『これが本当のアンツィオ戦です！』を見たばかりの諸氏が誤解しないように、まず最初にはっきりと書いておく。
本書にはイタリア戦車が登場しない！
（CV33が一点掲載されていたが、これはOVA発売へのサービスみたいなものだろう）。
じつは私もあのかわいい豆タンクが見たくて買った一人だが、
調べてみたらWoTにはイタリア戦車が登場しないそうで、楽しみにしていた戦車図鑑にも載っていなかった。
しかしそれを知って初めて、カバー裏表紙の絵柄が理解できた。
amazonでは表表紙しか掲載されていないので、裏表紙の絵を言葉で説明してみる。
森の木陰に、各校の隊長たち（みほ以外）が集まって話している。
それぞれに戦車の画像入りの吹き出しがついていて、
まほがパンター、ダージリンがセンチュリオン、カチューシャがKV-2、ケイがM4について語っている（と思われる）。カチューシャのそばにはもちろんノンナ。
ケイの傍らで、いま旬のドゥーチェが両こぶしを振り上げ、何か怒っているらしい。
つまり、「イタリア戦車がない～！」と言っているらしいのだ。
「ない」ことを逆手にとっているわけで、これはこれで面白い。
肝心の本の内容は、WoTを知らない私でも十二分に楽しめるものだった。
戦車に詳しい人が見ると、おそらく物足りないのだろうが、正直なところ、書店で戦車本を見てそのあまりのマニアックさに引いてしまうような人には、ちょうどいいのではないかと思う。
一番ためになったのは、戦車の歴史と、休み時間ノート。西住小次郎や島田豊作のことも書いてあって、いま戦争についていろいろと学んでいる自分としては、楽しく読めた。
後半の戦車図鑑もなかなかよかった。WoTの画像で展開してあるのだが、黒バックに戦車が浮かび上がっていて迫力がある。ここにイタリア戦車があったら…と思うと、なおさら残念でならない。
しかし、イタリア戦車は正直弱い戦車ばかりで、ゲームに出ても戦力となるかどうか疑問なわけで、なくてあたりまえなのかもしれないが。
本音というと、WoTをしない人にとっては、第四章とゲームのスペシャルコードが不要である。
しかしそれをさっぴいても、まあまあのものが買えたと思う。
欲を言えば、もう少し詳しければよかったかなと思うが、その感想も、本書を読んだからこそ抱くことができた意見かもしれない。つまり、戦車について知りたいが、まずは読みやすくてわかりやすいものを探している人にとっては最適なのではと思うのである。ここから先は、足を踏み入れるのもためらわれる、おそらく超マニアック世界となるのだろう。
全体的に見れば、イタリア戦車が載ってないことで★４つといったところだが、
旬のドゥーチェが裏表紙とクリアファイルにあることから大甘おまけして、★５つとしておく。
予定されている劇場版にも、おそらくドゥーチェは登場しないだろうから、記念すべき一冊となるだろう。
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