既に他のレビュアーの方もご指摘されているが、読み手によって大きく評価の割れる1冊だろう。
私はご幼少の砌(笑)から、街中にある色々な(若干怪しい匂いが香り立つ)看板に惹かれ続け、日本の地方都市に行こうが海外を訪れようが、その種の看板や掲示物があればたちまちにコーフンするという人間なので、著者の「目の付け所」や一種独特(異様?)な感性には心から共感する。私と同様な嗜好をお持ちの読者諸氏には、読み始めたら止まらない、汲めども尽きぬ味わいを持つ1冊である事、請け合いである。
登場する物件は「ペヤングソース焼きそば」や、愛媛の名菓「母恵夢(ポエム)」のようなメジャーなものから、著者がまさに「一期一会」で遭遇した超ローカル物件まで実に様々。それらをこれほどにまとめた形で見るのは私は初めてだったが、読み終わってつくづく感じたのは「ひらがな」「カタカナ」「漢字」というそれぞれに特色のある3種の文字を併用する日本語だからこそ、こういうインパクトのある看板が生まれ得るのだろうという事である。例えば、広島駅の「グリコ乳業」の看板(P.118)。「ひろしま」というひらがなと、「乳業」という漢字を合体させた大胆不敵なデザインには感心させられてしまうが、日本語以外の言語では中々こういう芸当は難しいのではないだろうか。
個人経営のお店が減少を続ける今、本書に登場するような「怪しさ炸裂」の看板たちはどんどん減ってしまうのかもしれない。実際、掲載されている物件も現存しなかったり、ロゴマークが変わってしまったりというケースもあるようだ。こういう「怪しい」看板を楽しめるのも、今のうちなのかもしれない。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
タイポさんぽ改: 路上の文字観察 単行本 – 2016/4/8
藤本 健太郎
(著)
珠玉のデザインエッセイにして、手描き文字デザイン再評価のターニングポイントとなった
名著「タイポさんぽ」がパワーアップして帰ってきた!
昭和期の看板,ローカルな商品のロゴ,手書きの貼り紙,道路や壁の文字の痕跡……。
街を歩けばコンピュータのフォントにはない独特の手ざわりをもった文字たちがそこかしこに息づいている。
有名無名のデザイナーや市井の人々の手仕事によって生み出され、風雪に耐えてきた文字たち。
著者はこれら路上の文字たちにまなざしをそそぎ、その豊かな可能性をユーモアとウィットにのせて現代へと橋渡す。
日本各地でみずから採取した、懐かしくも新しい路上の文字を厳選して多数紹介。
見て面白く、読んで楽しい文字コレクション!
名著「タイポさんぽ」がパワーアップして帰ってきた!
昭和期の看板,ローカルな商品のロゴ,手書きの貼り紙,道路や壁の文字の痕跡……。
街を歩けばコンピュータのフォントにはない独特の手ざわりをもった文字たちがそこかしこに息づいている。
有名無名のデザイナーや市井の人々の手仕事によって生み出され、風雪に耐えてきた文字たち。
著者はこれら路上の文字たちにまなざしをそそぎ、その豊かな可能性をユーモアとウィットにのせて現代へと橋渡す。
日本各地でみずから採取した、懐かしくも新しい路上の文字を厳選して多数紹介。
見て面白く、読んで楽しい文字コレクション!
- 本の長さ156ページ
- 言語日本語
- 出版社誠文堂新光社
- 発売日2016/4/8
- 寸法15 x 1.5 x 21 cm
- ISBN-104416616783
- ISBN-13978-4416616789
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
藤本 健太郎:1973年北海道帯広生まれ。デザイン学校在学中の1993年に「Nendo Graphixxx」を結成。同校卒業後、インディーズTシャツブランド展開などの活動をしつつ、アートディレクター/デザイナーとして活動。2003年からフリーランス。2011年、北海道帯広に居を移し、デザインで地元に貢献すべく模索を開始。
登録情報
- 出版社 : 誠文堂新光社 (2016/4/8)
- 発売日 : 2016/4/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 156ページ
- ISBN-10 : 4416616783
- ISBN-13 : 978-4416616789
- 寸法 : 15 x 1.5 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 598,374位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

1973年北海道帯広生まれ。
味わい深い「街の文字」との出会いを求め、休みのたびにまだ見ぬ通りへと散歩に出かけるグラフィックデザイナー。その遍歴はタイポグラフィー・エッセイ集『タイポさんぽ』シリーズにまとまる。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古い看板や装飾テントなどに書かれているユニークな形の文字(書中では『タイポ』)について、
グラフィックデザイナーである著者が知識とユーモアをもって解説・評論している本です。
「孤独のグルメのタイポグラフィ版」「文字に主軸を置いた路上観察の本」と書くと一部の方々にはわかりやすいかもしれません。
図案や写真を数多く載せるような専門性の高い内容ではなく、おもしろおかしく書かれたカジュアルなコラムこそがこの本のメインなのですが、
