第三号のテーマは「医療」です。今回の目玉である座談会は、岩田健太郎・八杉基史・西條剛央の三氏による「医療現場の諸問題を問い直す-構造構成主義は医療教育現場でどのように使えるか-」というものです。また、医療をテーマとした論文、あるいは医療について言及している論文が多く掲載されていました。
座談会のなかで心に残ったのは、岩田さんが自分自身の失敗例として、「診察のときになるべく患者さんの話をじっくり聞いて上げるようにしていたら、そのせいで受診待ちの時間が長くなってしまい、そのことについての苦情がたくさん寄せられてしまった」ということを話していたことです。(その「苦情の声」が書かれた紙は看護婦さんたちの部屋の壁に貼られていたので岩田さんご自身はしばらく気づかなかったそうで、「看護婦さんはこれを見ながらお昼ご飯をたべていたのか・・」と、ほんとうに申し訳ない気持ちになったそうです)。
自己という構造を“修正する柔軟さ”を持っていたなら、目的意識を失わずに自分自身を高めていくことができるわけで、まさに「構造構成的な態度」だなと思いました。
また「原理的な考えをいつ教えるべきか」といった点で、西條さんと岩田さんの考えは違っているのですが、対話を重ねるにつれて、お互いに考えが変わっていき、ひとつの考えに収束していく様子は、予定調和的ではない、鼎談だからこその良さが出ていて読み応えがありました。
また、岩田さんが西條さんに、構造構成主義は現実に我々を困らせる嫉妬や見栄といった感情の問題をメタ理論(構造構成主義)でどう扱えるのか、と疑問を呈したり、八杉さんが信念対立はどういう場合に起こりやすいのか、と質問することで、構造構成主義の活用法が浮き彫りになっていくのも鼎談ならではの良さが出ていたように思います。
研究論文は、医療、デューイ教育学と現象学、妖怪論、教育指導案作成法、ブルデュー論といったように多岐に渡るものでしたが、これまでの中でもかなり高い水準のものが多かったように思います。
雑誌の刊行は、「三号目以降が正念場」だときいたことがあります。(これは小説家でもおなじで、「一作目は経験で書ける、二作目は想像で書ける。大事なのは、経験も想像も出し尽くしたあとで、いったい何が書けるかだ」というコトバもあるほどです)。今回、医療という“われわれの生存の問題”を中心テーマとしたことで、「構造構成主義研究という雑誌、また構造構成主義そのものの展開も、これからますますしっかりとした軸をもってうごきだすのではないかな」という予感がしています。
第四号は「環境問題」がテーマになる予定とのことなので、そちらのほうにもすごく関心があります。毎年一号の刊行ですが、こんなに“歳をとるのがたのしみな雑誌”はなかなかないです。
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なぜいま医療でメタ理論なのか 単行本 – 2009/4/1
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なぜいま医療でメタ理論なのか
- 本の長さ243ページ
- 言語日本語
- 出版社北大路書房
- 発売日2009/4/1
- ISBN-104762826693
- ISBN-13978-4762826696
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「構造構成主義」関連書
諸領域をつなぐメタ理論の体系化をめざす
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構造構成主義とは何か | 構造構成的発達研究法の理論と実践 | 科学の剣 哲学の魔法 | 細胞の文化、ヒトの社会 | 感染症は実在しない | |
カスタマーレビュー |
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内容 | 人間科学に仕掛けられた「呪」を解くため,相応の理論的基盤整備が求められている。自らの学範の相対性を認識し,異なる領域と建設的なコラボレーションを行うことを可能とする認識装置(メタ理論,共通原理,総合ルール)の備である。本書で明らかにする「構造構成主義」こそが,そのために体系化された認識論である。 | 「構造構成主義」を認識論とした「構造構成的発達研究法」を理論的,実践的に展開する。特に「縦断研究法」に焦点化して編まれた。構造構成主義を原理とし,発達研究法に関する認識論から研究法・解析法までを体系的に提示し,今後の研究実践に役立つ新たな発達研究モデルを示そうと試みたものである。 | 池田は,ネオダーウィニズム乗り越えのため,構造主義生物学探求の中で「構造主義科学論」を生み出していった。