の(水平的・垂直的)2層性から、「脱現地通貨化」から進んで統一通貨制度及び「国際金本位制」の言及があるが(212~228頁ほか)、これらの歴史的連関(契機)については、私の理解では曖昧に感じられる。そして終章では通貨(需給)市場の2重(水平的・垂直的)階層性の(慣習的)制度変遷、統合契機、通貨制度の歴史的多様性など(特に239~253頁など)、本書の総括的構成となる。補論は主として中世日本の貨幣制度・市場実態と関連する中国との考証であり、中国銭貨の日本国内的意義(私鋳銭)・撰銭令の実態など(263~285頁ほか)が注目される。このように本書を概覧すると、本書が一般的通史でないこと(専門的論文と同視できること)、各論として制度的考証を展開していること等から、特に経済史よりも一定程度の通史に理解ある読者は、まず①序章で本書目的の概要を理解し、②終章で本書趣旨総括の理解、③同じく本書趣旨の契機の1つを述べる「岩波現代文庫版あとがき」、④日本史的側面の補論及び2章~7章という読み方の方が、殊に右④の各論理解に資するように思う。時に垣間見える自賛的筆致、貨幣制度の現象的側面への傾倒、為替・両替相場の経済分析的考察及び市場経済学・財政金融論的考察(別言すると金融・市場経済等の原理的分析)に薄い論旨等は措くとして、非常に実証的であり専門性が強いので一般的歴史愛好家にはハードルは高いと思料される。
2020年12月31日に日本でレビュー済み
本書では、通貨の流通構造ついて中世以降の歴史に即して豊富な事例を丁寧に記述しており、その躍動感溢れる叙述から「通貨とは何か?」を考えさせられた。
まず、アフリカで最近まで流通していたとされる「マリアテレジア銀貨」の話しは興味深い。公的権力の後ろ盾が薄いアフリカでの「マリアテレジア銀貨」の流通はなんとも不思議だ。
そもそも筆者は一国一通貨制度を必然とせず、中世以降の通貨構造を銀中心の上位「地域間決済通貨」と銅等少額通貨の下層「現地通貨」の混交だと説く。しかし、両者に兌換性はなく、国家統制を超える垂直的、かつ水平的流通構造だったとする。特に「現地通貨」は個々のマーケット実情に合わせて伸縮したのだそうだ。その通貨も銅銭、布、紙幣...等々と商品貨幣と信用貨幣が混交したとされ、そこに民衆の叡智を見ることができる。
では、ここから何を学ぶか?
不換紙幣が通貨流通を支配する現代、流通通貨も手交通貨から預金通貨に移行している。しかも、基軸通貨ドルを頂点に、各国中央銀行が「地域間決済通貨」由来のソブリンマネーを、そして、民間金融機関が「現地通貨」由来の預金通貨というプライベートマネーをそれぞれ信用創造するピラミッド構造が確立されたように見える。
しかし、現代でもそれら通貨間の関係は必ずしも対称的とまでは言えない。つまり、「中央銀行がベースマネーという『地域間決済通貨』を増やしても、マネーストックという『現地通貨』は増えない」という「貨幣数量説」が妥当しない「非対称」という現実世界がある。
本書は経済学書ではないので論理的に読み込むことは難しいが、通貨構造の「非対称」という不思議な通貨世界を思索できた。改めて「通貨は奥深い!」と思った。
まず、アフリカで最近まで流通していたとされる「マリアテレジア銀貨」の話しは興味深い。公的権力の後ろ盾が薄いアフリカでの「マリアテレジア銀貨」の流通はなんとも不思議だ。
そもそも筆者は一国一通貨制度を必然とせず、中世以降の通貨構造を銀中心の上位「地域間決済通貨」と銅等少額通貨の下層「現地通貨」の混交だと説く。しかし、両者に兌換性はなく、国家統制を超える垂直的、かつ水平的流通構造だったとする。特に「現地通貨」は個々のマーケット実情に合わせて伸縮したのだそうだ。その通貨も銅銭、布、紙幣...等々と商品貨幣と信用貨幣が混交したとされ、そこに民衆の叡智を見ることができる。
では、ここから何を学ぶか?
