小柴昌俊氏が1987年にニュートリノの観測に成功。梶田隆章氏が1996年にニュートリノ振動の観測から、ニュートリノにわずかながら質量があることを確認した。
今後、さらにニュートリノの本質が解明されるとしたら、21世紀中には、ニュートリノ・フリーエネルギーが実現するかも知れない。
今回の梶田隆章氏のノーベル物理学賞の受賞に関して、最も重要で関心度の高いことは、「将来、ニュートリノがフリーエネルギーとして使われるようになり、これは同時に地球温暖化への対応策が定まることになる。」が実現するかどうかです。
“ニュートリノに質量がある。”ということは、アインシュタインの関係式E=mc2で、“ニュートリノをエネルギーとして使える。”ことを意味しています。ただし、これは諸刃の剣でもあります。
ニュートリノ・フリーエネルギーとは、スマートエネルギー(smart energy)の一つです。
【 ニュートリノ・キャプチャー】
〈ニュートリノの質量は、カミオカンデの実験で確認されたように、極めて小さいが、それゆえエネルギーとして扱いやすい。E=mc2でエネルギーに使えるが、例えばお湯を沸かすのには数十個、車を動かすには数万個、飛行機では数億個のニュートリノを、E=mc2でエネルギーにすればよい。ニュートリノは宇宙空間どこにでも莫大に存在するので、宇宙船でも操行エネルギーに使えます。宇宙船の航行エネルギーは、ニュートリノ・エネルギーによるフリー・エネルギー。これは、極めて質量の小さなニュートリノが宇宙空間至る所に莫大に存在していて、これをE=mc2でエネルギーに使用するもの。ニュートリノ・キャプチャー(ニュートリノ捕獲)と言われるフリー・エネルギーです。ただ、実用化するには、さらなる素粒子物理学の発展を待つ必要があります。
問題点としては、例えば弾道ミサイルに使われるなど戦争やテロに使われる危惧。また、このような扱いやすい無限エネルギーは逆に無駄に多く使用してしまい、環境破壊を助長することです。尚、ニュートリノ・キャプチャーは、ニュートリノ捕獲という単純な意味でも使われます。〉
ここで、ニュートリノ・フリーエネルギーがどのくらいのエネルギー値を持つのかを概算してみます。単純計算では、アインシュタインの関係式からニュートリノの質量がすべてエネルギーとして取り出せるとして計算してみます。(実際にはこう単純ではないと思われますが。)
ニュートリノの質量は、m=0.36×10の-31乗g以下であることが現在わかっています。光速c=3×10の8乗m/sec
アインシュタインの関係式 E=mc2から計算します。
よってニュートリノ1個のエネルギーEn=3.24×10の-18乗kg・m2/sec2(以下)
これは、ニュートリノ1個のエネルギーEn=3.24×10-18乗ジュール(以下)=20eV(以下)=7.74×10の-19乗カロリー(以下)=9.00×10-25乗キロワット時(以下)
水1リットルを沸騰させるのに必要なエネルギーは、319.2kJ(76kcal)ですので、水1リットルを沸騰させるのに必要なニュートリノの数は、9.85×10の22乗個以上必要なことになります。
(ニュートリノには3種類ありますし、ニュートリノ振動などの質量変化の現象もありますので、実際の(有効)質量はもっと大きくなったりします。よって、必要なニュートリノの数はもっとはるかに少なくてもOKです。)
ただし、ニュートリノ・フリーエネルギーは、少なくとも現在の我々には危険すぎると思います。戦争にも悪用されるかも知れません。
ビョルン・ロンボルグ著『環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態』には、もし無限とも言えるエネルギーを人類が手にしたら、それは「無知な子供に機関銃を渡すようなものだ。」と書いてあって、環境破壊どころでは済まない、人類滅亡の危機の怖さを常に毎日意識しながら日々生活するようになってしまうでしょう。例えば核弾道ミサイルへの無限エネルギーの応用など。パンドラの箱を開ける恐さは今までの比ではない。
一時期、常温核融合の実現に期待されたのは、人類が無限とも言えるエネルギーを獲得することでした。しかし、
〈常温核融合に手が届くかもしれないと信じることができた。――そうすれば、人類は要するに、クリーンで安くて無限のパワーにアクセスできるようになる。
1989年4月に、『ロサンゼルス・タイムズ』紙はトップクラスの環境保護論者たちに、常温核融合についてどう思うかを尋ねた。その技術が仮にクリーンで安かった場合という想定のもとだったのに、ジェレミー・リフキンの答はこうだった。
「地球に起こりうる最悪のことですね。無尽蔵のパワーは、人類に地球資源を使い果たし、その脆弱なバランスを破壊し、想像を絶する人工・産業廃棄物を作り出す無限の力を与えるだけだ」とかれは論じる。
カリフォルニア大学バークレー校の物理学者ジョン・ホールドレンは「クリーンに燃えて公害を出さない水素ブルドーザーだって、木をなぎたおしたり、農地に住宅開発をしたりできる」と指摘した。
カリフォルニア大学バークレー校の人類学者ローラ・ネーダーはこう語っている。
「多くの人は、安くて大量にあるエネルギーは人類にとってよいことだと簡単に想定してしまいますが、そんなことを示す証拠はありません。1950年から1970年にかけて、エネルギー利用は倍増しましたが、生活の質を示す指標はすべて下がりました。」
スタンフォード大学の生物学者ポール・エーリックは慎重だった。安いクリーンなエネルギーは人類にとって後押しとなる“可能性はある”けれど、問題は「産業社会はこれまで、パワーを賢く使わず」、大規模な公害を引き起こした。まとめとしてエーリックは、常温核融合はクリーンで安価だったとしても、「無知な子供に機関銃を渡すようなものだ」と述べている。
最後に自然システム生物学センターのバリー・コモナーは「核融合パワーは既存のエネルギー源からの関心をそらすものだからゆゆしき存在だ。太陽光エネルギーのような安全で実証済みの分散型技術が、すぐそこにあるというのに、証明もされていない危険かもしれないような核融合なんていう技術に飛びつくのは、まるで筋が通らない」と言う。