15年間無視され続けられたその発想を継承し,西條は「構造構成主義」をうち立てていく。世代の架橋となる2人の対話を収録。メタ理論をどう発想しどうつくりあげてるのか。軽妙な語りの中にエッセンスが詰まる。 | 生物学・言語哲学から科学論・社会批評まで,幅広い事象への鋭角な論究。そこに通底するコミュニケーション・システムの共時性と拘束性の認識。例えば「DNA至上主義」に傾く進化論に対し,反応系を含めた細胞内の「文化・伝統」の重要性を説くなど,システム/要素のダイナミズムをミクロからマクロに渡り解明。 | インフルエンザは実在しない。生活習慣病も,がんも実在しない……。そもそも「病気」とは何か? それが「実在しない」と考えることで,どのような新たな地平が開けるのか? 構造構成主義の立場から,感染症臨床の第一人者があらゆる「病気」の診断・治療の実態を明らかにしながら,「病気」という現象を読み解く。 |
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現代思想のレボリューション(構造構成主義研究 1) | 信念対立の克服をどう考えるか(構造構成主義研究 2) | なぜいま医療でメタ理論なのか(構造構成主義研究 3) | 持続可能な社会をどう構想するか(構造構成主義研究 4) | よい教育とは何か(構造構成主義研究 5) | 思想がひらく未来へのロードマップ (構造構成主義研究 6) | |
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内容 | 様々な学問分野の知見を関連させ新たなアイディアを生み出すために,諸領域をつなぐメタ理論の体系化を目指す構造構成主義。批判をも受容する透明で迅速な査読システムと一般読者への公開性とを併せもつ新しい学術媒体の誕生。哲学,思想,科学論,方法論,研究法等々の次世代を担う新たな枠組みの創造を目的として創刊。 | 第2号のテーマは「信念対立の克服」。養老孟司氏,竹田青嗣氏を招き,“わかりあうための思想”のあり方を模索。また,さまざまな領域における構造構成主義の展開を示す公募論文を掲載,文学,教育学,哲学上の主客問題,精神医療,障害論などでの信念対立の克服を試みる。 | 構造構成主義に対する関心が最も高く,その継承発展が進んでいる医療領域が第3号のテーマ。難問山積の医療現場でメタ理論はどう使えるのか,気鋭の感染症学者で医師の岩田健太郎氏,精神医療の第一線で活躍する作業療法士の八杉基史氏を招いてその可能性を語り合う。構造構成主義の深化を示す論考多数。 | 人類の幸福を担保しつつ持続していける社会の条件とは? 環境問題やエネルギー資源問題,人口問題,紛争・テロリズムの問題,資本主義の問題などを切り口に,竹田青嗣,池田清彦,西條剛央の三氏がそれぞれの立場から持続可能な社会の構想を語る。教育や医療領域を中心に構造構成主義のさらなる深化を示す論考も多数収録。 | 第5号のテーマは教育。教育をめぐるさまざまな問題を解決し,「よい教育」を実現していくために,いま,何をどのように考えればよいのか。気鋭の教育哲学者,教育心理学者を迎え,「よい教育」を構想するための原理的方法について語り合う。また,構造構成主義を活用した社会学や哲学,心理学などの論考を多数収録。 | 2011年3月11日に起こった東日本大震災。その3.11以後に噴出したさまざまな問題群を哲学と科学との連携で考える第Ⅰ部の特集は,編集委員3名の鼎談という形で,これまでの構造構成主義の広がりと今後の思想の方向性をも示す。また第Ⅱ部では,構造構成主義のさらなる展開と深化を示す8本の論文を掲載。 |
登録情報
- 出版社 : 北大路書房 (2009/4/1)
- 発売日 : 2009/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 243ページ
- ISBN-10 : 4762826693
- ISBN-13 : 978-4762826696
- Amazon 売れ筋ランキング: - 959,985位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 34,981位医学・薬学・看護学・歯科学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1976年大阪府生まれ。Ph.D.、作業療法士。専門は信念対立解明アプローチ、作業療法、研究方法論。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士課程修了。吉備国際大学保健医療福祉学部作業療法学科および吉備国際大学大学院保健科学研究科・教授。著書の他に論文多数。