上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0孤独な帝王
2012年11月10日に日本でレビュー済み
毀誉褒貶が激しすぎて、こちらのレビューを読んでも与沢氏とこの本の実態はよく分からないと思います。
自分の目で確かめてみることです。それがすべてだと思います。
知識や情報をもつものがこれまでとは比べものにならない経済的価値を持つようになり、スーパーフリー
エージェントになるとその経済力は小規模上場企業さえもたった一人で簡単に上回るようになるという
世界観が描かれています。
この世界観、おおむね正しいと思います。スーパーでないフリーエージェントの個人が今後続出する近未来
がこの本を読んで想像できました。
なお、ホリエモンと与沢氏を比較する方もいますが、両者はビジネスの才能が突出しているだけで、似てはいま
せん。ホリエモンの登場をwindow95とすると、与沢氏の登場はiphoneのよう。ホリエモンを野暮ったくて古臭い
と感じるくらい圧倒的に与沢氏は新しい。一方、ホリエモンがやろうとした天下統一戦線を与沢氏が同じように
敷けるとは思えません。(批判の激しかったホリエモンよりもさらに背景と手法が暗いため)
この方、今から天下の大通りに出てきて横死するか、灰色の小覇王として生き続けるかのどちらかの道をたどる
と思いますが、そのビジネス手法は天才型で結論のみいきなり提示してくるホリエモンよりもはるかに常識的で
参考にしやすいです。第三者が言うのも横柄ですが、明確な努力の軌跡が見えて、百戦錬磨の野戦将軍を彷彿と
させます。
惜しむらくは百才余りありて徳少なし。この一点だけです。
あと、前社を倒産させたときに、いわれのない中傷を受けたということについて一言。与沢氏は歴史が非常に好き
なようですので、歴史で解説すると、項羽と劉邦が覇権を争った時代、二流以下の諸侯は目先の情勢だけで何度も
裏切りました。そこに理念などないのです。韓信、蕭何、張良のような腹心を持てなかった自身にも責任はあります。
また驚くべきはこの程度の小冊子にすら、営業と煽動の技術が満載されていることです。「交渉に行って失敗した
ことがない」と豪語するのもあながち誇張ばかりではないと思います。
そのためおそらく今後彼に相乗りしたいという人たちが出てくると思いますので、一言忠告しておきます。彼は自分
で言う通り、ブレーキのないスーパーカーです。いつ衝突事故を起こすか分からないし、その前歴もあります。
どんなに速くて華麗でも、死んでしまっては終わりなのです。それなら自分の足で毎日毎日歩いたほうが遥かに遠く
の目的地までたどり着けます。本書の中ではありませんが、これは与沢氏も言っていることです。「ビジネスにおいて
は我々はみなそれぞれ個別の道を歩まなければならない」
評価は書籍全体に対するものではなく、中にいくつものビジネスアイデアがあることに感嘆してつけたものです。
彼の心術には心服できずとも、その才能の華麗さには驚嘆するしかありません。情報商材屋の中に混じっていた
ので、つい最近まで彼の実体を見誤っていました。私は彼の手法を吸収しつつ、彼とは違う道を行くつもりです。
天を分かつように劉備が決して曹操の配下にはならなかったように。
表題は否定的な意味だけではありません。何度もたった独りで新しい道を歩まないといけない氏の姿を見ると、
人生も経営も本質的に孤独なものであるということを痛感します。
(追記)IT革命の第一波に乗ったのがホリエモンでした。今まさにこの第二波に相当する巨大な波が起こっており、
これは仮に名前をつけるなら、ソーシャルメディア革命とでもいうべきものです。与沢氏はこの波に乗っています。
ブログ、メルマガ、ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアの発達によって、これまで巨大企業や巨大
メディアしかできなかった情報の受信と発信及びそれから派生して生まれるビジネスが個人間レベルで行える
ようになったことにより、大きな富の移動が起こるようになっています。
これまではBtoB、BtoCのビジネスしか存在しなかったのが、CtoCという形態が新たに加わったということです。既
に小僧というような年齢の若者でもこの波に乗って莫大な富を得るようになってきています。ただ、やはり精神的、
道徳的に未熟なものが多く、与沢氏を含め、かなり荒い手法でお金を稼いでいるものが多いです。
しかし、本質的なビジネスの形態としては全く新しい時代の要請に合っているので、誠実で知力のあるものが、こ
の波に乗ることができれば、日本を代表する旧企業を一瞬で抜き去るようなエクセレント企業が出現する可能性が
あります。
私も微力ながら、個人でこの波に乗ろうと思っています。皆様が早くこの変化に気づかれることを願っています。