ほぼ全くニーチェについての知識もないままに読んだ者からして、とてもわかりやすく説明されており、読み応え十分でした。
さすが入門「最強」と自称するだけはあります。
加えて、これだけ時代を経た極東の島国ででも未だに語り継がれるニーチェという人物の哲学だけあって、読む前と後とで、小生の考え方に影響したことは少なくありません。
哲学やニーチェに触れたことのない人でも十分理解できしかも内容充実なので、心からお勧めします。
個人的に特に印象的だった箇所を少し紹介。
1 目指すべきは「超人」
生きていれば、瞬間的には「これこそが生きる意味だ」「絶対的なものだ」と思えるものに出会うことがある。
思想でも、仕事でも、恋愛でも、宗教でも。
しかし、いずれもいつしかその幻想は壊れる、という意味で言われるのがかの有名な「神は死んだ」。
ここで「今更やめるのも勿体無い」と考え、トラブルを避け一元論的虚無的に続ける人を「末人」とした。
また、現実世界の裏側にピッタリとくっつく価値観世界を「背後世界」としたが、これは本来存在しないはずのものである。
例えば良い鶏の条件として「たくさん卵を産む」「動かないくらいに太る」「鳴かない」があったとして、従えば「正しい」と言われ褒められ、外れようとすれば「悪だ」と言われ罰を受ける。
人間の社会もさして変わらず、「勉強する」「結婚する」「就職する」などが良い条件とされ、外れようとすれば白い目で見られる。
ただし、だからと言って「じゃあ勉強しない」「働かない」「犯罪も許されるべき」と安易に逆張りするのはいかんせん幼稚だし、ニーチェもそんなことは言っていない。
目指すべきは、こうした「いずれ壊れる神にすがる」のでなければ「背後世界に惑わされる」のでもない、自分で幸福や意志を見つけ出す「超人」になることが必要なのだと論じた。
2 道徳の正体
キリスト教の原点はユダヤ人の迫害にある。
ユダヤ人は歴史的に、かなりの間迫害や奴隷身分を強いられてきた。
ここで、かつてのユダヤ教の旧約聖書を見るに、神は「復讐」の色が強く、いつか自分たちを苦しめる存在を一掃する神が現れると信じていた。
しかし待てど暮らせど神は現れなかったので、次第に「精神的な復讐」、つまり受苦の色を強める。
大体の考え方は、「私達を苦しめる存在はなんて醜くて愚かなのでしょう。きっと天国には行けません。それに引き換え我々は誰を傷つけることもなく慎ましやかに耐え忍んでいる。きっと天国に導かれるでしょう」
キリストの誕生により、それまで優れていたものこそ善であった強者=悪、頼りなかった悪い弱者=善という図式が成り立ってしまった。
今の世の中でも、「金持ちで権力が強く、優秀で顔立ちも整っている」人と普通の人とでは、前者はイヤミな感想があり、後者は比較的良い人というのもわかるかと思うが、これこそ道徳の妙である。
道徳とは結局キリスト教による価値観の転覆により発生したものであり、弱者の妬みから生まれたのである。
「宗教色がない」と言われる日本においても、ここまで道徳、キリスト教的な思想が浸透していたのかと思うと驚きです。
3 永劫回帰
例えば四方を囲った台の上で玉を突き、その玉が永遠に止まらないとしたら、いずれは以前と全く同じ軌道を転がり、それが繰り返される。
これは、宇宙のビッグバンも同じ。
宇宙が生まれた瞬間に玉の動きは決まっており、また、拡大を続ける宇宙もいずれは縮小し無に帰すが、再び爆発を起こして同じことを繰り返すとされている。(ビッグクランチ理論)
よって、我々が今どのように生き、何をしていようとも、果てしない過去にもうすでに何度も同じことをし、また果てしない未来でも何度も同じことを繰り返し続ける。
全力で生きようが、怠惰だろうが、死んで逃げようが、毎回同じ。
正直この理論は突拍子もなさすぎるし、人間の構造も原子的な物体に他ならないが量子力学とかいうものからすると予測不能な動きをする物質もあるらしいので、本気にすることはないらしい。
大事なのは、死んでも逃げることにはならないかもしれないのだし、ずっと繰り返されるのだからせめて楽しく生きたほうが幸せでは?と考えられればそれで良い。
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飲茶の「最強! 」のニーチェ 単行本 – 2017/11/30
飲茶
(著)
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クスッと笑えて明日役立つ哲学がこの一冊に。
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- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社水王舎
- 発売日2017/11/30
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104864700915
- ISBN-13978-4864700917
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登録情報
- 出版社 : 水王舎 (2017/11/30)
- 発売日 : 2017/11/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4864700915
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- Amazon 売れ筋ランキング: - 233,232位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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東北大学大学院修了。会社経営者。哲学や科学などハードルの高いジャンルの知識を、楽しくわかりやすく解説したブログを立ち上げ人気となる。著書に『史上最強の哲学入門』『14歳からの哲学入門』などがある。
