QMSは同時期のサンフランシスコのバンドの中でも捉え所がなく、マニアのバンドとしての印象が強いと思いますが、1969年発表のこのアルバムについては聴いておかないと損をします。
まず、ストーンズやジェフ・ベックとの共演で有名なニッキー・ホプキンスが参加して、全曲で彼の華やかなポンピン・ピアノが堪能できます。彼のピアノはともするとギター中心の長尺なブルース・ジャム・バンドだったQMSに鍵盤のメリハリを加えて、聴きやすいサウンドを作り上げるのに成功しています。また、アルバムラストの「Edward」は1973年のホプキンスのソロアルバムで再演されていますが、こちらがオリジナルです。
次作『JUST FOR LOVE』以降のQMSは、強烈なカリスマ性を持った元リーダーのディノ・バレンチが復帰する事によって、ガラリとその姿を変えてしまいますが、このアルバムはジャムバンド華やかなりし頃のサンフランシスコの最後の雰囲気を真空パックしたような素敵な玉手箱です。