カスタマーレビュー

2015年10月20日に日本でレビュー済み
「同盟の選択と国家の盛衰」との副題が付いている通り、かつての日英同盟、そして現在の日米同盟を巡る、ほぼ全ての重要な課題が、余すことなくこの一冊の書物に書き込まれ、その、それぞれの局面が俎上に上げられている。わが国の外交を考えるとき、必ず読んでおくべき一冊の名著であると言える。著者の視点は一つの歴史観に拘泥されず、いわばまだ、誰も手にしていない「メタ」歴史観をわが国において構築しようとする強い意志によって貫かれている。著者自身が(誰が悪かったのかと言えば)「みんなが悪かった」という史観であると通俗的に述べているのは、実は、逆に、新しい未来のわが国の史観を切り開きたいと言う、強い意志によってこの著作が貫かれているからである。単に歴史の勉強の為にある著作ではなく、現下のわが国が何をなすべきか、我々がどのような歴史観を持つべきかを読者に考える事を迫る、未来を切り開く重要な著作である。わが国の未来について長期的展望の下に書かれている著作は、文科系の著者によるものは非常に少ないが、その中で本書は読者にそれを考えるきっかけを必ず与えてくれる重要な著作である。
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