同じく学芸員(こちらは男性)が活躍する「閉ざされた夏」にリゾート地のホテルに付随する美術館の学芸員の話がチラッと出てきて、てっきり当作品の主人公「わたし」(何という名前か確認しようとして、そもそも名前が紹介されていないことに気付いた…)のことかと思ったが違った。
クラシックホテルが舞台で、ヒッチコックの映画を彷彿させるストーリー。
「古書店アゼリア〜」でゴシックロマンについて「若い娘が屋敷を手に入れる話である」と定義していたが、さすがミステリー作家の若竹さん。おどろおどろしい雰囲気の中、次々と起こる怪事件の“犯人”は一体誰?という謎解きを堪能させてくれる。本書はまさにゴシック・ホラー・ミステリー(ただ要素を並べただけ)。
エンディングは…そして誰もいなくなった…わけではないが、残ったのは…だけである。
【追記】若竹さんの著作を読み漁っていて、光文社文庫版に次ぎ、先に刊行された角川ホラー文庫版も購入。まるでこの本に出てくる大林一郎みたいな偏執ぶり…恥ずかしい。
とはいえ、ジャケット(カバー)が違うと話の雰囲気も変わってくる感じがする。正確にいえば、表紙絵からの印象を抱きつつ読み進めるからであるが。あと、解説者が変わったりするので(同じこともある)二通り読めて興味深い。
さて、光文社のカバー絵はお馴染みの杉田さんが描いている。「わたし」が学芸員として働いている絵。爽やかな色合いで、雰囲気的に「わたし」が以前働いていた葉崎の美術館かも。
対して、角川版は像か何かが青い炎に包まれている合成写真のような画。またこちらには解説がついていないが、最初の頁にカラーイラストが入っている。日傘をさした藤色のドレスの女性が螺旋階段を上っていくところだが、深い闇底に下っていくようにも見える。かなりのホラー感。このイラストを見ただけでも、こちらも買った価値があったように思う。
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遺品 (角川ホラー文庫) Kindle版
失業中の学芸員のわたしに、金沢のホテルの仕事が舞い込んだ。伝説的女優にして作家の曾根繭子が最後の時を過ごし、自殺した場所。彼女のパトロンだったホテルの創業者は、繭子にまつわる膨大なコレクションを遺していた。その整理を進めるわたしは、彼の歪んだ情熱に狂気じみたものを感じていく。やがて起こる数々の怪異。繭子の呪い? それとも……。ひたひたと忍び寄る恐怖に次第に侵食されていく日常。絡み合う謎の正体は?! ドラマチックな長編ホラー。
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2016/2/25
- ファイルサイズ1488 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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登録情報
- ASIN : B01BOFA6BW
- 出版社 : KADOKAWA (2016/2/25)
- 発売日 : 2016/2/25
- 言語 : 日本語
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- X-Ray : 有効にされていません
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- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 341ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 6,917位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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若竹 七海(わかたけ・ななみ)
1963年、東京生まれ。立教大学文学部卒。1991年、「ぼくのミステリな日常」で作家デビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞“短編部門”を受賞。2015年、葉村晶シリーズ「さよならの手口」でミステリファンクラブ・SRの会による“SRアワード2015”国内部門を受賞、「このミステリーがすごい!」4位。2016年、同シリーズ「静かな炎天」が「このミステリーがすごい!」2位、“SRアワード2017”国内部門、ファルコン賞を受賞。2018年、同シリーズ「錆びた滑車」が「このミステリーがすごい!」3位。著書に「悪いうさぎ」(日本推理作家協会賞“長編及び連作短編集部門”候補)などがある
(本データは「不穏な眠り」が刊行された当時に掲載されていたものです。)「BOOK著者紹介情報」より
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ねっとりした不気味さが漂う作品
久々にジャパニーズホラーを体感できた。
