日本では「バッファロー」「NEC」「IOデータ」「コレガ」などが、Wi-Fiルーターorアクセスポイントの製造メーカーとして有名。「tp-link」はスマートホンメーカー「Huawei(ファーウェイ)」など新進IT企業の集中する中国深圳(シンセン)に同じく拠点を置くPC周辺機器メーカーで、実はルーターで世界のトップシェアを占めるメーカーです。気になる存在なので使ってみたかったのですが、なかなか機会に恵まれず。NECの廉価版ルーターWG1200HSを使用していましたが、半年～1年を境に発生するRealTekチップ特有のパケット詰まり。このパケ詰まり、スマホで顕著に見られ、ブラウジングの際に読み込みが途中で止まったままエラーが吐かれる事あまた。また5GHz帯ac接続でスマホからのDLNA経由でのテレビ視聴では、DLNAサーバーにアクセスする際の認証段階で接続エラーが頻発する(2.4GHz帯では問題なし)など、5GHzが正直使えないルーター。今回はこんな経緯からこのルーターを試してみたいと思います。私的にイメージの良いブロードコム社製チップを搭載するこのルーター、初期設定方法などは割愛、使用感や性能についてのレビューです。WEBには「Amazon限定」とあり型番表記はありませんが、届いた箱にはしっかり「Archer C1200」の文字が。以前から販売展開中の「Archer C1200」だと思ったのですが、箱の裏面には「型番:Archer C1200(JP) :Ver:2.0」とのステッカー表記あり。ニューバージョンという事なのでしょうか？保証期間は3年間。国産電化製品は1年間が主流なので太っ腹です。それだけ自信ありということでしょうか。当方はNTTのゲートウェイPR-500KIをルーターとして使用、配下にこの商品をブリッジ(AP:アクセスポイント)モードにて運用。本体背面には物理スイッチが2個。この手の商品には珍しいパワーON/OFFボタンと、ペアリングの際に使用するWPS・Wi-FiスイッチのON/OFFボタンが実装されます。ルーター/AP等の切り替えの物理スイッチはなく、ブラウザを介する設定画面上での切り替えとなります。設定項目は日本語表記で問題なく、且つ非常に使いやすいUIです。国産ルーターの設定画面に慣れていればやや面を食らいますが、これはこれで良いと思います。設定項目も一通り揃っていると思います。但し、ルーターモードではルーティング設定の項目がある程度揃っていますが、ブリッジモードでは設定項目がやや少ないです。普通に使う分にはデフォルト設定で良いとは思いますが、中上級者には少ない設定項目は心もとない印象です。今後のファームウェア更新で対応できるかどうか様子を見ていきたいな、と思って調べていると、Archer C1200自体が当初はルーターモードのみで発売開始、アクセスポイントモードはつい最近のファームウェアアップデートで対応したところだと分かり納得。今後設定項目のアップデートは大いにあると思いますね。Wi-Fi同時接続台数については、他のレビューサイトで「Archer C1200のWi-Fi接続台数は5台まで」なんて間違った情報が載っているところがありますが、そんな訳ないですよね(笑) Amazonの商品説明欄にも記載がありますが「1人当たり3台×5人」で対応台数の目安は15台との事。普通に使っていれば問題ないはずです。本体前面のLED表示は「電源ON」「5GHz」「2.4GHz」「インターネット」「有線LANポート使用(×4)」「USB2.0ポート使用」「WPS作動表示」となりますが、それぞれ点灯･消灯表示のみとシンプルで、データ通信状態にあってもLEDは点滅しません。この辺りは慣れるまでにやや気になる方もいるかも知れません。マニュアルについては同梱の取扱説明書が紙切れ一枚の「かんたん設定ガイド」だけでは、初心者ユーザーはどうしていいか分からない方も出て来ると思います。接続方法は何とか分かっても、ルーター機能の設定項目は取扱説明書がないと難しいでしょう。実は英語版の取扱説明書はtp-linkサイトからダウンロード出来るのですが、日本法人も構えて本格的に販売しているのであれば、せめて日本語版取扱説明書は作成、ダウンロードURLをアナウンスするなどの対応は早急に必要だと思います。当方は速度計測サイトでの実効スループット計測はしません(多くの速度計測サイトはIPv4のみの対応で且つプロバイダーの質に左右され、IPv6サービスを導入済みの当環境ではではあまり当てにならない為)。なので主にIPv6接続でのYouTubeの動画の統計情報で速度を確認するのですが、WG1200HSでは実効スループット20～50Mbpsに対して、Archer C1200では100Mbpsを超える事も多いです。これは素直に速いと言えると思います。この事から、Wi-Fiでの4K動画のストリーミング再生でも、IPv6で接続出来ていれば何のストレスもなくなめらかに再生が可能です。4Kテレビ×1台・スマホ×3台・ノートPCを同時に使用しても、Wi-Fi帯域幅がボトルネックになっている感覚は極めて最小限だと感じ、ブラウジングや動画視聴はストレスなく非常に快適です。パケット詰まりやリセットのための再起動から解放され、DLNA接続を行ってのスマホでのテレビ視聴も問題なく出来るようになりストレス解消。気になったスマホでの5GHz帯接続でも何の問題もなくサクサクとブラウジングができ、今まではWG1200HSの配下に中継器としてWR9500Nを使用していましたが、中継器を介して届いていた部屋まで普通に2.4GHz帯の電波が届き、電波強度も非常に強い印象です。また国産廉価版ルーターによくある「有線LANポートが100BASE-T(スループット上限が100Mbps)」ではなく1000BASE-T実装となっており、廉価版ルーターであってもギガビット有線LANにしっかりと対応しています。ちなみにWG1200HS使用時には、ルーターで設定したはずのIPv6のPPPoE接続が時折勝手に切断される現象があり、いちいちルーターの設定画面から再接続していたのですが、Archer C1200に交換してからはそんな現象も皆無。WG1200HSがどこまで使い物にならなかったのかが伺い知れます。長時間運用の安定性も現時点では問題ありません。しかしながらこれについては、上述のように国産ルーターでも使っていると徐々に不具合が発生する事が多いため、一定期間の使用後に再度検証したいと思います。また、Archer C1200のレビューでは「使い物にならない」といったレビューも散見されるため、不具合はハード的なものなのかファームウェアの更新で対応できるものなのかなど、運用上で検証できることがあれば行ってみたいと思います。ただレビューに見られた再起動･Wi-Fi停止問題は、GoogleのOS、Android 7･8がスリープから復帰する際にルーター側へ送る大量のパケットが原因である可能性が高いそうで、ファームウェアV2_171208で対策されたようです(Googleも対応中)。ちなみに届いたAC1200のファームは最新のV2_180224でした。日本ではまだまだ知名度が低いメーカーですが、実力は国産メーカーとほぼ同じ、安定性・性能については現時点では信頼しても良いのかなと思います。国産ルーターの再起動障害などで悩んでいる方は、tp-linkのルーターを試してみても良いのではないか、とお勧めしてみます。