全体的に著者の個性というか、文章のクセが強いです。
冗長な言い回しが多いため読んでいてなんとなく引っかかる上に、
「オハナライズ」「カサブタイポ」などの造語や、写真の内容とあまり関係ない憶測や感想もちらほら出てきていて、
文字の形のおもしろさを語りたいのか、自分語りがしたいのかが読んでいてよくわかりませんでした。
ハマる人にはとことんハマる本なんだと思います。
私には合いませんでした。
グラフィックデザイナーである著者が知識とユーモアをもって解説・評論している本です。
「孤独のグルメのタイポグラフィ版」「文字に主軸を置いた路上観察の本」と書くと一部の方々にはわかりやすいかもしれません。
図案や写真を数多く載せるような専門性の高い内容ではなく、おもしろおかしく書かれたカジュアルなコラムこそがこの本のメインなのですが、
全体的に著者の個性というか、文章のクセが強いです。
冗長な言い回しが多いため読んでいてなんとなく引っかかる上に、
「オハナライズ」「カサブタイポ」などの造語や、写真の内容とあまり関係ない憶測や感想もちらほら出てきていて、
文字の形のおもしろさを語りたいのか、自分語りがしたいのかが読んでいてよくわかりませんでした。
ハマる人にはとことんハマる本なんだと思います。
私には合いませんでした。
2016年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現役グラフィックデザイナーである著者の趣味である、
市井生活の中にあるコンピューターで規格化される以前の看板フォントなどを取り上げた一冊。
街中に溢れかえる文字フォントの中でも手書きで施されていた時代には驚くほど個性的なものもあり、
著者の推測と面白さの解説が判りやすく巧いエッセイとなっており、決してマニア向けに留まらない魅力がありました。
街中、特に昭和の香りが強い地域には紹介されているようなトンデモだったりハイセンスだったりする看板は多くあり、
自身の生活でもふと看板を眺めてしまうほど魅力あるものと気付かされました。
写真も豊富で非常に面白い書籍でした!
市井生活の中にあるコンピューターで規格化される以前の看板フォントなどを取り上げた一冊。
街中に溢れかえる文字フォントの中でも手書きで施されていた時代には驚くほど個性的なものもあり、
著者の推測と面白さの解説が判りやすく巧いエッセイとなっており、決してマニア向けに留まらない魅力がありました。
街中、特に昭和の香りが強い地域には紹介されているようなトンデモだったりハイセンスだったりする看板は多くあり、
自身の生活でもふと看板を眺めてしまうほど魅力あるものと気付かされました。
写真も豊富で非常に面白い書籍でした!
2016年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今まで散歩してあまり気にしていなかった看板が、この本を読んだ後では全く違ったものに見える不思議。世界が宝の山に見えてきます。自分でも面白い看板の写真を撮りたくなるので、散歩の回数が増えました。つまりダイエットにもおすすめ。
2017年7月20日に日本でレビュー済み
昭和レトロも雑学も好きな人なら、大いに楽しんで読める一冊と思う。
味わいある街角の手書きタイポグラフィを集め、プロ (グラフィックデザイナー) が解説を付している本書。
街角タイポという元々の着眼点も秀逸なのだが、著者のセンスと文章力にうなる。
プロ視点の読み解きと、語彙力・表現力・構成力という作文能力の高さが見事に噛み合って、
分かりやすく、かつ単純に読み物としても十分に楽しめる「二度おいしい」作品に仕上がっている。
タイポの作者を「詠み人」と名付けたセンスにも脱帽だ。
難を挙げるとすれば「プリミティブかつフリーダム」とか、「5袋もカゴにダンク」とか、
やたらカタカナにして滑稽さを醸し出そうとする点だけが、個人的には少しだけ残念だった
(なぜなら、その手の表現や流行語を用いると、時代を経たときにもはやそのセンスが古臭く、
面白くもなんともなくなってしまう恐れがある)が、
恐らく今も急速に減少しているであろう、ほのぼのとした手作りタイポの図鑑として長く残してほしい著書である。
腹を抱えて笑ってしまったのは、005番と016番。
台湾編もすぐに追加購入してしまった。
著者の文才がとにかく飛びぬけているので、ぜひ今後も本を出してほしい。
味わいある街角の手書きタイポグラフィを集め、プロ (グラフィックデザイナー) が解説を付している本書。
街角タイポという元々の着眼点も秀逸なのだが、著者のセンスと文章力にうなる。
プロ視点の読み解きと、語彙力・表現力・構成力という作文能力の高さが見事に噛み合って、
分かりやすく、かつ単純に読み物としても十分に楽しめる「二度おいしい」作品に仕上がっている。
タイポの作者を「詠み人」と名付けたセンスにも脱帽だ。
難を挙げるとすれば「プリミティブかつフリーダム」とか、「5袋もカゴにダンク」とか、
やたらカタカナにして滑稽さを醸し出そうとする点だけが、個人的には少しだけ残念だった
(なぜなら、その手の表現や流行語を用いると、時代を経たときにもはやそのセンスが古臭く、
面白くもなんともなくなってしまう恐れがある)が、
恐らく今も急速に減少しているであろう、ほのぼのとした手作りタイポの図鑑として長く残してほしい著書である。
腹を抱えて笑ってしまったのは、005番と016番。
台湾編もすぐに追加購入してしまった。
著者の文才がとにかく飛びぬけているので、ぜひ今後も本を出してほしい。