独特の美術とキャラクターデザインがトラウマになるほどであった”ファンタスティックプラネット”のルネ・ラルー監督の後続作品であったが、全体的な印象は、総集編的なかいつまんだ内容に思われ、期待を上回るものではなかった。しかし、キャラクターデザインの好き嫌いを抜きにした美術背景からは、抜きんでたイマジネーションが感じられ、作品の特異な世界観を見事に作り上げていた。
タイトルのイメージから壮大な次元を超えたスペースオペラが繰り広げられると思ってしまったが、極めてパーソナルな落としどころがクライマックスに待っており、作品内で繰り広げられる諍いや人間の恥部を描いた内容から、かけ離れた静謐な余韻が意外であった。
日本を含めた世界のアニメーション史を語る上では外せない一流スタッフの結晶ともいえる作品だが、柔軟な発想が活きている若い人にこそ見てもらいたいものだ。