謎の天才科学者、ドクター・フーは警察BOX型のタイムマシンを駆り、西暦2150年に旅をするが、なんとロンドンは瓦礫の山と化し、人類は侵略宇宙人ダレクの採掘奴隷か、洗脳されて「ロボメン」として使役される存在となっていた。
僅かに生き残ったレジスタンスは地下に潜り、雌伏の時を狙っており、いきなりダレクとロボメンに襲われたドクター一派と合流するが…。
英国では誰もが知っている1963年から中断を挟みながらも放送が続いているBBCのSFドラマ1964年放送ドクター・フー第2シーズン「The Dalek Invasion of Earth」の映画化です。
カラフルで、マニュピレーター付の金属塔の様なデザインのミュータント宇宙人、ダレクを敵役としたシリーズ第2弾。
前作に引き続き、名優ピーター・カッシング(「フランケンシュタインの逆襲」「吸血鬼ドラキュラ」「スターウォーズ」「地底王国」)が主人公の天才奇人科学者、ドクター・フーを演じています。
ダレクは我が国のバルタン星人並みに有名なキャラクターらしく、観客は当然知っている的な展開に初見の方は戸惑うと思います。
実は軟体性の体を自走型機械に包み、目的は他の生物の殲滅と征服と言う悪の権化です。
英国伝統の精巧なミニチュアを駆使した特撮と美術は見応えが有り、R2D2をデコトラ化した様な(実はこちらの方が十数年も先輩なのですが)ダレクは悪役ながらどこか可愛く、人気が有るのも納得のキャラクターでした。
英国では既に本作と前作『Dr.フーin怪人ダレクの惑星』(Dr. Who and the Daleks)のカップリング・ブルーレイが「ダレク限定コレクション」として発売される程の人気キャラクターです。
元々は子供向け番組だった事や、前記の様に一見様お断り的な面が御座いますので、独立して本作だけ観るには少々問題が御座います。
但し、1960年代の英国Sci-Fi映画やTVのファンの方にはお馴染みの顔が揃った演技陣の質も高く、それなりに楽しめます。
特に、峻厳・冷酷な役柄が多いカッシングの「地底王国」を思わすユーモラスな演技を見られるのもファンにはお薦めです。
製作にはアミカスのマックス・J・ローゼンバーグとミルトン・サボツキー。
監督は前作に引き続きゴードン・フレミング(「汚れた七人」「最後の手榴弾」)。英国のTVで多くの監督作が有ります。
美術は「バンシ―の叫び」「虐殺の女王」「ゾンビ襲来」とAIPやハマー、タイゴン映画を担当したジョージ・プロヴィス。
特殊効果は前作や「がい骨」「ポランスキーのマクベス」を手掛けたテッド・サミュエルズ。
勇壮な楽曲はビル・マッグフィーですが、一部はアンダーソンの特撮で有名なバリー・グレイが作曲。
この後、膨大なコンテンツが待ち受けるドクター・フーの世界に浸るかどうかは評者も迷っている状態です。