映画と相性がいい気がする。
久々にジャパニーズホラーを体感できた。
映画と相性がいい気がする。
2020年10月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
次から次へと事件が起こり、登場人物にも興味が湧くので面白く読みました。
まあしかしあまりにも非現実的で・・・ホラーだからこういうものなのでしょうか?あまり読んだことないのですみません。
「物」が消えた、戻ってきた、いつの間にか腕にハマっていた、どうしても戻ってきてしまう・・・なんか冷めました。
でも主人公の実直な性格好きだし、その恋は応援しました。
まあしかしあまりにも非現実的で・・・ホラーだからこういうものなのでしょうか?あまり読んだことないのですみません。
「物」が消えた、戻ってきた、いつの間にか腕にハマっていた、どうしても戻ってきてしまう・・・なんか冷めました。
でも主人公の実直な性格好きだし、その恋は応援しました。
2013年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
そこそこの長編だが、中だるみもなく一気に読ませてくれた。主人公の女性学芸員が、偏執的コレクションを整理していく過程で、どんどん恐怖が高まっていく訳だが、これが上手い!「え?そんなものまで??」というコレクションが次第にエスカレートしていき、ゾッとさせられた。脇役のキャラの描き方も巧みで印象的。あれ?誰だったっけ?という小説あるあるも無く、読み易かった。ただ、ラストに繋がる主人公の肝心の「本音」については描き方が弱かった感があるので☆一つ減。
2016年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公の人柄や、周囲の人達とのやり取りがユーモラスで、思わずくすっと笑ってしまう楽しさがある反面、主人公が依頼された仕事を進めるうちに、得体の知れない存在、出来事が巻き起こりはじめ、その不気味さ、不思議さに引き込まれ、特にラストのほうは、途中で読むのをやめることができず、夜更かしして読んでしまいました。時間を置いて、今度は、ストーリーを知った上で、じっくりと読み直してみたいです。
2019年3月30日に日本でレビュー済み
探偵シリーズではなく、ホラーを読了。亡き女優にまつわるコレクションを展示することになったホテルで起きる不可解な事件や事象。幽霊が出てくるが大して怖くはない。それよりも、なんで幽霊が出るのかナゾが解けず、最終章へ。終わってみると、ホラーなのか?というような小説でした。
2010年9月9日に日本でレビュー済み
怪奇現象、幽霊ものでした。
じつは仕掛けがあった・・・というミステリーかと思ったのですが
そういうジャンルではありませんでした。
表紙のイラストがさわやかなので
あれ?読む前にイメージしていたのと違う・・・と思ってしまいました。
(若竹さんの「悪いうさぎ」も表紙イラストでで騙されましたが)
最後はうーんという結末ですが
やはり、登場人物の魅力やのめりこんでしまう文章でしたので
☆4つにしました。
じつは仕掛けがあった・・・というミステリーかと思ったのですが
そういうジャンルではありませんでした。
表紙のイラストがさわやかなので
あれ?読む前にイメージしていたのと違う・・・と思ってしまいました。
(若竹さんの「悪いうさぎ」も表紙イラストでで騙されましたが)
最後はうーんという結末ですが
やはり、登場人物の魅力やのめりこんでしまう文章でしたので
☆4つにしました。
2008年9月9日に日本でレビュー済み
この小説の女主人公は学芸員。
ご存知の通り、学芸員は、専門的な知識を要する非常に難しい職業でありながら、希望者が多く、就職先があまりにも少ないために、資格を持った人のほとんどが就職できないという、苛酷な状況にあります。この小説のヒロインもその状態をシニカルに理解しつつも、せいいっぱい仕事を遂行しようと努力するのです。
彼女の姿勢が、なんとも悲しく、かつ共感を呼びます。
おそらくホラーを書いて欲しいという依頼だったのでしょう。たいへん不気味で怖い話に仕上がっていますが、それだけではありません。
本来ミステリ作家である若竹七海ならではのしかけも用意されていますので、お楽しみに。
良い作品なんだけどなぁ。なんで、角川はすぐに絶版にするかなぁ……。
ご存知の通り、学芸員は、専門的な知識を要する非常に難しい職業でありながら、希望者が多く、就職先があまりにも少ないために、資格を持った人のほとんどが就職できないという、苛酷な状況にあります。この小説のヒロインもその状態をシニカルに理解しつつも、せいいっぱい仕事を遂行しようと努力するのです。
彼女の姿勢が、なんとも悲しく、かつ共感を呼びます。
おそらくホラーを書いて欲しいという依頼だったのでしょう。たいへん不気味で怖い話に仕上がっていますが、それだけではありません。
本来ミステリ作家である若竹七海ならではのしかけも用意されていますので、お楽しみに。
良い作品なんだけどなぁ。なんで、角川はすぐに絶版にするかなぁ……。