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人間の絆 下巻 (新潮文庫) 文庫 – 2007/4/24

4.0 5つ星のうち4.0 25個の評価

人生の終りが近づいた時には、意匠の完成を喜ぶ気持、それがあるだけであろう。
いわば一つの芸術品だ――。
20世紀初頭の欧州で、ある魂が得た究極の自由の表現。文豪の自伝的小説。


医学を志すフィリップの前に現れた美しくも傲慢な女ミルドレッド。冷たい仕打ちにあいながらも、彼の魂はいつか彼女の虜となっていく。ミルドレッドは別な男に気を移し、彼のもとを去って行くが、男に捨てられて戻ってきた彼女を、フィリップは拒絶することができない。折からの戦争に、株の投機で全財産を失い、食べるものにも事欠くことに……。
モーム文学を代表する大長編小説。

本文より
だが、朝の三時頃、フィリップは、眼を覚して、そのまま寝つかれなかった。ミルドレッドのことを、考えはじめたのだ。考えまいと思うのだが、どうにもならなかった。頭がフラフラになるまで、同じことを、何度も何度も、考えているのだ。結婚するのは、やむをえないだろう。若い娘が、自分で儲けて、食べてゆかなければならないというには、人生は、たしかに冷たい。もしちゃんとした家庭を与えてくれるような男が、見つかったとすれば、結婚に同意したからといって、決して責めることはできない。……(64章)

サマセット・モーム Maugham, William Somerset(1874-1965)
イギリスの小説家・劇作家。フランスのパリに生れるが、幼くして両親を亡くし、南イングランドの叔父のもとで育つ。ドイツのハイデルベルク大学、ロンドンの聖トマス病院付属医学校で学ぶ。医療助手の経験を描いた小説『ランベスのライザ』(1897)が注目され、作家生活に入る。1919年に発表した『月と六ペンス』は空前のベストセラーとなった代表作である。

中野好夫(1903-1985)
愛媛県松山市生れ。英文学者・評論家・翻訳家。東大英文科卒。シェイクスピアやモーム、スウィフト等の名訳で知られる。


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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2007/4/24)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/4/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 680ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4102130268
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4102130261
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 25個の評価

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サマセット・モーム
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上位レビュー、対象国: 日本

2017年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ぶ厚い本だなあ~、しかも2巻もあるしなあ~、なんて読みしぶっていたけど、
いったん物語に没入してしまうと、面白くてあっという間でした。
人間として生きることの苦悩や喜びを強烈に感じとることができます。

さまざまな登場人物たちがイキイキと鮮明に描かれていて見事です。
この物語の読者なら、それぞれに思い入れのある登場人物がいると思うけど、
私の場合、いつまでも心に残ったのは、ファニー・プライス。
ヘンテコでちぐはぐで誰からも嫌われている女性の貧乏画学生です。
絵の才能にもまったく恵まれていないのですが、本人は甲斐の無い努力を重ねます。
ひとりぼっちの彼女が主人公のフィリップに惹かれながら、
苦しみから救済されることなく自死してしまう、あの真っ黒な絶望感。
「どう生きればよかったの?」そんな叫びがページから聴こえてきそうです。
話の筋にはそれほど関係のない脇役なのだけど、鮮やかな個性が強い印象を残します。
ファニーを思うと、読んだ後も胸が苦しい。

この上下巻の完読で、ほかにもたくさんの個性豊かな人間たちと出逢いました。
多彩な人間模様がフィリップを中心にして、1つの物語を織り上げていきます。
読後、胸に訪れた充実感と快い疲労感に、しばらく浸りたいと思います。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
モームらしさが出ている作品ではあるがどうも現実感がない。いまいち。
2021年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
モームの正直な人生の描写は、勉強になった。他の作者たち同様、自らの感情についての記憶力とその描写の細かさが凄い。それにしても自己中心極まる男である。作者本人がそれに気づいていないことも悲劇だが。育ててくれた伯父夫婦に対して感謝が一切無くー自分が尊敬され理性あるまともな人になれたのも、この二人のおかげなのだがー、女たちを利用しても悪びれもない。ミルドレッドのことも、愛してあげたわけじゃない。彼女はそれを知っていた。最後に結ばれた若い女も後で捨てられそう、モームの他の短編小説を読むと。この作品の主人公のタイプに顕著だが、とにかく自分の立場、自分の利益、自分の状態にしか関心がない。主人公が他人を軽蔑するのも、自己執着しているからこそである。(ところで絵描きの女友人は、「のだめカンタービレ」を思わせる喜悲劇だった) この作品で一番哀れな人物は、主人公の母親だ。息子が、敬虔はおろか誰にも感謝できない人物になってしまったのだから。作家モームのそういう傲慢な態度は、彼の他の作品にある、人間への冷ややかさにも出ている。「人間の絆」は、苦労はしただろうけど、作者自身も気づいていない「自己中心」の記録だ。
2017年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
苦しみもがきながらも人生の意味を探求していく主人公。
多くの人と交わりの中で、悩んだり、喜んだり、絶望したり、嫉妬に苦しんだり、恋い焦がれたり、悲しんだり、楽しんだり、深く考えたり、無数の経験を積んでいく。その経験を一つずつ経ていく中で、主人公はこの世の意味、生きる意味を自分なりに見出していきます。