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上位レビュー、対象国: 日本
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2023年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年7月4日に日本でレビュー済み
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全編が2名の登場人物による対話形式となっており、
主人公と一緒にニーチェの世界へ入門するという流れになっている。
何となくではあるが、ニーチェの考えの概要がつかめる。
要約本はエッセンスが薄くなりがちだが、この本に限っては、それはない。
いくつもニーチェに関する本を読んでも、「大いなる正午」の感覚は得られなかったが、
今回初めてそれが得られたので、☆5とした。
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今回初めてそれが得られたので、☆5とした。
2021年5月8日に日本でレビュー済み
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今までニーチェの理解に苦労していたが、要点がまとまっていてニーチェの主張の大枠をつかむのには良い入門書。もう少し深い部分に踏み込んだ記載も一部あればより良かった。
2020年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ニーチェによれば、人は社会から与えられた価値観の中で生きていて、その価値観と現実とのギャップに苦しんでいるのだという。
例えば養鶏場のニワトリには、次の価値観が与えられているとする。
1.たくさんタマゴを産むのが良い
2.動けないくらい太るのが良い
3.鳴かずに静かに生きるのが良い
いずれも養鶏場にとって良いとする価値基準であるが、果たしてニワトリ本来の自然な欲求だろうか。
またニワトリ自身が、「タマゴを産めない自分」や「太れない自分」に悩むことは適切だろうか。
私たちも、社会からおよそ次の価値観が与えられている。
1.正社員で働くのが良い
2.結婚するのが良い
3.子どもを持つのが良い
いずれも社会にとって良いとする価値基準であるが、果たして私たち本来の自然な欲求だろうか。
また私たち自身が、「結婚できない自分」や「子どもを持てない自分」に悩むことは適切だろうか。
ニーチェは「どこかの誰かが考えた架空の価値観に苦しむ必要などない」と喝破する。
続けて「生物本来の自然な欲求(より強く成長したいという思い)を芸術に昇華させよ」と主張する。
しかし実際問題として、架空の価値観であってもそれが現実に作用している以上、無視して生きることは難しいように思える。
また仮に「結婚せず子どもを持たず、一生独身で気ままに生きるのが良い」という価値観を選択しても、それは単にマイナーな架空の価値観を選んだにすぎないのではないか。
そんな風に考えると、どのようにしても架空の価値観から逃れられない。
だから架空の価値観(目標)は幻想であると意識しつつ、実現のために努力する。
努力が実らず実現できなかったとしても、そもそも幻想なのだから苦しむ必要もない。
これが架空の価値観との上手な付き合い方ではなかろうか。
そんなことを考えさせられる一冊だった。
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またニワトリ自身が、「タマゴを産めない自分」や「太れない自分」に悩むことは適切だろうか。
私たちも、社会からおよそ次の価値観が与えられている。
1.正社員で働くのが良い
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ニーチェは「どこかの誰かが考えた架空の価値観に苦しむ必要などない」と喝破する。
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2021年12月9日に日本でレビュー済み
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ニーチェの名前くらいしか知っていなかったのです。
読書は苦手だったのですが、聴きながら分かりやすく解説していたので理解することが出来ました。
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2022年2月28日に日本でレビュー済み
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アポロン的、デュオニソス的の説明がある訳でもなく、ショーペンハウアーやヘーゲルが出てくる訳もなく、本当に触りを分かりやすく説明してる
2021年8月9日に日本でレビュー済み
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めちゃくちゃ面白いすぎる!
昔、むずかしいニーチェ本読んで挫折しましたが、本書のおかげで感動を伴う本当の学びがあった。
禅、マインドフルネスやアドラーとも地下水脈ではつながっているとかんじました。
著者の飲茶さん、大好きになりました!
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2021年4月13日に日本でレビュー済み
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難しいと思いますが、要所は抑えています。