このレビュアーはどうかしている。このアルバムは他のカスタマーの方も記している通り、紛れもないニールの「最高傑作」である。「彼の最高傑作ではない」のなら、このアルバムを凌ぐアルバムはどれだというのだろう? 挙げている曲まで少々ピントが外れている。この有名な"テキーラ・セッション"では、ファンの意見は表題曲が最高だという意見と、"Mellow My Mind"が超絶だという意見があるが、個人的には後者を採りたい。もちろんどちらが上などという議論はまったく無意味である。ニールの最高傑作のみならず、ロック史上に残る名作であることは疑いもない。ギターが乱れている、高音が潰れている、それがどうだというのだ。感情移入が過剰な演奏は大概失敗するが、「音楽」として成立した稀有な場合に限り、通常の演奏では達成しえない高みへ上ることができる。ニールにとってもこのセッションを凌ぐ演奏をものすることは二度と不可能だっただろう。そういう意味では、「一回性」という意味で、ベンヤミンのいう「アウラ」を強烈に放っているセッションであると言えるだろう。
NEIL YOUNGの「TONIGT'S THE NIGHT」です。1975年のアルバムです。非常に内省的でパーソナルな作品になっています。盟友であった人を立て続けに失った彼の心象が詰まったアルバムです。全員が酔っ払って作り上げた作品だそうで、ボーカルにしてもかなり揺らいでいますが、暗い印象はありません。ただ、「夜」な作品だとは思います。発表当時「暗い」ということで、お蔵入りになりそうになった作品。パーティには向きませんが、大人の男の音楽であることには間違いありません。こういった作品を聴ける大人が正しい大人であると思います。様々な経験、そしてその経験は決して良いものばかりではない、そういった大人の音楽です。 誰しも乗り切れない夜があります。その夜を乗り切るには自分しかないのです。ニール・ヤングの乗り切り方がこの作品なのかもしれません。