人生は無意味。ある時主人公は悟ります。
そして、自らの存在の無意味さを自覚することにより、主人公は自由を感じます。

ペルシャ絨毯の織匠が精巧な模様を織り出して行く目的が美を探求することにあるように、人間もそれぞれの人生に美を求め織り出せばいいという人生観が如実に表れています。
さらにモームは幸福論についても語ります。人生の幸不幸は絨毯の模様を複雑にするものであり、それだけを尺度に人生を計れば、ただ模様が複雑になるだけなのです。

人が生れ、働き、結婚し、子供を持ち、そして死んで行くという単純な模様も完璧な図柄たり得るのです。

現在、26歳の私は、この本の主人公と同様に働きながらも、人生の意味を求め彷徨っていました。そんな時期にこの本に出会えて、心の底から良かったと思っています。まさに運命的な出会いだと感じました。

人生の意味を求める全ての方に、この書をお勧めしたいです。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
短編集「月と6ペンス」よかったので長編のこれを楽しみに読んだのですが。
だめでした。ダラダラグダグダ。
上巻まではなんとかよかったけどね。
時間の無駄かな^^
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年9月26日に日本でレビュー済み
サマセット・モームが41歳の時、出版された自伝的小説『人間の絆』(サマセット・モーム著、中野好夫訳、新潮文庫、上・下)を読んで、分かったことが3つある。

第1は、モームがこの作品を書いた理由。

モーム自身が、彼の中にあったある種の精神的しこりみたいなものを浄化するための一つの記念碑だったと語っている。

第2は、モームが吃音というコンプレックスを初め、多くの悩みを抱えていたこと。これらの苦悩を通じて、人生に対する考察を深め得たこと。なお、吃音は、主人公のフィリップ・ケアリの場合は先天性内反足に置き換えられている。

(尊敬する年長の友で、急死した)クロンショーのことを考えながら、フィリップは、ふと彼がくれたペルシャじゅうたんのことを思い出した。人生の意味とはなにか、ときいたフィリップの質問に対して、彼は、これが答えだと言った。・・・答えは、あまりにも明白だった。人生に意味などあるものか。空間を驀進している一つの太陽の衛星としてのこの地球上に、それもこの遊星の歴史の一部分である一定条件の結果として、たまたま生物なるものが生まれ出た。したがって、そうしてはじまった生命は、いつまた別の条件の下で、終りを告げてしまうかもわからない。人間もまた、その意義において、他のいっさいの生物と少しも変りない以上、それは、創造の頂点として生まれたものなどというのでは、もちろんなく、ただ単に環境に対する一つの物理的反応として、生じたものにすぎない」。

「人は、生まれ、苦しみ、そして死ぬ、と。人生の意味など、そんなものは、なにもない。そして人間の一生もまた、なんの役にも立たないのだ。彼が、生まれて来ようと、来なかろうと、生きていようと、死んでしまおうと、そんなことは、いっさいなんの影響もない。生も無意味、死もまた無意味なのだ」。

「彼は、未来にばかり生きていて、かんじんの現在は、いつも、いつも、指のあいだから、こぼれ落ちていたのだった。彼の理想とは、なんだ? 彼は、無数の無意味な人生の事実から、できるだけ複雑な、できるだけ美しい意匠を、織りあげようという彼の願いを、反省してみた。だが、考えてみると、世にも単純な模様、つまり人が、生まれ、働き、結婚し、子供を持ち、そして死んで行くというのも、また同様に、もっとも完璧な図柄なのではあるまいか? 幸福に身をゆだねるということは、たしかにある意味で、敗北の承認かもしれぬ。だが、それは、多くの勝利よりも、はるかによい敗北なのだ」。

第3は、モームが女性関係で大変苦労したこと。作品で描かれた主人公の恋愛の一つひとつがモームの実体験そのものかは分からないが、執筆理由から考えて、同じような恋をしたことは間違いないだろう。

