五十子尚夏(いかごなおか)は、1989年滋賀県生まれ、2015年に短歌を作り始める。本書の解説で、歌人・加藤治郎は、毎日歌壇の投稿者だったと書いている。
私はアラ還の会社員で、近年短歌に興味を持つようになり、俵万智、穂村弘、東直子、枡野浩一、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら等による入門書や歌集、多数の現代歌人を集めたアンソロジー等を読み、新聞歌壇でも時おり選ばれるようになった。
私が投稿している日経新聞の歌壇(日経歌壇)は、三枝昂之と穂村弘が選者をやっているのだが、若手の歌詠み(玄人・素人問わず)に圧倒的な支持を受けている穂村弘宛には、(セミ)玄人の投稿もあるらしく、五十子尚夏の歌もしばしば掲載されており、新鋭短歌シリーズの中にその名前を見つけ、本書を入手した。
因みに、最近の日経歌壇では、以下のような歌が掲載されていた。
春雷のかそけき深夜ラジオより明石家さんまの声聞きにくし
薄暮に聞く波の寄せては返しつつ海とはひとつの二重否定か
紫陽花だと思っていたら本物の戦争だった 近づいてくる
夏というひとつの円を閉じてゆく硝子の森を統べる力に
冷蔵庫に点眼薬の立つ真昼 ペンシルヴェニア州より手紙来ぬ
五十子尚夏の歌の特徴は、カタカナを中心とした固有名詞が極めて頻繁に使われていることと、近代短歌以降のひとつの潮流である「私性」が徹底的に排除されていることと思われる。「私性」の排除は、現在最も人気がある若手歌人のひとりの木下龍也にも見られる特徴で、ポストモダン短歌のトレンドのひとつとなっているが、五十子尚夏のそれは徹底しており、ある意味非常に刺激を受ける。
私は、新聞歌壇を主な活動の場とするシニアな歌詠みの例に漏れず、どうしても日記風の歌が多くなってしまうのだが、自分の平凡な歌にも、少しでもこうしたフレーバーが取り入れられるように、試行錯誤をしていきたいと思う次第である。
(2024年3月了)
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥1,870¥1,870 税込
ポイント: 57pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥1,870¥1,870 税込
ポイント: 57pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥457
中古品:
¥457

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
The Moon Also Rises (新鋭短歌シリーズ43) 単行本(ソフトカバー) – 2018/12/10
五十子尚夏
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,870","priceAmount":1870.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,870","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"eSyLUO7xrKc54Sv7riALpmQIcOvC0CgnzD0Dl%2BoWgLpyhfF0jGNqk7YNPSpSFMT0tKGw5MB3HzpvXVbrc1UmOfaBllze1Uz7I8zOpzTCR5enwbNbdaSuvm7gZ2bE4KTGtumZojgI14A%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥457","priceAmount":457.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"457","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"eSyLUO7xrKc54Sv7riALpmQIcOvC0CgnZmCSe5M%2FltWhlRXZJdxRMf7MfcuNVJumcVQnilHujV3QY4f%2BE4Bw8F%2BWX7DkCQRXEfQ2%2Fb%2FzWRtxWzgT0I9JJ2vBRYW%2FZQvFD9AP89WxiasTwCafbp5MmoX0TKtdDqIEYfjOqN3HatK4IOYTNvDW7g%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
【世界は踊りだす】
アメリカの風が香り、ちはやぶる神対応がある
現代短歌の美をひらく新鋭歌人の登場!
(加藤治郎)
[自選短歌五首]
朝焼けのマーキュリーから夕刻のユレイナスへと向く羅針盤
一枚の絨毯みたいなパリの夜の光を掬う航空写真
本心もプラシーボだと笑ったら君は全てを閉ざしたシャーレ
リレハンメルの春夏秋は消えてゆくリレハンメルの冬と唱えば
夜という夜の行き着く朝という朝まで君を抱きしめている
アメリカの風が香り、ちはやぶる神対応がある
現代短歌の美をひらく新鋭歌人の登場!
(加藤治郎)
[自選短歌五首]
朝焼けのマーキュリーから夕刻のユレイナスへと向く羅針盤
一枚の絨毯みたいなパリの夜の光を掬う航空写真
本心もプラシーボだと笑ったら君は全てを閉ざしたシャーレ
リレハンメルの春夏秋は消えてゆくリレハンメルの冬と唱えば
夜という夜の行き着く朝という朝まで君を抱きしめている
- 本の長さ144ページ
- 言語日本語
- 出版社書肆侃侃房
- 発売日2018/12/10
- ISBN-104863853459
- ISBN-13978-4863853454
商品の説明
著者について
五十子尚夏(いかご・なおか)
1989年 滋賀県生まれ
2015年 短歌をはじめる
1989年 滋賀県生まれ
2015年 短歌をはじめる
登録情報
- 出版社 : 書肆侃侃房 (2018/12/10)
- 発売日 : 2018/12/10
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 144ページ
- ISBN-10 : 4863853459
- ISBN-13 : 978-4863853454
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,450,263位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 607位歌集
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中3.1つ
5つのうち3.1つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年9月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
《I love you.》訳しきれないAIが冷却水に月を映した
夜という夜の行き着く朝という朝まで君を抱きしめている
のような佳作もあることにはあるが、圧倒的に駄作が多い。歌には理と情が必要だが、情が勝ちすぎているきらいがある。端的にいって、頭の悪い感じ。
憂鬱な春の陽射しに深さ増すカーネル・サンダースのほうれい線
この歌に「憂鬱な」なんて説明語は不要なはずだ。歌意を駄目押ししている。もったいない。プロフィールを読む限り、著者は誰かに師事したことも結社に所属したこともないようだ。結社に入れば上手くなるなんて保証はないが、彼女には冷静な目で作品を批評してくれる第三者が必要なのではないかと思った。
2020年7月15日追記:
作者は男性だと、のちほど知った。
ちなみに筆名ではなく、本名だそうだ。
夜という夜の行き着く朝という朝まで君を抱きしめている
のような佳作もあることにはあるが、圧倒的に駄作が多い。歌には理と情が必要だが、情が勝ちすぎているきらいがある。端的にいって、頭の悪い感じ。
憂鬱な春の陽射しに深さ増すカーネル・サンダースのほうれい線
この歌に「憂鬱な」なんて説明語は不要なはずだ。歌意を駄目押ししている。もったいない。プロフィールを読む限り、著者は誰かに師事したことも結社に所属したこともないようだ。結社に入れば上手くなるなんて保証はないが、彼女には冷静な目で作品を批評してくれる第三者が必要なのではないかと思った。
2020年7月15日追記:
作者は男性だと、のちほど知った。
ちなみに筆名ではなく、本名だそうだ。