不換紙幣が通貨流通を支配する現代、流通通貨も手交通貨から預金通貨に移行している。しかも、基軸通貨ドルを頂点に、各国中央銀行が「地域間決済通貨」由来のソブリンマネーを、そして、民間金融機関が「現地通貨」由来の預金通貨というプライベートマネーをそれぞれ信用創造するピラミッド構造が確立されたように見える。
しかし、現代でもそれら通貨間の関係は必ずしも対称的とまでは言えない。つまり、「中央銀行がベースマネーという『地域間決済通貨』を増やしても、マネーストックという『現地通貨』は増えない」という「貨幣数量説」が妥当しない「非対称」という現実世界がある。
本書は経済学書ではないので論理的に読み込むことは難しいが、通貨構造の「非対称」という不思議な通貨世界を思索できた。改めて「通貨は奥深い!」と思った。
2021年1月25日に日本でレビュー済み
ヨーロッパ中心史観に対する地域の歴史を掘り起こす作業も興味深い。グローバルエコノミー・グローバルヒストリーにおける交換=資本主義に近い立論にはそんな単純でいいんかいな?と感じ、マルクス主義的な資本分析に対してはこんな単純な定式化でいいの?とも感じていた。
この本のエッセンスは、国家による貨幣鋳造と市場における貨幣の流通は別個であること、を歴史的に具体的に描き切っていることである。
小さい時分から金儲けや金銭に関する事柄に対して否定的な感情を持っており、利益を上げることに対して憎悪に近い感情を持っている。そのような私でも十分興味をもって読むことができた。
この本のエッセンスは、国家による貨幣鋳造と市場における貨幣の流通は別個であること、を歴史的に具体的に描き切っていることである。
小さい時分から金儲けや金銭に関する事柄に対して否定的な感情を持っており、利益を上げることに対して憎悪に近い感情を持っている。そのような私でも十分興味をもって読むことができた。
2020年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"貨幣はけっして無限の空間のうちに流通するのではなく、歴史上あらわれた貨幣には、一方で空間的にまとまりをもった流通をしようとする性向があり、それゆえにまたいっぽうで空間を越えて流通する貨幣も現れるということである"2003年発刊の本書は貨幣現象を【歴史から問い直した】刺激的一冊。
個人的には猫も杓子もキャッシュレス化の流れの中、あらためて貨幣について考えてみたい。と本書を手にとりました。
さて、そんな本書は世界貨幣史、中国経済史の専門家にして東大教授の著者がオーストリアの法貨という枠を【時代や距離を越えて】遠く離れたアフリカ・西アジアにおいて『越境する回路』として流通していたマリア・テレジア銀貨の紹介から始まり、現在は当然な事として捉えている【一国一通貨原則以前の】多様性に満ちていた世界史における【貨幣の在り方】を紹介しているわけですが。
銅貨の中国、銀貨の西欧がモンゴル帝国によって(日本も含めて)互いに影響を受けていたとする仮説話や、中国では【何らの公的許可もなしに】現地商人が発行していた【現地通貨】があった一方で、西欧では小額であっても信用取引が行われて内部化された【決済通貨】と地域によって貨幣の『違う在り方』があったという指摘は、丁寧な論旨展開も相まって知的好奇心を多いに刺激してくれました。
また、本書では補論として『東アジア貨幣史の中の中世後期日本』が追加されているわけですが。こちらでは、土に貨幣を埋める行為や、通貨の年号を例に【現代人の常識で安易に推論してしまう】事に強く警鐘を鳴らしていて。近年の電子マネー、ビックデーターによる【効率化、最適解依存】が【想定外の変革可能性を消し去っているのではないか?】といったあとがきでの言及も含め、著者の研究者としての短絡的に判断しない慎重さを感じて好感を覚えました。
貨幣から見えてくる野心的な世界史に興味がある歴史好き、またブロックチェーンやキャッシュレス化に関わっている人にもオススメ。
個人的には猫も杓子もキャッシュレス化の流れの中、あらためて貨幣について考えてみたい。と本書を手にとりました。
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銅貨の中国、銀貨の西欧がモンゴル帝国によって(日本も含めて)互いに影響を受けていたとする仮説話や、中国では【何らの公的許可もなしに】現地商人が発行していた【現地通貨】があった一方で、西欧では小額であっても信用取引が行われて内部化された【決済通貨】と地域によって貨幣の『違う在り方』があったという指摘は、丁寧な論旨展開も相まって知的好奇心を多いに刺激してくれました。
また、本書では補論として『東アジア貨幣史の中の中世後期日本』が追加されているわけですが。こちらでは、土に貨幣を埋める行為や、通貨の年号を例に【現代人の常識で安易に推論してしまう】事に強く警鐘を鳴らしていて。近年の電子マネー、ビックデーターによる【効率化、最適解依存】が【想定外の変革可能性を消し去っているのではないか?】といったあとがきでの言及も含め、著者の研究者としての短絡的に判断しない慎重さを感じて好感を覚えました。
貨幣から見えてくる野心的な世界史に興味がある歴史好き、またブロックチェーンやキャッシュレス化に関わっている人にもオススメ。