医学生のフィリップは、カフェの給仕女、ミルドレッド・ロジャーズという性悪女に翻弄され続けます。一方、ノラ・ネズビットという年上の大衆小説家の女は、美人ではないが、頭も人間性も良く、フィリップを心から愛しているのに、フィリップはノラを捨ててしまいます。やがて、フィリップは、彼が担当した患者と親しくなり、その長女、サリー・アセルニーに惹かれていきます。  

30歳になろうとする医師のフィリップが19歳のサリーに結婚を申し込み、サリーが快く受け容れたところで、物語は終わっている。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
此の所「絆」は人と人を結びつける尊いものとして使われることが多いので、本書を読んでいてこの標題には違和感を感じていましたが、翻訳者である中野さんの巻末の解説を読んで納得しました。
幼くして両親と死別した主人公は、家族、宗教、金銭、身体障害等自分を縛っている様々な束縛にもがき苦しみながら、友情、恋愛、芸術などを糧にして人間の真理を追い求めていきます。
聡明な主人公が、知的でもそれ程官能的でもない悪女に何度も騙されて酷い目に遭うのは理解出来ないところですが、いつでも自分の人生に真摯に向き合い、多くの失敗や屈辱を乗り越えて、善も悪も超然とした境地に辿り着いていくプロセスには感動を覚えました。同じ様に思い悩んだ自分の10代、20代の頃を懐かしく思い出しました。
主人公が、倫理的でとても優しい性格でありながら、時に情欲の虜になったり、状況次第では冷酷で非人間的になっていくなどの変容を描くことにより、人間が普遍的に持つ原罪や自己矛盾を深く考えさせてくれました。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年11月11日に日本でレビュー済み
(以下は、中野好夫訳のレビューです)
幼少期に両親を亡くして愛情の乏しい伯父の家で育てられた主人公フィリップが抱えていた問題というのは、不幸な生い立ち故に抽象的な幸福ばかりを追求してしまう態度と、根強い対人不信の2つであろうか。結果としていくつもの挫折を繰り返してしまいながらも最終的にはハッピーエンドに終わるのだが、なぜ最後に幸福に辿り着けたのかというと、それはフィリップがかの有名な「ペルシャ絨毯の哲学」に気付けたからではなく、「幸運にも」真の愛情を手にすることが出来たからだ、と私は思う。訳者の中野好夫はあとがきで「ペルシャ絨毯の哲学」の重要性を説いているが、これはモーム自身による”Summing up"の記述に引っ張られ過ぎているのではないだろうか。確かにスピノーザに強く影響された「ペルシャ絨毯の哲学」はモームにとって重要な思想ではある。しかし、『人間の絆』において最も大切なものは、「ペルシャ絨毯の哲学」ではなく、愛の持つ力である。愛の宗教であるキリスト教を若くして棄てたはずのフィリップが、死に臨んだキリストの言葉を物語終盤で思い出すところからも、それは読み取れる(下巻、p657)。

スピノーザの『エティカ』から採られたタイトル"Of human bondage"をどう訳すかについては、古くから『人間の絆』で一貫していたが、最近ではbondageを「束縛」のように捉えた『人間のしがらみ』という訳も出ているようだ。ただ、そのどちらも「人間の」が何を意味しているのか不明瞭で、数多くの人間同士の間に張り巡らされた絆なのか、それとも断ち切り難い人間同士のしがらみなのか、よく意味がわかりにくい。「その情念を支配し、制御しえない無力な状態」に陥った人々を、スピノーザは「縛られた(bondage)状態」と呼んだ。これは人間関係のしがらみ・束縛という意味ではなく、当然の事ながら「運命に縛られている」という意味である。本作品の内容と『エティカ』におけるスピノーザの記述に鑑みると、意訳になるが、タイトルの本来の意味は「運命の支配」がもっとも近いのではないだろうか。「運命に支配されたちっぽけな人間は数多くの不幸や苦しみから逃れられないけれど、最後には愛の持つ力によって幸福に至る事が出来るのだ」というある種のオプティミズムが本書には表現されており、このモームのオプティミズムを、私はとても好ましく思う。
 
尚、新潮文庫の『人間の絆』は最近、金原瑞人による新訳が出た。全てを読んだ訳ではないが、書店で手に取って見た限りだと、これから中野好夫訳を読む理由など何もなく、素直に金原訳を読む事をお勧めしたい。中野訳でも読めないなんてことはないのだが、流石に言い回しが古めかしかったり、現代人には難解な漢語がしばしば使われたりするうえに、読点が非常に多くて読みづらくもあるので、あまりお勧めはしない。下巻の「あとがき」はこれまでの『人間の絆』評の典型のようなものとしては非常によくまとまってはいるものの、上述のように"Summing up"に引っ張られ過ぎている感が否めず、敢えてこの「あとがき」目当てに中野訳を手に取ることもないと思う。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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