ほとんど理想的なエネルギー源に対するこうした反対論が何を示しているかと言えば、重要な論点がエネルギーでもないし、エネルギーの経済性についてのものでもない、ということだ。これはまちがいのないことだ。もともとの『ロサンゼルス・タイムズ』紙の質問はそもそも「もし仮に常温核融合が安くてきれいなエネルギー源になったら?」というものだったからだ。ところが反対論者たちは、その回答を別の論点から導いている。要するに、批判は別の価値観を示して、資源にあまり依存しない、工業化していない、商業化しておらず、生産志向でもない分散型の社会を指さしている。こうした論点はもちろんあっていいけれど、でも議論の主眼が最早(もはや)エネルギーとは ずれていることは認識しておくべきだ。」〉
人類がニュートリノ・フリーエネルギーを手にしたらと仮定すると、とんでもない事が次から次へと起こることが想像できます。
・電気のスイッチを入れっぱなしにしてしまう。
・石油業界などが困る。
・弾道ミサイルへのニュートリノ・フリーエネルギーの悪用など、兵器への悪用。
これを宇宙に向けてたくさん発射すると、星も破壊される危険性。
・弾道ミサイルでなくても、ニュートリノ・フリーエネルギーを使えば、ロケットとしてなんでも無限に飛んでしまう。
など、人類がニュートリノ・フリーエネルギーを手にしたら、とんでもない事が次々に起こります。アトランティス文明も科学技術の進歩しすぎで滅亡したとも言われています。
ノーベル物理学賞受賞者は、国民の血税を使ってノーベル賞をもらったわけで、その立場をよく考えてほしい。事業仕分けでは、「素人が口を出すな、予算を減らすな」という上から目線でした。また、総合科学技術会議によって素粒子ニュートリノの研究計画がSABCの4段階中最低のC評価になったとき、ノーベル賞受賞者の小柴昌俊博士の猛烈な抗議で評価が覆(くつがえ)った。(榎木英介『嘘と絶望の生命科学』参考)。
事業仕分けは「予算を減らせ、という単純な結論ではない。本当に役立つ研究してますか、無駄なことしてませんか、と問うているわけだ。ところが、結果だけがひとり歩きし、予算を減らすイコール科学がだめになるということになってしまった。
著名な研究者の声や文部科学省あげての反対運動が功を奏し、このときは大きな予算の削減にはならなかった。
しかし、今考えると、科学界は当時の事業仕分けの指摘をもう少し真面目に受け止めたほうが良かったかもしれない。」(p146)
(個人的には、人の税金を使ってノーベル賞もらえて、そんなおいしい話はないとも思っていて、そんな立場の人があまり上から目線でモノを言わないで欲しいとも思っています。)
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ニュートリノと私 not a miracle at all (100年インタビュー) 単行本 – 2014/7/24
小柴 昌俊
(著)
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購入オプションとあわせ買い
ニュートリノという素粒子を検出し2002年ノーベル物理学賞受賞。
小児麻痺を自力で克服、師に恵まれ、物理学の実験に取り組んだ日々。
小児麻痺を自力で克服、師に恵まれ、物理学の実験に取り組んだ日々。
- 本の長さ157ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2014/7/24
- ISBN-104569784089
- ISBN-13978-4569784083
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商品の説明
著者について
物理学者、ノーベル物理学賞受賞者
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2014/7/24)
- 発売日 : 2014/7/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 157ページ
- ISBN-10 : 4569784089
- ISBN-13 : 978-4569784083
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,142,306位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 59,799位絵本・児童書 (本)
- - 126,177位ノンフィクション (本)
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著者について
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1926年愛知県生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。ロチェスター大学大学院修了。Ph.D.理学博士。東京大学理学部教授、素粒子物理学国際センター長などを歴任。現在、東京大学名誉教授、同特別栄養教授、財団法人平成基礎科学財団理事長、日本学士院会員。2002年ノーベル物理学賞受賞。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『ニュートリノの夢(ISBN-10: 4005006469)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2016年3月19日に日本でレビュー済み
小柴さんの生い立ちからノーベル賞受賞後の人生が、ご本人の対談の形でまとめられた一冊。若いころから苦労・努力を重ねる一方で、常に、良くしよう、工夫しようという精神がとても強いと感じた。また、ヤマ勘がよく当たるのも、いろいろ考えつくしているからいい案が自然と浮かぶのでは、と感じた。ニュートリノという今までだれも測定したことのない装置を開発し、しかも、海外ではまねのできない工夫を入れて実際に観測された、というのは並々ならぬ精神力が必要だと感じた。
小柴さんのやさしい語り口までよく伝わってくる本で、あっという間に読めた。
小柴さんのやさしい語り口までよく伝わってくる本で、あっという間に読めた。